ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
病気の方はほぼ治りました。いやきつかった。ご心配をおかけして申し訳ないです。
本当にありがとうございます……!
これからも太陽拳!!!!!!!!!!!!!!!!!
「はひぃ……はひぃ……む、武天老師様~~~~~~もう無理ですよぉおおおおお!!!」
何度目かのサタンの悲痛な声が、カプセルコーポレーション敷地内に響く。
──ゴキュッ ゴキュッ ゴキュッ! ぷはぁ~~~~~~。
亀仙人はそんなサタンの声を、今しがた受け取った、瓶に詰められた牛乳を元気よく飲み込む音でかき消す。
「ん~~~~~~~なんともまろやかな味わい。ほれ、もう一杯飲みたいから一周して来い。ほいよっ石も忘れずにな」
「しょ、しょんなぁらひれほれ~……!」
二人が何をしているのかと言えば何のことはない、コンテナに入った牛乳の配達である──瓶が割れないようにスキップをしながら、40㎏程の亀の甲羅を背負っていることを除けば。
足腰精神を鍛える亀仙流基礎訓練のひとつであり、内容としては以下の通りである。
1.カプセルコーポレーションの外周を1周後、敷地内に戻って亀仙人に一本渡す。
2.渡された瓶の代わりとして亀仙人が同じ重さの石を入れる。
3.1と2を牛乳が無くなるまで頑張るんじゃぞ~(10本分)
改めてみると無茶苦茶な修行ではあるが──。
「パパ~頑張れー!」
「よ、よーしパパ頑張っちゃうもんね!」
サタンの娘であるビーデルもまた、修行のためカプセルコーポレーションにきており、その応援で彼はまた走り……スキップしていったのだった。
「じゃあ私も走ってくるねおじいちゃん!」
「うむ、気ィつけるんじゃぞ〜」
「はーい!」
サタンが背負っているものより幾分か小さい甲羅を背負い、ビーデルは走り去っていく。
コースはサタンと同じだが、格闘家の彼とは違いまだ幼くか弱い彼女にあわせた内容であり、同時にサタンの監視役としてもつかせていた。
(──とはいえ、よくもまぁ続いとるのぉ)
弱音は吐くしズルしようとするがそれでも続けようとするサタン。
家族のため『天使様』のために、調整された内容ではあるが通常ならば凄まじいであろうその修行を、文句一つ言わずに続けるビーデル。
ヒゲの奥にこっそりと亀仙人は口に弧を隠し浮かべるのであった──。
◇◇◇◇◇
ターレスが地球に来てから15日ほど経過した。
──なんと充実した日々か。
美味い物を食い、美味い酒を飲み、気の知れた仲間と語り合い笑い合う。
そんな他の人から見たら平凡とも思える日々が彼にはとても楽しかった。
彼は近所の村へ出ることも多くなり、いつの間にか自分で狩った獲物を売り飛ばすことも多くなっていた。
始めは凶悪な犯罪者が来た反応をしていた村人たちも、口は悪いが分け隔てなく接してくれる彼を見て、いつしか会話をする仲になっていた。
「ターレスのあんちゃん、いつも新鮮な魚をありがとうよ!」
「へっ……そっちこそ結構なゼニーで買い取ってくれて助かるぜ」
今日はマグロがとれたので売りに行ったらそこそこ良いゼニーで買い取ってくれたので、その金で何か土産でも買うかと村を見回る。
(そういや俺が飲み過ぎたせいで酒がねぇって言ってたな……みてみるか……ん?)
すると、前には見かけなかった商人の一行が、村のハズレの方で露店を開いているのが見えた。
(……なんだぁ? こんな人も寄りそうにねぇとこで商売か)
「いらっしゃいお客さん。何かいるのかい?」
不審に思い近づいてみると目付きの悪い男が声をかけて出てくる
(こいつが店主? うさんくせぇ……)
一瞬ターレスは踵を返そうとしたが、自分のように悪役みたいでも良い奴はいるからなと思い直しそのまま逗まった。
「おう……初めて見る面だからな、売りもんを見てぇんだ……なんだこれ?」
「おっ、お目が高いねぇ……それはとびきりキツい酒でな……一口煽ればビリリと痺れてグデン、よ! それが売りの酒だよ」
品物をみていたところ、一つの瓶に目が止まる。
見るからに豪華な装飾が施された瓶に入っており、絶対に高いことがターレスでもなんとなく予想できた。
「……試飲してみるかい? 無論タダだぜ?」
店主はショットグラスにその酒を注ぐ。
──高い酒か。
ゴクリと喉を鳴らす。
「……買わねぇかもしれねぇけど、恨むなよ?」
そういうが早いかターレスはそのグラスの中身を飲み干す。
「ああ、恨みゃあしねぇさ……でもその代わり──」
(かっ!? く……! これは……毒……!?)
吐き出そうとするも痺れるような感覚で動けず、意識が途切れくでんと倒れ込むターレスに、店主──だった盗賊はさも愉快そうに言った。
「……怨むなよ? お前の流派を恨むんだな、ケケッ」
「……力自慢もこうなりゃしまいだな」
盗賊である男は車を走らせる。後部座席には先程の毒で仮死状態にしたターレスを放り込んでいる。
「こいつがあの忌々しい桃白白の新しい弟子とは聞いていた……俺の盗賊団を『邪魔だから』という理由で壊滅させたこと、忘れはしないぞ……!」
この男の目的は──桃白白への復讐であった。
「しかしあいつもとんだ間抜けだな……酒が飲みたくて毒を飲んでしまう男を弟子にするとはよ! 耳でも切り落として送ってやって……、のこのこやってきたところをどかんと……ん?」
突如フロントガラスへ赤い血のような液体がぶちまけられた。
男は驚いたが、何か轢いたか? と思いワイパーを作動させる。
(き……消えねぇ……違う、これは……この車の中から!?)
車を止め、中を確認しようと男は視線を下げると──絶句する。
己自身の下腹部から、浅黒い腕が生えていたのだから──。
「あぁあああああ!!!」
戻ってきた痛感が男の口を使って叫ばせてくる。
「なかなかいい音で叫ぶじゃねぇか……ただ俺は好かん音だ」
背後から冷たく、冷たくそして──冷たい声が、もう片方の手で男の口をガシッと塞ぐ。
「……酒より毒よりもっと良いもん飲ませてやるぜ」
言うが早いか、男を塞いだ手からは紫色の光が漏れ出し──。
かつて車だったモノはもうもうと煙を上げ、燃えている。
中には頭の無い体と、その横に体の無い頭が横に置かれていた。
その残虐ともいえる光景をバックにターレスは立っていた。
「……ほぉ……ここが、地球か」
まるで初めて訪れた、と言わんばかりに。
「たしか……クズのカカロットがいる星だな……ナッパとラディッツもいるんだったな?」
だが、今の彼には『初めて訪れた』で正しい。なぜなら。
「新たなクラッシャー軍団をここへ立ち上げ……そしてこの星を──俺の糧してやろう……!」
今の彼には、地球へ降りる直前までの記憶しか残っていないのだから。
毒の影響か 邪神の遊び心か……地球で過ごした日々の記憶は──
その部分だけが綺麗に消えていたのであった──
こんな都合がいい毒があるんかよ!?
でもサイヤ人って毒は効いた気がする。だいぶ効き目は薄いだろうけど。
超神水でも飲ませればいっか。今度ラディッツに飲ませようっと。