【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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懐古

翌日、この日もアクアは午前中から仕事が入っていた。

同じ仕事であるフリルと共にスタジオに行くと、依頼主は既に待機している。

 

「早かったな早熟、不知火フリル」

「今日も外せない予定があるし、後ろ倒しにする訳にもいかないからな」

「『鷹研ぎ』以外もかなり仕事してるみたいだしな。予定取るのが大変だったぜ……特に今月はちょっと異常だ。あんま無理すんなよ」

「分かってる。けどここが勝負だからな」

 

アクアの多忙っぷりは業界内でも噂になっている。

五反田もそれを知っていたため早めに予定を確保していた。

対してアクアは今月どこまで星野アクアという存在を世間に広められるかが勝負だと思っている。

多少無理するのは当然とすら考えていた。

 

「やほーカントク。今日もよろしく」

「……なんかお前もすっかり俺への態度もラフになったな」

 

アクアの隣にいたフリルは、二人の会話が落ち着いたところで軽い感じに五反田へと挨拶をする。

そんな下手をすればアクアより軽い感じに話しかける彼女に対して五反田は呆れたような視線を向けた。

五反田は内心でどうせお前のせいだぞとアクアに言ってやりたい気持ちになりながらフリルの答えを待つ。

 

「マリンがカントクには懐いてるから私も理解ある女しようと思って」

「だろうな、どうせそんなことだろうと思ったよ」

 

五反田の前でも今まで通り、いやキスを見せつけただけあって今まで以上に愛情を飛ばすフリルに五反田は圧倒されて後退る。

 

(早熟も、優秀で美人だけどすげぇインパクトある奴に捕まったもんだ)

 

アクアの今後に関して羨ましいような労わるような複雑な感情を向けながら、五反田はふと思ったことを口に出す。

 

「あの小さかった早熟も彼女持ちか……俺も年食ったもんだ」

 

五反田がアクアと初めて会った時、アクアはまだ一歳やそこらだった。

どこか気味が悪い面白いところのある顔の整ったガキだと思っていたアクアが、いつのまにか彼女が出来るような年齢になっていることに五反田は衝撃と感動を覚えていた。

それなりに一緒の時間を過ごしているだけあって、アクア本人には絶対に言わないが、五反田としては自分の親戚に近い感覚で接してしまっており、感慨深くなるのも無理ないことだろう。

そんな五反田の感情を誤解したのかアクアは少し申し訳なさそうに一つ提案をする。

 

「あーカントクがまだ婚活するつもりなら、俺も知人に誰かいい人がいないか探しておこうか?」

「……いやいい。お前の知り合いなんて9割はお前の事を潜在的に好きな奴か理想が上がっちゃってる奴だろ。失敗するのが目に見えてる」

 

アクアの外見は勿論の事、なんだかんだ彼がお人好しな事を知っている五反田は、どうせ知らない所でもモテてるだろと内心で決めつけていた。

そもそもアクアが紹介出来る程仲の良い相手なんて、ほとんどは自分と年齢が離れすぎているという悲しい現実も認めており、きっぱりと拒否をする。

ただ断り方がアクアとしては気になったらしく少し突っかかる。

 

「カントクは俺の事なんだと思ってるんだよ」

「聞きたいか?」

「いや、遠慮しとく」

 

二人のやり取りを聞いてフリルは、疲れが溜まってきているだろうアクアのいい気分転換になりそうと思いながら静かに聞いている。

その綺麗な顔には、ほんのりと笑みが浮かんでいた。

 

「にしても正直意外だったな。お前は有馬か黒川を選ぶと思ってたんだが……いや、まさかな」

「あっカントク私の事を負けヒロインだと思って見てたんだ」

 

自分に関係する話題が出たため、流石にフリルも話に乗る。

実際は自分でもさっさと二番手狙いに切り替えていたためそこまで気にしていないフリルだが、あえて演技力を駆使して五反田を揶揄うために、悲しそうな声を出力する。

フリルの悲壮感は確かなものに感じられ、その反応を本気だと思った五反田は失言だったかと慌てて弁明をし始めた。

 

「悪い、そう言うつもりじゃなくてだな……アイの件共有してる奴らが一番有利だと思ってただけだ。他意はねぇよ」

「ふふっ冗談。ごめんねカントク」

(マリンが最初に選んだのは色々因縁があるルビーだったみたいだし、前世の事知らなかったら納得の結論かな)

