楽屋に設置されたテレビ、その画面の向こうで二人の可憐な少女が海賊の格好をして向かい合っていた。
『さあ帆を上げろ!いざ行かん未開の大地へ!』
幼げな可愛らしい外見をしている少女、かなが勇ましい声を上げ、サーベルを画面に向ける。
外見と台詞のギャップがいい味を出しており、そのよく響く発声は日々の努力を感じさせていた。
『させない!あの大秘宝を手にするのはこの世に唯一人だけ』
続いて長い髪を靡かせて大人びた美しい少女、あかねがかなに対抗するように声を出して、二人は鍔迫り合いへと移行する。
凛とした表情を見せるあかねもまた、普段の淑やかな彼女を知っている者からすれば、こんな演技もできるんだなとその演技幅を再認識させるものだ。
二人とも半年ほど前に散々舞台で稽古をしてきたのもあってか、殺陣のキレは誰が見て文句などありはしない。
画面越しにも伝わる躍動感は画面の中で繰り広げられる戦いに視聴者を引き込む。
『許さない絶対に!この私が!』
『……はっ!やってみな!!』
『のぞむところ!!!』
どちらも譲れない何かがある。
表情を見るだけで背景など語られずとも察する事ができるだろう。
互いの武器を弾き飛ばし合い、二人は徒手空拳に移行するのかというほどに接近する。
『……そんな暑〜い夏はサラッと汗ふき☆』
『サラスペクタルシート!!!』
次の瞬間、険悪な空気はどこへやら、二人ともほんのり流す汗を煌めかせながら手を取り合い、笑顔で商品の宣伝をする。
そう、先程からテレビで流れていたのは最近話題のCMだった。
「いや〜皆売れてるねぇ〜。かなちゃんとあかねちゃんの戦いが様になっていて話題になって売れ行き好調!更にファンが作ったキャットファイトMAD動画で人気爆発!!品切れ連続でCM出したとこは笑いが止まらないんじゃない!?」
CMを見ながら笑顔で話すMEMちょに対してアクアは複雑な表情を浮かべる。
MEMちょの言うMAD動画とは、このCMをベースにサラスペクタルシートの代わりにアクアを取り合うキャットファイトに変更された代物だ。
かなとあかねの台詞も所々別の素材からアクアに対する台詞を調達しているが、違和感もなく、高いクオリティーを維持しており動画としての完成度が高い。
二人の演技力が完璧に発揮された事によって、元から話題性のあったCMなのだが、このMAD動画によってネット路線でも更に人気を伸ばしている。
「俺はフリー素材じゃないんだが」
アクアも当然動画については確認しており、二人に引っ掴まれたアクアは、少し情けない役をやった時の映像から持ってきた映像が使われている。
一部から『美少女に取り合いされるのが世界一似合う男』なんて勝手に言われていたりする。
「まぁまぁ、二人の人気を更に上げる要素になったと思ってさ。というかアクたんが小さい頃からクールなのに所々ネタキャラみたいになるからだよ?」
「ネタキャラって言うなよ。ただちょっとドルオタ見せたりしただけだろ」
「ちょっと???」
アクアの言葉にMEMちょは首を傾げる。
ヲタ芸赤ちゃん動画は10桁の大台に乗っている再生数を誇る世界レベルのヒットコンテンツだ。
アクアとルビーの人気が増加するごとにその勢いは加速しており、もうアクアがクールな仕草やカッコいい佇まいをしても『でもコイツ重度のアイオタクでシスコンでドルオタなんだよなぁ』という思考が入り、気軽にネタキャラにしても許されるという風潮を作り出していた。
何か言いたげなアクアに対してMEMちょは話をずらす。
「でもかなちゃんとあかねちゃんの二人をチョイスした時点で、制作陣はアクたんを使った動画とか作られるって読んでたと思うんだよね。やっぱ歴戦の人たちは凄いよ~」
「制作の意図か、MEMらしい視点だな」
「アクたんも結構意識してるでしょ?でもこれ大事な事だよ!私たちはアイドル、芸能人なんだから。周囲がどうやったら注目をするのか常に調べるのは売れ続けるために重要!目指せバズらせのプロ!」
