何故か(重要)イナイレのガンマに転生してしまった人の話。
短編です。なんか思いついたので何となく書いてみました。多分続かないけどもしかしたら続くかもしれない(適当)

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久々にイナイレ観てたら思いつきました。


-01- プロローグ

 ――広大な海に浮かぶ、1つの人工島(メガフロート)。 

 南北に遥か3キロ、東西に1キロメートルもの面責を持つこの人工島は、その実ある戦士を育て上げるための養成施設である。

 その敷地の一角に、縦横300メートル程のドーム状の建築物が存在する。漆黒のハニカム状タイルと、規則的に発光するライトグリーンの光の帯が施されたそのドームの内部には、サッカーフィールドが広がっていた。

 天井から差す照明によってライトアップされた人工芝のフィールド。よく手入れの行き届いたその場所には現在、サッカボールを左足に敷く――1人の少年の姿があった。

 

「……っ! はああああぁぁ!!」

 

 少年は目を見開き、声を上げる。腕を振るう。

 すると突然、少年の背から溢れ出すようにして柴色の波動が渦巻くと、天へと勢いよく噴出された。そしてその凄まじいエネルギーの流れは、少年の動きに合わせるようにうねり、やがてある一定の形へと収束していく。

 再び、少年が腕を振るう。

 次の瞬間、その輪郭を完全なる異形へと変貌させた光は離散し、ついにそのヴェールを解き放つ。

 

「迅狼、リュカオンッ!!」

  

 そうして現れた、少年の背後。まるで彼を守護するかのように聳え立ったそれは、禍々しくもしかしどこか神秘的とすら感じさせるような巨大な、『狼』の姿だった。

 光を反射し輝く水玉色と、透き通るように美しい白銀の毛並みを合わせ持ち、その存在感は見るもの全てを喰らい尽くす。

 身体からすらりと伸びる2本の脚。その先に存在する鉤爪を大きく振り上げ、狼は少年の声に応えるように雄叫びを上げた。

 

 ――化身・『迅狼リュカオン』。

 

 己の『オーラ』を目に見える形として具現化させ、発動させるこの化身こそ、彼の持つ絶対的な力の象徴。 

 しかし、少年の力はまだこれだけではなかった。

 

 ――まだ終りではない。

 

「っ! はぁっ!」

 

 背に化身を携え、彼は大きく天へと跳躍する。

 そして、  

 

「アーームドッ!」  

 

 少年の掛け声に合わせ、さらに化身――『迅狼リュカオン』は姿を変えた。 

 化身から溢れ出しその身を包み込む新たな光は、柴色ではなく今度は金色に輝く塊として収束し、少年を中心に幾つもの閃光となって離散する。

 

「あ、あれは……っ?!」 

 

 不意に、誰かの口からそんな声が漏れた。

 現在コートの外には、少年の様子を観ている彼の仲間や、チームメイトたちがいる。だが、今は一部を覗くその誰もが顔に驚愕の表情を浮かべ、その少年の姿を見つめていた。

 彼らの瞳の中。――拡散したエネルギーはやがて少年の頭、腕、足、全身へと収束し、もう一度その姿を表す。

 

「あれが……」

「『化身アームド』……ガンマの奴、ついにやりやがった!」  

 

 そして再び、彼がフィールドに降り立つ。その身に『迅狼リュカオン』同様の水玉色の鎧と、背には左右3対に鉤爪のような翼を展開して。

 この姿、この力こそ、召喚した化身をさらに『鎧』として身に纏う最終奥義――『化身アームド』。

 未だかつて自分含め少年の周りで成功した者のいなかったこの絶技を、彼はついに成功させたのだ。

 

「……チィッ、あの野郎………ッ!!」

「……」

 

 周りから彼に驚愕と称賛の声が上がる中、

 

 ――しかし1人の少女は、悔しげに顔を、歪め拳を握り締める。

 ――しかし1人の少年は、化身を身に纏うその彼を、感情の読めない表情のまま見つめていた。

 

 様々な思いを一身に受け、その視線の先――少年は胸の前で己の手の平を見やりながら、全身を駆け巡る凄まじいパワーを実感していた。

 

「これが……化身アームドの力……」

 

 『化身アームド』。それをたった1人成功させた喜びに打ち震えながら、開いた手をギュっと握る。

 そして顔をあげ、その口に笑みを浮かべた少年――ガンマは宣言するように、己を象徴付ける言葉を、言い放った。  

 

「スマート!」  

 

 ● ◯ ● ◯ 

 

 

「『化身アームド』……やはり最初にものにしたのはガンマのようだな」

「ええ、そのようですね」

 

 少年の化身アームド、その一部始終をモニター越しに観ていた男は満足げに呟く。

 椅子に座って足を組み、長い黒髪を後ろで蓄えたその男は、側に控えていたゴーグルをつけた男に口を開いた。

 

