そんな未来で世界が終わるとか誰かが死ぬとか……そんな展開、ねぇから!!(たぶん) 作:クレナイハルハ
真っ暗な曇り暗いアビドス砂漠に、俺はいた。
正確には、俺と隣で砂に膝をついて泣き崩れているシロコだけがいた。目の前にあるのは、小鳥遊ホシノの死体だけ。
仕方なかった、暴走した彼女を止めようとした。だが止めようとすればするほどに彼女は暴れセリカとアヤネは重態となった。
そして、俺は……俺のシロコは自分の手で目の前の命を終わらせた。
『何が、仮面ライダーだ……なにが全部守るだ……何もっ、何も守れない……』
拳を握る、襲ってくる強く苦しくて悲しくて……後悔しかない目の前の現状に、
何が、何が仮面ライダーガッチャードだ……この力に自惚れていた。
俺は、何も守れなかった。
この力は、きっとこの世界をより良く出来るもの。そう思っていたのに、結果は違った。
きっと俺はどこかで理想に菅っていた、ピンチになれば新しいアイテムやケミーが力を貸してくれて全てうまく行く、でもそんなことなかった。
ガッチャーイグナイターはきっともう少しで現れるか作れる筈、きっとタマゴンだって現れる。
だが、そんな現実はなかった。
その日から、俺は理想に縋るのをやめた。
常に現実を見て考え、犠牲を出さない方法を探し自分だけで解決しようと動いた。
この世界で周りより少しだけ特別な俺が、自分より周りを守らないと。
その結果だ、全てを失った。
『何故だ輝夜!こうすれば、全てが──』
『淡太郎いや、ガッチャード。二度と、トリニティへ来るな……もし来るならレジェンドの力を持って応戦するっ!今の貴様はゴージャスとも、仮面ライダーともほど遠いっ!』
『そんなに、仮面ライダーの理想と誇りが大事かよ……現実を見ろよ輝夜!仮面ライダーだからと理想を並べるより、現実的に解決策を考えるべきだ!理想だけじゃ、何も解決しないんだ!!』
唯一、友と呼んでくれていた転生者と別れ。
『輝夜!なんで、なんで俺を守った!?』
『僕の、理想は……龍騎のように沢山の人を守る、ライダー。だから、どんなにケンカ、してても、同じライダーを守るのは、間違いじゃ……な──』
『輝夜?輝夜、かぐや!!』
ケンカし、何度もぶつかり合った筈のソイツが俺を銃弾から庇って死んだ。
『淡太郎、アヤネが……』
『ッ』
学園の一人が自ら命を絶った。
『淡太郎!セリカが、セリカがいない!』
『ッ!?ケミー、セリカを探して──は、なんで』
『どうしたの淡太郎!早く、早く探さないとッ!』
学園の後輩が、行方不明となりケミーを総動員しようとしたが、ケミー達の声が聞こえ無くなった。
俺の声に、ケミー達は答えてくれなかった。
そうして気がつけば、アビドス学園は崩れ廃墟となっていて俺はアビドス学園の校舎裏にある墓地に立っていた。
先生は死に、シロコも行方不明となった。
俺にはもう、なにも残っていなかった。
襲撃に備え、常に装着するようになったベルトに装着されたそれを、ガッチャードイグナイターを見つめる。
『今さら、今さら!こんな力を持ってどうしろって言うんだッ!』
気がつけば、俺の体は赤く変わりそのマスクにある矢印のような瞳は青くなっていた。
俺の声はその場に響くだけで、誰も何も返事を返してくれない。
『ホシノ、シロコ、セリカ、アヤネ……先生、みんな……』
描いていた筈の未来は、真っ暗だ。
過去のみんながいた日常が、どれほど掛け替えのないものだったのかを感じて仕方がない。
誰もいない孤独、友も居場所も何もかもを失った喪失感、そして今更ながら手にした力へと絶望。
何度も死にたいと思った、だけど俺は守らなければならない、この場所を、だから死ねない。
