ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~   作:ナッパにウィッグを。

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ドーピングしまくりサイヤ人
プライドクソデカメスガキ風サイヤ人

選ぶならどっち!


弟はナメック星へ 兄はあの世へ 強敵は地球へ ★18

「桃せんせぇ〜! これもっとスピードでないんですか!?」

 

 ヒュゥ…………ンという、空気を切り裂く音とともに猛スピードで柱が飛んでいく。

 その上に乗る三人──鶴仙人、桃白白、そしてユーリンは『神精樹』目掛けて進んでいた。

 

「む、無茶いうな! これでも思いっ切り投げたんだぞ!!」

 

 その柱を投げた張本人である桃白白がユーリンに抗議する。

 それを見てか鶴仙人も声を張り上げる。

 

「そ、そもそもだユーリン……あの木に向かうとかお前は正気か!? 何があるかわからんが……わしの長年の勘が言うとる……碌な目にあわんぞ!」

「そ、それは……あ、あたしにもわかりません……ですが!」

 

 ユーリンの首から下げた紫のペンダントが揺れる。

 彼女の目は揺らぎなく鶴仙人のサングラスの向こうにある眼を射抜く。

 

「……あそこに行かないと絶対に後悔する──ターレスが居なくなったのと関係がある……そんな気がするんです! だから……あたしは!」

「あーもうよいよいわかったわかった……! 女の勘は馬鹿にならんと聞くからな……」

 

 それ以上はもうよいよいと手をふりふり鶴仙人は答える。

 めんどくさく感じたのか、何かを感じ取ったのかユーリンはわからなかったが、ただ彼には感謝しかなかった。

 

「というわけで弟よ、あの帰ってこない馬鹿弟子のためにスピードを上げろ!」

「だから無理だ言うてるだろーが兄者! くそ〜……ターレスめ……帰ってきたらどう憂さ晴らししてくれようか……」

 

 桃白白もあの木のことよりも、ターレスをどうこき使ってやるかに考えのリソースを費やした。

 なにはともあれ皆が皆、ターレスのことを考えていたのだった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

(コイツはたまげた……!)

 

 目の前にいる男──ラディッツに新たな拳を振り下ろしながらターレスは驚く。

 地球に降りながら返り討ちにされ、あろうことか同胞を裏切った及び腰のクソ面サイヤ人……それがターレスから見たラディッツの評価だった。

 

 ところが、こうして拳を交えてみるとどうしたことか──なかなかどうして手強い。

 

 攻撃をしかければそのほとんどがかわされ、あるいは受け流され決め手の一撃にならない。

 隙を狙えばその隙を利用して反撃を仕掛けてくる。

 こちらが隙を見せればその隙を逃さずエネルギー波を放ち、そのまま追撃を仕掛けてくる。

 

 それはこちらも同じこと。しかし違う点があるならば──。

 

(毎度毎度、ご丁寧に瞬間的に……戦闘力をあげてやがる……!)

 

 そう、ラディッツが拳を振るうとき、あるいはターレスの攻撃を受け止めるとき、瞬間的に戦闘力を上げている……ターレスはなんとなくそれを察していた。

 そのためか、30分以上殴り合いをしているのに息が全然上がっていない。

 

 最初に感じた戦闘力以上の厄介さを持つサイヤ人──それが拳を交えたときに改め直したラディッツへの評価だった。

 ここで笑みを浮かべるのは余裕からか? 否、これは──好敵手に出会えたことに対するサイヤ人としての本能の笑みだった。

 

 故に──実に、実に惜しい。

 

「……おい、ラディッツ」

 

 この男が自分の部下に加えれば、大幅な戦力の増強……いや、下手をすればフリーザを倒し宇宙を手中に納めることも夢ではないかもしれない──こいつと『神精樹』の実さえあれば。

 

「お前……俺の船に乗れ」

「ハデに断る」

 

 実にシンプルな勧誘という名の命令。

 命令であるにも関わらずラディッツは拒否した。

 そう、命令を拒否したのだ。

 

「勘違いされては困る……これは“提案”ではなく“命令”だ……船長命令が聞けないやつには仕置が必要だな」

 

