【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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即興

「現場リポーターの寿みなみ言います。普段はアイドルやっとるんやけど、リポーターはこれまでやった事ないからお手柔らかによろしゅうね」

「……配信者兼コスプレイヤーのミミです。みなみのサポートをします。えっと……よろしく」

「コスプレイヤーのメイヤです。よろしくお願いします」

 

今回リポーターをやるのは全員が全員『深ワン』初出演の人物だ。

各々自分なりに自己紹介をしたが、既に個性が出ていると言っていいだろう。

最初は初のリポーターと言うこともあって慣れない様子を見せていたみなみだったが、大舞台でライブをこなしてきた度胸と適応力もあって、すぐにスムーズにインタビューをこなすようになる。

順調に仕事をこなしている彼女たちを遠目から見ている男達は思い思いのコメントを口にしていた。

 

「見たか?みなみちゃんの胸でかすぎるだろ……アレでアイドルは無理あるぜ」

「デカいのも勿論だけどマジ可愛いわ。正直B小町Rの中で一番好み」

鍔女(つばめ)コスまじで似合ってるよな〜本人の外見もおっとり美人って感じで似てるし」

「あの衣装もかなり出来良さそうだし外注だろうけど凄いわ」

 

みなみはトップアイドルグループのメンバーだ。

当然ながら今回の三人でもっとも知名度が高く、飛びぬけて注目を集めている。

天性の素材の良さを努力して磨き続けてきたその容姿とスタイルはリアルで見ると、テレビ越し以上に整っているのが分かり、特に男は思わず見惚れてしまうのも無理はないだろう。

彼女が今回しているコスプレは『鍔女』という鬼族のキャラクターなのだが、桃色を基調とした改造和服がみなみの容姿とマッチしていて本業のコスプレイヤーが多いこの会場でも一際輝いて見えていた。

 

「ミミちゃんの配信好きだから見てるけどあの声天然物なんだ、まじかわゆい」

「ちょっと辛辣な感じがいいよな〜あの可愛い声だから許せるわ」

「かなちゃんともっとコラボしてバチバチして欲しいよね〜」

 

ミミは声の可愛らしさ、その一点においてはB小町Rと比較しても負けない。

容姿も十分過ぎるくらいに整っており、みなみに次ぐ注目を浴びていた。

元々今の彼女は百万単位の登録者がいる大人気YouTuberなのだからこのくらいの注目は当然と言えるだろう。

本人は相当緊張しており、少し言葉に詰まる場面も多いが、それすら『今ガチ』のおかげで広く内弁慶気質なのが知られている事もあって個性として受け入れられている。

 

「あの二人の若い可愛さもいいけど、後ろの人エロくね?」

「俺メイヤさんのファンボ入ってるから後で写真お願いしようかな」

 

そんな二人と比べるとニッチな業界で活躍するのがメイヤだ。

知名度はみなみは勿論、ミミよりもずっと劣っている。

ただここに来るような人は元々コスプレイヤーに精通している人も多く、メイヤの事も知っている人がいた。

総合的に見てこの撮影は周囲の注目を相当集めるものとなっている。

 

「そういえば、なんか去年はつるぎと鞘姫のコスが人気やったって聞いたんやけど……少ないんやない?というより一人もいないんやけど」

 

何組かのインタビューが終わった時、みなみはふと気になった事を口にする。

ここまでインタビューしてきた人たちは元々出演依頼をしていたコスプレイヤー達だ。

どんな衣装をしているのか事前に聞いてはいなかったものの、ここまで誰一人としてメインキャラであるつるぎも鞘姫もいないのは異常と言って良かった。

その疑問に対してコスプレイヤー仲間からの情報があるメイヤが苦笑しながら答える。

 

「それは寿さんのグループメンバーの影響よ」

「B小町Rの?」

 

みなみが首を傾げるとメイヤは頷いて説明をした。

 

「2.5次元舞台とコスプレは違うと言っても、リアルにいる人が漫画やアニメのキャラに成りきるってところは変わらないから。下手につるぎや鞘姫のコスをすると舞台のキャストのイメージに引っ張られちゃうのよ」

「あー……ウチも確かにその二人のイメージ強いからからその二人選ばんかったし、気持ちわかるわぁ」

 