 

アクアもフリルも実は決定的な言葉は使っていない。

五反田を信頼していない訳ではないのだが、そこまで言いふらすような話でもないからだ。

フリルが彼女という話を二人とも否定こそしないものの、他の話に肯定もしないというスタンスを貫き通している。

五反田も直感的に何か裏はあると思っているが、下手に探って藪蛇になりたくないとこの話を切り上げて本題に入る事にした。

 

「事前に言っていた通り、今日集まってもらったのは特典用映像の撮影だ。覚えてるよな?」

「Blu-rayBOXに収録するって話だったな」

「そうだ、お前らのやり取りは俺の想像より話題を呼んだからな。ありがたくアクフリ層に対する餌として使おうって話だ」

 

その言葉にアクアとフリルは了承する。

作品のクオリティーだけで買ってくれる人は勿論ありがたいのだが、配信が以前より普及した今ではドラマは見たい時に高い買い物をしなくても見られる時代になりつつあった。

 

「結局何をやるの?撮影って話は聞いてるけど、マリンも私も教えてもらってないよね?」

「二人で『鷹研ぎ』について語る話で頼む。ネタバレは一切気にしなくていいから好きな場面とか演技の話とかな」

「好きな……場面」

 

そう小さく呟きながら顔をほんのり赤くするフリル。

アクアは大方ラストのキスシーン、フリルからした方かアクアからやり返した方か、そのどちらかを思い出してるんだろうなと考える。

ただあの場面、アクアとしてもかなり思い入れがあるシーンではあるのだが、馬鹿正直に答えることもできないという曰くつきだったりする。

 

「まっそんな感じだ。そのためだけにカメラマンや音響にも来てもらってる訳だからいい感じに頼むぜ?俺が離れたら撮影開始ってことで」

「雑なパスだな……まぁいいけど」

 

五反田の合図に合わせてアクアとフリルは仕事モードに切り替えながらも可能な限りファンが求めているだろう素の二人で会話をしていく。

演じ方や仕草、撮影現場の話なども交えながら、多過ぎるほどのエピソードをファンに面白くなるようなチョイスで伝えていく。

 

「マリンはどの事件がお気に入り?私はやっぱり瑞稀の因縁が詰まった最後の事件だけど」

「正直俺もだな……特に犯人を罠に嵌めて証拠を用意させるって展開が良かった。これまでの少しわざとらしくすらある無能仕草も全部この時のためってなったのには痺れさせられた」

 

みたのりおが演じていた玉森の刑事らしからぬ凶悪な犯行。

そして自分の立場を利用して証拠の隠滅と絶体絶命のピンチ。

そんな場面すら予想して布石を打っていたアクア演じる浩一。

頭脳戦という感じで演じていたアクア本人も思わずそのカッコ良さに感心したくらいである。

 

「分かる。そこ凄くいいよね。絶望的な状況からの逆転劇ってだけでも面白いのに、これまでの浩一がしてきたのが実は瑞稀のためだったってどれだけ瑞稀のこと好きなのって思えたし」

「浩一って人間の一途さがよく分かる展開だったな」

 

こんな感じで互いに場面ごとの感想を言い合い、互いの意見についても感想を口にする形式で撮影は順調に進んでいく。

 

「最後は好きな場面の話でもするか」

「好きな場面はやっぱりあの事件を解決してもらって瑞稀の感情が好き好きって暴走して思わずマリンにキスしちゃった奴かな」

「結局そこ触れるのかよ」

 

普通に照れ顔をするフリルは、恐らくこの特典目当てで商品を買う人間ならば誰もが胸をときめかせる可愛らしい姿をしている。

カメラの視野外からは関係者達の視線がぐさりと突き刺さる勢いだ。

ただ実は二人でこの質問については回答を打ち合わせしている。

 

「私がマリンにキスしたかったからしちゃったけど、マリンからキス返されるのは予想外だったよね」

 

フリル自身今思い出しても思考が固まりそうになる。

マジで好きな相手からの不意打ちのキス。

フリルの脳内SSDにはしっかりと刻み込まれていた。

 

