ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~   作:ナッパにウィッグを。

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ナッパのエネル顔が夢に出るようになった。訴訟。


優れた自慢の弟に兄如きが勝てると思っているのか? ★20

(月を壊しても大猿になれる技があるとは……!)

 

 

 

 ピッコロは、思い返していた。

 来たるサイヤ人による地球防衛戦のために悟飯を鍛えていたときのことを。

 満月の夜、それは起きた。

 

「ウガァアア──!!」

 悟飯が満月を見て大猿に変化したのだった。

(たしか─様子が変わったラディッツの野郎が言っていた気がする……、! そうか! 月か!!)

 

 ピッコロは先のラディッツとの戦いの中での会話から

 月がきっかけになると予測し、これを破壊し悟飯を元の状態に戻すことに成功した。

 念の為、尻尾も切っておいたが……。

 

 

 

(き、切らない方がよかったか……!?)

 

 あの大猿ベジータに対抗するための手段を自ら潰してしまったのではないか? 

 今更遅いことではあったが、その後悔を抑えラディッツと今後の動きについて確認していたときだった。

 

「ギャリック砲ー!!」

 

 ベジータが、先程のそれとは比べ物にならないレベルのエネルギー波を打ち出してきたのであった。

 

(こ、これは──!?)

 

 明らかな『死』を感じたとき、ピッコロは悟った。

(ああ──そうか。あの『死の予兆』は、神では無く……)

 

 ──俺が死ぬ。格好の場じゃないか。

 

 ピッコロは冷静……に見える激情に突かれ、動き出した。

 そして足がすくんで動けない悟飯たちの前へ、かばうように躍り出た。

 死に対する恐怖はある、だがそれ以上に──。

 

(甘くなっちまったもんだな……)

 

 死なせたくないという思いがピッコロにはあった。

 目をつむり、目前と迫る死に覚悟を決める。

 

 ──すまんな、悟飯。

 

 

 

 

 

 だが、『死』はピッコロへと訪れない。

 いやむしろ……先程まで感じていた『死の予兆』が消えていたのだ。

 

 ──どういうことだ!? ま、まさか……。

 

 生きていることに対する喜びより、ある予感がピッコロを包み込む。

 開けたくない、という目の意思を無理矢理こじ開けた。

 

 目の前には自分が甘っちょろくなってしまった原因の一人である男が──

 

 皆を庇うように。ピッコロの眼の前で仁王立ちをしていた。

 

 信じたくなかったが、信じるより他になかった。

 自分と神が感じていた『死の予兆』は、ラディッツが出迎えてしまったのだと──。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 大猿となったベジータは勝利を纏っていた。

 死にかけの状態から復活しただけでなく、前よりも強い力が漲ることに。

 ──もう何も怖くない。

 

 そんな思いが身体中を駆け巡る。

 ふと、裏切り者たちが作戦会議をしているのを見た。

 

(まだ勝てる気でいるのか)

 

 やつらはまだ自分たちに価値があると思っている。

 既に『この星のドラゴンボール』には興味を無くしているというのに。

 

(圧倒的な力を身に着けた俺にまだ対抗するのか)

 

 せめてドラゴンボールを差し出せば『命』だけで済ませたのに──。

 自身の血が頭に昇るのがわかる。

 

(舐め腐りやがって……貴様らは死刑だ……!)

 

 ──あの世で『他の星のドラゴンボール』により不老不死となった俺を見て悔しがるがいい!! 

 

「ギャリック砲ー!!」

 

 やっとか──。

 ナメック星人が庇うために前に出るのが見えるが……

 無駄だ、ナメクジ如きがかばい切れるわけがない。

 

 冷ややかな笑みを浮かべたベジータは、さらなる喜劇に思わず笑いをこぼす。

 

「ハァーッハッハッハッ! こりゃあいい! 馬鹿は死なないと治らないからな……情け深いお友達とともに死ねぇ! ラディッツ!!」

 

 ピッコロの前に更にラディッツが出てきたのだ。

 絶望を楽しむように徐々にエネルギーの出力を上げる。が──

 

(……と、突破できない!?)

 

 ラディッツを上回る戦闘力を持つエネルギー波を放っているはずなのに、その壁を崩せないのだ。

 

(な、何故だ!? 何故あいつを突破できん──!?)

 

 ラディッツの表情を伺うことはできない。

 だが──真っ直ぐこちらを見ている。

 見透かすように見ている。

 

 ──ザンッ! 