「……アルファとベータの様子はどうなのかね?」

「いえ、僅かながら両名共に、未だ化身アームドへは至っておりません」

「そうか……、ならば、これが良い起爆剤になってくれればいいのだがな」

 

 そう言った男の顔に不満は無かった。

 もう一度視線を目前のモニターへと移す。しかしその瞳の先見据えるのは、本当の戦うべき、忌まわしき相手の姿。

 ――『奴ら』を倒す。そしてその先に世界を救う事ことこそが、この男の悲願に他ならず、それこそが少年に与えられた使命なのだ。

 その為には、一刻も早く彼らには『力』をつけてもらわねばならない。

 

「さて、ここからが本番だ」

  

 そう言って、男――意思決定機関『エルドラド』議長であるトウドウ・ヘイキチは不敵な笑みをこぼした。

 

 

 ● ◯ ● ◯

 

 

 ――突然だが、『イナズマイレブン』という超次元サッカーアニメをご存知だろうか?

 知っている人も、そうでない人もとりあえずどうか俺の話に耳を傾けて頂きたい。 

 ……で、そのシリーズの続編に『イナズマイレブンGO』というものがある。

 さらにさらに、その第2シーズンに『イナズマイレブンGO クロノ・ストーン』というものが存在する。その大まかなストーリーは、遥か200年後の未来から来た未来人が過去――つまり現在のサッカーを消し去ろうとしたり、はたまた過去に未来に主人公達がタイムスリップしたりとなかなかに超次元なものだ。

 その物語の中、主人公達と敵対するチームがあるんだが……いや、これ以上は長くなりそうなので、もう言いたいことのさわりに移りたいと思う。 

 

 ――僕は、この世界の人間ではない。俗に言う『転生者』というものだ。

 

 が、転生といっても神様とやらにイナズマイレブンの世界に転生したい、なんて願ったりした訳では無い。無いのだ(大事なことなので2回言わせてもらった)。

 では神様に会っていないのかと言われると、そういうわけでも無い。

 ……いやね? 多分それらしきものには会ったよ? あの状況を考えればあの時のアレは間違いなく神様というヤツだった……と思う。視覚的にも。

 俺は目を閉じて、その当時――過去の記憶を脳裏に思い起こす。 

 

 ――そう。あれはちょうど、俺が街の中古ショップで買ったビルドドライバーを腰に巻きつけ、両手にフルボトルを持ち、いざ実験を開始しようという矢先であった。

 

   

 

 〜回想〜

 

 

 ふと気がつくと、一面真っ白な世界に俺は立っていた。

 何も無い見渡す限りの『白』がどこまでも続いている。

 

「……ファッ?!」

 

 なんの合図もなければ、きっかけさえ無かった。突然視界が……いや世界が切り替わったのだ。

 気付けば巻いていた筈のビルドドライバーは消え、両手に握っていたフルボトルも消失し、俺は奇妙な格好のまま佇む羽目になってしまった。

 

「……………エッ? ……エッ? ち、ちょっと待って、は? なに? ここ何処よ? 俺の部屋じゃない……つぅか…あ、あれっ?! 俺のビルドドライバーは?」 

 

 と、俺が慌てふためいていると、ふと背後に気配を感じる。

 振り向いてみると、そこにはでかでかと『神』という字がプリントされた白の半袖Tシャツに何故かその下はふんどし一丁、さらに額にも達筆で『神』と書かれた見た目70歳くらいの髭の生えた爺さんが眼を閉じ立っていた。

  

「………」

「………」

 

 ――もう、分からなかった。この時点で既になにもかもが、分からない。 

 お前は何者なんだとか、ここは何処なんだとか、筋肉ムキムキ過ぎてTシャツのサイズ合ってませんよだとか……言いたいことは色々あったと思うんだが、なに1つ俺の口から出てくることは無かった。代わりに俺の視線は、そいつが腰に巻いている消えたはずのビルドドライバーを捉えた。

 

「ああ! それ俺のビルドドライバー! つか、え? あんた誰?」

 

 しかしそいつは、俺の疑問をすべてがん無視し(ふざけんな)、目をカッと開くと、これまた無くなった筈のフルボトルをいつの間にか両手に掲げていた。

 聴き慣れたシャカシャカ音と共に神様(仮)は流れるようにボトルをベルトにセットする。

 

『カミサマ!』 

『テンセイ!』

 

『ベストマッチ!!』

 

「え、ちょ……っ」 

 

 一心不乱にベルトのハンドルを回す神様へと向けられた俺の声は、鳴りひびくズンチャーズンチャーというサウンドに掻き消された。

 そして、

 

『アーユーレディ?!』

「Here we go!!!」

「いや待」

 

 それを最後に俺の意識は途切れたのだった。

 

 

〜回想終了〜

 

 

 