もし、もし過去を変えられたなら俺はきっとこの世界をより良く出来る筈なのに……。
『そう、だ……タイムロード』
俺はガッチャードローホルダーから一枚のライドケミーカードを取り出して願う。
『頼む、タイムロード……俺はこの世界の未来をみんながいなくなる結末を変えたい……俺はもうどうなってもいい!だから、お願いだ……俺を過去に』
『タイム!』
「!?がはっ!?はぁ、はぁ……」
がばりと目が覚めた俺は、両手で頭を抱えながら深呼吸する。
今見た夢と思われる光景が脳裏から離れられない、みんなが死んで輝夜も死んだデイブレイクガッチャードとなった俺の夢。
「これは、本当に夢なのか……」
『ホッパー?ホーパホー?』
そんな事を考えていると、近くにいたホッパー1が俺を心配そうな声色で近付いてきた。
「だ、大丈夫だよホッパー1。少し怖い夢を見ただけなんだ」
そういいながらベッドから立ち上がり制服へ着替える、ケミー達の声が聞こえることに安堵してしまう。
もしあの夢が、これから起こる未来なら?そんな不安とそんな自分を待たずに進むこの世界の物語から焦らせてくる。
そんな焦りと不安を胸に学園へ向かった日、それが起こった…起こってしまった。
ホシノが学園におらず、アビドス対策委員会の部室にはホシノの退学届けにカイザーに身売りする事の手紙。
部室でみんながそれぞれの反応を見せるなか、俺は覚悟を決めてみんなに背を向けて教室の出口に向かう。
「"淡太郎、どこに行くの?"」
「先生、俺は……デイブレイクの所にいってきます」
「"なんで、デイブレイクの所にいくの?"」
「今の俺じゃ、何も守れないから……だから守るための力を貸して貰うんです」
ゴルドダッシュに乗って、俺はデイブレイクのいるであろう場所をケミー達と協力しながら探した、そしてたまたま便利屋68と出会い彼と思われる情報を獲た俺はアビドス砂漠に沈みかけている廃墟を見つけた。
『最近は、ある人のお陰でかなり儲かってる…』
『あのおじさん、せっかく私たちが調達してきた食料も水も1日で無くなったから新しく調達してきてってって人使い荒いよねー?』
便利屋68に金塊を渡して、それで獲たお金を使って食料と水を得たのが彼なら。
そう思いながら俺は廃墟の近くでゴルドダッシュから降りてゴルドダッシュをライドケミーカードに戻してガッチャードローホルダーにしまう。
何度も便利屋に渡されている金塊がもし、錬金術を使ったものなら何度も渡される事に説明がつく。
空いた壁から廃墟の中に入る、廊下らしき場徐を抜けてやがて1つの部屋にたどり着いた。部屋に向かう複数の足跡から、ヘルメット団では無いことを祈りがらそのドアを開けた。
そして俺の予想通り、デイブレイクはそこいた。
彼は俺が来るのを分かっていたと言わんばかりに、俺が扉を開けるのを待っていたように佇んでいた。
「デイブレイク、話があ──」
「ガッチャード、お前の選択肢は2つだけ……俺を頼るか、自身で未来を切り開くかだ。決断しろ」
俺の言葉を遮るように、デイブレイクの告げた2つの選択に、ここへ来るときから決めていた頼みを聞いて貰う為に地面へと膝を付き頭を下げる。
「頼む、どうか俺たちを……ホシノを助けるのを、手伝って欲しい!」
『……』
頭を下げているのも、彼がデイブレイクに変身しているのもあって彼がどんなことを考えているのか、俺になにを思っているのか分からない。
失望している、それともあきれている?どちらかも分からないが頭を下げたまま俺は口を開けた。
「今の俺じゃ、何も守れない……デイブレイクが力を貸してくれればきっとホシノを助けられる……みんなを、守れる筈なんだ!」