舞台の影響はアクア達だけでなく大輝やみたのりおといった超豪華メンバーが揃っていた事もあって、普段は演劇を見ない層も『東京ブレイド』をそこまで知らない層も行っていた。

そのため、界隈へ与える影響はかなりのものとなっていたようである。

そして同じくトップアイドルであるみなみですら二人のコスプレは選択肢から外すくらいなのだから他の人はもっと無理だ。

みなみは自分や友人たちの影響力を垣間見て、内心でウチらほんまに有名人になったんやなぁと改めて思い、今まで以上に振る舞いを意識しないとなと強く考えるのだった。

 

 

用意されていた相手に対しては、一通りインタビューが終わり、みなみ達は他に面白そうなコスプレイヤーがいるかを探すというパートに移行する。

元々はお願いしていた人たちだけで番組を構成する予定だったのだが、急遽コスプレ広場でインタビューに応じてくれる人を探す事になったのだ。

みなみというトップアイドルがわざわざ参加しているのだからと少し番組の尺を長くしたいという運営側の都合である。

 

「面白いコスプレイヤーも多いんやなぁ」

 

急な話ではあったものの、みなみは快く了承をして周囲にいる面白そうなコスプレをしている人たちへと声を掛ける。

コスプレと一言で言っても形も様々であり、中には思わず二度見してしまうような色物コスをしている人もおり、撮影対象には困らない。

何人かに対して突発的なインタビューを行って余裕が出てきたみなみは、他にも面白いコスプレイヤーがいないかを探して周囲を見回す。

するとテレビの撮影をしている自分達と同じかそれ以上に人が集まっているエリアがあることに気が付いた。

 

「なんかあの辺りすごい騒ぎになってへん?」

「た、確かに。ミミ達もみなみがいるから大概だけど……あっちは……どっちかと言えば女の人が多そうだから男のコスプレイヤーかなぁ?」

 

みなみの指摘にミミもそちらへ視線を向けるが、ミミはあまりの人の多さに少しビクビクしながら返事をする。

多少コミュ力や人に耐性が付いたとはいえ、元は中学校すらまともに行っていない引きこもりだったのだから仕方がない事だろう。

更に恐らくその相手は男という事であまり近付きたくないと言う意思が顔に出ていた。

 

「凄いコスプレイヤーがいるかもしれへんし見に行ってみいひん?」

「……分かった、みなみ頑張って」

「丸投げやない!?まぁウチ興味あるだけやからいいんやけど……」

 

みなみが乗り気な様子を見てメイヤより更に後ろ、カメラを持っている兄の後ろまで退避していったミミ。

みなみはそんなミミに苦笑した後、コミケに詳しそうなメイヤの方へと向き直る。

 

「メイヤさん、ウチこれまでコミケ来た事ないんやけど、あのくらいの集団はようある事なんです?」

「うーん……相当有名なコスプレイヤーとか来てたらあり得るかも?でもあんまり経験ないわね」

 

多少の集まりであれば人気コスプレイヤーならばよくある話だ。

カメラマンが集って集まり、そのコスプレイヤーを撮影するなんてメイヤでも経験がある。

だが、今回はそう言った噂もメイヤが所属しているコスプレイヤーグループなどにもなかったため別口だろうなと考えていた。

 

「うおっあのカメラってやっぱテレビか?」

「やっぱアイツが仕事でもないのにこんな場所いるわけないと思ってたんだよなぁ」

「どこの局だろ……」

 

女性比率が高い人集り、そんな中に紛れている数少ない男性がまず『深ワン』のカメラに気が付いた。

女性ほど熱心にそのコスプレイヤーを見ていないからこそ、カメラの存在に気が付いたようである。

そんな男達が道を空け始めたのを見て、女性たちもようやく状況に気が付いて、妙に素直にカメラのための道を空ける。

 

「皆ありがとうな」

(うーん、まるでカメラが来るって知ってたみたいな反応やなぁ)

 

みなみは気になる事はありつつも、そんな彼らにお礼を言いながら見えるようになった集団の中心を確認する。

そこにはみなみ達と同じく『東京ブレイド』のコスプレをした男がいた。

数多くのカメラを向けられて写真を撮られており、みなみ達から見て後ろを向いているため顔こそ見えないが、彼こそが今回の騒動の中心人物だろう。

 

