ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
さぁ曇るか曇らないか。
曇らせるのってなかな好んで書かないんです私、ホントダヨ
それは、俺──ラディッツがピザ回しで生地を伸ばしている最中のことだった。
なぜピザ回しを? と思っているかもしれんが、界王様の食事を準備しているところだが? とだけ返しておく。
決してちょっと料理が楽しくなってきたとかではない──断じて。
見ろよこの重力80Gに耐えきった身体で回すピザの華麗な円を! まるで気円斬だ!
「ララララディッツよ! 大変じゃ、ピザを回している場合じゃないぞ!!」
どうやら地球をなんとなく観察していた界王様が大慌てでピザ回し中の俺に話しかけてきた。
俺はピザ回しをやめ、打ち粉を敷いた台の上へピザ(土台)を置いた。
「どうかしたのか、界王様」
「地球にヤバいものが生えとるんだ! なんであんなものが生えとるんじゃ……! 誰が生やした!? あんな大きいのを!!」
──ヤバくて大きいものが生えた生えた、とだけ連呼されるのは……あらぬ誤解が生じる気がする!!
「か、界王様、何が見えたのか教えてくれんとわからんぞ」
「お……おお、すまん。……っとちょっと待て、説明するなら……おーい、孫悟空たちやーい!」
『お、界王様か!』
地球にいる悟空の声が聞こえ、ナッパや亀仙人たちの声も聞こえ始める。
……これ、便利な能力だよな。教えて欲しいって今度聞いてみるか。
「よし……地球にいるお前さんたちには見えとるか? あのでっかいのが……」
『オラ、窓から見てっけどデケェくて立派なもんが生……』
「カカロット、それはなにかわかるか?」
純粋な悟空の発言にハデなヤバさを感じ、なるべくスマートに口を挟む俺。
──すまんなカカロット、生き返れたら何でも料理作ってやるから……。
『ん〜……多分、木? だと思うぞ兄ちゃん』
「……他の皆も同じか?」
『俺からもそう見えるな』
『同じく』
「そうか……さて界王様、その木について何なのかわかるか?」
俺はその木について……何となく目星はついたが、確証が欲しいため界王様に話を振る。
「ああ、知っている! ……神精樹、と呼ばれるものだ……その木からなる実は、食べることで絶大な力を手にすることができると言われておる……神のみが持つことを許される実が、な」
『その実を食べれば私も強く……!? というか、ラディッツさんの声もするような……ま、まさかこれもト、トリック……』
サタンが物欲しそうな声を……サタンいるの!?
もう奥さん大丈夫なのか、ひとまず良かった──。
サタンにも生き返れたら何か持っていくか。
「だが……問題はその木が育つための糧でな──吸うんじゃよ、星の生命を……」
『……元気玉みたいなもんか、界王様?』
「規模が違う。こいつは星の生命を吸い尽くしその惑星を死に至らしめる植物……なぜこんなものが地球にあるんだ……」
そこへ天津飯の声が響く。
『ひとまず、俺とヤムチャがあの木にむかう……武天老師様にもご助力いただきたい』
『モチのロンじゃ!』
「今、頼れるのはお前たちじゃ……頼むぞ、あの木はあってはならんのだ!」
神精樹、か──。
ということであれば、恐らくあの男がいて……その男の部下たちから妨害があるかもしれない。
「界王様、神精樹の付近に誰かいたりしないのか?」
「……一人、おる。恐らくは今回の犯人じゃろうな……」
「……だ、そうだ。天津飯たちは気を付けて進んでくれ」
『おう!』
「常にアンテナは張っとるから、何かあったらわしの名を呼べよ〜」
界王様は最後にそう言うと、声が聞こえなくなった。
やはり便利だ。俺にも欲しい。
だがそんなことより、このカードを切る頃かと思い、界王様に声をかける。
「なぁ界王様」
──占いババにあの世に来るよう伝えてくれ。
◇◇◇◇◇
「はぁぁー……」
ユーリンは何度目かわからないため息をつく。
彼女が考えていることは──ターレスのことである。
突如としてあらわれた謎の男は、自分より遥かに強く、自分より遥かに鶴仙流に適正があり、自分より確かに優しく、そして───。
自分のことを『いい女』と……胸のことは聞かなかったことにして──言ってくれたのだ。
そのことが妙に恥ずかしく、顔を合わせまいとしばらく避けていたら、何を勘違いしたのか──
一昨日くらいに『あのときは悪かったぜ……ほらよ』と断る隙も与えず、紫水晶のペンダントを渡してきたのだ。
(別に怒ってるわけじゃなかったんだけどな……でも)
そのことを彼に伝えるのは癪だから黙っていたら、彼は。
──またそのペンダントをしている姿を見せてくれ、似合うと思うぜ……へっ。
と言いながらまた出かけて行ったのだ。
(あいつ、どこに行ったんだよ)
そんな男が、まだ帰っていない。どんなに遅くとも毎日帰ってきているのに。
胸元にある紫水晶のペンダントを撫でつつ、ふと嫌な考えがよぎる。
(……女でもできたのか……?)
そんなことを考えると胸がズキッと痛む。
何度も。何度でも。痛んでしまうのだ。
何もかもが手に付かない。修行も身が入らないし、皿も割れるし、料理も丸焦げになる。
そんなユーリンを見かねてか、鶴仙人や桃白白は「男にはそういうときもある」と言ってはくれたが。
それでも彼女は心配してしまう。ついに気付いたのだから。
──暖かい止り木になってしまった彼の存在に。
竹藪を見ると、彼女の心を表しているように全体が枯れていた。
……枯れている!?
「おいユーリン! なんだか……なんだかおかしいぞ!?」
「何が起こったのだ!? また孫悟空か!?」
慌てている鶴仙人と桃白白とともに外を出ると──。
「お、おい……おいおいおいおい……これは何だってんだよ……!?」
草木は枯れ、大地はひび割れ いつも『生』が満ちていた世界が──『死』に満ちていた。
ラディッツ君の料理スキルがあがる→悟空が喜ぶ