夢で見た光景が脳裏によぎる、普通の仮面ライダーならこうして頼ることなんてしないだろうし、自分で何もかもを解決するだろう。
でも俺は仮面ライダーガッチャードの力を貰っただけの人間で、一ノ瀬宝太郎とはかけ離れている存在だ。
そしてこの世界はブルーアーカイブというゲームの世界、でも今の俺にとって目の前の出来事は全部が現実で、ゲームの通りに全部が上手く行く訳じゃない。
「ガッチャード、お前がそうしている間にもアビドス対策委員会の生徒達はカイザーの基地へと向かっている」
「ッ!」
俺が遅くなったときは先にカイザー基地へと襲撃することを先生やみんなと話して決めていた、そうしなければホシノを救えないと思ったから了承した。
「何故、俺を頼る選択を選んだ」
「自分で切り開く選択をする事が出来るのは主人公だけ……一ノ瀬宝太郎じゃない俺には、出来ない。俺は、偽物だから……仮面ライダーガッチャードに憧れた、ただの一般人だったから」
気が付かば、目から涙が流れていた。
自分に力はある、でもその力でも救えない困難への悔しさと苦しさ、夢で見たことが現実になるかもしれないという恐怖。
「今の俺じゃ守れないって分かってるから...だから少しでも未来を変えるために、皆を守るためにデイブレイクの力を借してほしいんだ!」
もし断られたら、そんな恐怖に震える体を押さえなかデイブレイクの言葉を待つ。
沈黙がその場を支配する、数秒が数分に感じ数分が数時間にも感じる。
そんな中、デイブレイクは口を開いた。
「合格だ、ガッチャード」
「え……」
合格、その言葉の意味に思わず顔を上げる。目の前に膝を付き、俺に目線を会わせるのう膝を付いたデイブレイクがいた。
「お前は、自分に出来ないことを素直に認め他人を頼る選択をした。それは大人になるに連れて、出来なくなる選択で、大きな勇気が必要なものだ」
そういいながらデイブレイクは、俺の肩に手を置いた。
「でも、本当なら俺は……仮面ライダーだから」
「確かにお前は仮面ライダーガッチャードだ、でもその前にお前はまだ
その言葉に、涙が流れ続ける。
本当なら頼りたかったのは、助けて欲しいと願っていたのは目の前の未来の自分だった筈なのに。
そう思っていると俺の胸に何かが押し付けられた、見ればそれはガッチャードイグナイターだった。
あわてて見れば、デイブレイクの背中にマントは無くベルトにはガッチャーイグナイナーが外れた赤いガッチャードライバーがそこにはあった。
「これ……」
「さぁ、行くぞガッチャード。お前の守りたいものを、護るんだろ」
「あぁ!」
アビドスカイザー基地で銃撃戦を繰り広げるアビドス対策委員会と先生は、大量のカイザーの兵士によって足止めされていた。
「退きなさいよっ!うわっ!?」
「"セリカ大丈夫!?"」
「ギリギリで避けられたわ……それにしてもこのままじゃジリ貧よ!」
「ん、これじゃ基地まで進めない……ドローンもすぐ落とされる」
「淡太郎くんのあの姿なら一気に突破……はできなくても状況を変えられそうなんですけど」
遮蔽物に隠れる四人の元に、ある音が聞こえた。それは聞き覚えのある、彼らの仲間が使っている乗り物……バイクの走る音だった。
『皆さん!今、皆さんの方に──』
「やっと来たのね!?」
「ん、大遅刻」
「大遅刻!これは後で反省文を出して貰わないとですね!」
「"待ちかねよ、淡太郎!!"」
その言葉と共に先生やアビドス対策委員会の三人が隠れる遮蔽物を撃っていたカイザーの兵士やその周辺が爆発し、黄金のバイクに乗った二人の人影がアビドス対策委員会と先生の前に姿を現した。
「お待たせ、みんな!!」
そういいながらゴルドダッシュから下りた淡太郎の顔は、この前の不安を抱えた顔とは一変して何処か自信に溢れているように見えた。