 自分たちはサイヤ人……であるならば。

 力尽くでこの命令に従わせるまで。

 

 そう判断したターレスは、これまで隠していた戦闘力を爆発させ一気にラディッツに迫りその胸を拳で貫いた──。

 

「か──はっ……!?」

 

 ──いや、貫くことはできなかった。

 なぜなら赤い気を纏ったラディッツの拳が一発、ターレスの胸を殴り捉えていたからだ。

 あまりの衝撃に身体全身が麻痺したかのような感覚を覚える。

 一、二歩下がってしまう彼は、ラディッツの言葉から更に信じられない言葉を聞いてしまう。

 

「──遅い」

 

 痛みを我慢し顔を上げれば、そこには余裕綽々といった様子のラディッツがこちらを見つめていた。

 

(お、お遊戯だったというのか……さっきまでの闘いは……!)

 

 ターレスは、常に前線で闘う己こそが最強のサイヤ人として相応しいと考えていた。

 同じフリーザ軍に所属するサイヤ人、ベジータのような後方王子面しているやつとは場数が違う。

 だからこそ、『神精樹』に選ばれたのだと。

 そう、常に上位の存在である『神』に──。

 

 そんな彼のプライドは、目の前にいる後方王子面の泣き虫腰巾着野郎にズタズタに引き裂かれた。

(許さん……許さん! 許さん!! 許さん!!!)

 

 彼はふと、地球人たちとの闘いで三つ目ハゲ──何故かそう呼ばざるを得ないような気がした──が使った技を思い出す。

 なんとなく危険を察知し目蓋を閉じたことで回避はできたが……あの技は……。

 自分が『頂点』に辿り着くために、必要なこと……そのための時間稼ぎ……そして経路。

 瞬時に計算してターレスはやっとほくそ笑む。

 

「太陽拳!!」

 

 ターレスを中心に、周囲の視界が奪われるのだった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 うぉっまぶしっ。

 いや何でなんでナンデ!! 

 なんでターレスが『太陽拳』を使えるんだよ!!! 

 いやまぁ服もおかしいけどな! 見間違いじゃなかったらあれ桃白白の服だよな!!? 

 ──まぁいいか。

 

 俺は見えない視界を閉じ込め、気でターレスの行動を確認する。

 どうやら目の前から離れてはいるらしい。何かを探している──あ、『神精樹の実』か。

 

『な、何をしとるんじゃラディッツ! タ、ターレスのやつを追いかけて倒さんかい! み、実がくわれちまうぞ!!』

 

 ラディッツの頭に界王様の声が鳴り響く──というかうっさ!! 鼓膜震えてるんだけど……!!! 

 

「大丈夫だ、界王様。一個くらい食われた程度どうだってないさ……そうだな、こう言えばいいか?」

 

 ──俺を信用してくれ。

 

『……知らんぞわし。でも……まぁピザも美味かったし信用するか』

 

 掴むべきは胃袋だな。

 俺はそう思いつつ、界王様に俺の考えを話す。

 

「俺が考えているのは……元気玉によるターレスの撃破、および……神精樹の破壊」

 

 神精樹の洞にターレスをどうにかして押し込み、元気玉による同時討伐こそが俺の目指している勝利だと話す。

 

『む、むぅ……じゃが、地球に残っとる元気でやつに勝てるのか?』

「無理だろうな……だから、『神』からもらうさ」

『神から……? ああ……なるほどな!』

 

 そう、元気玉の元気は目の前にあるクソデカ樹からいただく。

 その元気玉で神精樹を破壊すれば地球に元気が降り注いで舞い戻るだろう──。

 

「……っと、界王様すまん。──第二ラウンドのお誘いが来た」

『わかった……油断だけはするんじゃないぞ!』

「了解」

 

 界王様との会話を終えて、改めて目の前に出てきたターレスと相対する。

 

「ほう、『実』を食べたか」

「ああ……お前はもう勝てんぞ。なぁラディッツ、もう一度言う……」

 

 お前、俺の船に乗れ──。

 ──ハデに断る。

 

 瞬間 お互いの拳がぶつかり合い、空間を揺らがせた。




なお、ナッパはついてこないものとする。
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