ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~ 作:ナッパにウィッグを。
あやふやなままだすな私よ。
追記∶前に名前を出したフローレンスキリシマはGジェネのキャラのことですよ〜!
追記の2:最後のラディッツのしまった!の気持ちが確かに分かりづらかったので追記しました!これが二十べぇ修正拳だ!!
ターレスは『神精樹』にあった洞の一番奥側に座り込んでいた。
新たにその木の実を食べ、戦闘力の大幅な上昇に成功した彼の表情は暗い。
(これだけパワーアップしたとしても……奴を始末できるか……ケッ駄目だ……不安に感じていやがるぜ……この俺がよ……)
そう思いつつ、彼はふと過去に想いを馳せる。
サイヤ人として生を受け、戦闘力の低さから常に最前線で闘うことを強いられた──下級戦士。
元々、サイヤ人というものは家族の繋がりなんてものはないに等しいが、彼も例外なくそうだった。
父親からはゴミみたいな戦闘力として罵られ、殴られ、蹴られ、母親には無様と笑われ……。
戦闘力の低さだけで命懸けの前線で送られ、戦闘力の高い同じサイヤ人に馬鹿にされるという惨めな目にあわされ……。
いつしか『殺してやる』と、そう誓っていた。
たが、ひょんなことから惑星ベジータが滅亡する。
それを聞いた彼は……ずっと笑っていた。
笑いながら……仲間に指摘されて気付いた。
泣いていたことに。
今でも何故泣いていたのか彼はわからない。
『神精樹』というのを彼が知り、その種を手に入れたとき、彼はフリーザ軍として攻め入る傍ら、攻略対象ではない星にも足を伸ばし、『神精樹の実』を手に入れた。
それを口に含み、彼は確信した。
──自分自身がこの宇宙を支配できる特別なサイヤ人である、と。
時が過ぎ、やがて彼と彼の部下たちがクラッシャー軍団として知られ始めたとき──ふと、スカウターから通信を傍受した。
その通信は地球から発信されたものであり、どうやらそれを発信したやつはその事実に気付いていないらしい。
少々呆れながらもその通信を聞いたターレスは、ふといくつかの名前をきく。
ラディッツ、ナッパ、ベジータそして──カカロット。それとその息子。
……このクラッシャー軍団に迎え入れて戦力を補充するのもいいかもしれないな。
この考えが、ターレスの……いやクラッシャー軍団の命運を分かつものとなった。
──彼らはある宇宙船に襲われた。
それらは。彼の家と呼べる宇宙船を。
彼の新たな家族とも呼べたクラッシャー軍団を。
彼の全てを奪っていった。
(そこから、俺はこの地球に降り立った……)
そして記憶を失い、記憶を取り戻したころには珍妙な……しかしセンスはいいこの服を手に入れていた。
だが……それだけだ。それだけだった。
記憶を取り戻した自分に残っていたのは神のみが許される実、ただそれだけだった。
そこで彼は気付いた。
(……ひとりってことか)
自分が『孤独』であることに……。
(……俺は……寂しいと思っているのか……?)
決して……いや目をそらし続けていた事実に気付いてしまった。
ふと、洞の入り口に何かを感じ睨みつける。
そこには──。
「ラディッツ……トドメでも刺しに来たか?」
そう言って見つめる敵の表情は、しかして殺意のこもったものではなく……いやなんだこの顔は……?