そしてもう一人、ゴルドダッシュを運転していた人物がバイクから降りる。
「あの人……」
「ん、淡太郎の偽物」
「久しぶりだな、アビドス対策委員会と先生」
仮面ライダーガッチャードデイブレイク、その存在と並ぶ淡太郎、この構図に特撮好きの先生は興奮した様子で淡太郎を見つめる。
「"あの、協力してくれるって事で良いんですか?"」
「構わない、これが最後だがな」
「ん、味方なら歓迎」
「ようこそです!えっと……」
「デイブレイクでいい、それよりガッチャード。覚悟はいいか」
いざ名前を呼ぼうとしたが知らないために首をかしげる十六夜ノノミにそう返したデイブレイクは、淡太郎の方へと向くと淡太郎は頷いて腰にガッチャードライバーを当ててベルトを装着した。
「"こ、この展開ってことはまさか!?"」
「俺は守りたい……ホシノもシロコも、アヤネもセリカも学園も全部!守って見せる!」
淡太郎はそういいながら取り出したガッチャーイグナイターを見つめる。そんな彼の決意の言葉に、シロコは満足した様子で頷きセリカは戸惑い、ノノミは「かっこいいですよ!淡太郎くん」とヤジを飛ばす。
「この力でより良い未来へ変えるドデカイ夢をガッチャする為に突き進む、それが俺だ……仮面ライダーガッチャードだ!!」
《 GOTCHA IGNITER!!》
そういいながら正面に付き出したガッチャーイグナイターの中央下部にあるレバー、イグナイトチャッカーを下に下ろす。
《 TURBO ON! 》
「"ベルトに装着させる新装備ってことは!?"」
ガッチャーイグナイターが始動したのを確認した淡太郎はベルトへとセットする。ベルトから待機音声が流れだす。いつもの音楽と違うことにアビドス対策委員会は驚きつつも淡太郎を見つめ、先生は目を輝かせ少年のような笑顔で手に持っていたタブレット端末でその様子を録画し始める。
《HOPPER1!IGNITE!》
《STEAMLINER!IGNITE!》
ガッチャードローホルダーから取り出した二枚のライドケミーカードをベルトのライドケミーカードスロットへと装填し、両手で円を描きながら、重ねた手を反転させた、矢印の先端を形作り正面に突き出す。
「変身!」
『ホッパーッ!!』『スッチームッ!!』
ガッチャードライバーの両端にあるレバー、アルトヴォークを展開させる。
《GETCHA-NKO!FIRE!!》
《 STEAM HOPPER!! Achiiiiiiii!》
炎を纏った淡太郎はやがて、その炎が消え新たな仮面ライダーガッチャードの姿を表す。
「至ったか、その姿に……」
頭のゴーグルはまるで炎のように変化し、炎のようなグラデーションになった複眼、胸の超高温変換炉ハイパッションアタノールの炎はガッチャードデイブレイクと同じ蒼白くなり背中にはガッチャーイグナイターの造形に似たX型のブースター、ファイヤードッカーンが付いている。
仮面ライダーファイアーガッチャード、スチームホッパーの姿へ淡太郎は変身した。
「"きょ、強化形態きたー!?スッゴクカッコイイイー!!!"」
「姿が、変わった?」
「ん、あれはまだ変身を残してる気がする」
「声の通り熱々な感じですねー!」
『ど、どうなってるんですか!?』
それぞれの反応を見せるなか、ファイアーガッチャードは自信の姿を確認すると全員より一歩前に出るとデイブレイクへと振り返る。
「ファイアーガッチャードの力、使いこなしてみせるっ!みんな!いまからアイツらを一気に倒すから基地まで走って!」
そう言うとファイアーガッチャードは背中のファイアードッカーンから強化錬成炎を直接噴射させ、その場から消えた。
