ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
俺たちが『蛇の道』を走り切ったとき、死んでから5か月ほど経過していた。
……原作だと6か月だった気がするが……早く到着した。
そのぶん修行の時間がとれるのがありがたいが、しかし何故だろうか。
─あれか。途中で競争みたいになったからか。
悟空より先に進んだら悟空が先に進もうとするから
それで俺がさらに先に進んだりして……
たしか原作だと一人だけだったからな悟空。
そんなことを考えながら界王さまが住む小さい星に着地した。
『ベチャッ!』という音がしたのでその方向を見る。
悟空が地面に五体投地していた。
「……お腹でもピーピー痛いのかカカロット?」
「い、いやちげぇ……に、兄ちゃんは平気なんか?
ぎ、ぎぎ……か、体が鉛のように重てぇ……!」
ああ、そういうことか。たしかこの星は地球の10倍の重力があるんだったかな。
俺はラディッツの体のせいかそんなに感じないけど。
「たしかにこの星は重力が地球よりも強いな。
だが……、こういった重力には俺は慣れている」
悟空が立ち上がるのを手伝いつつ兄はすごいぞアピールをしておく俺。
「ほぇ〜……さすが兄ちゃん……」
「なんじゃ、おぬしら……」
そんな話をしていると、界王様が怪訝な顔で登場してきた。
諸々の挨拶や事情の説明をすまし─「焼肉をやきにいく!」で合格できた─、
悟空はバブルスというゴリラ? を捕まえる修行を、
俺は初めから重力に慣れていたので界王様自らの修行を受けることとなった。
……早く強くなってカカロットのいい組手の相手にならんとな。
「かぁ~~~~……オラも界王様自らに修行付けてもらえるよう頑張っぞ!」
「早く重力に慣れることだな、カカロット……お前ならすぐできるさ」
「サンキュー! 兄ちゃん!」
ニカッと笑う悟空。いい笑顔だ。
おっとそうだ。界王様に確認しておくか。
「ところで界王様 お聞きしたいことがある」
「……なんじゃ」
「俺の仲間が地球に来るまでにあと188日らしいが、
カカロットが蘇って地球に帰るまでどのくらいかかる?」
予想通り、原作より1か月ほど余裕のある日付を告げられた俺は、
そのほかの不安要素を取り除くべく界王様にそれとなく話を振った。
「そんなことを心配しとったんかい! 大丈夫じゃ ワシのぱーふぇくとな計算で間に合うようにするわい」
「そうか、それは大変たすかる。─ちなみに、『蛇の道』の帰り道にかかる時間も
界王様ならご配慮いただけているだろうか」
「……ご、ごほん。も、もちろんだとも!」
─やはりご配慮いただけてなかったな?
ジトッ……と界王様に目を向け、俺は続けて話す。
「サイヤ人と戦う前にアイツも家族や仲間と話したりしたいだろう……1日2日の余裕を持たせて蘇らせられるようにしたいんだが……」
「注文が多いなおぬし……あいつの頑張り次第じゃがまぁこのワシに任せておけ! ……じゃからその目はやめろ」
信用してませんよオーラが溢れすぎていたか
気づかれてしまった……
まぁここまで伝えたんだ、大丈夫だろう
「……すまん、恩に着「あ〜〜っ!!!!!!」─カカロット、耳元で大声を上げるときは『大声をあげます!』ってあらかじめ教えてからにしろ! それからどうした!!」
いつの間にか背後で俺たちの話を聞いていた悟空が急に大声をあげるから
サイヤ人の誇りが危うく漏れかけた。
大の大人がビクゥッ! ってしたんだぞビクゥッ! って!
界王様、『何いってんだこいつ』みたいな目で俺を見るな。
いいのか? そんな目で俺を見て……この星を汚ねぇ星にしてさしあげますよ……!
「や、やべぇ……オラ神様とかに『蘇らすのは1年くらいにしてくれ!』とか伝言するの忘れちった……! ど、どうしよう兄ちゃん!」
ワタワタと頭を掻きむしりながら右往左往する悟空。
しかしお前は運がいいやつだカカロット……
目の前の大まかな形でドラえもんに頼もうではないか……!
「─おめぇの出番だぞ、界王様!」
「おぬし、ワシのこと便利な道具と思うとるじゃろ……」
キリッ、と界王様に助けを求めたらブスッ……と拗ねたような顔でいじけはじめたので渾身のシャレ─屋根に矢が刺さった……ヤーね─を伝えたら機嫌を直してくれた。
界王様ってチョロい。
あ、シャレの弟子入りは遠慮しますね。
結構です。
いやほんとに。
シャレを10連発すれば見逃すって?
しょうがねぇな……いっちょやってみっか……
◇◇◇◇◇
『─ちゅーわけで皆に伝えといてくれよ神様! じゃっまたな〜』
「あ、ああ、わかった皆に伝えておこう……ってもうおらなんだか……しかし、界王様から連絡が来てビックリしましたぞ」
『はっはっはっ!』
─そうじゃろうそうじゃろう! ワシ偉いからな!
そう言いつつ笑い転げる界王様に、神様は苦笑を交えつつ、先程の悟空たちから聞いた、ドラゴンボールで叶える願いについてふとこぼした。
『─悟空だけじゃなくあの兄も蘇らすことになるとは思いませんでした』
悟空が死んだ原因となる男……ラディッツ─
それだけにその被害者である悟空から蘇生を依頼されるとは思わなかった。
『─たしかそちらで悟空とともに修行をしていると聞きましたが……実際どうなんでしょうか?』
『ふむ……そうだな、あやつは悔しいがワシ以上にシャレの天才じゃ』
『─は?』
シャレが天才、に裏があるのかと考え読み解こうとする神様を気にもとめず、界王様は続けた。
『それに……あやつの強さは知っとるんじゃろ? ならばサイヤ人との戦いでは戦力になるじゃろうな……』
『しかしあの男……ラディッツは元々そのサイヤ人の仲間ですぞ、裏切ったりしませんかのぅ』
『心配症じゃなーおぬし……ワシの見立てだが裏切らんと思うぞ。裏切るなら……』
─地球に来たときに殺した地球人も蘇らせてほしい、とわざわざ頼まんじゃろ。
◇◇◇◇◇
「さて、地球の神との疎通も終わったし……おい悟空、なにその重りを外しとるんじゃ!」
「へっ……? いやだってこのままだと捕まえられねぇからよ……」
ゴトン ゴトン……と着ていた服の重りを脱ぎ散らかしていた悟空は、キョトンとして界王様の方を向いた。
「身軽になってバブルスくんを捕まえてもサイヤ人には勝てんぞ! 身につけたまま動かんか!」
「い〜!? 脱ぐだけでも大変だったのに……」
チッチッチッ……わかっとらんのう─という反応をする界王様。
「いいか悟空……そこにいるサイヤ人─ラディッツと戦ったから知っとるだろうがあえて教えてやろう」
むっふぅ……っと息を吐いて、彼はつづけた。
「サイヤ人はもって生まれた戦いのセンスがずば抜けておる。……ゆえにそんじょそこらの修行じゃ勝てぬ厄介な相手なのじゃ」
(へぇ……『サイヤ人』ちゅーんはすげーんだな……でもよ)
界王様と悟空から離れた場所で腕立て伏せをする、
サイヤ人である自分の兄を悟空はチラッと見て、界王様に視線を戻し─
「だいじょうぶ!」
─言葉をつづけた。
「オラもサイヤ人だ!」
─兄と同じ……『サイヤ人』であることに喜びを滲ませて。