ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
でぇじょおぶだ、愛でなんとかなる(多分)
「へーなるほど、……ん? あらま、もうこんな時間か……」
言うが早いか、そそくさと広げたメモの片付けに入るタイツ。
ブルマは宇宙船改造のため、既にこの部屋にいなかった。
(見た目からしてガサツなタイプかな、と思ったけど……意外と丁寧に話してくれたわね。慣れてないみたいだけど)
片付けをしつつそう思い、チラリとナッパに目を向けると、なんとも名残惜しそうな表情を浮かべてこちらを見ており、タイツは思わずクスクスと笑みをこぼした。
「な、何か楽しいことでもありましたかい?」
頭に疑問符を滑らせながら、ギクシャクと微笑みかけるナッパに、タイツはさらにクスクスと笑みをこぼす。
「今日は参考になったし楽しかった、ナッパさん。──また明日ね!」
「へ、へぇ楽しかったならよか……あ、明日もご来場いただけるので!?」
「あっはっはっ! そうだねー、明日も『来場』させてもらおうかな。じゃあね〜」
手をヒラヒラと振り、病室から出ていくタイツ。
彼女の後ろ姿を、ナッパはドアが閉まったあともずっと見ていた。
しばらくしてナッパの病室にクリリンが入ってきた。
「よぉナッパ。なんか今、知らない女の人とすれ違ったけど……なんかあったか?」
「……」
「おーい?」
ナッパの目の前で手を振る。
それでナッパはクリリンを認識したのか、クリリンを見て驚きの声をあげた。
「うぉクリリン!? てめぇいやがったのか!! 驚かすな!!!」
「え!? いや……さっきお前の目の前で入ってきたとこなんだけどな……なんか悟空も心此処にあらずみたいな感じだったし……二人とも大丈夫か?」
心配そうに声をかけるクリリンに対して、ナッパはクリリンが想定していない答えを出した。
「クリリン……恋はいいぞ。心を豊かにしてくれる……」
「へ? ……お、おぉ……そ、そういうもん、なのかな?」
目をキラキラさせて言うナッパに、クリリンは若干どころかかなり引いていた。
と同時にふと思った。
(あれ、ナッパが恋したの? もしかして同盟瓦解の危機!?)
◇◇◇◇◇
「おー、これが宇宙船かぁ……スケッチさせてもらお」
「大事な宇宙船なんだから、改造の邪魔だけはしないでよね、姉さん」
ブルマにより改造されていく宇宙船をスケッチする姉のタイツ。
「明日ナッパさんにも聞いてみるかなぁ、どんな宇宙船の形があるのかとか」
「あら、明日も行くのね」
「うん。参考になること多いし、それにあの人を見てるとなんか楽しいし」
「ふ〜ん……そういえば姉さん、結婚しないの?」
ふいにブルマから雑に振られたタイツは、うーん? と気だるげに返事をした。
(結婚かぁ……。うーん、いい縁があったらするかもだけど……)
「結婚はしないかなぁまだ。今が楽しいし。言い寄る男は沢山いるけど、大抵カプセルコーポレーションのお金目当てみたいだからさ」
「ふーん……なるほどねぇ」
「そういうブルマはどうなのさ、ヤムチャさんとは?」
雑な振り方をしてきたブルマへ振り返す。
「ヤムチャ? ……別れたわよアイツとは」
「え。意外。あんなに自慢してたじゃん」
「いやしてたけどさ……浮気に浮気を何度も重ねるからこっちから別れたわよ!」
「へぇ……顔で選ぶからじゃない?」
タイツの何気ない一言がブルマのプライドをチクリと刺した。
「は……はぁ!? 同じ見る顔ならイケメンの方がいいじゃない!!」
「その結果がヤムチャじゃん」
「ぐっぐぐぐ……じゃあ姉さんは毎日顔をあわせる旦那がナッパでもいいの!?」
「ナッパさん? ん〜」
タイツはなんとなくナッパと結婚した時の生活を想像してみる。
何故か脳内のナッパは、フリフリのフリルがついたサイズの合わないエプロンを着用し、おっかなびっくりといった様子で寸胴で味噌汁を作る姿で出てきた。
「んふっ……楽しそうだなぁ」
「ね、嫌で……楽しそう!?」
「うん、楽しそうだし飽きなさそう……なにその目は」
珍獣を見るような目をするブルマに、タイツは疑問符を浮かべる。
「い……いや……男の趣味があわないなぁって……はぁ〜……」
「? そういえば死んだって聞いてるけどラディッツさんはどうだったの? いつもワイルド系の野性味溢れるイケメンとか言ってたじゃん」
「あー……あいつはダメ」
「え、まさか振られたの?」
タイツはラディッツと面識はないが、ブルマからよく話を聞いていた。
そのため、美人なブルマが次に狙う相手だったりするんだろうなーとか考えていたのだったが、どうも違ったらしい。
「振られてないわよ! なんというか、あいつとは恋人っていうよりなんだろう……孫くんと同じ異性の友達って感じがあるわね……」
「へぇー珍しいね、ブルマがそういうなんて」
「そうかもねー……さて、さっさと作業を終わらせなきゃね。あいつがいないと、なんか寂しいって感じするし」
首にかけた手ぬぐいで額の汗を拭きながらそう肯定するブルマ。
「……生き返ったらいいねーそのラディッツとかいう人」
「……そうねぇー」
二人は空の星々を見上げる。
まだ見ぬナメック星を探すかのように。
◇◇◇◇◇
──地球にほど近い宇宙空域
広大に続く黒い空間で、一つの宇宙船が攻撃を受けていた。今まさに沈没しようとしている。
沈没寸前の宇宙船内の廊下で、男が緊急脱出用のポッドが存在する部屋に向かって一目散に走っていた。
あちこちから煙やバチバチという電気の走るような音が発生しており、煙も充満している。
(……俺の悪運もここまでかねぇ……)
いつ爆発するかわからない、そんな船内を走る男の浅黒い肌は、じっとりと汗で濡れていた。
後ろの方で何か音が聞こえたような気がして、男は振り返るが、足は止めなかった。
(ちっ……たかが音にビビるなんて……情けねぇ)
緊急脱出用のポッドがある部屋の扉をこじ開けるように押し入り、近くの端末を操作する。
ほどなくしてそのポッドの扉が開かれ、男は即座にそのポッドの中に滑り込み、その扉を閉めた。
(……どうする、惑星フリーザのどれかに移動するか、それとも──)
ポッド内の操作盤を開き、着陸先をどうするか考える男だったが、それ以上は考えることができなかった。
ついに宇宙船の爆発が始まり、その衝撃でポッド全体が大きく揺らされた。
その勢いで操作盤に頭を強くぶつけ、意識が遠のく男の目には、先ほどまで自分の部下だった者たちの、無残な死体が浮かんでいた。
丸焦げになったもの、バラバラにされたもの、胸を貫かれたもの……。
あの緑の化け物に全員殺されたのだ──。
──許してなるものか、アイツだけは……。
最後にそう考えながらついに意識を手放した男は、頭をぶつけた際に選んでしまった操作盤の行き先を確認することができなかった。
その行き先は──『地球』
ベルトのように身体へ巻き付けた尻尾に結んでいる小さな袋が、揺れた。
まるで、地球行きを喜ぶかのように、笑ったかのように──。
ドラゴンボールスパーキングゼロでコントローラー1個壊れました。
やっぱすげぇよ……今度は俺の手に耐えれるように生まれ変わってくれよな!
またな!!はぁああああああああああああああああああ!!!!