ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
だが、待って欲しい。
・すぐ煽る
・すぐ調子に乗る
・すぐ岩盤する
・すぐ堕ちる
このことからベジータはメス◯キの始祖の一人でもあるのではないか?
つまり──ベジータメ◯ガキ説。
この説を証明したいのだが、実は私には時間がないのだ。
何故ならばこの説を学会に提出しようと訪れたとき、
本日地上波でドラゴンボール映画の超ヒーローがあることを知ってしまったからだ。
は、はやく一人用のテレビの前に座らなければ……!
(やればできるもんだな……)
ベジータに腹パンを決めつつ、俺は元気玉を吸収できた身体に驚いていた。
劇場版のドラゴンボールの中で、悟空が元気玉を吸収する場面があったので真似たのだ。できた。
なお吸収した元気玉のパワーが少ないせいか、ハデな歯茎は避けられた模様。
「き……、さ、ま……! な、ぜ……生きて……!!」
腹パンの痛みでプルプルと震えるベジータが目の前にいる。
むしろ俺は、原作の時のお前にその質問を投げたい。
なんであんなに色々と喰らって生きてるんだよ。
俺の身体はもう死んでいるってのに。
「……! ま、まさか……!? 貴様ぁ……既に『不老不死』か──!? く、くそったれ……!!!」
何も答えないでいると何か納得したような顔で結論づけてくるベジータ。
「安心しろベジータ、『不老不死』ではない……そもそもそんなつまらないことは願わんさ」
「な……なんだ……!?」
「そうだな……お前が襲撃した地球が『元気』をわけてくれたのさ」
まぁどちらかというと『カツアゲ』だけどね。
もっと時間があればその場でジャンプさせてたんだけどな。
「ふざけるな! そ、そんな『おとぎ話』みたいな──」
「世の中は『おとぎ話』に満ち溢れてるんだぜベジータ……ドラゴンボールみたいにな!」
そもそもこの『ドラゴンボール』の世界には前世で知っていること以外もまだまだたくさんあるのだろう。
──知りたいな……この世界のこと。
……おっとセンチメンタルに浸る暇はないか。
ベジータが回復しつつあるし、なにより元気玉から得た『元気』が、身体から徐々に抜けつつある。
──もしものときに備えてはいるが。
もう一発、ベジータに腹パンをキメる。
「いぅ……っ!」
あっ見て見てサイヤ人のプリンスが腹パンの痛みに苦悶の表情を浮かべ、
汗をたらしながらプルプル俺を睨んでいるよ!!!
笑顔のほうが怖すぎるか。
「さて、と……知ってるかベジータ?」
その目を睨み返す俺。
「『地球』は、痛いぞ」
俺はその場で身体を回転させ、その勢いを活かし後ろ回し蹴りの要領でベジータの身体を空へ蹴り上げた。
おお、思ったより空へとんでいく。
(たしかあの技は……こうか!)
追撃をするためにその打ち上げ、王子を追いかける。
何とか空中で制止し迎撃を図るベジータの肩を掴み、追いかけていたその勢いを利用して背中へ回る。
「なっ──がぁっ……!」
後ろから首を羽交い締めにする。
羽交い締めの仕方は……前世で知ってる伝説の傭兵に近いなこれ。
戦いの基本は格闘ってことか。
「は……は……はなせぇ……!」
「誰が放すかよ!」
ジタバタと足掻くベジータの背中を膝で何度も蹴り上げると、首を絞めていることによる酸欠も手伝い幾分か大人しくなる。
「あ……く……」
パッと締め上げから解放する
そして蹴り上げたうえで──
「ウスノロが……」
それ以上の速度で先回りし──「ダブルスレッジハンマー」を振り下ろした。
天から地へと飛ばされる小柄の男。
(これが俺の──ラディッツの父親の技、か……たしか……)
──ファイナルリベンジャー。
見様見真似でベジータにそれを放った俺は、地面に叩きつけられ動けない様子の彼に目掛けて急降下から一撃を見舞──。
ドクン──。
お?
ドクン──。
あ……。
ドクン──。
ついにきたか。
ドク─ン─。
なんとか、虚勢を張ってみたけれど。
ド──ク───。
この世の中を、まだまだ見たい。
悟空や悟飯、仲間たちと笑いあいたい。
──ああ、死にたくないなぁ……。
◇◇◇◇◇
(は……はやく……く、く、う……)
ベジータはたたきつけられた地面から立ち上がろうともがいていた。
が、どうしてもできないのだ。
無論、先ほどラディッツからの激烈ともいえる攻撃により、身体が悲鳴はあげていたのもあるだろう。
しかし、立ち上がれないほどではない、はずだ。
実際、手も足も動くのだ。だが──。
震えているのだ。小刻みに……だがはっきりと。
(なぜ震えてやがる……!?)
この震えには覚えがあった。
記憶を辿る中、でてきたものは──。
殺さないでくれ、と懇願する情けない村人。
戦場にいながら命だけは……、と命乞いする戦士。
金ならいくらでもある! とのたまう貴族。
たくさん見てきたのだ。
そんなやつらが小刻みに震える姿を。
馬鹿にしていたのだ。
その感情を。
『恐怖』──。
ベジータは気付いてしまった。
(俺は……奴が、奴のことが……怖いのか!?)
認めない。認めたくない。
ラディッツが近付いてくるのが視界に入る。
震えが一層酷くなる。
(俺より圧倒的に弱いアイツに俺が……!)
何故立ち上がれる!?
何故あきらめない!?
──ガチガチガチ……と何かが聞こえる。
自分の歯の音だった。
──『恐怖』が近付いてくる。
早く逃げなければ。
立ち上がろうとしてもブザマに転げてしまう。
手がもつれる、足がすくむ。
俺の身体が俺の言うことを、聞いてくれない。
い、い、いやだ……!
く、来るな……!
た、たのむ……!
「俺のそばに……近寄るなぁあああ!!!」
そんなベジータの近くの地面に、ラディッツは──
──ゆっくりと倒れ込んだ。
「……!?」
ベジータは驚く。
「ラディッツ!?」
「お、伯父さん!」
ナッパと悟飯が叫び近寄る。
(な、なんだこれは……何が起きた!?)
混乱するベジータの耳に、新たな声が届くのだった。
「──兄ちゃん!!」
ベジータ、ラディッツに恐怖する。