ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~   作:ナッパにウィッグを。

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優れた自慢の弟に兄如きが勝てると思っているのか? ★19

 ヤジロベーは激怒した……かどうかはわからない。

 が、必ずかのサイヤ人の王子にトドメを刺さねばならぬと決意した。

 

 なぜヤジロベーが動いたかというと、悲しいことに単純だ。

 自分だけ活躍してなくね? いいのけ? ─と考えていた。

 

 そんなことを考えてたら目の前に満身創痍のベジータがあらわれた。

 尻尾を切る? いやいや……なまっちょろい。

 

 そう、トドメを刺せばいい。

 仮に攻撃を食らったとしても、自分にはこっそりもってきたこれがある。

 残っていた2粒のうち、1粒を持ってきていたヤジロベー。

 これがあれば勝てる! そう思ったのだ。

 

「トドメがやー!」

 ベジータに突っ込むヤジロベー。

 

「ハァ……ハァ……失せろ!」

「ぎょえぇ────!!!」

 

 刀を振り上げたときに殴り飛ばされるヤジロベー。

 戦闘力はかなり落ちたとはいえ、その拳はヤジロベーを岩へ叩きつけるには充分だった。

 

 そして─その時、奇跡はおきた。

 ああ、奇跡は本来、誰にも平等に訪れるものだ。

 それは例え地球に攻めてきた奴であっても。

 平等に訪れる。

 

 刀の抜き身が、ヤジロベーが首からさげていたズタ袋の紐を切る。

 その勢いで中身が飛び出る。

 

 ──トドメを刺そうとした相手の口へと。

 思わず飲み込んでしまい、驚きの表情を浮かべるベジータ。

 

「!? は、ハハ! ハハハハハ!!」

 

(やはり俺はサイヤ人の血に見放されていなかった!)

 

「感謝するぞ!!!」

 

 ベジータは感謝した。

 感謝の先は神でも、悪魔でも、地球でもなんでもない。

 こんな幸運を導き寄せた、サイヤ人の王子である己自身に──感謝したのだ。

 

 流石の出来事に驚愕するラディッツを睨みつけ、ベジータは笑みを浮かべる。

 その左手には『パワーボール』が鎮座していた。

 

「もう遠慮はせんぞ……!」

 

 そのボールを上空へ放り投げ、発動させる。

 

「弾けて混ざれ!!」

 

 ─さぁ絶望せよ地球人……! サイヤ人の殺戮に身を震え上がらすのだ!! 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

「私はドラゴンボールで復活したあと、5年待ったのだ! 武天老師より強い男がいると調べて5年もな!」

 

 Dr.ウィローは蚊のように煩わしく飛び回るクリリンを狙って気弾を連続で発射する。

 

「そんな攻撃、当たるかよ!」

 

 クリリンは、全ての気弾をギリギリ避ける。

 

「よい具合にソンゴクウの身体が実ったのだ! この私にふさわしい! なのに何故、私の邪魔をする!」

「決まっておるわい!」

 

 Dr.ウィローの叫びに叫び返す武天老師。

 皆、彼からどんな名言が飛び出すかと注目する。

 

「お前みたいなやつより、ピチピチギャルが身体を求めてくれた方がずーっとよいわ!!」

 

 ポカン……と時が止まる。

 しばらくして無駄にいい声でDr.ウィローが沈黙を破った。

 

「……!? ま、まて、つまり……ドラゴンボールで私がピチピチのギャル型になれば……ソンゴクウは私に身体を差し出す……!? や、やはり貴様も天才か、武天老師……!」

 

 さらにポカン……と時が止まる。

 

「む、武天老師様みたいにスケベじゃあるまいし、そ、そんなことあるわけないだろう! 俺たちが相手だ! ド……Dr.ウィロー!」

「……わ、悪かったな、スケベで!」

 

 天津飯が叫び、再び時が動き出す。

 

「む、むぅ……えぇいうっとおしい! 貴様ら全員まとめてあの世に送ってくれるわ!!」

 

 その時だった。

 

「できたぁ! みんな! 横に避けてくれぇ!!」

 

 悟空の声が聞こえ、皆横に回避する。

 すると下の方から小さく丸い……しかし巨大な気の玉が、Dr.ウィローめがけて飛ぶ。

 

「小癪な! そんな小さな玉など止めてくれるわ!」

 

 小さい玉だと油断しているのだろう、両腕で受け止めようとしたDr.ウィローだったが……

 

「なんだと!? こ、こ、この玉はなんだ!!!????」

 

 空中でとどまろうと必死に踏ん張ろうとするが─

 

「みな! あの玉を後押しするんじゃ! いくぞい! フルパワーかめはめ波!」

「悟空! 援護は任せてくれよ! かめはめ波!」

「お遊びはここまでってところを見せてやるぜ! かめはめ波!」

「チャオズ! 俺に合わせるんだ! どどん波!」

「天さん! どどん波!」

 

 戦士たちの必殺技がその玉を後押しする。

 

「みんな……! オラも続くぞ! 4べぇ界王拳……!」

 

 赤いオーラに包まれた悟空は、その技を繰り出した。

 

「かめはめ波ァー!!!」

 

 ひときわ大きいかめはめ波がDr.ウィロー目掛けて飛び……そして皆の技がその鋼鉄の身体を貫いたのであった! 

