魔女だし、幻想だし。 作:覚め
さて、四等分してそれぞれ別のところに行ったわけですが。
四人いますよね、ちゃんと。
4分割された私は、一人と共に魔女のところへ。雰囲気としても良い、私は当たりを引いたようだ。ドアを叩く寸前に、ふと思い出す。悪戯をするのだから、正面から行く必要はない。危ない危ない。ということは、先程別れた私も同じようなことをしているのだろう。
「…そもそもいるのかな?」
「ええ。いないわよ」
「わっ!?」
後ろから突然の家主。なるほど、この近くにはいたけど家の中にはいなかった、と。なんなら、私が来ることを知っていて身を隠したのかもしれない。だとすれば、警戒しているのだろうか。
「…あら」
「?」
「なんだか使い潰す為の人形を持ってるのね」
「そう見えるかしら?これでも、そういう時が来るまでは大事に扱っているつもりだけど」
「使い潰す為には綺麗にしなきゃね。道具も人も、丁寧に手入れをしてようやく真価を発揮するから」
「同感ね。それで?貴女は?名前すら名乗らずに尋ねてきた理由は?」
「うーん…そう、ね。私はラメ。気安く、ね。用事はない。というよりも、あったんだけど…忘れちゃった」
「そう…それじゃあ、帰って」
「良い警戒心ね。」
周りを人形が囲む。帰れと言ってるのに、帰り道がないのはダメね。どうやら思った以上に手強い相手の様子。諦めて帰ったところでいつ私と会えるかもわからない…じゃあ、どうしようもないわね。退屈凌ぎなのに、こんなことになるなんて。当たりだけど、ハズレ。
「実は私、四姉妹なの」
「は?」
「私は…そうね、その中だと三女かしら。四姉妹といっても、四つ子。まあ、これは珍しいからわかると思うわ。」
「何言ってるの。帰ってもらえる?」
「…わからないの?」
「何がよ」
「近くにもう一人、私によく似た気配、ない?」
「…!」
どうやら気付いた様子。まあ、それも私なんだけど。気付いたようで、彼女が走り出す。行かせない。足を止め、その場から動かせなくする。人形も止める。私が何をしたらこんなにも警戒されるのかな。私はよくわからないけど、まあ魔法使いがすることだ。
「…何、する気?」
「何って…何も?お茶しようよ」
「前、そう言って私の家から本を盗んで行ったやつ知ってるのよ」
「残念、本を読んで手に入る魔法なら、私は自力で作り出す方が好きなの」
「…はぁ。」
何を観念したのか、お茶に付き合ってくれるらしい。魔法を外し、お茶を出してもらう。私としても、少しお話がしたかった。彼女はアリスという名らしく、人形などを見せてきた。威嚇、なのか。この子は自爆する、この子は槍と盾で汎用性を重視した、この子は糸で相手の動きを縛る、と。それぞれの人形について説明された。
「面白いのね、人形って」
「私からすれば、人形に興味を持てない方がおかしいと思うけどね。」
「こんなに人形を持っていて人形が嫌いなんて、ただ自分を追い詰めたいだけの狂人よ」
「それもそう。」
聞けば、彼女は人里で人形を使った紙芝居をしているらしい。…人形を使っているのだから紙芝居ではなく芝居ではないのか、と聞きたかったが、アリスは話の展開が早かったので聞けなかった。まあ、それほどに情熱を持っているという事で茶を啜る。
「…まあ、美味しい」
「あら」
「久しぶりね、味のするお茶なんて。私のところじゃ、味の感じ取れない木偶の坊が味のしないお茶しか置いてないもの」
「それは…可哀想ね。でも、木偶の坊って?」
「動いているところなんて、そもそも見たことがないの。劣化もしない、私にもよくわからない。だから、木偶の坊と呼んでるわ…まあ、これは外でする話じゃないわ」
「え、ええ。そう、ね」
…事実。私が本体から出た時にはすでに本体は動いていなかった。自身の魔法によって動けなくなった?それとも、動く気にならないから、私で経験を得ようとしているのか。お茶に沈む私の顔は、真剣な顔が出来ないようで、下を見つめてニンマリとした顔をしている。四等分にした結果、どうやら私は不満を多めに任された分身らしい。
「…それで?貴女が人形を集めて武装することの意味は?」
「そんな事、容易く聞くものじゃないわよ」
「そう?」
「まあ、複雑な家庭環境を聞いちゃったから答えるけど…夢があるの」
「夢。」
「私からの魔力提供をなしに動く人形。それを作って見たいの」
「それが出来たら、貴女は大魔法使いね」
「ええ。裏を返せばそれ程に難しいこと。過去に大魔法使いと呼ばれたのは何人かいるけど、近いのは騒霊を作り出したレイラ・プリズムリバーかしらね。」
「ああ、あの。」
「魔法使いなら知ってる、あの、ね」
私でも、と言うには些か語弊があるが。霊を作り出すほどに卓越した技術を持った魔法使いだ。本体である私も会ったことはないはず。噂によれば、寿命で死んだ…とか。彼女の名が広まっているということは、どうやら霊も消えてはないらしい。
「でも、同じく大魔法使いと呼ばれる魔法使いを私は知ってる。その人と私を比べる限りは、そう遠くない道よ」
「成程、無謀な道ではない、と」
「少なくとも私はそう思っているわ。研究が進まず、道半ばで死んでも、それをそれと受け入れることはできると思うわ」
その割には、近くにいた魔法使いに少し入れ込んでいたようだが。その理由も、そっちに行った私の分身に聞いてみるとしよう。
「そうだ。貴女の進めている研究は?」
「私?私は…永遠について、かな?まあ、抽象的すぎてわけわかんないけど、それが楽しいから」
かぐや姫「パチモンや…」