「フリルがアドリブでキスって形で気持ちを伝えたから俺も必然的にあの形になったんだ。……その、悪かったな」

「ううん、どうせ演技を続けていたらこういう場面がきっと来る。折角の初めてだからマリンにあげられて良かった」

「……そうかよ」

 

アクアもフリルの照れ顔に当時のことを思い出してそっけなさそうだが、優しい声で返事をする。

ここで五反田は素材が集まって満足したようで2人にストップを掛けた。

 

「カット……お前らほんとスムーズに話すなぁ。正直編集するとこほとんどないくらいだぞ」

「まぁ素材の扱いはカントクに任せるよ」

 

アクアは五反田の腕を疑ったことなどない。

最近もアクアの作った脚本を確認して、映像として映えるように調整をしてくれていることからその腕の良さを身に染みて感じている。

そのため素材の扱いに関しては彼に一任していた。

五反田の言葉通りほとんどそのままで作成された動画は、一分のお試し部分を公開するだけでアクフリ民の興味を惹き、元々多かった予約が更に倍増することとなる。

 

 

 

 

そんな午前の仕事を終えて、アクアは次の仕事である『苺プロ公式配信』の撮影現場に来ていた。

撮影スタッフ達が慌ただしく準備を進めている中、アクアとアイの二人は既に準備万端な状態で待機している。

アクアとアイは事前の打ち合わせも済ませており、既に配信が始まるまでは出来る事もないとのんびり雑談をしていた。

場慣れしている二人からすれば、ホームである苺プロのスタジオでは気楽なものだ。

周囲にはスタッフや途中で来るコーナーゲストのメンバーも待機しているため、あくまで外行きの二人としてだがそれでも側から見ても分かる仲の良さを見せつける。

 

「あっ見て見てアクア!コメント凄い流れてるよ。うーんMC予想も沢山あるけど私とアクアを予想する人はほとんどいないね~」

 

アイは設置されたモニターに表示されている配信コメントを見ながらアクアに話を振っていた。

 

「俺たちは年単位で出てないし予想する人も少なくなるだろ」

「えー、でもアクフリ予想もいるよ?」

「それは『鷹研ぎ』の影響だろうな」

 

『鷹研ぎ』は今の時代に視聴率が20%を超えてなお毎回少しずつ上がっていく話題性の塊だ。

アクアとフリルの話をしている人を街中で見かけるようになったくらいには影響力がある。

アクアはアイの言葉通りにコメントを眺めてみると、苺プロのタレント達を推しているファン達が思い思いに自分の予想を書き込んでいるのが見えた。

 

『もうすぐ始まるぞ』

『今日は誰が司会かな~』

『MEMちょって予想しておけば7割当たる』

『MEMちょ予想はつまらないからアイで』

『ないない』

『配信者の誰かじゃないか?あのテレビ慣れしてる奴らとは違った感じも好きだよ』

『今一番勢いのあるCPであるアクフリでしょ』

『アクアはマジでここ最近テレビ出まくりだしないない』

 

配信時間になる前から十万を超える視聴者が待機所に集まっている。

最近の苺プロ公式配信は始まるまで誰がMCを務めるのか秘密にされている事が多い。

それがまたクイズのようで視聴者に興味をそそらせていた。

傾向的には個性豊かなタレント達を取りまとめるのが上手く、ネットでのトラブルにも強いMEMちょが務める事が多いため、予想もMEMちょと予想する人が多い。

 

「アクフリといえばさ、月9の宣伝としてフリルちゃんと二人でMCするって話は出なかったの?」

「いや、フリルと出るって話は実際に出てた。というか裏では決まってた。ただ事前に収録していた別番組と被ることが決まって変更になったけどな」

「あー流石に放送時間被るなら配慮しちゃうよね」

 

こういう時、配信でも裏を気にしてしまうのが芸能人の性なのだろう。

テレビ局と円滑なやり取りをするにはこういう配慮も必要になってくる。

ちょうどその時、部屋に置かれたアラームが『ピリリリリリ』とよく聞こえる音を立て、配信時間三十秒前を知らせる。

既にスタッフ達も準備が完了しており、意識を引き締めるための合図としての意味を持つそれ。

音が止まったところで、事前に用意されていたMVが配信画面上に流れ始める。

数年経っても色褪せない名曲『アイドル』がオープニング代わりに流れ始めた。

傾向的にここで流されるMVはこの日担当するMCに関係している曲の事が圧倒的に多い。

ここ数年『アイドル』がこの場で流れたことはなく、視聴者からすれば事実上の確定演出として大騒ぎになっていた。

 

