ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
ナッパにはウィッグが必要なんです。
私には必要ありません。
私の髪はあります。
あるんですよ。
あります。
「ち……地球に、こんな化け物がいるなんて……」
Dr.ウィローを前に倒れていく戦士たち─皆、意識はないようだが息はしている。
そんな中、クリリンは満身創痍だが、辛うじて意識を保っていた。
その視線の先には、Dr.ウィローと死闘を繰り広げる……亀仙人が持ってきた仙豆により復帰した悟空を捉えていた。
「は、はは……次元が違いすぎるだろ……」
なんとか捉えているものの、悟空を援護することができるか? と聞かれればこう答える。
─無理だ。
その自分で下したその結論に、クリリンは歯ぎしりする。
悟空の肩を担げる存在になるだって?
今じゃただの足手まといじゃないか……!
自分はただ空回りしているだけで、役に立つと舞い上がっているお邪魔虫なだけじゃないか?
そんな考えに思考を曇らせている最中、
悟空の兄であるラディッツが頭に浮かんだ。
前にラディッツに話した事がある。
悟空の肩を担げる存在になりたいと─
『クリリンの方がよくわかっていると思うから、俺がいうのもなんだが……あいつは……自由奔放が似合いすぎる』
『あいつが倒れることは……恐らくこれから先、たくさんあるだろう』
『そんなとき、肩を貸してやってくれないか、クリリン……あいつは人に頼ることが苦手だからな』
─できることから、か。
クリリンは今できることを考え、思いついたそれを大声で悟空に呼びかける。
「悟空! 俺はヤムチャさんたちを安全な場所へ運ぶ!」
─だからよ!
「気にせずに思いっきり、めいっぱい暴れてくれ!!」
クリリンは意識をなくしている仲間たちの回収に向かう自分の背中に、悟空の声を確かに感じた。
─サンキュー! クリリン!!
◇◇◇◇◇
「ラディッツ……なんのつもりだ貴様!」
「なんのつもり……とは? きちんと言わないと伝わらないぜ、ベジータ王子……」
─ピキッ。
……くそったれが、とベジータは心の中で毒付く。
─なぜ、こいつは従わない!
「……俺はナッパを処分しろ、といったはずだラディッツ」
「そうなのか?」
「いい加減察しろ貴様ぁ! 『殺せ』と言ったんだ!」
「─ああ、ピッコロと悟飯、ナッパといっしょに安全なところに避難してくれないか?」
─ピキキッ。
……なぜ俺を無視する
「何故……従わん!」
「……仲間に攻撃を放った男に従えと?」
「裏切ったのは貴様が先だろうが!」
「そうだった場合、ますます従うと思うか?」
─ギリィッ!
……なぜ俺を裏切った!
「……俺には敵わんのはわかるはずだろう!!」
「敵わないなら従うと思うのか?」
「従わん奴らはどうなったか……貴様が一番知っているはずだろう?」
「俺は馬鹿だからな……どうなったんだ?」
─プツン。
ああ、そうか。もういい。
こいつはこの地球で甘くなりすぎた。
そして強くなったことで力量を見誤っている。
─役に立たんゴミだ。
「ならば……冥土の土産に教えてやろう……! こうなるんだ!!」
一気に距離を詰め、ラディッツの心臓めがけて殴りつけた
─つもりだった
「なぁ、ベジータ」
─貴様、なぜ。
「お前……まだ自分がドラゴンボールを手にすることができると思っているのか?」
─なぜ……なぜ! 俺の後ろにいるんだ!!
「来いよエリート……格上を超えるために容赦はせんぞ!」
「ほざけ……! 俺はサイヤ人の王子─ベジータだ! 超えられない圧倒的な壁で押しつぶしてやる!!」
二人の拳と拳がぶつかり合い、衝撃が大地を……海を……空気を震わせる。
─地球の命運をかけた戦いがここでも行われていた。
◇◇◇◇◇
「バ……バケモノ同士め……」
ピッコロは戦いを眺め、己の目がやっと追いつくレベルの攻防に震えを覚えた。
それは、横で打撲痕が多数ある男も同じ気持ちだった。
「あ……あれがラディッツかよ……」
「おヒゲのおじさん! お水汲んできたよ!!」
「あ? おぉ、助かるぜ! ……っかぁー! うめぇ!!」
いつの間にか悟飯が水を持ってきていた。
それを受け取り、ズズゥーと水をうまそうに啜るナッパ。
「ふぅ……生き返るぜ……しかしお前強かったな。俺より強い小僧がいるなんて思わなかったぜ」
「当然だ、俺が育てたからな(ズァッ」
ナッパはピッコロを見て思った。
(なんだこいつ)
ふと悟飯の方に視線を向けたナッパは、自分の腕に残る打撲痕を申し訳無さそうに見ていることに気がついた。
「気にすんなよ小僧、喧嘩したら怪我を負うことは当たり前じゃねーか」
「ご、ごめんなさい……じ、実は今回初めて戦ったん、です……」
「いやだから気にすん、……はぁ!? 今回が初陣かよ!! すげーな!!!」
「当然だ、俺が育てたからな(ズァッ」
ナッパはピッコロを見て思った。
(なんだこのハゲ)
また視線を悟飯に戻す。
そのとき、ふと気になっていたことを思い出し聞いてみることにした。
「さっきラディッツのことを伯父さんとかいってたが……もしかして、カカロットの息子ってお前か?」
「カカロット? ……あっ、お父さんのことか! うん!! ぼ、ボク、孫悟飯っていいます!!」
うーん……と考える仕草をしたあと、あ! と手のひらをポンと叩き、そして丁寧に挨拶をする悟飯。
サイヤ人の血が混じってるとは思わぬその純粋な仕草にナッパはつい柄にもなく微笑んでしまう。
「はぁーん、なるほどな……俺はナッパ。お前の伯父さんとは……、─古くからのダチだ、よろしくな悟飯!」
「はい! よろしくお願いします!!」
「ところでそこの緑の名前はなんだ?」
「うるさいぞハゲ。黙ってろハゲ」
「てめぇも緑なハゲじゃねぇか!?」
「ふん……頭に刺激を与えたら生えるかもしれんぞハゲ」
「てめぇの頭こそ穴を開けたらそこから触覚が生えるか試してみるかハゲ!」
ニブニブニブニブニブ……
とびっきりハゲしい超不毛な戦いが開始した─
「ピッコロさん、ナッパのおじさん……僕……怒るよ?」
「チッ……」
「へっ……」
終了した。