「男の人かぁ、やっぱり心当たりはないわね」

「あれ、刀鬼やねぇ……今日初めて見たかもしれへん」

「刀鬼もつるぎや鞘姫と同じで自分に自信がないとできないもの。見掛けなくても仕方がないわ」

 

今輝いている俳優、星野アクアと比較されても大丈夫だという自信がなければ、中々刀鬼のコスプレを公に披露する勇気は出ない。

つるぎや鞘姫と同じ理論だった。

 

「確かに、ウチも刀鬼と言えばアクアさ……あれ?」

 

みなみはそんな事を口にしながら引っ掛かりを覚えて、少し考え込む様子を見せる。

多数のカメラに納められている男の姿を改めて見る。

出している雰囲気は寡黙というより冷たい刀のような気配、まさに皆がイメージする刀鬼そのものといった様子だ。

コスプレでキャラクターに性格まで近付ける人はそう多くない。それはどちらかと言えば役者の領分である。

男の背格好にどこか見覚えがあると感じていたみなみは、ここまで考えて一つの可能性に思い至った。

 

「もしかしてやけど……」

(確かに仕事があるって言うてたんやけどなぁ)

 

みなみは自分の予想があっているかを確かめるためにクオリティーが異常に高い刀鬼のコスプレをした男の下へと更に近付いていく。

刀鬼がそんなみなみの気配を察したかのように振り返ると、彼はみなみが想像していた通りの人物であり、それでもみなみは目を大きく見開かされる事になる。

 

「あ、アクアさんどうしてここにおるん!?」

 

アクアに気が付いたみなみは、思わず大声を出して驚きの感情を露にする。

リポーターも兼任していたみなみは、基本的にプロとして見られている意識をもって動いていたのだが、この場においては素の驚きを見せてしまう。

そんなみなみを見てアクアも最初は刀鬼として話しかけようとしたのだが、流石に話がややこしくなるかと考えて、一時的に演技を止めてみなみに事情を説明した。

 

「アビ子先生からどうしてももう一回俺の刀鬼が見たいって言われてな……コミケに乗じてコスプレをして欲しいって依頼があったんだよ。多分あとで公式Twitterとかでこんなことやってましたって書き込みがあると思うぞ」

 

事前にアクアの存在を周知させてしまおうものなら、明らかにコミケとは違う目的の人たちが殺到してしまうことは目に見えていた。

そのため、アクアにお願いした仕事が終わるまでは、告知しないという変わった手法を取ったのである。

 

「はえ~……今日アクアさんがあるって言うてたお仕事これやったんやね。改めて見ると刀鬼ようハマってるなぁ。ホンマカッコええと思うわ」

「そうかよ……みなみのコスプレも着こなしが自然でみなみの良さが際立ってていいと思うぞ」

「せ、せやろか……なんか照れるわぁ」

 

みなみがアクアに褒め言葉を投げかけるとアクアも流れるようにみなみの言葉に同意をしながら彼女の事を褒める。

当然不意打ち気味なその言葉に思わずみなみは赤面させられた。

直接見て欲しいとは思っていたものの不意打ちをされては、根は純情なみなみが容易く赤くなるのも無理はなかった。

 

「前に見せてもらったものより端々の模様や袖口が原作に近付けられていて衣装の出来もいい。頑張ったんだな」

「あっ……ちゃんと気付いてくれたん?流石やね」

「あかね程じゃないけど、俺も役者でやってるからな」

 

みなみからすればアクアのそれも十二分に凄いと思っており、自分も少しでも近づかねばと胸の内で思うのだった。

普段の会話をある程度した事で落ち着きを取り戻したみなみ。

彼女は咳払いをして意識を切り替えてからアクアへインタビューの可否を確認する。

 

「こほん、アクアさん。今から少しだけお時間もらってもええ?あかんかったら他の人探すんやけど……」

「大丈夫だ。宣伝って意味なら願ってもないだろ」

 

インタビューについて許可があっさり取れたところでみなみはアクアに質問を開始した。

 