『わあああああああアイドルだぁああああああああ』

『はい最高!夜通し配信してくれ』

『もうアイドルじゃないけどアイドルの人確定じゃん』

『つべに現代に生まれ落ちた女神が来るのか』

『昔はのうアイが毎回MCをしてくれとったんじゃ』

『おじいちゃんもう10年前だよソレ』

『それは嘘だよ、だってアイずっと可愛いままじゃん』

 

コメント欄に興味深々のアイも苺プロ公式配信に参加するのは久しぶりだ。

一時期は暇を持て余したアイがリハビリがてらにレギュラーだった事もあったが、彼女自身が完全復帰してからはその忙しさもあってMEMちょ達C式部や配信者部門のメンバーが務めるようになっていった。

初めて世に出た時に爆発的な話題をかっさらった名曲は、アイの名前と共に一瞬でトレンドを席巻する。

ただ、MVが終わり画面が切り替わった時、更なる衝撃が視聴者たちを襲い掛かる。

 

「苺プロ公式配信」

「はーじまーるよ〜!皆、じゃーん!アクアと久しぶりに共演だよ~!!やったねアクア〜!!」

「……暑苦しいからやめてくれ」

『は?』

『は?』

『このコメントは削除されました』

『は???』

 

最初は氷のように整った容姿を持つ金髪の男、アクアとにっこり笑顔のアイという組み合わせが画面に映る。

これだけでこの組み合わせがここで来るのかというインパクトが視聴者に与えられる。

更にアイは挨拶を終えるとそのまま流れるようにアクアへと愛情こもったハグを決めて、コメントの空気は不穏なものに変わる。

 

「どしたのアクア、やってくれたな〜みたいな目で見てきて」

「よく分かったなちょうどそんな気持ちだよ」

「勿論アクアのことならなんでも分かるよ!」

 

元凶であるアイに、アクアは内心でやってくれたなという感情と母さんいつまでも可愛いなという感情がせめぎ合う。

冷静に対処しているように見るが、全く打ち合わせにはないアイの動きに、視聴者よりもアクアの方が内心では動揺していた。

とびきりの笑顔で抱き着く姿を見れば、何も知らない者たちからはアイが永遠に続くのかと思わせる若さを持つのもあって、男女のそれに見えなくもない。

 

「お前ら落ち着け。先に言い訳するとアイが勝手に打ち合わせもなく抱き着いてきたんだ。いつまでも俺の事を子供だと認識してるだけで深い意図はない」

「仕方がないじゃん、アクアが大きくなって初めての共演だよ?そりゃー思わずテンションも上がっちゃうよね」

 

アクアの主張に対してアイは不満そうに反論する。

もしバレてしまっても何とかなるという安心感はアイを以前よりも過激なスキンシップへと誘っていた。

 

『危ない反射でコメントしてアカbanされるとこだったわ』

『ナニコレ高度な自慢?』

『B小町Rを侍らせてるくせにアイまで手を出そうとするなら流石に考えがある』

 

コメントはふざけ半分本気半分で嫉妬コメントを書き込んでいる。

ただアクアも仮に吾郎としてこの配信を見ていたらアクアに対して呪詛を送っただろうから彼らの気持ちもよくわかる。

 

「せめて事前に許可を取ってだな」

「ねっアクア、前みたいに抱きついてもいい?」

「抱きつきながら言う台詞じゃねぇ……事後承諾じゃねぇか。もう子供じゃないんだから勘弁してくれ」

「アクアのケチー、でもこれ以上アクアと遊んでたら尺もピンチになっちゃうし、また今度二人でね」

 

渋々と言った様子だが、アイをどうにか引き剥がすことに成功したアクア。

それに応じてコメント欄も少しずつ秩序を取り戻していく。

真のアイドルとは、偶像を引退してもいつまでも人を魅了してしまうものなのだろう。

そこからの撮影は概ね順調だった。

 

