ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~   作:ナッパにウィッグを。

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悟空「脳破壊ってなんだ、そいつはつぇぇんか!」
界王「悟空!いかん!!絶対に戦ってはならんぞ!!!」
悟空「へへ……そいつはちょっと約束できねぇな界王様……オラ、ワクワクすっぞ!!!!」


弟はナメック星へ 兄はあの世へ 強敵は地球へ ★24

「いよいよ明日でナメック星ですね、ピッコロさん!」

「ああ……」

 

 確認するかのように話しかけてくる悟飯にオレは相槌をうちつつ、この宇宙船から窓の外を覗き見ていた。

 闇よりも深い色をした空間になんとも言えない畏怖の念を感じるのは、宇宙という神秘がそうさせるのか、はたまたオレ自身が預かり知らないところでナメック星という『故郷』に期待しているのか──。

 

「ナメック星にベジータが居なかったらいいけど……まぁいる、よなぁ多分……」

 

 クリリンがぼそりと、まるで居ないとでも言ってほしい口振りでそう呟く。

 きちんと現実を見つめさせなければ。

 

「ふん……ベジータのことだ、既にたどり着いてドラゴンボールを集めているかもしれんぞ?」

「!? そ、そうだったら早く集めないと……いや! もう願いを叶えてたらオレたちに勝ち目ないぞ!!」

「た、大変ですよクリリンさん! ど、どうしましょう!」

 

 そうオレが注意を促すと、思った以上にクリリンが慌て始め、悟飯もそれに合わせて慌てふためく。

 からかいがいのある奴らだ、と口角を少し上げる。

 

「落ち着かないかふたりとも! ……ただの可能性だ、それにあんな怪我を負ったんだ……すぐに動けるわけがないだろう」

 

 すると途端に悟飯の慌ただしさがピタリと止んだ。

 

「そ、そうですよねピッコロさん! そんなにすぐ動けないですよね!」

「あ、あんなボロ雑巾みたいになってたもんな! 脅かすなよ〜ピッコロ……」

 

 なんでコイツラはこんなに切り替えが速いんだ? 

 そんなことを思いつつ、また見たことのないナメック星へ思いを馳せる。

 

(仮に──)

 

 拳をぎゅっと握る。

 

(仮にベジータとまたあったとしても……強さが変わらなければオレも悟飯も勝つだろう……クリリンも善戦する)

 

 不敵な笑みをたたえながら──。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

「暇だぜ」

 

 見飽きた天井を見つめながらオレはひとりそう呟く。

 寝転ぶしかないベッドの横にある窓から空を見上げれば、青々とした空が浮かぶ。

 

「──ほんと、いい星だ」

 

 ……自然もあり、食い物も美味い、重力も軽い。

 それに、だ。

 

「ようナッパ、見舞いに来たぜ」

「修行の合間だから大した土産はないがな」

「ナッパ、いつもでかい!」

 

 ガラガラと扉が開き、ヤムチャや天津飯、そして、チャオズが入ってくる。

 

「おう! お前らか! でかいのは生まれつきだぜハッハッハッ!」

 

 こいつらはよく見舞いに来てくれて、地球のことや身近なバカ話など色々としてくれる。

 サイヤ人として、そしてベジータの側にいたときの知識しかないオレにとってはその話は興味深く、面白いものだった。

 

 オレ様もオレ自身としての考えを話し、それはサイヤ人過ぎるなどの意見をもらったりして認識を改めたりする場でもあった。

 

 今回の見舞いは、オレと同じサイヤ人のターレスが地球を襲撃してから初めてであり、とても楽しみにしていた。

 

「いやー可愛かったなユーリンちゃん! ……でもあの娘、ターレスにべた惚れだしなぁ」

「ユーリンに手を出そうとしたらわかってるなヤムチャ?」

「アッハイ」

「ヤムチャ、手癖、悪い。だから振られる!」

「うっせ!!!」

 

 いつもと変わらない話、だがナッパにはいつもとは違う感情が芽生えていた。

 

「ナッパ、泣いてる。お腹痛いのか?」

 

 チャオズがオレの目から涙が出ていることに気付き、問いかける。

 ヤムチャや天津飯も、オレには似合わない涙にどうしたどうしたと声をかけてくる。

 

「いや……な……その、は、恥ずかしー話なんだが……」

 

 ──お前らが生きていて本当に良かった。

 

 そう口にするオレ。

 少し前、地球にくる前のオレ様なら絶対に言わないことをほろりと口にしてしまう。

 

「も、元々はお前も滅ぼしに来た側なのに……変わるもんだな人って……」

「泣き虫ナッパ!」

「へっ、うっせぇぞチャオズ! ……オレ様が変わったことは、オレが一番感じているさ……他の、サイヤ人が聞いたら笑われちまうな」

 

 ──ただな……それと一緒に湧き上がるものがあるんだよ。

 

