魔女だし、幻想だし。   作:覚め

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パチュリー。要は紅魔館。


第3話

四等分された後の私は、真っ赤な館に来ていた。色以外は立派なのに。色だけで損している、世にも珍しい館。まあそれはそれとして。私にとってはこの館の中にいる魔法使いと話がしたい。ので、門番らしき門番は空爆で視界を奪っているうちに入っていく。

 

「ふんふふーん」

 

「あら、見ない顔ね。見ない顔っていうことは、招かれてない証拠だけど?」

 

「ええ、招かれる必要がなかったもの」

 

「それじゃ、出ていってもらうわ」

 

一瞬。そして、ナイフが周りを囲む。その全てを私の魔法で止めて、白服の女の隣を通る。彼女はどうにも魔法使いではないので、話しかけることはない。魔法使いの気配はこちらから。長い廊下だなぁ。間違いない。道中、楽しむ物が何もなく。扉の先にいるという確信を持って扉を開ければ、なんとも。

 

「ひろーい」

 

「ん?おや!?ぱ、パチュリー様〜!」

 

「今のは司書さんかな。でもあの人は魔法使いじゃないなぁ」

 

さらに歩き進める。進んだ先には異様な二人。紫色の部屋着を着た魔女と、異様な羽の吸血鬼。どうやら後者も魔法使いらしい。うーん、私としては楽しそうな二人組なんだけど。その二人がかなりの臨戦体制をとっている。かなり、というのは。どちらも魔法陣を出しており、吸血鬼に関しては魔女に制されているから出て来ないだけのようで。

 

「…貴女、誰かしら。速やかに帰っていただけるとありがたいけど?」

 

「さっきも同じこと言われちゃった。白い服着た、変な人。」

 

「咲夜…!」

 

「フラン、止まって。その人間は咲夜って言うの。咲夜はどうなったの?」

 

「生きてるよ。生きてくよ。」

 

「?」

 

「私が魔法を解かない限り、意識のまま、何も出来ずに、生きていくよ」

 

「そう」

 

目の前にビーム。魔法で相殺することを諦め、止めるに徹する。紫の魔女はどうやら百戦錬磨な様子。詠唱もなしにこんなビームが。横からは吸血鬼が来た。でも、敵対する意思はないから最低限の抵抗だけをさせてもらう。吸血鬼の腕と足の場所に留まる時間を永遠にさせ、動けなくする。

 

「ここからでも、出来るよ」

 

「っ」

 

「私のことも忘れないで」

 

止めたはずの吸血鬼から、火の槍。魔女からは大量の風。恐らくは予備動作。私としても、殺されるのは楽しくない。どちらも吸血鬼の腕と足と同じ魔法を仕込み、事なきを得たい。のに、紫の魔女が先ほど見た司書らしき人物に抱えられながら走るため止めにくい。

 

「フラン、大丈夫!?」

 

「わかった?私には敵意がないの」

 

「それはどうかしら。私たちからすれば、貴女は『突然館に押し入って来た魔法使い』なの。私の家から本を盗んで行く魔法使いより厄介よ」

 

「あ、そっか」

 

「グルルル」

 

「敵意がないというなら、まずは掛けた魔法を解くのが先よ」

 

「それよりも、目の前にある魔法を消す方が先だと思うけど?」

 

交渉成立。魔法は互いに消えた。私と同じような状況の私はいるのだろうか。いたらつまらない。私が面白くないのだから。まあ、まずは自己紹介からだね。名前もみんなで一緒なのかな?

 

「私はラメ。そっちの二人は?」

 

「私はフランドール」

 

「私はパチュリー。それで?貴女の目的は?」

 

「悪戯?」

 

「なるほどね…フラン、遊んだら?」

 

「嫌よ、私は魔法の勉強が一番だもの」

 

「あら、私も魔法使い。奇遇ね?」

 

「…じゃあ、私達の動きを止めたのは?」

 

「魔法。」

 

フランドールの方はそれを聞いた途端にこちらを振り向いた。パチュリーは、何やら考えるようにこちらを見つめている。フランドールの方は才能がある。それにパチュリーも。なら、私は魔法のことは口にしない。実戦したものを含めれば、相手は勘違いするから。その勘違いが私は好きだ。

 

「…そう。」

 

「この魔法はできる?」

 

「フラン!」

 

「あ、これなら私が前作った奴に似てるわね。出来ると思うわ。魔法を少し変えるなんて、簡単だし」

 

「は?」

 

「すごーい!それじゃあ、こっちも?」

 

「あら、こっちは知らない魔法。んー、まあ出来なくもないけど、私の得意分野じゃないから時間がかかるなぁ」

 

「えー?」

 

実際、私は属性とか嫌いだし。記されていたのは火の属性を持つ魔法だ。悪いが、そもそも火が嫌いだ。でも、それに対するフランドールの反応は面白い。純粋な反応でこちらも楽しみやすい。本体に姉妹がいれば、この気持ちの味わいも違ったのだろうか?

 

「貴女は素直な子。私の持つ魔法で、一つだけ教えちゃう」

 

「え!何教えてくれるの!?」

 

「それはね?」

 

「待ってフラン!」

 

興奮を抑える魔法。欲求に駆られた魔法使いは興奮してしまい、頭の冷静さを何割か失う。それを防ぐための魔法。だが、私は彼女から感じ取った狂気を抑える魔法としても作用すると確信した。というか、その時だけ何もかもが別人のようで。少し、可哀想。

 

「駄目よ。少なくとも、私の目の前で私が知らない魔法を教えることは許さないわ」

 

「あら、随分と入れ込んでるのね。才能は育てる以外に使い道がないのよ?」

 

「活かすも殺すもその人次第─けほっ」

 

突然咳き込んだと思えば、咳の声が大きくなり始めた。そういう病のようだ。なので、まあ。私を制止する声が咳によって防がれたので。心配だが死にはしないだろう、という思考の下、さっさと教える。

 

「これを…そう、そうね。ムカついた時とかにこの魔法を使えば、気持ちが落ち着くはずよ」

 

「ほんと!?」

 

「本当も本当。大マジよ」




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