そしてその直後、少し先にいた何人かのカイザー兵士が宙を舞った。
「一瞬で移動したの!?この距離を!?」
「と、とんでもないスピードです……」
「スピードだけじゃない、パワーも
「アイツが敵を引き付けているうち、基地へ!」
デイブレイクの言葉にハッとしたシロコ達は即座に先生と共にカイザーの基地へと侵入した。
ファイアーガッチャードの加速し勢い乗せた右ストレートでカイザーの兵士を殴り飛ばす。
「はっ!はぁっ、次っ!」
宙を舞う兵士を確認して、此方へ向けられた銃を回避するため即座にファイアードッカーンから強化錬成炎を噴射させその場から移動する。
体にかかる重力と加速で少し息をするのが苦しくなる、だけどみんながホシノを助け出してくれるのを信じて今はアイツらを引き付けるしかない。
「ガッチャード!パワーをあげすぎるな!オーバーヒートして変身解除になるぞ!」
その声と同時にファイアーガッチャードへとアサルトライフルを向けたカイザー兵士の銃がデイブレイクの持つガッチャートルネードで切り裂かれ、困惑したカイザー兵士がデイブレイクに蹴り飛ばされる。
「わ、分かった!!」
デイブレイクがガッチャージカワンで牽制しつつガッチャートルネードで飛んでくる銃弾を切り裂き、ファイアーガッチャードを援護するように立ち回る。そしてデイブレイクが作った敵の隙をみてファイアーガッチャードが殴り飛ばす。
その時だった、デイブレイクとファイアーガッチャードに狙いを着けたカイザー兵士に何処からか銃弾が飛来する。
その場にいた全員が銃弾が飛んできた方向を見れば、そこには様々なヘルメットを着けた少女達がおりカイザーへと銃を向けていた。
「へ、ヘルメット団!?な、なんで……」
「アイツら……」
ゲームの原作には起こらなかった現象なファイアーガッチャードが困惑するが、そんな彼を他所にヘルメット団の少女達は銃弾をカイザーへと向けて撃ち続ける。
「アタシらは受けた恩は必ず返すッ!水と食料、さらには銃弾を買うためにくれた金塊の分、しっかり恩返しさせろよなおっさん!!いくぞお前達!!!」
「恩返しのため、わたし……撃ちます!!」
「これはご飯の分!お水の分!そして、弾薬の分だーっ!!」
「カイザーのおじさん達おっそーい!グレネード5連射いっちゃってぇー!」
そう言ってカイザーを攻撃するヘルメット団とデイブレイクの方を交互に見つめるファイアーガッチャード。
「おっさんってもしかしてデイブレイクの」
「今なら相手は隙だらけだガッチャード」
「え、と……よしっ!」
そういいながらファイアーガッチャードが動こうとした時だった、大きな地響きと共に奥の方の倉庫からパワーローダーが二体現れる。
「まだこんな戦力が残ってたなんて……」
「片方は引き受けるからもう片方を押さえろ!」
「わ、分かった!」
デイブレイクがそういいながら手に持ったガッチャートルネードでパワーローダーの放つミサイルを切り裂きながら進んでいく。
なんで避けずに?避けた方が早く敵の懐に入り込めるのに、そう考えていてデイブレイクの背後を見て彼が何故そのように動いたのか淡太郎は理解する。
そうか、デイブレイクが避けたらミサイルが飛んでいくのはカイザーの兵士を押さえているヘルメット団のみんなに飛んでいく。彼は彼女たちを守るために、そしてミサイルが落ちて周りに被害が出ないように常に周囲を見て立ち回っている。
改めて自分の戦いかたの反省点と彼との経験の差を理解させられた。
なら、俺もみんなに被害がいかないようにパワーローダーを押さえようとファイアーガッチャードはファイアードッカーンから強化錬成炎を噴射してデイブレイクが片腕を切り飛ばした方のパワーローダーへと片足を伸ばす。