 異常です。あ、間違えた、以上です。いや、別になんも間違えてない気もするが。

 なんというか、「すまないお前を誤って殺してしまった、代わりに(以下略)」的なお約束の展開も何も無くただ突然転生させられたのだ。

 ……今冷静に思い返してみても意味が分からん。つーか返せよ、俺のビルドドライバーをさ。俺まだ買って1回も遊んでねーんだぞ。

 まぁ、もうそれはいいとして。

 ――で、どうやら俺が転生させられたのは前世の世界よりも遥か未来の世界であるらしかった。

 異常に高いビル群に空飛ぶ車、西暦2213年とかいうぶっ飛んだ年を聞かされてはいやでも理解する。ていうか実際した。

 だが問題はここでは無い、ここからだ。

 この世界は現在、『セカンドステージチルドレン』という簡単に言ってとんでもない力を持った子供たちによって脅威に晒されているらしく、それに対抗して『エルドラド』という組織がサッカーを消すために頑張っているらしい。ちなみに、何故エルドラドがサッカーを消そうとしているかというと、なんでもそのセカンドステージチルドレンというのは過去の優秀なサッカー選手の遺伝子から生まれたからだ。

 

 ――ふむふむ。なるほどなるほど。

 

 ……いやこれイナイレじゃん。

 セカンドステージチルドレンとかエルドラドとかってもうこれ『イナクロ』じゃん!!……と頭を抱えたのはもう10年も前のこと。

 ちょうど世代的に観ていた懐かしいアニメの世界に転生したらしかったが……なんでこっち(未来人しいてはエルドラド)側やねん! どうせならそっち(雷門しいては主人公)側に転生させろよーーなんて思ったりもしたが、それももう後の祭り。

 俺は仕方なく、イナイレの世界だからかこの世界の文化である超次元サッカーにガキの頃から浸っていると、案の定3年前にセカンドステージチルドレンの『フェーダ』という組織がエルドラドに宣戦布告、それでさっき述べた事態になっている訳だ。

 んで目には目を、歯に歯を……サッカーを消すにはサッカーをということでエルドラドは世界中からサッカーが得意な少年少女を集めたのもちょうど同じ時期な訳で。

 もちろん俺もその募集に参加した。自慢じゃ無いがその頃の俺は結構ブイブイ言わせていてな。神様のおかげか前世の知識か、とにかく地元の方じゃそれなりに名の知れたサッカー少年だったもんで、あわよくば『プロトコルオメガ』に入って(ベータたんのチームなら尚良し)チョイ役でもいいから活躍したいなー……と、我ながら下心丸出しでエルドラドの方に出向いたんだ。

 で、1ヶ月にも及ぶ厳密な適性検査の結果……俺は無事合格。

 エルドラドによって選ばれた『ルートエージェント』として、晴れてチーム・プロトコルオメガの一員となることができたのだ。

 

 ――……が、しかし。

 

 この時、それよりもある圧倒的な問題が浮上していた。

 俺はエルドラドから送られたその合格通知及び詳細の書類を、穴が開くほど眺めていた。

 そこには色んなことが事細かく書かれてあるんだが、大事な部分だけを要約するとこう書かれている。

 

 『チーム・プロトコルオメガ3.0――キャプテン:コードネーム『ガンマ』に任命する』 

 

「………」

 

 思わずその書類を落としてしまったが、この時の俺はそれどころでは無かった。

 俺はすぐさま届いたプロトコルオメガのユニフォームに着替えると、震える足で自室の姿見の前に立つ。

 それからやったことは単純、俺はゆっくりと、両手で、自分の髪の毛を逆立ててみた。

 ――そうして、鏡の中に現れたのは、

 

「……嘘やん」

 

 整った顔立ちは、ややツリ目でキザったらしく。

 何故今まで気付かなかったのか……鏡に写る自分の姿と、記憶の中のそいつは今完全に一致した。

 ……間違いない。俺は、イナズマイレブンGO クロノストーンに登場するキャラクター……チームプロトコルオメガ3.0のキャプテンであり、そして――

 

 事あるごとに「スマート」という単語を連呼し、

 

 登場してからいきなりザナーク一人にチームを全滅させられた上、洗脳され、

 

 ボスキャラであるにも関わらず、必殺技・化身技共にほとんど登場しないまま出番が終了し、

 

 退場際に「ザナッ…」とザナークの名前すら最後まで言わせてもらえず、どこかへ飛ばされ、

 

 挙句ギルとの試合で、ザナークから顔面にボールをぶつけられたり(通称「顔面パス」)……と、数えればきりが無いほど残念な扱いをされてきた

 

 

――あの(・・)『ガンマ』だったのだ。

 

 

 ● ◯ ● ◯

 

 ――これはなんの因果か、ガンマに転生してしまった少年が、名誉挽回のためスマートに頑張るお話である。

 

 




閲覧ありがとうございました。多分続きません。

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