 突如、尻尾の付近で痛みが走る。

 身体が縮むのを感じ、ギャリック砲も止まってしまう。

 

(だ、誰だ……俺の尻尾をき、切ったのは……!?)

 思わずふりかえったベジータが見たのは……

 

「こ……こ……このクソ野郎がぁああーっ!」

 

 プルプルと恐怖に震えながらも──

 なんとか逃げずに刀を構えているヤジロベーだった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

(こ、この時点で界王拳5倍……いや何倍だ……わ、わからんが……なんとか庇いきれたか……)

 

 ヤジロベーのナイスな尻尾切りに感謝しつつ、界王拳を今の時点で使ってはならない倍率まであげてギャリック砲を浴びていた俺ことラディッツ。

 

 そんな無茶をしたらどうなるか、すぐさま思い知った。

 

 ──あ、俺もうすぐ死ぬわ。痛いとか感じないレベルに身体に感覚がない。

 

 今、意識を保てているのは……ただの気合、である。

 

「お、伯父さん! 大丈夫?!」

「おいラディッツ!? 傷は……あ、浅いぞ多分! だからしっかりしろ!」

「……貴様ぁ!! 貴様というやつは……!!!」

 

 みんな心配してくれてる。ナッパはなんか死ぬ前のやつに言いそうなこと言ってる。

 ピッコロさんだけブチギレてるのなんですかね……。

 

 ただ、今はベジータを倒せていないので無視をする。

 いつあの兄弟子に再会してもおかしくないのだから。

 

 今のところは、ベジータはアルマ……ヤジロベーが必死に引き付けている。

 あいつ、回避能力サタン並にあるやん……。

 

 仙豆を隠し持っていたのは許さんが、俺以外に被害が出ないなら俺は許すぞアルマジロ。

 そもそも俺以外、ベジータに何が起きたか気付いていない可能性が高いけど。

 

 いかんいかんひとまず指示を出す。

 

「ご……悟飯、伯父さんは、だ、大丈夫だ。や、ヤジロベーを援護……してくれないか?」

「わ、わかった!」

 

 そう言ってヤジロベーの援護に行くために飛び立とうとする悟飯が、ふと俺を振り返る。

 

「……ほ、本当に大丈夫なんだよね? べ、勉強を見てくれるって……や、約束したよね!」

 

 ──そうだった。この戦いが終わったら勉強を見てやる。そういう約束してたなぁ。

 

「ああ……もちろん見てやる……嘘ついたら針千本飲まないとならないからな……」

 

 約束だからね! と何度も振り返りつつ、ようやっとヤジロベーの下へ悟飯は向かった。

 

(すまんな悟飯、残酷な約束をした)

 ──地獄で同じメニューがあったら飲んでくるか。

 

 続いてピッコロに指示を出す。

 

「ピ……ッコロ、お、お前は悟飯の援護を……あとで、やってもらいたいことがある……お前の耳なら聞こえるかもしれんが……このあとナッパにも指示を出す……そのときに……」

「……足手まといがそれ以上わめくな! 雑魚!!」

 

 ピッコロさんめっちゃ言葉辛辣。

 原作でも珍しい泣き顔だ、すまんな……。

 

 俺を一瞥したあと、静かに悟飯のあとを追うピッコロ。

 

 残ったのはナッパ。

 鼻水めちゃくちゃ垂らしてすげぇ顔してる。

 俺がこの世にいなくなったら、代わりに泣き虫の称号をやろう。

 

「ナッパ……、すまんがそうだな……あの岩の後ろまで……連れて行ってくれないか?」

「わ゛が゛っ゛た゛! ゛! ゛」

 

 びっくりした。海賊漫画サイドみたいな泣き顔と声量してる。

 ナッパに引き摺られるようにして俺たちは岩の後ろへ移動した……おい俺の髪の毛を引きずって運ぶなナッパ……! 

 

「ご……ごご(ズビー!)……ここで、いいのか?」

「……ああ、そうだな……ここでいい……もうひとつ……」

 

 ──できるかどうかわからないが。

 

「……りょ、両腕を、天へ伸ばしてくれないか……? お、俺の……」

 

 ──弟曰く。いっちょやってみっかぁ。

 

 

 

 

 違うナッパ! お前じゃない! 俺の両腕をあげるんだ!! 

 仮にお前ができたら目が反射で潰れるだろ!!!

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