常に視聴者のトレンドを意識して立ち振る舞うその姿に、アクアはC式部という10年選手になるアイドルをやっているだけあるなと感心する。
そんなC式部も今は世代交代が進んできており、初期メンバーはMEMちょ含めてあと二人。
そして今年中に初期メンバーはMEMちょ一人となる予定である。
それでもMEMちょと事務所双方のマーケティングによって、世代交代後も比較的上手く成功しており、以前よりゆらのようなスターがいなくなった分わずかに人気を落としているものの、そのパフォーマンスとワードセンスでトップアイドルの一角を維持している。
彼女の言葉にはそういった人気を保ち続けてきた実績に裏打ちされた説得力があった。
「それはそうかもな。MEMは最近YouTubeの個人チャンネルも相当動画上手く行っているみたいだし、経営方面の才能あるんだろ……将来はプロデューサーなんて向いてるんじゃないか?」
「いいねぇ、今度は私が夢見るひよっこアイドル達を導く敏腕プロデューサー!アイドル引退したら配信と兼業で考えてみてもいいかも……。目指せ打倒アクたん!!」
元気に告げられたそんな一言にアクアは困惑する。
「俺は別にアイドルプロデューサーなんてやった覚えはないが」
「B小町R陰のプロデューサーじゃん。自分の好みの女の子を5人集めたら超人気グループになったなろう系って最近ネットで話題だよ?」
(……部分だけ切り取られると否定できないから返答に困るなこれ)
この話を続けるのは少々困ると考えたアクアは、話を変える意味も込めてMEMちょに気になっていた事を質問する。
「そういやタレント業だけじゃなくて自分のチャンネルや『C式部ちゃんねる』の管理までしてるってのに時間どうやって作ってるんだ?参考までに教えて欲しいんだが」
「なんか話逸らされた気が……まぁいいけど。アクたん今死ぬほど忙しいもんね、今日も事前に仕事してからここ来てるし」
「話題性と……あとは単純に俺が関係性で使いやすいのは大きいだろうな」
MEMちょはこれから自分と仕事があるアクアの疲労具合を察して苦笑する。
既にフリルと共にゲストで呼ばれたバラエティーの撮影、映画の準主演としてあかねと撮影という仕事をこなしてきたアクア。
これからMEMちょと仕事があり、終わってからは家に帰ることができるが、明日予定されている『苺プロ公式配信』の司会原稿を再確認したりと休まるときはない。
来週に迫ったコミケ当日が綺麗に空いていたのは奇跡だったなと今の自分の予定を見てアクアは内心で思っている程だ。
『鷹研ぎ』の放送がどんどんと評判になっていくにつれてアクアの日程は比例するように過密になっていっている。
アクアはそのキャラ立ちもそうだが、スター性のある存在との関係性が多い。
B小町Rのメンバーだけでなく、C式部やアイとも繋がりがあるため、苺プロのメンバーを呼びたい時に一番組み合わせとして採用されやすい。
他メンバーと比較しても多忙になるのはある意味仕方がない事なのかもしれない。
「私は配信も趣味みたいな感じだから忙しいって感じに感じてないんだよねぇ。あとは休みの日に好きな事思いっきりやってリフレッシュ!」
「なるほどな、時間を作ると言うよりは時間一つ一つを大切にって感じか」
「そうそう。アクたんの場合は単独で参加よりB小町Rの誰かといる事が多いでしょ?だからその時共演している子との時間を目いっぱい楽しむみたいな」
フリルの台詞からB小町Rの中で何か密約があると考えているMEMちょは自分なりにアクアに合った対処法を説明した。
今MEMちょとしているようにアクアは話を繋げるのが上手いため、こういった隙間時間も楽しく過ごせるのでは?と思っての提案だった。
アクアも確かにと思い、MEMちょに感謝を口にする。
「ありがとうMEM。参考になった」
「どういたしまして。私もアクたんによくお世話になってるし」