 オレは重苦しい雰囲気を携えてそれを口にする。

 ただごとではない雰囲気を感じ、チャオズはからかっている口を止めた。

 

「……オレも、一歩間違えれば、お前たちより強ければ殺していたはずなんだよ、お前たちを。ターレスと同じ立場だったはずなんだぜ」

 

 オレは目を伏せつつ、考えてこなかった思いを伝える。

 

「それなのに、お前らと出会ってから、お前らの命を奪わなくてよかった、と勝手に安堵してるんだオレは……」

 

 心のもやもやを吐き捨てるかのように──。

 

「──……既に沢山の命を奪ってきたのにな」

 

 吐き捨てたはずのもやもやはオレ様の中で残るどころか、増え続けた。

 サイヤ人としての誇りはどうした? 破壊の限りを尽くすべきではないのか? 今更平和主義になるのか? 

 

 ─オレはここにいていいのか? 

 

 ふと場の雰囲気がかなり重いことに遅まきながら気付いた。

 当たり前だ、こんな話をしたんだからな。

 

「わ、わりぃな、ただの世迷言……」

「ナッパ、少しいいか?」

 

 雰囲気を誤魔化そうとした俺を、天津飯が制する。

 オレは黙る。が、その次の言葉が怖い。

 

「そうだな……俺は、今のナッパしか知らん。だから言えることだが……」

 

 ──お前はここにいていい。

 

「と、俺は思うぞ」

「そうだぜ!」

 

 天津飯の言葉にヤムチャも続く。

 

「俺も今のお前しか知らない。でも、お前だってそうだろ? 昔の俺を知らない。だけどな、一つ胸を張って言えることがある」

 

 ──お前は俺たちの仲間だ! 

 

「同じ地球を守った仲だしな!」

「そうそう! ナッパ、僕たちの仲間!」

 

 チャオズも加わる。

 ナッパは自分の目に更に熱いものを感じる。

 先ほどの涙とは確実に意味が異なる、同じ成分の液体が──。

 

「ありがとうよおま──」

「ところでよナッパ!」

 

 感謝を伝えようとしたとき、ヤムチャが割って入ってきた。

 その顔はニヤニヤと笑みを浮かべている。

 

「タイツとはどこまで進んだんだ〜?」

 

 オレ様の涙は引っ込んだ。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 ナッパの病室に入ろうかと思ったとき、中から話し声がした。

 多分、いつものナッパの友人たちなのだろう。

 

 いつもなら少し気を使ってしばらく何処かで暇つぶしをする私だが、ついドア越しに盗み聞きをしてしまった。

 

『タイツとはどこまで進んでんだ〜?』

 

 ズルッとドアの前でコケそうになる。

 

(この声はブルマの元彼ね……)

 

 女にだらしないのよアイツ! とか散々妹に聞かされていたが、人の恋路も気になるかしら。

 

(ナッパとはそういう関係じゃないけども……)

 

 小説のネタになると最初の方は病室を訪れていたけど、最近はナッパとのただの話が楽しいことに気付いたのはいつからだろうか。

 今までいろんな男性と出会ったことはあるけど、そのどれもが自分の実家を狙ったものだった気がする。

 

(サイヤ人だからかな? なんというか、変に純粋というかなんというか)

 

 最初の方はゆでだこみたいになっていたナッパも、今はちょっと緊張はしているけど楽しそうに話をしてくれる。

 その時間が本当に楽しいのだ。

 

『おい! ヤムチャ! な、なにを突然聞いているんだ!!』

『ヤムチャ……人のプライベートにあまり踏み込むのは感心せんぞ』

『そ、そんなに進んだりしてねぇよ……』

『話すのか……』

 

 やんややんやと病室の中では会話が弾んでいる。

 あたしは意識を再度、その会話に集中させる。

 

『天津飯はランチをなんとかしたほうがいいぞ。で、ナッパは結局タイツのことが好きなのか?』

『!?』

『……ああ、一目惚れってやつだな……あんなカワイイと思った人は初めてだ』

 

 今まで聞いたことが無い、あまりにも直球で、かつ飾り気のない言葉にドア向こうから苦笑いを浮かべる。

 それと同時に頬が赤くなるのを感じてしまい、戸惑う。

 

『もし告白するならどういう言葉をかけるつもりなんだナッパは?』

『ヤムチャ、人のプライベートに』

『ランチ』

『!?』

 

『ええと……そうだな……』

 

 ──タイツさん! 俺と結婚してください!! 

 

『かな、なんてデヘヘヘ……」

 

「いいわよ、結婚しましょうかナッパ」

 

 気が付いたらあたしは扉をスパァ──ッンと開けていた。

 

 ──やっちゃった☆




悟空「オレは怒ったぞぉおおおおおおおおおおお!タァアアアアアアアアレエエエエエエエエエス!!!!」

ターレス「えっ」
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