ファイアードッカーンの加速にって放たれた俺のライダーキックは、パワーローダーを蹴り飛ばすことはなくそのまま突き抜けた。
「やるな、流石は──」
その瞬間、デイブレイクが此方を一別して呟いた言葉が途中で銃撃音によって途切れる。
残ったパワーローダーは、片方がやられたことで混乱したのか武装を全て乱射し始めたのだ。
「ぐっ!?」
「がはっ!?」
乱射されたガトリングガンがファイアーガッチャードとデイブレイクの装甲に火花を散らす。デイブレイクとファイアーガッチャードが吹き飛ばされる。通常のガトリングガンならまだしも、パワーローダー様の弾丸ならば仮面ライダーとはいえ吹き飛ばすには十分の威力であったのだ。
「アイツ、あんなんじゃ味方にも攻撃が!」
「俺が奴の隙を作る、必殺技の準備をしておけ」
「え、ちょっ!?」
膝をついて立ち上がりながらデイブレイクは俺にはそう告げると手に持ったガッチャートルネードで弾丸を弾きながらパワーローダーへと接近していく。
それを見ながら俺はデイブレイクのいう通り、必殺技の準備をする。
ベルトのアルトヴォークを押し込む、するとベルトから待機音声が流れると同時に背中のファイアードッカーンから背後にガッチャーアンカーが射出され体の位置を固定する。
「ハァッ!グッッゥ」
ファイアードッカーンから放出される炎が段々と強くなるが、淡太郎は歯を食いしばりそれを耐える。
その間、デイブレイクがパワーローダーの注意を引く。その時だった、デイブレイクとパワーローダーの戦う背後にあるカイザー基地から救出されたホシノを連れた先生達が出てきた。
全員の無事な姿に、安堵したときだった。
パワーローダーのガトリングの銃口が、アビドスメンバー達へと向かう。次の瞬間、頭が真っ白なる。
今の自分はこの場所に体を固定している状態、こんな状態で盾を持たないみんなが攻撃を防ぐ手段なんて……。
「させ、ねぇよ!!」
その時だった、デイブレイクが回転し始めたガトリングガンにガッチャートルネードを押し付けて切断する。
「決めろッ!!ガッチャード!!」
「ッ!!」
それと同時にファイアードッカーンの炎が細く蒼白くなり「ボーッ!」という音から「キーンッ!」という音へと変わった瞬間にベルトのレバー、アルトヴォークを開く。
《 STEAM HOPPER 》
それの同時に同時に鎖が弾け飛び、固定された体が解放されパワーローダーへと射出される。そして飛んでいくなかで片足を前へ付き出した。
《 BURNING FEVER!!!!》
「デリャァァアアアア!!!!」
ファイアーガッチャードの蹴りつけられ砂を大きく巻き開けながらパワーローダーを蹴りつける状態のまま進んでいく。やがて地面を大きく抉りながら止まったパワーローダーはファイアーガッチャードの高速で繰り出された蹴りにより摩擦熱で黒こげとなっていた。
昨日を停止したパワーローダーの上で肩で息をしながらもファイアーガッチャードはゆっくりとアビドス対策委員会達へ、仲間達へと歩み寄る。
「ホシノ、おかえり」
「うへへ、ただいま淡太郎。知らないうちに、こんな風になってたなんて、おじさんびっくりだよ……」
「男子3日会わざれば刮目してみよってね、ずっとホシノだけに無理させてきたかもしれないけど。これからは俺にも、俺たちにも守らせて欲しいんだ……学園やみんなも、ホシノのことも」
そう言いながら変身を解除して、淡太郎は笑顔で皆を迎えた。
目の前で無事、小鳥遊ホシノの救出を見届けた俺は戦闘を無事怪我することさせることなく終わらせられることが出来て安堵する。
それにしても、神様の言っていたいい感じに消えるってまだか?このままだと2章が完全に終るぞこれ?
