ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
毎回見ていただき感想や評価、お気に入りをしていただける皆様には頭が上がりません。
桃白白様のどどん波をどうぞ。
「こ、これが『神精樹』……」
亀仙人の声が、その樹から発せられる重圧を身に感じてそう呟く。
天津飯もヤムチャもその樹に感じたものは同じらしく、亀仙人の呟きになにか返すこともなく口を閉ざしていた。
『神精樹』という名前はなるほど、神の樹と言われるのも納得である。
その常識外れの大きさの植物は、独特の荘厳さと神聖な雰囲気を辺りに漂わせており、もしも特性がなければパワースポットとして新しい観光地ができていたことだろう。
──星の命を吸収する特性さえ無ければ。
「おやおや……これはこれはお揃いで……」
その神聖な雰囲気には似合わない、軽薄で冷酷そうな声がした。
バッとその声の方向に三人が顔を向けるとそこには──悟空がいた!?
「ご、悟空!? お……お前どうして!!」
いきなり悟空がそこにあらわれたことに、明らかに焦燥と困惑を表情に醸すヤムチャ。
「あ、焦るんじゃないヤムチャ! 気を感じてみろ、悟空ではない!」
「それに、肌の色が浅黒いぞい!」
天津飯と亀仙人がそんなヤムチャにフォローを入れる。
孫悟空にそっくりな男が口角の弧を上げ、慌てふためく天津飯たちの様子を眺めている。
さもその慌てようが愉悦だと、神のように見下げて──。
そして神のような男は、無礼も口ずさむ。
「おいおい、この星の下郎共は挨拶もできないのか……それとも、サイヤ人流の挨拶がいいのか?」
男がニヤ付きながら煽るように大仰に頭を振る。
『サイヤ人』という言葉にピクリと反応した天津飯は、内心この戦いが無事に済まないことを確信しつつ、心にもない詫びを口にする。
「……これは失礼した。俺は天津飯。貴公のお名前を伺いたい」
「ほぉう……良い面構えしてるじゃねえか……俺の名はターレス……」
その男──ターレスは仰々しくお辞儀をして挨拶を返したが、人を馬鹿にしたような笑みを引っ込める気はないようだ。
「この俺の出迎えに貴様らのような雑魚をよこすとは……どうやらカカロットは随分と怖気ついたようだな?」
ますます深めるその口許の弧に、天津飯は青筋を浮かべ怒りを覚える。
「悟空は、今は怪我をして動けんのじゃよ。もしお前さんがお望みであれば……そうじゃな、あと数十日程、この木を抜いて大人しくしてくれたら相手をしてくれると思うがのう……」
「そいつは無理な話だ、老い先短そうな爺さんよ……俺はこう見えて忙しい身でね……この『神精樹』からなる実を食べたあとは宇宙に帰らなくてはならないんだ……残念だったな」
天津飯が怒りに任せ行動しないよう、とぼけた様子でターレスに提案する亀仙人。
だがターレスはさも残念そうに、しかし愉快な声でそう言いのける。
更に怒気を強める天津飯に冷や汗をかきはじめる亀仙人。
「どうあがいても交渉は不成立なんだな、お前……ターレスとか言ったか?」
そんな一触即発な状況の中、今まで沈黙を保っていたヤムチャがついに口を開いた。
敵も味方も皆注目する。
「すまんが……最近新車を買ったばかりでな……その……だなんてことしてくれるんだよ! ローンがまだ15年あるんだぞ!!」
「ヤムチャ」
天津飯が青筋を浮かべたまま冷静に声を掛ける。
ヤムチャは止まらない。
「どうしてくれんだよお前!! 俺が颯爽と車で現れる姿を待ってる女の子とのキャッキャッウフフ生活が台無しじゃねぇか!!!」
「ヤ ム チ ャ !」
そのヤムチャの内容に、ついに天津飯が怒号をあげる。
慌てて亀仙人が間に入る。
「ヤムチャ! わしにもその……ギャルとウフフのコツ教えんかい!!」
「武 天 老 師 様 ! ! ……地球の命運を前に、無駄な気力を使わせないでいただきたい!」
ついに天津飯が爆発した。
あまりの怒りに頭から血が飛び出るほどに。
ヤムチャと亀仙人がその迫力に黙りこむ中、おずおずとターレスが口を挟む。
「……おい」
「……なんだ?」
「……もしも転職とか考えているなら俺の部下の席が空いている……い、いまよりかはちょっとは過ごしやすいと思う……ぞ?」
ターレスの目を見ると、割と真面目に考えてくれているらしい。
敵に気を使われたことに天津飯は、怒りは抜けたがなんとも言えない表情を浮かべた。
「……お気遣い感謝する……だが、俺はこの星が好きなんでな……」
「そうかい……チッ、後悔すんなよ?」
その誘いを断ると、ターレスは舌打ちを打つ。
そんな彼に、ふと天津飯は先程の怒りで忘れていた疑問を思い出した。
「俺からも一つ……聞きたいことがある」
「……なんだ?」
ターレスの来ている服に指を刺す。
「何故、鶴仙流の……桃白白と同じデザインの道着を着ているんだ……」
「さぁな……。むしろ俺が知りたいくらいだ」
「……?」
ターレスのその言葉に疑問符を浮かべ、なおも質問を続けるか悩む天津飯であったが、その悩みは無理やり断ち切られた。
「さて……そろそろお喋りはしまいにしようや……」
そういうが早いか、眼の前の浅黒い男が気を解放する。
その大きさは──。
(こ、この前のDr.ウィロー以上──だと!?)
絶望的な戦いの火蓋が切られたのだ。
◇◇◇◇◇
「占いババか、遅いぞ!」
「お昼寝タイムだったんじゃ……まったく……」
占いババを待つ間、兄弟子のそばで腕立て伏せを暇潰しにしていたラディッツは、ゆったりと来た占いババに文句をこぼす。
「ラディッツ、わかっているだろうが24時間だけ戻れる。それ以上は超えるんじゃないぞ」
「わかったわかった兄弟子……超えたりしないさ。まだ地獄に縛り付けられたりしたくないんでな……」
「どのみちお前は地獄逝きだから安心しろ」
「泣けるぜ」
そんな軽口を兄弟子である閻魔大王とポンポンと叩きつけ合いつつ、ラディッツは占いババに声をかけた。
「さぁ……意外と早かった地球の命運をかけた再戦闘に行くぞ」
……もしナメック星人の悪いやつが来たときはどうしよう、と頭の片隅に浮かんでしまった懸念事項には目を逸らしつつ。
スラッグ対策は考えていますよ。フフフ。