「ば、ば、ばかな! 私の夢が! 野望が! この頭脳がァアアアアアアアアアアア……!」

 

 宇宙へ押し出されたDr.ウィローはそのまま粉々に砕け散り、やがて──

 北の大地には静けさが戻った。

 

「はぁ……はぁ……」

 地面へと着地し、座り込む戦士たち。

 だが、その顔は達成感に満ち溢れているのだった。

 

 悟空もまた、その達成感を感じつつ、ふと自分の兄はどうなったか、無事なのか気を感じようとして

 ──その目に絶望の表情を浮かべたのであった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 しまった──。

 おま……ヤジ……アルマジロォオオオオオオオオオオオオ!!!! 

 やってくれたなお前!! 仙豆をお前!? おま……え、これどうしよう!!! 

 

 目の前には大猿に変化をしている最中のベジータが、勝利を確信した笑みを浮かべている。

 くそったれ、もうちょっと岩盤にたたきつけておけばよかった……! 

 大猿になったベジータの尻尾を切ったとしても、そのあとのベジータに今の残った体力でどこまで対抗できるか……。

 こういうときの元気玉、なんだろうが……。

 

 どうする? どうすれば──

 

「おい、ラディッツ」

 

 ふと気づくと、ナッパが……いやナッパだけじゃない。

 悟飯も、ピッコロも(ヤジロベーは多分向こうで伸びてる)傍に来ていた。

 せ、せめてコイツラだけでも逃さないと……! 

 

「何故こっちへ来たんだ……お前たち……、は、早く逃げろ! やつはもう俺の手には……!」

「そうじゃねぇ。そうじゃねぇんだラディッツ……俺たちは何をすればいい?」

 

 ──何を言ってるんだこいつは。

 

「な、なにを──」

「ああもうゴチャゴチャうるせぇ! いいかラディッツ! ベジータはああなっちまったらすげぇつえぇ! けどよ! なにもしねぇでいるってのが一番イヤだぜ俺は!」

「そのハゲから聞いた。どうせ死ぬ……かもしれないんだ。俺た……俺はどうしたらいい?」

「ぼ、僕、正直に言うと怖いよ……でもこ、怖いけど……! ここで逃げちゃったら伯父さんもピッコロさんも……みんな消えちゃうなんて、嫌だ!」

 

 みんなの決意が籠もった瞳を向けられて、俺はいくらか落ち着いた。

 ──ああ、悟空にあんなこと言っておいて、俺は俺で自分ひとりの力でどうにかしようと考えていたのか。

 俺が取り乱してどうする。だが……。うむ。

 

 俺はナッパと悟飯に指示を出す。

 

「──わかった。ナッパと悟飯は……ベジータを引き付けてくれ。ただし、絶対に攻撃に当たるな!」

「へへっ囮ってことか。ベジータによくさせられてたから慣れてるぜ!」

「何か考えがあるんだね! わ、わかったよ伯父さん!」

 

 よし。元気玉を作る時間をこれで確保したい。ただ……悪の心が混じる作る元気玉だ、セルがとあるドラゴンボールのゲームで作ってたが……同じようにできるかどうか。

 

「ピッコロは、ヤジロベーが無事か見てきて欲しい……そして隙を見て、ベジータの尻尾を切ってくれ!」

「わかった! ……ラディッツ、死ぬなよ?」

「それは俺の言葉だ、ピッコロ!」

 

 これで指示は出せたな、あとは──

 おっと……! ついに大猿がエントリーしてきたな……。

 

「待たせたな……おっと、井戸端会議中か!」

「ああ……そうだが? 邪魔はしないでくれるか?」

「……。そうか、ちょうどいい……」

 

 ──ん? ちょうどいい、だと? 

 ものすごく嫌な予感がする! 

 

「……一網打尽にしてやる!」

 

 大猿と化したベジータが即座に攻撃を仕掛けてきた。

 ってそれは反則だろ!? サイヤ人なら舐めプしろ舐めプ! 

 サイヤ人の面汚しめ!! ……! その構えは──。

 

「ギャリック砲──────!!!」

 

 ─駄目だこれ、避けられない! 

 

 その光が──何もかも破壊し尽くそうとする光が迫ってくるとき、すべてがスローに見えた。

 悟飯もナッパも固まっている──目の端でピッコロが動くのが見えた。

 

 俺は直感した。

 

 このままだとピッコロは──死ぬ、原作通りに。

 

 

 

 

 

 ──俺の身体は勝手に動いた。

 

 誰も死なせたくない。ただそれだけだ。

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