魔女だし、幻想だし。   作:覚め

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こんなところで言うのもなんですけどね
バスに乗ってる時の激しい揺れ。あれ大好きです


第7話

神社から帰ってきた次の日。眠い目を擦りながら、私に眠りが必要な理由を今一度考えてみる。まあ、私が不完全だからと言えるが。むしろ話としてはそれ以上がない。なので、さっさと人里に降りることとする。里は今日も賑やかだ。今日は雨が降っておらず、傘を出す機会がないのは悲しい。

 

「足音も、楽しいものね。後は…靴、靴買いに行きましょうか」

 

「お姉さん、ちょっと待って」

 

…なんだこいつ。急に入り込んできた。靴屋を探しに行く途中なのだが。まあでも、ここは人里。問題を起こせば博麗の巫女が退治しに来ると言われたので、仕方がない我慢して話を聞こう。もしかしたら道案内をしてくれるのかもしれない。まあ、私からすれば道案内も邪道。ただ茶のお誘いだけなら良いわ。

 

「何かしら」

 

「お姉さん、ちょっと俺とさ、甘味処とか寄らない?靴屋もさ、その近くにあるんだよ!」

 

「邪道ね。それじゃ」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 

鬱陶しい。何故こんな男に時間を割かねばならないのか。放り捨ててでも進みたいのだが、どれくらいで人が倒れるかもわからない。

 

「あ、小傘」

 

「やや、ここ前の。聖から聞いたよ。なんでも旧友の仲だったらしいね」

 

「随分と会ってなかったけどね」

 

「お姉さん、そいつ妖怪だよ?わかってるの?」

 

「その男の人は?」

 

「…そうね、そろそろ本当に邪魔になってきたわ」

 

だからと言って魔法は使えない。なら、脛を蹴る。痛い痛いと喚くが、それは自業自得だ。小傘のような愛嬌を持つ妖怪であればまだしも、愛嬌も何もない下品な男にはこれくらいが丁度良い。というか、この男は私が妖怪の類であることが分からないらしい。遊び相手にもならない。

 

「…あ、靴屋。」

 

「え!靴!?わちきも行くよ!」

 

「…それも良いけど。貴女、手伝いは?」

 

「あー…お婆ちゃん!行ってくるねー!」

 

はーい、と遠くからの返事。どうやらいつものことらしい。

 

「…んー、あんまり見当たらないわね」

 

「歩いてれば見つかると思うよ。」

 

「歩く為に靴が欲しいのよねぇ」

 

少し砂に塗れた足を見て、うーん、と唸る。そういえば、前来た時は足について何も言われなかった。慧音という人物も、足までは見なかったのか、それとも、靴がない人もいるのか。であれば靴は相当な高級品なのか。…今更ながら、神社に出した三万が気になってきた。

 

「お、あった」

 

「あら、本当」

 

「こんにちは〜」

 

「…思ってたよりも安いわ」

 

「靴だからね。どうする?わちきが探してあげよっか?」

 

「いいえ。私が選ぶから価値があるのよ」

 

「うーん、わちきが付喪神なら一生着いていく」

 

「褒め言葉は素直に受け取るわ。でも、出来れば長く歩いても疲れない靴がいいわねぇ」

 

「じゃあ、これとか」

 

「…随分と小さいのね」

 

「…そもそも、足の大きさってどれくらいなの?」

 

測ったことがなかった。店主に言い、測ってもらう。平均より少し大きめらしい。うーん、靴の材質で床を叩く音も変わる。だから、なるべく軽快な音が鳴りそうな靴が良い。となれば…足元が少し硬いもの。下駄はなし。

 

「懐かしいものがあるのね」

 

「それは…」

 

「西洋の靴ね。まあ、ヒールがなければ私好みなんだけど…あ、やっぱりあった」

 

背が高くなく、他の靴と変わらない。足の大きさも揃っている。これにしましょう。

 

「いいお買い物ができたわ。御礼として、甘味処で何か食べない?」

 

「んー…寺のみんなから虫歯になるって言われちゃうからなぁ」

 

「虫歯?…歯磨きしてればならないでしょ?」

 

「え?」

 

そうして。甘味処で団子を食べそのまま人里の外で別れる。新しく買った靴を履いてどこへ行こうか。花の大妖怪?出会って即戦闘、なんてのは勘弁。止め。じゃあどこに行きましょうか。何か、噂に聞いたけれど見たことのないもの。となれば…宗教勧誘。結局人里に戻るわけね。

 

「聞いた話だと…この前の大通りね」

 

少しの開拓跡がある大通りに行けば。やはりいた。変な格好をした、変な集団だ。でも人は多い。この大通りは、何か催しとかでの中心地なのだろうか。

 

「お、見ない顔だね、君」

 

「ええ。最近来たんですから」

 

「じゃあ、外来人というわけかな?」

 

「いや?」

 

「であれば妖怪の類か…」

 

「!先日ぶりで!」

 

「ん、久しぶり」

 

「…へ?」

 

「あぁ、私に魔法を教えてくださった方です。えーと…」

 

「ラメと言うの。よろしくね」

 

「あ、ああ。よろしく」

 

「…私の心に耳を傾けても何もないわよ?」

 

「!?」

 

「当たり?まあ、そんなものよね」

 

「は、はは…聖氏?」

 

「はい、なんですか?」

 

「…貴女が師と仰ぐ者は、なんというか…癖がありますね」

 

「まあ、当時の私も頼るのを少し躊躇いましたが」

 

二人とも何かこそこそとしている。まあ私もたいして、だが。皆に本当のことを話さない身が、他人に正直であることを望むのは虫が良すぎる。ただ、まあ。コソコソ話程度で私の聴力から逃れたと思わないでほしい。所々聞こえるし、耳に蓋みたいなのをつけた方は私に対する悪口のようなことを言っている。

 

「傘と靴を買ったのだけれど、他に着飾る物って何があるかしら?」

 

「そうなると…服ですね。私も、おすすめできるほど買ってはいませんし」

 

「うーむ…私も。大体同じ服だ」

 

「…それは、どうなの?」

 

「やっぱり…」

 

「待て、貴女達に言われたくないのだが?何着も持っているに決まっているだろう?」

 

「それはそうだけど。他所で話す事じゃないわ」




神子「…あ、名乗るの忘れてる」
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