「アクアさんは今回お仕事でコスプレしてるいう事やけど、気を付けている事や意識している事ってあるん?」

「そうだな……普段コスプレを嗜んでいる訳じゃないが、とりあえず原作へのリスペクトを忘れない事が大切だと俺は思う。原作がある以上俺達はそれの恩恵を受けている。これは役柄も同じだ。だから普段の演技と変わらずその辺は意識して振舞う事にしている」

 

アクアの言葉は本心からの言葉である。

普段から役になるという仕事をしている関係上、その辺りの意識は何よりも大切にしていた。

 

「相変わらずしっかりしとるなぁ」

「女関係はだらしないのに」

「おい!というかミミはいつの間にここに来てたんだよ」

「知らない男なら怖かったけど、アクアなら大丈夫だから……」

 

笑顔でなんでも受け入れるのかと思う程に寛容なみなみ、そしてそれとは対照的に妙に鋭くぼそっと呟く毒舌のミミ。

どうやらみなみの声を聞いていつの間にか近づいて来ていたらしい。

アクアという身内相手なら強気に出られるあたりミミらしい内弁慶っぷりだった。

 

「というかアクアさん、さっきの話やと刀鬼として振舞わんといけんのやろ?ええの?さっきから普通に応えてしもうてるけど」

「インタビューって話だから普通に答えていたんだが……鍔女、何故お前がここにいる?ブレイドと行動していたはずだが」

 

みなみなりにアクアの演技力を活かそうと思い話題を振ってみれば、アクアは一つ息を吐いた後、ガラリと雰囲気が冷たく変わる。

当然のようにみなみとの会話ではなく、みなみも巻き込むような刀鬼としての台詞に彼女は内心、無茶ぶりやめてぇと思いつつも対応する。

 

「え~?なんか剣くんからお使い頼まれてさ~。刀鬼ちゃんこそ意外~こういう騒がしいとこ嫌いっしょ?」

 

みなみのコスプレのモデルである鍔女は、鬼族の脇役であり、舞台で行われた渋谷抗争編より後の場面ではそれなりの出番が与えられている。

そのためキャラクター解釈はみなみでも十分可能な範囲だった。

顔立ちはおっとりしているのに少しギャルっぽい話し方が特徴的であり、作中でも珍しい濃いキャラ立ちで可愛いと評判になっている。

元々みなみは意識してエセ関西弁を使うだけあって、口調の切り替えはB小町Rの中でも上手い方であり、この演技への移行もスムーズだ。

アクアやあかね、かなにフリルと自分より演技力に長けた人が多い中で練習してきただけあってこういう即席の演技も素人からは考えられない精度で行う事が出来る。

普段のみなみとはあまりに違うキャラ立ちと話し方から周囲のインタビューを聞いていた人たちもぎょっとしたように、みなみへと視線を向けていた。

 

「……鞘姫に頼まれた手前、嫌とは言えぬ」

「あはは〜鞘ちゃん鬼畜~!というかここなら匁の方が向いてそー」

「匁か。悪くないはずだが、多少寄り道をすると思われたんだろう」

 

アクアも無茶ぶりをしている自覚があるからか、その辺り話す内容などが選びやすいように話題をチョイスしていた。

多弁とは言い難い刀鬼を維持したまま話題の提供は中々難しいのだが、その辺りはアクアの技術が成せる事だろう。

自分からキャラの名前を出して揶揄い交じりの表情を浮かべながらニマニマとするみなみもしっかり役に成りきっている。

 

「うわっやっぱアクア達ってやばい……というか寸劇に乗じていちゃついてるし。あかねとこないだデートしていたのに今度はみなみ……流石スケコマシ。……ミミは皆の恋をどう応援したら」

 

置いてきぼりを食らっているミミも二人のやり取りに思わず口を開く。

ミミは友人であるあかねとみなみ、二人の恋路に対して色々と思いを巡らせる。

片方だけを応援するなんてという気持ちと、そもそも他のB小町Rのメンバーもアクアの事が好きだという複雑な状況に胃を痛くしながら頭を悩ませていた。

ただしばらく二人の寸劇を見ながら悩んだところであれ?と首を傾げる。

 

