ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
そういやこの世界線は未来悟飯どうなるかな。
悟空は悟飯がナメック星に行きたい! という話を聞いて驚いていた。
自ら危険に飛び込んでいくとは思わなかったからだ。
『僕、偉い学者さんになりたい!』
『ぼ、僕……戦いはイヤ……痛いのはイヤだよ……お父さん……』
(一年めぇは、あんなに戦うのが嫌だった悟飯がなぁ……)
そう思うと、悟空は嬉しくなっていた。
が、チチはどう思うだろうか。
「悟飯ちゃん、何をいうだか! ……もう悟飯ちゃんは戦わなくても、いいだよ……」
悟飯の発言に驚き、とたんに止めようとするチチ。
だがそれは、悟飯を想う母としての言葉であると理解している悟空は二人の会話に口を挟まず、静かに見守ることにした。
「聞いてお母さん」
悟飯は一呼吸おいて続ける。
「僕……この一年間、みんなと一緒にいっぱい修行した。苦しい事や辛い事もたくさんあったけど……それ以上に楽しかったの」
悟飯の言葉に運転席のブルマ以外、みんな視線を悟飯に向けていた。
それでも悟飯は臆さずに続ける。
「……そんな中、伯父さんは修行の合間を縫って僕の勉強を見てくれたり、色んなところに連れて行ってくれたの。……ここにはいないけど、お友達もできたんだ」
(そういやそうだったなぁ……チチも『ラディッツさが勉強を見てくれっからメキメキ悟飯ちゃんのドリルの点数が上がってるだよ』とほくほくだったし……悟飯は……たしか『ビール』ちゅうん女の子と友達になったって嬉しそうだったもんなぁ……兄ちゃんもたしか『メーク』ちゅうんと友達になったんだったか、つぇえのかな?)
「本当に楽しかった。……でも、ベジータが来て負けそうになったとき……僕が大好きだった何もかもが消えちゃうんだ、と思っちゃったんだ」
悟飯の身体がブルっと震えた。きっと『何もかもが消えた地球』を想像したのだろう。
「伯父さんが、助けてくれた。でも、その代わり、伯父さんが、消えちゃった」
ポタリ、と悟飯の手の甲に涙が落ちる。
「これから先の地球の『みんな』の中に、伯父さんがいないなんて……僕、イヤだ……イヤだよ! ……将来、偉い学者さんにもしもなることができたら……伯父さんにも報告したい……!」
だから──。
「僕は、伯父さんを生き返らせるために、ナメック星に行きたい……お母さん、許して……」
そう言い終えると、悟飯は手の甲で目をぬぐい、チチの返事を待った。
しばらく考え込む様子だったチチは口は開いた。
「悟飯ちゃん……ひとつだけ聞くだよ。それは悟飯ちゃん自身が決めたことけ?」
「うん……!」
チチのその言葉に悟飯はすぐに頷いた。
「……だったらオラ、なんも言わね。悟飯ちゃんが自分で決めたことだべ!」
(……チチ……!)
危ないところに行かないで欲しい──自分のところにいて欲しい──そんな思いがチチのなかにはすごくあるだろう。
だが、それを押し殺し、悟飯の決めたことを尊重したのだ。
「お母さん……い、いいの?」
「ああ、別にいいだよ! ……ただ、ひとつだけ約束してくんろ」
そういうとチチは悟飯の頬っぺたに両手をそっと添える。
「必ず生きて帰ってくるだよ。オラの望みはそれだけだべ」
「……はい! ありがとう、お母さん!」
「ふんっ……これでナメック星に行くのは俺と悟飯は確定だな?」
ピッコロがズアッという感じで入ってくる。
なんかちょっとイライラしているみたいだが、悟空にはとんと見当がつかなかった。
「……なんか悟飯とピッコロが既にナメック星に行くのが決まったみたいな話し方してるけどよ、ま、まだ宇宙船をどうするかとか、そこらへんもまだ解決してないからな? ……それに、俺だって行きたいしさ」
クリリンが割って入る。
(そっか、クリリンも兄ちゃんとすげぇ仲良かったもんな……)
「言っておくが俺も行きたいんだぞ……少しだけ教わった『界王拳』をマスターしていないんだ」
「わしも行きたいのう、生き返ったら命を粗末にするな、と叱らねばならんし、よくやったぞ、と褒めてもやらねばならん」
「俺も話術を……けほっ……まだまだ武の頂をマスターしていないしな!」
「悟飯! 地球の友達のことについて聞かせて!」
「え、あ、はい! ちょっとそっちに行きますねチャオズさん!」
(みんな、兄ちゃんのこと好きなんだなぁ……)
しみじみとそう思う悟空の、折れていない側の手を誰かが握りしめた。
見なくてもわかる、その手は──。
「チチか」
「なぁ、悟空さ……おらの決断は、間違ってるだか……?」
「……間違ってねぇと思う」
悟空はそのチチの手を優しく握り返し、そう返す。
「チチ、あんがとな」
「何言うてるだ。悟空さや悟飯ちゃんの方こそありがとうだべ。おらたちを守ってくれてな」
「へへへ……その代わり大けが負っちまったけんどもな……」
にしし、と笑う悟空にチチは盛大に溜息をついた。
「まったく……悟飯ちゃんも悟空さに似てきたけんども、ああやって危険なところに突っ込む悪いところまで似てきちまっただな!」
「そ、そうかぁ……? オラ、悟飯のあの頑固っぷりはチチの悪いところにそっくりだと思うんけんど……」
そのとたん、チチの目がスンッ、とすわった。
(あっやべっ)
「……おらが頑固なのが悪いっていうのはこの口だべか~~~~!!!」
「わ、わりゅかったってひひ! ゆるひへ! (わ、わるかったってチチ! 許して!)」
悟空の頬っぺたをぐにーっと引っ張るチチ。
みょーんとほっぺが伸び、変な顔になる悟空の目は、笑っていた。
(ああ……『好き』とか『愛』とかまだまだピンときてないことが多いけんど……、オラ、チチのこと『好き』になってほんと良かったなぁ……)
「……うぬぬ」
「はぁ……」
悟飯たちとの会話から離れ、ナッパのケガに包帯を巻いていたクリリンと、それを任せていたナッパは悟空とチチの夫婦っぷりを見て、同時に次のような言葉を発した。
「「結婚って、いいよなぁ……!?」」
バッ! とお互いの顔を見る二人。
ナッパが無言で頷くと、クリリンも無言で頷いた。
いまここに、『結婚したい同盟』が結成されたのだった──。
◇◇◇◇◇
俺ことラディッツは迷っていた。
何に迷っているかだって? それは……
(ひ、飛行船の中へ向かって、界王様を通じて話しかけづらい……)
「はよ話かけんかい! ナメック星の場所も伝えて、お主も鍛えねばならんのだからな!!」
「だ、だってよぉ~……みんなが俺を生き返らす話をしている中へ話しかけるって、大変だぜ……? こ、心の準備が……」
「もう知らん! 勝手に話しかける!」
「だー! わ、わかった……」
俺は覚悟を決め──皆に話しかけた。
「あ、あーテストテスト……み、みんな聞こえるか、ラディッツだ……」
ナッパッパのヒロインもそうだけど、
ラディッツのヒロインもどうすんだってお話があります。