MEMちょは軽い感じで返し、話のキリもいいので別の話を振る事にする。
「共演と言えばさ話は変わるんだけど、私とアクたんの組み合わせでCMなんてマニアックな趣味の人もいるもんだねぇ」
この日の仕事はCMの撮影で、なんとアクアとMEMちょの共演だった。
地味に地上波ではかなり珍しい組み合わせである。
ただこれには理由があった。
「まぁジャンル的にはおねショタだしマニアックかもな。いつかの『大好きゲーム』なんかも」
「わー!黒歴史掘り返さないでぇ!?アクたんショタ時代ホント天使みたいだったんだからしょうがなくない!?」
C式部が昔やった地獄企画を掘り返されてMEMちょは発案者として頭を抱えた。
当時から大人びていたアクアは、自分の容姿を存分に活かしてC式部全員を赤面させた過去を持つ。
当時を思い出すとMEMちょはなんという醜態をとネットタトゥーに怯えていた。
「またやるか?」
アクアはガラリと気配を変えて、外見は違うのに純真無垢な少年のような雰囲気を醸し出す。
アクアの『俺は小学生です』という嘘を真実として押し付ける演技に、MEMちょは頭を抱えていた。
「普通にショタに見える演技突然やるのやめてぇ、頭と視界のギャップでおかしくなっちゃうから!?」
「そもそもあの企画ってMEMが『アクたんの照れ顔見たいよね!!』ってごり押した企画なんだろ?自業自得じゃねぇか」
「うぐっ……何も反論できない」
昔の自分はどうしてあんなことをと内心で後悔するMEMちょ。
ただアクアはこの仕事が来た経緯を壱護経由で知っているため、そこまで悲しむ必要はないのでは?と思っていたりする。
「でも今回の仕事自体、そもそもあの動画がきっかけらしいぞ。俺とMEMが一緒に画面に映ってる時って殆どが『C式部ちゃんねる』の幼い頃だし、成長した俺を見たMEMの反応が見てみたかったらしい。素材も豊富だしな」
「そうだったの!?アクたんが子供の頃の映像どうするんだろう?って思ってたけどそこから取ってくるのかな」
「俺たちの素材は豊富にあるだろうな」
今回は子供の成長を見守る安全の家造りといった不動産のCMだ。
そのため、アクアとゆら、もしくはアクアとMEMちょの二択で依頼者も悩んだらしい。
結果としてこの組み合わせになったのは、彼がMEMちょのファンだからとのことで、私情がどっぷり入っていた。
「というか、どうしても嫌なら使用許可絞ったらいいんじゃないか?」
「さっき散々バズらせがどうこう言ったからねぇ。流石にこういう美味しいネタから逃げるわけには」
「数字の奴隷かよ」
アクアの呆れたような表情にMEMちょはグサっと心をえぐられる。
とはいえアクア自身も自分の秘密に直結するような話でないならば、使用許可を出すためあまり人の事は言えないのだが、今は棚に上げていた。
「すみませんお二人ともお待たせしてしまって。撮影準備に入ります」
「とにかくアクたん!私は演技経験少ないし、見慣れてるアクたんが大人になった事に対する反応とかちゃんと演技できるか不安だからフォローよろしく!」
「MEMは人に見られる事を意識するの上手いから大丈夫だろ。まぁ分かった、やれるだけはやる」
移動しながら最後にそんな話をして、撮影に入る二人。
アクアが願われた通りに『成長したアクア』という存在をしっかり演技で焼き付ける事によって、MEMちょは特に演技をする必要もなく歓喜、混乱、感動、羞恥とカメラマンに要求された表情をアクアによって自在に引き出される事になる。
そして撮影後MEMちょは『アクたんに弄ばれた!年上としての威厳がぁ』と不満を零したようだが、アクアは努めて聞かないフリをしてスルーしたのだった。
後日このCMが公開されたときには『#いい加減にしろ星野アクア』というタグで色々と邪推コメントがトレンドを席巻することになり、アクアは彼女達に何も疚しい所はなかったと説明する羽目になる。