「なんだお前その顔は……」
「ふん……俺は殺すつもりで来たんだが……その前にお前に会わせたいやつらがいる……」
「……俺に会わせたいやつ……?」
「ターレス!!!」
女の声がした。
見るとそこには、4人の人物がいたのだ。
「……このオレの顔を、……忘れたとは言わせねぇぞ……ターレス! ……記憶を取り戻したあと……オレ……あたしたちの記憶は無いのかよ……!」
その……悲痛にも聞こえる声にターレスは──。
◇◇◇◇◇
俺ことラディッツは元気玉を片手に浮かばせながら、ターレスから離れたところで向かいあっている。
あとは投げるだけではあるのだが──。
(ターレスが地球で過ごしていたとはなぁ……)
しかも、だ。
俺は横をちらりと、ターレスを見守る鶴仙人、桃白白、ユーリンといった鶴仙流の面々を見やる。
天津飯はもしものときのためについてきた。
(まさか──記憶をなくして鶴仙流に拾われていたとはな……)
俺自身の前世の記憶を引っ張り出してみる。
ターレスは確か……今は俺の弟である孫悟空が、もしも頭を打ち付けずにいたら……。
つまり、気性の荒いサイヤ人のままでいたら、というコンセプトの元に作られたキャラだったはずだ。
(そういうやつが、逆に頭を打ち付けたら……)
皆から好かれる弟のような存在に──なれるかは甚だ疑問ではあるが、少なくとも……鶴仙人たちとは良い絆を結んでいたらしい。
現に今、ターレスと浅くはない縁がありそうな女性がターレスに向かって叫ぶように話しかけている……。
心に響くほど、心を込めて精一杯──。
そう、これが天津飯たちからの頼みだ。
ターレスを説得したい、と。
もしかしたら地球での記憶を失っている可能性がある、と。
俺は少し前の、この木の洞に入る前の会話を振り返った。
==========
「相談? ……どうしたんだ?」
「ああ……そのだな、ターレスを倒す前に少し……、会話をさせて欲しいんだ」
会話? なぜ急に……。
いや真面目な天津飯の相談だ、何かあるに違いない。
「……理由を聞かせてもらえるか?」
「無論だ……俺から、よりもあの男の保護者たちから話をしてもらおう……恐縮だが少し地面側まで元気玉を作りながら焦らずゆっくりと早く迅速に降りてきてくれないか?」
(天津飯もしかしてハゲ弄りしたから怒ってるのか? ……ん?)
「──保護者?」
保護者とな? うーんターレスが実は地球産まれとか?
そう思いつつ天津飯に言われた通りに地面へ降りていると……。
「お初にお目にかかるのう……わしは鶴仙人というもんじゃ」
OH.
「私はその弟の桃白白……昔、貴様の弟の 孫 悟 空 に世話になったことがあってな」
O、OH.
「あたしはユーリン……頼む……ターレスを殺さないでやってくれ……アイツは……アイツは……ッ!」
……こんなかわいい娘がいたのか!?
ふざけんなよ鶴仙流……!!!!!
危ない危ない……あと少しで自分の煩悩を顔に出しそうになった俺はキリッと表情を険しくする。
「……もしかしたら悟空から話を聞いているかもしれんが、そんな険しい顔をしないでくれ、ラディッツ」
何を勘違いしたのか天津飯がフォローに入る。
俺はただちょっと煩悩がでそうなのを我慢しただけなのに。
だが幸いだ、相談とやらを聞いてみるか。
「……天津飯から相談があると聞いたが、どんな内容だ?」
「……このユーリンとな、ターレスと会わせ……いや、話をさせて欲しいのじゃ」
何故、と俺が問いかけるとこれまでの話と、推測を鶴仙人は聞かせてくれた。
なるほどなぁ……そりゃあ話がしたいのもわかる……だが……。
俺は一言だけ、伝えた。
「……危険だぞ」
「ほっほう! 駄目だとかではなく、『危険だ』とのたまうか……」
それはそうだ。天津飯ならまだ……まだともかく、鶴仙流の三人の戦闘力は……ハッキリ言うと足手まといなほど弱い。
故に連れて行くと、俺では守りきれない可能性がある。
しかもだ、元気玉を抱えてる身……かなり難しい。
「やめんか、弟。こいつはあの孫悟空の兄だぞ……わしらのことを甘っちょろく心配しとるんじゃろ」
鶴仙人に言い当てられ、俺の心は少し動揺する。
え? 読心術とかお持ちで? やべぇ転生したのがバレる。
「ふん……心配してもらわんでもそんな危険、わかっとるわい! ……もし殺されようが、それはわしらのしたことじゃ……気にはせんよ」
……別にバレたわけではなかった。
しかし……なぜそれだけの覚悟を……? このオレ少なくとも鶴仙人と桃白白はそんなキャラでは……。
「……何故そんな死地に向かうのか、といった顔をしておるな」
今度は桃白白に言い当てられた……調子が狂いやがるぜまったく。
「……最高の鶴仙流の後継者を、むざむざ死なせたくないだけだ。あいつには──ターレスにはそれだけの価値がある」
さらに桃白白はユーリンにちらりと視線をやると、息を吐くように付け足した。
「それに、これ以上……こやつの泣き顔も見飽きたのでな」
その目は、暗殺者とは思えないほどやさしかった。
──機械化されているからよくわからなかったけど、多分。
==========
改めて元気玉を構え、ターレスの動向を見守る俺。
何かあったらすぐに投げつけられるよう、心構えだけは常にしておかねば。
──それに、だ。
鶴仙人からユーリンに対し、この説得に一計を命じている。
(──ターレスが『それ』を出せるかで──変わるだろうな)
◇◇◇◇◇
(頼む、ターレス…………頼む……)
ひとしきりターレスに今まで過ごした時のことを叫ぶように話したユーリンは、祈るような気持ちでターレスを見ていた。
本当に少しでいい。今の話が何かのきっかけになって、ほんのちょっとだけでも思い出して欲しい。
そうすれば……ターレスとまた、笑い合える気がする。
鶴仙人や桃白白と一緒にまたバカ騒ぎができる気がする。
(だから……ターレス……)
──思い出してくれ。
どのくらいたっただろうか。
神妙な面持ちで彼女の話を聞いていたターレスが、ゆっくりと、ゆっくりとだが構えをといて──。
笑みを浮かべていた。
「……まったく……そうかい。俺は……とんだことをしでかしちまったな」
──通じた!!
