魔女だし、幻想だし。   作:覚め

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いえーい、ラッキーとアンラッキーを水に溶かすと中和される?


第5話

四人のところに行った私がまた集まり、一つの私に戻る。これで元通り、次に行こう。聖、フランドール、パチュリー、霧雨魔理沙、アリス。五人と話し合って、まあ決まったことが一つ。こんなにも刺激があるのだから、本体である私にも味わってもらいたい。話しかけるのではダメ。聞いてるかもわからない本体なんか、当てにならない。

 

「じゃあ、どうしましょう」

 

「何も思いつかないなら、素直に空でも浮かんでなさい」

 

「…あら。アリスじゃない。私に何か用事?」

 

「いいえ。何もないわ。なんなら、出会ったことすら偶然だから」

 

「それにしては、魔理沙もいるじゃない」

 

「…何?感知でもした?」

 

「魔法の応用。私の後ろにいるわ。人に会いに来るには、随分と失礼だと思うのだけれど?」

 

「すまんすまん。何せアリスが騒ぐからな」

 

「あら、そうなの。私と魔理沙の仲を引き裂くつもりだなんて、アリスは怖いわ」

 

魔理沙の後ろに隠れる。アリスの目線には確かに警戒が含まれているが、大した抵抗も何もしないというのに何故こうも警戒するのか。各私から見ても、失敗はそれぞれあるがここまで警戒されるようなことはしていない。アリスに関しては途中で警戒は解かれたはずだ。

 

「何考えてるか、全然わからないわ。私が何故そんなに怖いの?」

 

「怖くない。私は茶会の続きをしに来たんだ」

 

「あら嬉しい」

 

「私も。ただ、この辺りだと鴉天狗が騒がしいのよ」

 

「それを警戒してたのね。でも安心して、この辺りは鳥でも来られないわ」

 

「鳥?」

 

先ほどからずっと持っていた鴉を見せる。私の領空内に入るような鴉はこうなる、という威嚇の意味でもここに置いている。きちんと魔法もかけて決して朽ちない威嚇。まあ、それはそれとして。そろそろ妖怪の山に文句を言いに行かなければならない。最近では取材ではなく『かめら』なるものを使って私の姿を撮る輩がいる。

 

「鴉にはこちらも困っているの。以前までは鬼の付き人さえ出来なかったあの天狗どもに。どこかで挨拶をしに行きましょうか」

 

「その必要はありませんよ!」

 

「うわっ」

 

「速っ」

 

「そう。で、この死体が見えないの?」

 

「死体?それがなんですか。命を賭けてこその取材!その天狗よりも私の方が早く逃げれば良いだけのことです!」

 

「そう。じゃあ、逃げてみなさい」

 

「取材対象から?ご冗談を!」

 

掌に魔力を貯め、耳元を魔力でなぞってやる。すると、顔を青ざめた天狗は足早に逃げ去ろうとする。無論、逃げられない。私の存在は山でも噂になっている、とはこの死体から聞いたのだが。適当なお膳立てなのだろうか。だとすれば、とんだ鴉だ。まあ、山自体に敵意を持つ気はないが。

 

「それじゃあ、お茶をしましょうか?」

 

「え、ええ。そうね」

 

「逃がして良いのか?」

 

「良いのよ。まあ、逃げ切れるかは別だけど。」

 

「…魔理沙、ラメの魔法ってわかってる?」

 

「完全な保護魔法…とかなんとか。」

 

「…そう」

 

私のお家へご案内。元は天の人間が使っていたらしい浮遊した土地に建つ家である。二人とも少しばかり驚いていた。それはそれとして。ドアを開け、自分以外の時の流れ、その一瞬を永遠にする。そうすれば、擬似的に私だけが動ける世界になる。その世界の中で私は本体を隠す。

 

「こっちよ」

 

「ん、いつのまに」

 

「距離でも操ったの?」

 

「まさか。魔法の応用。私がその気になれば、一瞬で貴女たちの首を入れ替える事だってできるわ」

 

「そりゃ勘弁してほしいな」

 

「…まあ、ね」

 

「どちらも夢は叶えてないはず。なら、礼儀正しく、部屋の中をジロジロ見ずにこちらへ座ったら?」

 

「そうさせてもらうよ」

 

「私も死ぬのは御免よ」

 

…いっそ、二人に本体のことを打ち明け、その上で本体を動かす方向に進むのはどうだろうか。いや、そんなことをしたら本体から何をされるか。記憶は受け継いでも、人は違う。私も本体も、外見は同じ。だからこそ、本体を動かすなら早いほうがいいはず。作った友好関係にヒビが入るから。

 

「残念だけど、不味いお茶しかないわ」

 

「…匂いが悪いな」

 

「そうね…味も、何もしないわ」

 

「でしょうね。私も飲むのが嫌だし」

 

「客人に出す茶か?どっかあるだろ」

 

「どっか…どっか、ねえ」

 

「手伝いましょうか?」

 

茶葉の類は全て棚の中にあるし…本体でも忘れてる事、私が思い出せるわけもない。一体どこにやったか…客人用のコップとかが置いてあった場所かしら。それ以外ならわからない。まあどっちみち探してみるのだけれど。

 

「んーと…あ、あった」

 

「あるじゃん」

 

「木偶の坊さんも、客人にはおもてなしをするようね」

 

「木偶の坊?」

 

茶葉の種類はわからないが、この感じであれば魔法で保護してあったようだ。早速使おう。…そうか、私は客人じゃないからずっとあの茶を飲んでいたのか。

 

「はい、どうぞ」

 

「さっきのとは雲泥の差だな」

 

「匂いも味もある。この茶葉、外包は古いのに…」

 

「それこそラメの魔法だろ」

 

「私の魔法ね。掛けてても、時間が経てば忘れてしまうのよ」

 

「記憶を永遠に保存したら?」

 

「最悪、1.3頭身になるわ」

 

「頭がデカくなんのか?」

 

「脳の記憶容量を増やそうとして、ね」

 

「…ラメの魔法も不便なんだな」

 

「不便というより、適材適所。魔理沙だって、火力担当みたいな事よく言うじゃない」

 

「へへっ…待って、私、出会ってから言った?」




ラメ「言ってないけど?」
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