撮影も時間通りに終わり、アクアが帰宅すると待ち構えていたかのようにエプロンを着たルビーに出迎えられる。
ニコニコしている彼女に対してアクアも微笑み返しながら帰宅の言葉を口にする。
「ただいま」
「おにいちゃんお帰り~今日は大変だったね……」
ルビーはアクアの今日の予定を知っており、労わるような口調で言葉を続ける。
彼女自身も仕事が増えてきている事もあってアクアの体感している大変さが想像できるようになったため、より感情の籠った言葉となっていた。
「ママもさっき帰ってきたから今日も皆揃ってご飯だよ!今日は私が作ったシチューだから美味しく食べてね」
「ルビーのシチューか。隠し味まだ分からないんだよな、旨いからいいけど」
「そう!?えへへ、隠し味はあいじょーだよ?気合入れて作ったから楽しみにしててね」
アクアに料理を褒められてニマニマとするルビー。
ルビーの返しにアクアははぐらかしているのか本当にそうなのか読み取れず内心少し困惑した。
手洗いうがいを済ませてリビングに向かうと、アイがルビーと一緒に食器を並べている姿が目に入る。
アイの方もアクアが入ってきたのに気が付いたようで目が合うと瞳からパッと光が出たような笑顔になった。
「おかえりアクア。お疲れだったね~」
「ただいま、二人とも全部準備してもらって悪いな。片付けは俺がやるから」
「アクアは疲れてるし私がやっとくよ?今日はそんなにスケジュールハードじゃなかったし」
アイの言葉は決して嘘ではない。
撮影も午後からだけで時間も短時間。今日はアイにしては余裕のある日程になっていた。
そんなアイの言葉にルビーも便乗する。
「そうそう!今週ずーっとお仕事だし大変でしょ?私とママに任せてちょっとでも身体休めたらいいよ」
「そういうわけには……分かった。代わりに今度ルビーとアイが忙しい時は俺が全部やるからな」
「アクアが甘えてくれるようになって嬉しいよぉ、ママ甲斐があるなぁ」
アイとルビーのウルウルとした視線に耐えかねてアクアが根負けして頷くと、謎の造語を作って息子の成長を喜ぶアイ。
前世からアクアはあまり人に頼らない気質という情報をルビーから仕入れているアイは、自分が頼られる事にとても喜びを感じていた。
以前は遠慮していたような事も無意識に頼んでくれる息子にとびきりの愛を向けている。
ちょうどルビーが最後の器を持ってきて三人分の食事が揃う。
「「「いただきます」」」
三人で口を揃えて言ってからルビーの作った晩御飯を食べ始める。
「どう?おにいちゃん、ママ!時間調整とかも上手くできたなぁって思ってるんだけど……」
ちょっとだけ不安そうにそんな事を言うルビー。
もう何年も料理をする機会はあったのにいまだに二人から感想をもらう瞬間は緊張するものだ。
「美味しいよルビー!天才!!ルビーはアイドルも最高だけど料理人も目指せちゃう」
「えへへ〜そうかなぁ」
照れた表情を浮かべるルビー。続いて今度は期待を込めた視線をアクアに向ける。
アクアはアイの答えを聞きながら黙々と動かしていた手を止めて短く感想を告げた。
「……うまい。毎日でも食べたいくらいだ」
「っ〜〜〜!!せんせ好き!結婚して!!」
アクアの言葉にルビーは感極まってもはやお決まりとなった言葉を口にする。
それに対してアクアは淡々と返事をする。
「法律的に無理だから事実婚で勘弁して」
「むぅ……おにいちゃんのいけず……あれ?」
「よかったねルビー、ずっと一緒にいてくれるって!勿論私も一緒にいてもいいよね?」
「はいはい……ルビー?」
アクアの言葉にルビーではなくアイが反応する。ルビーは逆にアクアのセリフを聞いてその意味を咀嚼し終わったところで完全に機能停止をしていた。
完全に固まったルビーにアクアとアイは視線を見合わせてからアクアから声をかける。
「……」
「ルビー、食わないと冷めるぞ」
「はっ!?おにいちゃんが受け入れてくれた夢を見た気がする!」