その言葉を聞いたとき、彼女の心にはどれだけの安堵と喜びが広がったかわからない。
だが……、祈りが届いたのだ。
「ターレス……もしかして、記憶が……!」
「……ああ、その通りだ……世話をかけたな……」
(ああ……そうだよ、ターレス……世話を焼かせやがって……)
──もう二度と離してやるもんか。鶴仙流の後輩として死ぬまでこき使ってやる!
そう思いながら抱き着こうと駆けだそうとしたとき──。
鶴仙人と桃白白がそんな彼女の肩をガッシリと掴んで抑えていた。
(なんで…………これじゃ、ターレスを──)
──迎えに行けないじゃないか。
「……演技が下手だな、ターレス」
「え、演技だなんて……何言ってんだよ桃先生……そ、そんなわけないじゃ……!」
彼女は、自身を掴んでいる桃白白の手がかすかに震えていることに気付いた。
そして、その震えの意味を……察してしまった。
「そうだぜぇ……桃先生よぉ……俺ァ、ものすごく悲しいぞ……」
男──ターレスは心底悲哀に満ちた表情を浮かべる。
桃白白はその様子を鼻で笑った。
「ふん……自慢じゃないが、私は不利なときの演技にはいささか自信があってな……今のお前が、その演技の時の俺に被るんだよ、バーカ」
ピクリ、とターレスのこめかみが動く。
少し、苛ついているような感情に見える。
「……ただの推測じゃねぇか……桃先生さんよぉ……?」
「ならばターレス……一つ、おぬしにたずねたい」
鶴仙人が桃白白から引き継ぎ、ユーリンを指差す。
「この者の名前を答えよ」
「おいおい鶴師匠よぉ……これになんの意味が……」
──それ以上は聴きたくない。
「もしお前の記憶が戻った、ということであれば答えられる質問をしてやろう……この女の名前を答えよターレス!」
耳をふさぎたくても肩を掴む二人により手の自由が利かない
耳を塞ぐことができない。
──お願い。やめて……やめて……やめて……。
「あーあ……駄目だったかァ……」
──…………いやだ。嘘だ。いやだ。嘘だ。いやだ。嘘……。
「知らねぇよ……てめぇらや……その女なんて……ハッ!」
何かが頬を伝う感触とともに、彼女は崩れ落ち、それに伴い鶴仙人と桃白白の拘束も解かれた。
彼女の顔は虚ろという感情のみが見えていた。
「……俺だけでは死なん……てめぇらもみちづ──!」
「残念だが、それは叶わんぞターレス!」
ラディッツがターレスの言葉を遮るように大声を上げ、丸い球体のような何かをターレスへ投げつけたとき──。
ラディッツはしまった、と目を見開いた。
なぜなら……。
拘束を解かれ崩れ落ちたはずのユーリンが、静かに立ち上がってターレスの傍へ近づこうとしていた。
そう、その球の軌道上に──。
その顔は──もう先ほどと同じ、虚ろであった。
ナメック星ついてないのにターレス編がすごい長くなっちった。
ピッコロさんに叱られる。