「ここがチームライラックの部室か…。」
いつものようにミラ子も誘ったのだが「私絶対、緊張しちゃうから無理!」と断られてしまった…。
その時点で体験会に参加しないでおこうかと考えてたのだが、あの日の出来事が既に新入生達の間で広まっておりその影響でまだ所属もしてないのにライラックのメンバーについて聞かれたり挙句の果てには話した事もない子に睨まれるなんて事も…。
俺が一体何したって言うんだよ…。
そんな訳でチームに入らずとも体験会は参加した方がいいだろうという事で乗り気では無いがチームライラックのトレーナー室の前へと来ていた。
「すいません、お邪魔しまーす」
ライラックのトレーナー室の中に入ると俺以外に体験会参加者が20人ぐらい既にいた、やはりオグリキャップのいるチームとだけあって参加者が多かった。
その中には新入生の中でも色々なトレーナーに注目されているイルフィンシルバーという子もいた、
外見は赤い瞳に髪はツインターボのような青い色で身長は150センチぐらいある。
何処か大人びていて普段の言動からは知的な印象を受ける。
同じクラスなので何度か彼女の事は見ているのだが誰かと話している所は見た事がない。
いつも一人で本を読んでいるような子だ。
「君、体験会参加希望の子かい?」
「はい、バーンメアゴールドといいます」
「君がオグリの言っていた子か、ちょうど良かった今からトレーニングを始める所だったんだ」
そして着いて間もなくそのままグラウンドに移動となった、
グラウンドに到着し準備運動を始める。
ウマ娘だから人と比べて運動神経や体の丈夫さは優れているものの、
運動で体に掛かる負担が人間よりも高い為念入りに体操を行なう。
「準備体操終わったね、まずはコースを軽く2週走ってきてもらおうか」
「「はーい」」
トレーナーの指示でコースを走り始める、軽くとは言うがそれはウマ娘基準での話だ。
分かりやすく例えるなら街中で走っているママチャリ程度の速度を出している。
やはりというべきか先輩方の走り方が今まで小学校で見てきた他のウマ娘とは違う、ここは中央だから比べるのも可笑しい話ではあるのだが。
それにしてもウマ娘になってから走る事が苦では無くなった、前世では社会人になってから走る事さえなかったのに今では走らずにはいられない時もある。
「あの走り方・・・・。」
トレーナーは走りを見ながら一人で何かを呟いていた。
いくらウマ耳とはいえ何を言っているのかここからは聞きっとれなかった。
それにトレーナーに見てもらいながら走るというのは初めての経験だった、
もしかしたら後で走り方とか注意されるのだろうか。
そのあとは先輩達に着いてもらいながらのトレーニング、集中していたからかあっという間に日が落ち始めるような時間になっていた。
「それでは体験会はここまでになります、今日はウチのチームの体験会に来てくれてありがと」
「「ありがとうございました」」
体験会が終わる頃には体はヘトヘトになっていた、
こんなにヘトヘトになるほどに運動したのは久しぶりだった。
トレセンの生徒たちはこんなトレーニングを毎日しているのか、
少し自主練して体力を伸ばしておくべきだろうな。
帰ろうとすると引き留めるようにトレーナーさんから声を掛けられた。
「ちょっといいかい?」
「はい、なんでしょう」
「君のその走り方、誰かから指導を受けたのかい?」
「いえ、自分なりに走りやすいフォームを模索した物です」
実は幼少期くらいの時はまともに走る事も出来なかった。
ウマ娘というのはある程度の年齢になると教えなくても自然と走れるようになるものらしい、
しかし前世が人間である影響なのか俺の場合は自分で上手く走れるようにはならなかった。
今では走る事が出来るようになっているがそれは両親がサポートしてくれたからである。
しかし未だに走り方は他の子と比べて少し変わったフォームになっている、
もしかしてこの走り方まずかったりするのか?
「あの、この走り方だとまずかったりするんですかね?」
「いやただ君の走り方があまり見ない物だったから」
「そうなんですね」
なんだ別に走り方が悪いとかじゃなくて、珍しい走り方ってだけか。
注意されずに済んで内心ほっとした。
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寮へ帰る途中に喉が渇いたので自販機を覗いていた、
こういう学校とかの施設にある自販機って街中に設置されている自販機に比べて少しだけ安い値段に設定されているからお得感あってついつい買っちゃうんだよね〜。
炭酸も良いけどさっきのトレーニングで体が水分欲ってるしミネラルウォーターとかでも良いかな。
何を買うか悩んでいると突然左足に変な感触が走る、一瞬で血の気が引いた。
「ひゃっあ!」
あまりの気色の悪さに思わず変な悲鳴を出してしまった。
すぐさま後方を確認するとタバコを口に加えた男性、いや変態が俺の左足をまるで商品を検品するかのような仕草でベトベト触っていた。
触られていない右足を上げて蹴る構えを取り対象の顔を狙い思いっきり蹴る。
「ぐはぁっ・・・!」
本気の蹴りをくらった変態は後方へと吹き飛ばされる。
変態が吹き飛ばされている最中ふと変態の胸元に光る物を見つけた、
それはトレーナー皆がつけているトレーナーバッジだった。
「え、貴方トレーナーなんですか?!」
「いてて、そうだ俺はトレセンでトレーナーやっている沖野だ」
俺が蹴り飛ばしたのは変態、トレーナーのようだ・・・。
中央トレセンのトレーナーは変わっている人が多いと聞いたことがあるけれどこれに関しては変わっているとかじゃなくてもはやただの犯罪者だろ。
それにしてもホントに足触ってくるのな、アニメで見る分には他人事だから笑って見ていられたが、実際にされると不快極まりない。
「君の名前は?」
「あ、私はバーンメアゴールドといいます」
「メアか可愛らしくていい名前じゃないか。どうだいメア、良ければウチのチームに・・・」
「お断り致します。」
冷たい視線を浴びせながら沖野トレーナーのスカウトを即答でお断りした。
というかセクハラしておいてその相手をスカウトするなんてメンタルどうなってるんだよ。
そしてこの状況でスカウト受けてくれると思っているのかこのトレーナーは・・・。
「ははこりゃ手厳しいな」
「突然人の足を触るようなトレーナーがいるチームは流石に勘弁です、それでは失礼します」
淡々と返答し逃げるようにその場を後にした。
トレーニングと疲れが限界に達した為、この後ミラ子の部屋に凸して愚痴を聞いてもらうのであった。