どうやら衝撃的過ぎてルビーは先程までの会話を夢だと思い込んでしまったらしい。
笑顔でまた食べ始めたルビーを見て流石のアイも苦笑しながら小声でアクアに話しかける。
「いいの?アクア、ルビー記憶飛んじゃってるよ?」
「そのうち俺の方から言うからまぁ流れで言うよりはよかった気がする」
「ふふっアクアも男の子だね〜」
「……ごちそうさま」
アイのからかい交じりな言葉に少し照れ臭くなったアクアは、ガツガツとだがしっかり味わってご飯を食べて逃げるように食器を片付ける。
そんなアクアをアイは笑顔で見送ったのだった。
食事が終わり、皆の食器片付けが終わったアイとルビーがキッチンから出てくる。
アイはソファーで何かを読んでいるアクアを見て、何を見ているのか興味深そうに後ろからのぞき込んだ。
「あっ!それ公式配信の原稿?」
「そう、母さんも共演だろ?大体知ってる内容しかないぞ」
明日の生配信で司会役に任命されているアクアは、必要な情報を頭に叩き込むため、二人にもらった時間を使って原稿を読んでいた。
「大体って事は知らない事もあるんだ。アクアと久々に共演もあるし楽しみ!」
アイは数年ぶりのアクアとの共演でいつも以上にテンションが高い。
今回はアクアが司会、アイはそのアシスタントという形だ。
それなりに二人の掛け合いなども予定されているが、台本には二人のアドリブでお願いしますという雑な記載になっていたりする。
「おにいちゃんだけズルい!私もママと共演したい」
「何言ってんだ、今月に共演あるだろ」
「そうだけどさ〜放送月末じゃん!」
既にルビーはドームライブを達成している。
親子関係についても計画があるため心配はそこまで必要ない。
そのため、これまではしてこなかった二人の共演はこれから増える予定となっていた。
「アクアと共演なかったのは、ルビーだけが共演しないのは流石にって理由だもんね〜」
「おにいちゃん大好きぃ!!」
「……暑い」
ハートを飛ばしながらルビーはベッタリとアクアに抱きつく。
アクアは意図的にげんなりした表情を作りながら苦言した。
そんな二人を見てアイは目の色を変えてスマホを取り出した。
「恋するルビーきゃわ〜〜〜〜〜!!鬱陶しそうな返事なのに優しい目をしてるアクアもきゃわ〜〜〜〜〜〜〜!!ウチの子達、二人とも最高過ぎるよぉ……」
「そんなに声出したら近所迷惑になるぞ」
「防音バッチリだからだいじょーぶ!!」
すぐさまパシャパシャとシャッターを切る音が聞こえてくるのはアイらしいと言うべきか、苺プロらしいと言うべきか。
身内にカメラ魔が多いのを理解しているアクアは騒ぐアイに冷静にツッコミを入れるが、彼女は自信満々に反論する。
自分の用意した家なだけあって特性はしっかり把握していた。
そんなアイに苦笑をしながらも幸せを感じるアクアは、この幸せを守るために頭の中で、今動いている計画について考える。
(『15年の嘘』の脚本もほぼ完成。『星野アイ』宣言も近づいて来ている。あとは問題ないかを確認しながら出来る事をするだけだ)
今後アイとアクア、ルビーとの共演は加速度的に増える。
そしてそんな中で、予定通りならば9〜10月には作戦が決行される。
うまくスキャンダルを乗り切ることができる想定ではあるものの、最悪に備えてアクアは最近、時間を見つけては勉強をしていたりする。
(もし万が一俺たちが芸能界に居られなくなった時の就職先も考えて動いている。相当貯金もあるし、資産運用もして資金はかなりのものだ。違約金の事を考えても母さん含めて全員養うくらいは出来る。だから大丈夫)
勿論上手くいくと信じているのだが、世の中に絶対はない。
少し自分に勇気を奮い立たせるようにアクアは自分の中で言い聞かせる。
幸せな日々を守るため、より幸せを掴むために星野家だけでなく苺プロ全体が動いている。
それが上手くいくかは神のみが知っていた。