「じゃあ次のコーナーはこれだ。『アイの愛情たっぷり料理!アクアは何点つけますか』……こんなの食うまでもなく満点オーバーに決まってんだろ」

「んふふ〜アクアは可愛いなぁ」

『はい出た』

『アイ過激派オタクさぁ』

『流石前世からのアイオタク』

『天使時代から変わらぬ返答流石です』

 

以前アクアがゲストとして参加していた企画のリニューアルなど一部の昔を知るものはクスリと、知らない人でも楽しめる企画を行ったり

 

「見て見てアクア、ぴえヨンフラフープが肩で引っ掛かっちゃってるよ!?」

「完全に放送事故だな。前より肩周りに筋肉ついた感じがするからそのせいだろう」

「私てっきり幸せ太りかと思っちゃった!」

『妻帯者になったぴえヨンが無双しそうだったのに』

『ひよこ産まれたから守るために鍛えたのだ』

『守るべきものがあるひよこ』

『ひよこの子がひよこっておかしくね?』

 

ゲスト達の参加するミニゲームを見て、彼らの面白い動きについて真面目に解説してみたり

 

「俺の勝ちだな」

「また負けた〜!アクア、クイズ強いねぇ……マ……お姉さんがご褒美あげる」

『今日だけで何回アクアに羨ましいと思っただろうか』

『イケショタだったアクアがイケメンに育ったなぁ』

『昔はアイの方が圧倒的にデカかったのに今じゃ逆だもんなぁ』

 

アクア達も参加する企画をしたりと、夏休み増量版な今回をしっかりと盛り上げている。

コメントも大きくなったアクアとアイの絡みに適応したのか最初の荒れ具合が嘘のように楽しそうなものが溢れていた。

 

「最後のコーナーはまぁいつもの奴だな。今月の皆がどの番組に出る予定かを網羅していく奴だ」

「アクアやB小町Rの皆も忙しくなってきたから紹介するのも伊達じゃないよね」

「とりあえず時間も押してるから表を出すか」

 

そう言って芸能人部門に属するアクア達の名前と何日にどの番組に出るよというのが書かれた表が出る。

ただその表を見た瞬間にほとんどの視聴者は驚きの声を上げることになる。

 

『B小町Rの皆も誰かしら毎日テレビに出てるみたいで人気出たなぁと思いつつもアクアが目立つな』

『アクアほぼ毎日何かの番組に出てるの草』

『そういや最近毎日のようにアクア見ると思ったわ』

『月9効果だろうなフリルも多いし』

『よく見たらB小町Rは結構出る番組に特色あるよな。個性派集団なだけはあるわ』

 

そう、先月も忙しかったアクアは今月放送分も大量にある。

一部の番組はアクアの鋭いツッコミが評判だったのか準レギュラーにしようとする動きもあった。

それだけアクアがブレイクしてきた証拠だろう。

 

「コメントのみんなも言ってるけどアクア大忙しだね。今月の撮影も盛り沢山だし……無理しないでよ?」

「問題ない、B小町Rのライブの時間だけはなんとか空けた」

『そういう問題じゃなくて草』

『しかもその日じゃなくて時間って言い方がやばい』

『生き急いでるなアクア』

 

コメント欄にもアクアの仕事量大丈夫か?と心配されるアクア。

ただ実際はそのスペックもあって多少疲労こそ残るもののしっかりこなすことが出来ている。

ただ間近にいるアイにはアクアの苦労をわかっているわけで、その苦労がきっとアイのためでもあるんだろうと理解しているからこそなんとかしてあげたいとアイは思ってしまう。

自然とアイの身体が動いていた。

アイは先程までのじゃれ合いとは違う、慈愛に満ちた表情でアクアを胸に抱き入れて頭をゆっくりと撫でる。

 

「あ、アイ?」

「いいんだよアクア、疲れた時は疲れたって言って。私が癒してあげるからね」

「……そうか。少しだけ甘えさせてもらう」

「いっぱい甘えていいからね」

『ままぁ』

『これがアクアに対して見せるアイの母性か』

『もうアイもいつママになってもおかしくないんだよな』

『俺もアイになでなでされたいけど……そういうイベントやらない?』

 

一部のコメントがバブ味を感じるほどのアイの母性。

それがまたTwitterのトレンドに記録され更なる話題を呼ぶ。

アクアとアイの気安いやり取りも合わせて、この回は苺プロ公式配信でも屈指の神回と呼ばれることになる。

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