そんなことを考えながら遠目に彼らのことを見つめていれば、近くから足音が聞こえてそちらを見ると先程加勢してくれたヘルメット団の少女達がいた。
「おっさん!あの時の恩はまだまだ返しきれてねぇからな!これからもどんどん恩返しさせてくれよ!」
「そうですよおじさん!」
「もっともーっと恩返しします!」
「恩返しって……今回で十分───」
次の瞬間、体から力が抜ける感覚がして思わず地面に片膝を着いて座り込む。
「おっさん!?おっさん!どうした!?」
なんだこれ、まるで力が入らない。どうなっているんだと思った時だ、俺の手の指先から金色の粒子が出ているのに気付いた。
いや手だけじゃなく、からだ全体から光の粒子が出ている。まるで仮面ライダービルドの最終回近くで消滅した仮面ライダーグリス達にのように……なるほど、これが神様の言っていた良い感じでこの世界から消えるってことね。
そんなことを考えていると、此方の異常に気付いたのかガッチャードに変身していた転生者や先生達が此方へと走ってきていた。
特にガッチャードの転生者は、慌てたようすで駆けてくる。
「デイブレイク!なにが……」
そう言いながら肩を貸す形で俺を立ち上がらせようとする淡太郎に、俺はなんとか体に力をいれて自力で立ち上がりガッチャードローホルダーから一枚のカードを取り出して渡す。
「こいつを、受けとれ…ガッチャード。お前達の、未来に必要だ」
「これはザ・サンのライドケミーカード……じゃなくて、なんでこんなことになってるんだよ!デイブレイク……なぁ答えてくれよ、俺!!」
ガッチャード転生者の言葉、最後の言葉にその場にいた全員が驚愕した顔をするが誰も大声をあげないのは恐らくは俺の最期だと感じているからだろうか?
「はは、未来を変えた代償って奴だ。俺の存在自身がもう終りに近いって事だよ」
「なんで!俺の知る過去改変だと、過去を変えてもそこから分岐した世界になるだけで未来のおれは元の世界に帰れるんじゃないのかよ!!」
「それはこの世界では、通用しないって事だ」
だんだんと体が粒子となり分解されていく、さてそろそろ最後の台詞になりそうだ。
デイブレイクホッパー1にスチームライナー、ゴルドダッシュ短い付き合いだったが楽しかったぜ。
「そろそろ時間のようだな……仲間を、大切にな。お前なら掴める筈だ、仲間が誰一人欠けず世界も、人もケミーも破滅しない。そんなより良い未来………最高のガッチャ、を……」
その言葉と同時に俺の体は粒子となり分解されていく、この世界の未来がディストピアになる?
原作キャラが死んでしまうような展開、あるわけねぇよな。
そんな思い共にブルーアーカイブという世界から、俺は消滅した。
ブルーアーカイブの世界での行動もあり、俺はあの五十代くらいの男性の神様から再転生させて貰った、新たな世界で目を覚ました。
「神様のいってた世界が、ここか…王道ファンタジーな感じだな。年甲斐もなくワクワクするぜ」
『
『
『|ダッシュ、ダシュダッシュ!《この世界では、どんな人々が暮らしているのだろうな》』
「は、はぁぁぁぁあ!?なんでお前らがここに!?」
『|ホパホーパホッパー、ホパホパホーパホパパパ《あの神に聞かれたんです、このまま天界にずっと封印されるか》』
『
『|ダシュダッダッシュダッシュ、ダシュダーダッシュ《そこで私達は君に着いていくことを選んだのだ》』
「は、はは……なんでそうなる!?そもそもお前らが着いてきても俺にはもう変身する力なんて……」
そう思っていると突如として来ていた上着の内ポケットに違和感を感じてポケットに手を入れるとそこには一枚の手紙が入っていた、即座に手紙の蓋を開けて中の手紙を見る。
──────────────────────
やぁ、ホータロー殿
今回の件、誠に感謝する。お陰で彼の未来は明るい方向へ進んでいくだろう。
少し
さて、今回の手紙の件だが私の後輩が作り出してしまったブレイクケミーだが我々で検討し彼らの意思を尊重した結果、君の元へ行きたいというのでホータロー殿にお任せすることとなった。
