ドラゴンボール~兄より優れた弟は存在する!~   作:ナッパにウィッグを。

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優れた自慢の弟に兄如きが勝てると思っているのか? ★7

『蛇の道』を俺と悟空は駆け抜け……いや飛び抜けていた。

 

「うっひょー体が軽いなぁ! 兄ちゃん!!」

 

「ああすごいな……修行の成果か」

 

 俺はこれから地球へ向かうんだなぁ。

 地球─前世の地球とは全く異なる地球。

 

 ドラゴンボールの世界の地球……もしも落ち着いてゆっくりできることがあれば。

 前世で言うところの聖地巡礼でもしてみるか。

 

 

 閻魔大王の元に戻った俺たちは、そこで待っていた神様により地球へと移動した。

 去り際、閻魔大王が「あ、あの兄弟……ほ ほんとに界王様のもとから帰ってきおった……」とか驚いていたので

「じゃあな兄弟子」とだけ言っておいた。

 

 

 なんだ神様! 無礼者だって? 

 あー。

 

 ……すまん。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

「悟空!」

 

「悟空さ!」

 

 神様の神殿に到着した俺は、同じく到着した悟空と悟空の仲間たちの感動の再会を邪魔しないように

 遠くから離れて見守っていた。

 ─ピッコロと悟飯の姿はなかったが。修行中なんだろう。

 

 

(原作だと悲劇的な再会だったからな)

 

 ─何人かは物言わぬ骸として、悟飯とクリリンとは死にかけている状況での再会だった。

 

 こんな、和気あいあいとした再会にポカポカと温まるものを感じつつ俺は見ていた。

 

 ゆえに。

 

(悟空の仲間からしたら俺は敵……いや敵じゃない、と悟空は伝えてるだろうが……)

 

 歓迎がしづらい存在。

 悟空が死んだ要因。

 恐ろしい存在。

 

 それが『今』の俺の立ち位置だ。

 

 それでいい。このラディッツとして覚醒した俺の意識はそう思う。

 多くの許されないことをしたんだろう。

 

「それでいい」

 

 自分を納得させるように誰ともなく呟き、ふと気づいた。

 あの再会の輪から、誰かがこっちへ歩いてくる。

 

 そういえばなんか静かになっているな。

 学校で普段優しい先生がキレたときのような。

 

 近づいてくるのは誰だ? とオレは目を細める。

 

 ─悟空の妻、チチだった。

 

 怒りをまとっているオーラをまとわせて。

 

 いや『覚悟』してたけど。

 すまん弟。俺死んだわ。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

「悟空さ……そういやよ──」

 

 チチは悟空に抱き着いてひとしきり泣いたあと、

 ふと眉をひそめ─

 

「あそこで腕組みなんぞしてこっちを見てる男は、だれだべ?」

 

 誰もがあえて聞かずにいた、避けていた疑問を口にした。

 

「おう、オラの兄ちゃんのラディッツだぞ」

 

 ─広がる沈黙。

 

「─そうだべか。ちょっくら『挨拶』してくるだよ」

 

 ニコリと笑みを浮かべるチチの目は笑っていなかった。

 流石の悟空もそれに気づいたようで、慌てて自分の兄をフォローする。

 

「チ、チチ……あのよ、オラの兄ちゃんは確かにあんときは悪いやつだったけどよ……い、今は良いやつになったっちゅーかなんちゅーか……」

 

「悟空さ 何を焦っているだべ? オラはただ『挨拶』をしたいだけだべ」

 

 悟空のフォローは蚊ほども届かず、チチはラディッツの元へ向かい、そして─

 

 ─パチンッ! 

 

 ラディッツにおもいっきりビンタした。

 ポカーンとする悟空たち一同。

 当のラディッツはそんなチチをじっと見据えていた。

 

「あ、あわわ、わわ……ま、まずいぞ……」

 

 クリリンは震えていた。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 チチからビンタを受けた俺は、痛くもないそのビンタに

 ─『痛み』を感じていた。

 

 何を言うでもなく、ただ黙って俺を睨みつけているチチ。

 ─その目には涙が浮かんでおり─その肩は震えていた。

 

 最強と思われていた悟空とピッコロの二人がかりでも

 勝つことができなかった俺に対する、『恐怖』

 

 震えの原因。だが、それだけではない。

 いやそれ以上に。

 

 愛する夫と、愛する息子。

 その両方を奪った原因となった俺に対する、『怒り』

 

 その思いが、今回の行動なんだろう。

 

 いくら仲間になったとしても『はいそうですか』と納得できるものではない。

 悟空の『妻』として。悟飯の『母』として。

 俺を許せないのだろう。

 

 ─だからこそ俺は。

 

「許されるとは思っていないが……これだけは伝えさせてくれ」

 

 ─その言葉を伝え。

 

「すまなかった」

 

 ─頭を下げた。

 

 

 

 

 

「─頭を上げるだ」

 

 チチからそう告げられ、俺は頭を上げた。

 

 ─バチンッ

 

 先ほど叩かれた頬とは別の頬を叩かれた。

 

「はぁー……これで勘弁したるだ」

 

 深いため息をつくチチ。

 

 は? ビンタふたつで? 

 なんで? 

 

「……変な言い訳やらなんやらをずぅっとごちゃごちゃ言うやつだったらオラはもっと殴ってただ」

 

 目をぱちくりさせている俺を見て話すチチ。

 

「……だけどな、アンタはすぐに謝った。だからな、この件はこれでオシマイにしたるだ」

 

 ……確かに俺は本当に悪いことをしたと思い、簡潔ながら謝った。

 しかし、あのチチのことだ、絶対もっといろいろ言われると思っていたことは黙っておこう。

 

「でもだ! これは約束……は悟空さの兄だから難しいかもしれねぇけど! 伝えさせてけれ!」

 

 おい。悟空の兄だから難しいってどういうこった。

 悟空はチチからどう見られてるんだよ……心当たりたくさんあるな! 

 

 はっはっはっ! 

 

「もう二度とオラから悟空さたちを奪わねぇでけれ! 悟空さだけでも勝手なことばっかすんのに……こんな思いすんのはこりごりだべ!」

 

 ─まったく。

 

「……カカロット!」

 

 ─つくづく。

 

 チチの後ろで様子をうかがっている弟に俺は─

 

「お前は─よい嫁をもらったな! ……大事にしろよ?」

 

 ─幸せもんめ。

 

「お、おう! うるせぇのがたまにき─」

 

「それいじょういけない!!」

 

「お……おお……」

 

 慌てて悟空の言葉を大声で遮り黙らせた後、チチに向きなおして─

 

「悟空の兄だが─約束しよう」

 

 それから─

 

「あの勝手な弟のこと─これからも頼む」

 

 頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

「ご、悟空さの兄とは思えねぇやつだな……」

 

「な、いったろチチ! 兄ちゃんはすげぇって!」

 

「……ところで悟空さ、さっき『うるさいのが玉に瑕』とかいっただべか?」

 

「あっ……オ、オラそんなこと言ったかなあ? なぁ兄ちゃ─どこいくんだよ兄ちゃん!」

 

「 悟 空 さ ? 」

 

「は、早く助けてくれぇえええ! にいちゃぁああああああああああん!!」

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