ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
「流石……流石だソンゴクウ! やはりキサマの身体が私は欲しい!! お前が欲しい!!!」
あちこちに損傷があるにも関わらず、恐ろしいまでの執念でDr.ウィローは悟空と対峙する。
その執念に薄っすらと寒気すら覚える悟空は、考えていた。
(やべぇ……今のオラじゃ、どの技も決め手に欠ける……か、賭けるしかねぇ……『元気玉』に!)
しかし……溜められるのか? と自問自答する。
(む、無理だ……ちくしょう……オラが、オラが弱─)
「どどん波ーっ!!」
悟空の背後から細く鋭い気が横を通り抜け、Dr.ウィローに着弾する。
「これは……ソンゴクウ以外の雑魚か……!」
「天津飯!?」
驚く悟空。
「ボクもいる! どどん波ー!」
「俺もいるぜ! 繰気弾!!」
「チャオズ! ヤムチャ!!」
次々とDr.ウィローに放たれる技。
当のDr.ウィローには効果があるように見えず、
鋼鉄の身体からは邪悪な微笑みが浮かんでいるようにも感じた。
「み、みんな下がってくれーっ! オラがなんとかする! なんとかするから!! オラが……!!」
悟空が悲痛に叫ぶ。誰も死なせたくない。自分以外だと死んでしまう。だから早く逃げてくれ、と。
「─その『なんとかする』には時間がかかるじゃろ? 悟空」
肩をポンと叩かれ、その声に悟空は驚く。
……自分の師はそのまま話しかけた。
「こういうときこそ、頼らんか悟空よ。ワシらは確かに悟空より弱いが、時間稼ぎくらいはできるぞい!」
(亀仙人のじっちゃん!)
「ただ、これだけは頼むぞ悟空……。あの気に入らんやつに─」
─どーんと一発、かましたれ!
そう言い残し、戦いに混ざりに行く武天老師。
その小さくも大きい背中を見て─
(オラ、亀仙人のじっちゃんには……まだまだかないっこねぇなぁ……)
強くはなったが人間としてはまだまだ負けていることに苦笑し、悟空は両手を天に掲げる。
「地球よ! オラに元気をわけてくれ!」
◇◇◇◇◇
─ゴシャア
俺─ラディッツは横っ腹を蹴り上げられる。
こみあげる痛みをなんとかこらえ、お返しとばかりに相手の追撃をかわして背後に回り、背中を両足で蹴り飛ばし距離を取る。
「げほっごほっ……やるな、ベジータ」
蹴り飛ばされた先で血が混じった咳をしながら、俺はベジータを睨みつける。
前世では多分こんなこと経験しなかったが、不思議と恐怖を感じず戦えていた。
サイヤ人の血か? これが……。たしかに口の中にサイヤ人の血を感じるが……。
「貴様とは『格』が違うからな……だが」
ペッと口から血を吐き出しながらイライラした様子でベジータが続ける。
「このベジータ様に気高き血を流させやがって……代償は重いぞ!」
なるほどな、たしかに強い。
「……そんなことか」
─だが。
「そんなこと、だと……!!」
「その程度で取り乱して、自分を見つめ直したり周りを見ないお前は」
─俺には勝てんよ。
そう言い切ったらベジータのこめかみに青筋が浮かんだ。
あんなにきれいに浮かぶんだ、きれー。
サインもらいたいね。サインどころか死因になりそうだけど。
「そんなに死期を早めたいのか! ……いいだろう……死ね!!」
ベジータはそういうと頭上高くに飛びあがり、両手を腰にもっていって構えを……いや待て……アレは!?
─なるほど、ここでそれを出すか。
それならばこっちもこれで返さねば……不作法というもの……。
「……技を借りるぞ、カカロット!」
◇◇◇◇◇
「ギャリック砲!!!!」
ベジータの構えた両手が前に突きだされ、そこから紫のエネルギー波がラディッツに向かってほとばしる。
「このまま地球もろとも宇宙のチリになりやがれー!!」
─勝った。誇り高き俺には勝利以外はないのだ!!
「ドラゴンボールはどうせナメック星に行けばある! こんな星のを無理に手に入れなくても!!!」
ふと、ギャリック砲の矛先にいるラディッツが……構えているのを見た。
「かめはめ破──ーッ!!!」
─バチッ
─バチチッ
ギャリック砲とかめはめ破がぶつかり合い、拮抗する。
「お、俺のギャリック砲とそっくりだとぉ!」
「ぐっ……流石ベジータだ!」
─ぐぬぬぬぬ! 俺の全力を込めているのになぜ貫けない!! ……だが、確実に押している!!!
「ベジータ! もう一つお前が勝てない理由を教えてやろう! よく見てやがれ!!」
ラディッツが声を上げる。そして─
「界王拳……2……いや、ハデに3倍だ!!!」
─ギャオッ
(ば、バカな、俺のギャリック砲が!?)
ラディッツが赤いオーラに包まれ、ベジータのギャリック砲がかめはめ波に飲まれていくように押され始め、そして─。
(誇り高いサイヤ人の! こ、この俺が死ぬ!? ここで!? こ、こんなサイヤ人の面汚しごときに!? い、いやだ! 嘘だ! いやだ!! くそったれ!!!)
─ドォッ
「う……うわぁああ──────!!!!」
かめはめ破の波動に包まれ、ベジータは空高く登って行った。
◇◇◇◇◇
「ハァッ……ハァッ……界王拳の負担はやはりすごいな……仙豆が欲しい……」
ラディッツは、手元にないチートアイテム『仙豆』を思う。
ここに来る前のカリン様との会話を思い出す。
『二粒あったはず……なんじゃが……一粒しか見つからんのじゃ』
その一粒を武天老師様に預け、ここへ来たが……。
(二粒あったはずの─もう一つの仙豆はいったいどこにあるんだ?)
見つからない一粒の『仙豆』に、少し胸騒ぎがするラディッツだったが、
乱れた呼吸を整えることに専念するため、頭からそれを追い出した。