「……よく考えたらアクアが悪いよね?なんでミミがこんなに苦しんでるのにアイツ楽しそうなの。これは絶対おかしい」

 

そして考えた結果、どう考えてももっと悩まないといけないはずの男が今も楽しそうに演技を通じていちゃついているのを見て、悩むのもばからしくなりアクアに対して恨みを向ける。

アクアも少し不穏な気配を感じてゾクリと背筋に悪寒が走ることになった。

 

 

 

アクアへのインタビューでいい絵も撮れたからか仕事は少し早いが終わりという事になったみなみ達は、少しリラックスして体を休ませていた。

みなみは色々な衣装で動くのに慣れていたが、ミミはやはり公の場でコスプレをして活動するのが珍しかったためか疲れ果てている。

ダウンしているミミを見てメイヤは苦笑しつつも、立ち上がって二人に声をかけた。

 

「私は次の用事が入っているから先に抜けるわね」

「あっそうなんや。色々ウチらが知らん事教えてくれてありがとうございました」

「気にしないで。寿さんがちゃんとコスプレ好きなのSNSからも伝わって来てたしそれが嘘じゃないって分かって嬉しかったから。それに私テレビの仕事なんて珍しかったから新鮮な気持ちだったわ」

 

メイヤは最初トップアイドルが適当にコスプレを齧ってこちらの領分に割り込んできたのだと思っていた。

そのため、正直なところ今日会うまではみなみにあまりいい印象を持っていなかった。

ただ色々と話を聞いていたりする内に、本気で趣味として楽しんでくれていると分かって嬉しくなり、聞き上手なみなみに釣られて色々とコスプレのノウハウを話したりもした。

そんな時間は悪くなく、メイヤも最初に抱いていた悪印象をすっかりと上書きされていたのだ。

それなりの充実感を得て笑顔を見せて去っていくメイヤを見送ってからみなみとミミはこの後どうしようかと悩む様子を見せていた。

 

「ミミちゃんコミケこの後回らへん?一回くらい見てみたかったんよね」

「……確かに興味はあるかも」

 

これまで散々興味はあっても人見知りなど壁が多くて来ていなかった場所だ。

ミミとしては当然中にも入ってみたかったし、みなみも自分で提案しただけあって中がどうなっているか気になっている。

もう少し休んだら二人で入ろうと決めたところでこのメディア向け休息エリアの入り口から声が聞こえて来た。

 

「何やってんだ二人とも」

 

二人は声の方へと顔を向ける。

そこには先程インタビューをしたアクアが立っていた。

みなみは予想外の人物に少し首を傾げながら尋ねる。

 

「あれ?アクアさんどうしてここに?」

「仕事の時間が終わったからな。少し休憩しに来た。1日拘束するのはコスト的にって話らしい」

「あー」

 

今のアクアはギャラも結構な金額だ。

大手出版社とはいえ未知数な宣伝効果に期待してあまり長時間依頼するのは難しかった。

そのため、それほど長い時間拘束される予定は元からなかった訳だ。

 

「そういえば二人は結局何してたんだ?」

「これからミミちゃんと二人でコミケの会場見て回ろうと思ってたんやけど、もしアクアさんが良かったら……ウチらと一緒にコミケ回らへん?」

 

みなみは先程ミミにしたのと同じ提案を行う。

折角の機会なのでアクアも一緒にと思っての話だった。

アクアはその提案に少し考えた素振りを見せたが、それほど時間を掛けずに頷く。

 

「そうだな……今日は他の予定も入れていなかったから問題ない」

「ホンマに?良かったぁ、やっぱりアクアさんは忙しいから時間取れる時に遊んどかんといかんよね」

「来年以降なら事前に言っといてくれたら仕事入れないけどな」

 

アクアとしては今がアクアの売り込み時だからとかなり張り切って動いている。

この時期さえ過ぎてしまえば多少の休暇程度では人気にダメージなど入らなくなる。

無事に事が終われば、皆とそれぞれ時間を作りたいなとアクアは頭の中で考えるのだった。

 

この後、話していた通りアクア達は三人でコミケを見て回ったのだが、コスプレもそのままに変装もしていない彼らは非常に目立ち、ネットでは『深ワン』放送前から色々と騒がれる事になる。

 

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