あなたなら彼らを任せられる、いやあなたにしか出来ない。
正直な話、彼らの存在はかなり異質であり我らでも扱いに困る状況なのでね。
そして君がこの世界でも生きていけるよう彼らを繋ぐためのベルト用意させて貰った。
どうか、君の今後に良き出会いと未来があることを祈っている。
──────────────────────
「ベルト?そんなの何処にも」
その時だった、手紙が光輝くと俺の手には手紙ではなくデイブレイクバージョンのガッチャードライバーにガッチャーイグナイターが装着されたものが握られていた。
「は、はは……結局は世界が変わっただけで俺たちは何も変わらない、か。」
そんなことを呟きながらベルトを上着の内ポケットにしまい、腕に装着されたガッチャードローホルダーに3体の分のデイブレイクケミーカードをしまう。
「この世界がどんな世界かしらねぇけど、まずは町に向かうとするか。今度こそこの世界で、前世の分も生きてやる。行くぞHOPPER1、STEAMLINER、GOLDDASH!」
『ホッパー!』
『スッチーム!』
『ダッシュ!』
デイブレイクという仮面ライダーへの変身するためのガッチャードライバー、そして少しおかしなデイブレイクケミーを連れた俺たちのCHEMY STORYが、こうして始まった。
アビドス学園、対策委員会の部室にて淡太郎はデイブレイクから与えられた一枚のライドケミーカードを持っていた。
「ザ・サンのカード……何か意味があるのかな」
「おはよー、あれ淡太郎?どうしたのさ、それって確か」
「おはようホシノ。うん、未来の俺が最後に託してくれたケミーのカードなんだけどこれを渡した意味があるのかなって」
そんなことを考えていた時だった。
『サーン!』
「ザ・サン……ケミーライザーを使えってことなのか?」
突如としてザ・サンの声が淡太郎の脳内に伝わり、その言葉を受け取った淡太郎はケミーライザーを取り出してザ・サンのカードをセットする。
「ホシノ、念のため少し下がってて」
そう言いながら淡太郎はケミーライザーの操作盤、アルケミーコンソールをタッチしたその時だった。
《CHEMY RISE!THE SUN!!》
次の瞬間、ケミーライザーに装填されたTHE SUNのカードが光輝き部室全てを照らし出す。
「うわっ!?」
「っ!?」
思わずホシノと俺は目を瞑った、その時だった。
俺とホシノの少しまえの方に何かが落ちてくるドサっ!という音と共にしらない声が聞こえてきた。
「ひぃん……せめて落とすならクッションのあるところにしてよぉ……」
特徴的な最初のひぃんという言葉に淡太郎は即座に目を開くとそこにはケミー、THE SUNの姿はなく一人の少女が地面に座りぶつけたのかお尻をさすっていた。
「あれ?私確か砂漠で……あれ?あれえ?」
高身長で大きな胸そして膝ほどまである緑がかった薄い水色の髪のその人物の姿に淡太郎は驚きからか固まり、ホシノはその綺麗な二つの瞳から涙を流す。
「ユメ、先輩……?」
「ホシノちゃん……なの?」
アビドス対策委員会編二章
~DAY BREAK 理想とユメの先でもう一度~
二ノ瀬淡太郎、そして別世界でのホータロー(仮)の物語はこれから始まっていくのです。
本作品を最後までご愛読下さり誠にありがとうございました。
この作品はガッチャードの転生者がいる世界に、デイブレイクの力を持った転生者が現れたら?そして友人から教えられたホッパー1の声優がTo LOVEる -とらぶる-の金色の闇、スチームライナーがガンダムのシロー・アマダと同じという事から、ケミーの声繋がりでケミーの中身が別人だったらそれを貰った転生者はどんな反応をするのか?と言う考えから生まれた作品です。
感想、お気に入り登録、高評価
お待ちしています。
ちなみに小鳥遊ホシノを越える過去や闇を持つアニメ等の主人公は誰がいる?という会話で最終的に見つかったのが一人いました。
ウルトラマンレオ、オオトリ げん。
以上です、最後まで読んで下さり本当にありがとうございました。