【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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格付け

「芸能人格付けチェック2026!!お正月スペシャルゥ!!」

 

大御所司会の声が響き渡り、ぱちぱちぱちと参加者全員が拍手をしながら番組の収録がスタートする。

今日はまだ11月ではあるが、正月特番なため、新年の気分にアクアも調整はしてきていた。

 

「今年一年どうなるのか……綺麗に消えていくのか!一流で残るのか!!」

 

今回チェックに参加するのは7チーム。

アクアの所属するチームも含めて今年、そして来年に出演が多いだろうメンバーが一通り揃っている。

そうなると当然。

 

「というか今回苺プロ多すぎるやろ!?九人もおるやん!?」

「三チームに所属してますもんね……」

 

改めて参加者をざっと見た司会は驚きの声を上げる。

この原因は単純で、2025年は苺プロ大ブームと言って良かった。

そうなると当然話題になって呼ばれるのは一人二人ではない。

そこから更に追加で声を掛けたチームにも所属しているとなれば苺プロが多くなるのは無理もない事だった。

『チーム俳優』『チームGKT』『チーム私人逮捕』『チームアイドル』『チームアスリート』『チーム芸人』『チーム星野家』

今回はこの七チームが存在するのだが、アクア達は『チーム星野家』に所属している。

 

「次は『チーム星野家』……お前らなぁ、急にチーム名変更したりしたこっちのこと考えてくれんか!?」

「あはは〜ごめんごめん。ホントは今年言う予定だったんだからしょうがないよね〜」

「お前ほんま変わらへんやん!……まぁええわ!三人とも今日は初参加よな?」

 

何人かのチームを経た後、話を振られた星野家のメンバーはまずアイが代表して答える。

アイは司会とは顔見知りな分、態度も軽い。

変わらないアイに苦笑いを浮かべた司会は、その両隣に視線を向けた。

 

「んで今日はアイは子連れって事やけど星野アクアと星野ルビーがお前の子なんてなぁ……にしても並んだら姉妹かっちゅーくらい似とるなぁ」

 

二人の顔にカメラがズームで寄せられる。

きっと放送時には並びあったこの美しい顔に世間は圧倒される事になるだろうなとアクアは家族バカなことを考えていた。

 

「にひひ〜いいでしょママの世界一の可愛さを受け継いでるんだよ」

「ルビーの方が可愛いよ!ほら見て見て!!」

「お前ほんまは妹なんちゃうんか?ルビーの方がしっかりしてそうやけど」

 

そう言ってからアクアの方へと視線を向ける司会者。

 

「どうなんお兄ちゃん的にこの二人は頼りになりそうな感じなんか」

「得意分野なら頼りになると思いますよ。母さんもルビーも音楽や踊りはかなり強いと思います。……それ以外は二分の一か三分の一ですね」

「それただの運ゲーやんけ!」

 

アクアの鋭い毒舌は家族に向けてもバッチリだとアピールするような振る舞い。

とはいえ実際には身内に激甘なのも知られているため、ツンデレのように周囲には思われていることだろう。

 

「今日の目標はどんな感じにする気や?」

「おにいちゃんとママとの共演が楽しみ過ぎるので、思い出に残るように今日は一流で帰ります!」

 

三人共演は例の会見くらいなルビーはこの大人気番組で一緒に出られることを喜んで満面の笑みを浮かべながら宣言する。

 

「おお!いい宣言するやんか……消えても思い出残るで?」

「消えるとしたら多分私がやらかしちゃってるからおにいちゃんに怒られる……」

「んなことで怒るかよ」

 

ベテランらしい返しにルビーが少し怯えるように、だが甘えているのがわかるような返事をするとアクアはその場でツッコミを入れた。

あとで生き残っても信じているからこそという風に捉えられるし、もし消えたとしてもそこで軽く怒って見せればこのシーンと合わせてツッコミも取れるというどう転んでも使いやすいセリフだ。

その辺りまで考えているのは、アクアが長い芸能界人生を生きた経験があるからこそである。

アクア達への問いかけが終わり、次は『チームアイドル』。

これもまたアクアから見た時、身内の集団だった。

 

「んで、苺プロチーム2」

「『チームアイドル』ですけど!?」

 

雑な呼ばれ方にかなが元気よくツッコミを入れる。

司会の人はその反応の良さにケラケラと笑った。

 

「というかなんで君ら『チームB小町R』じゃないんか?」

「それはルビーがいないからやねぇ。ウチら五人揃ってのB小町Rやし」

「おぉ……確かリーダーがルビーだったなぁ」

 

B小町R中心メンバーであるルビーが別チームに入っている。

そもそもルビーが番組にいないならともかく、別チームであればB小町Rを名乗ることはできないと彼女達も考えていた。

 

「あと私の推しが所属してるからだね」

「……ホンマや。なんでMEMはここに交ざっとんの?」

「私が聞きたいよ!?なんで私B小町Rに交ぜられてるの!?」

 

今度はMEMちょが元気よく声を上げる。

そう、今回はルビーの代わりにMEMちょが入った変則チームとなっていた。

以前C式部でも出たことがあったため、一番この場には慣れてはいるが、最初オファーをもらった時は困惑した物だ。

 

「はい、今日の審査、最初がワインなのでチームに一人以上は20歳以上が必要だからとのことです」

「えぇ!!私ワインのためだけに呼ばれたの!?」

「そういやそうやな。『チーム星野家』はアイおるけどこっちはおらんし」

 

リアクション芸人のような反応に、出演者達も思わず笑顔になる。

B小町Rもバラエティーなども増えていたが、これは勉強になるなと素直に考えていた。

 

「流石私の推し……ここが撮影現場なのがもどかしい。録画したい」

「我慢してねフリルちゃん。今のシーンは画が美味しいから全部使ってもらえると思うし放送分で我慢しよう?」

 

キレキレのMEMちょに暴走しそうなフリルを、あかねが何とか宥めていた。

B小町Rの姉担当なだけはある。

 

「そして『チーム私人逮捕』!ここにも苺プロおるやん。……なんか君ら前に別のドラマでも同じコンビで来てへんかったか?」

「ゆらさんのせいで消えた奴な。正月早々いい笑われ者だった」

「いやいや!私あれだけしか間違えてないけど。それまで大輝君がそっくりさんまで減らしてたから消えちゃっただけで」

 

ゆらは彼女のせいで消えたと言いたげな大輝に文句をつける。

相性がいいと評判が良く、共演機会が多いため、二人は以前以上に仲が良くなっていた。

少しだけゆらの方が年齢が上だが、良い意味で気遣いがない。

息のあったトークで司会と会話を弾ませている。

そんな大輝へアクアは視線を向ける。

今回、アクアは裏目標としてこの撮影の最中に大輝の髪を採取する必要がある。

トークを聴きながら何度かチャンスはあるはずだと改めて気合を入れた。

 

 

一通り紹介トークも終わり、最初のお題が提示される。

 

「最初のチェックはこちら!……もちろんワインです」

 

一本が100万円するワインと5000円のワインを飲み比べ、どちらが100万円か当てるクイズ。

吾郎時代そこそこ酒には強かったアクアだが、今回は年齢的にアイしか参加不可能な内容だ。

 

「ママ、頑張ってね!」

「任せてよ〜こう見えてもママは味比べ結構得意だから」

「……ワイン飲んでるの見たことないんだが」

 

酒を飲んでいる場面は何度か見たが、焼酎だったしとアクアは不安になる。

折角番組に出るのなら消えるよりは一流に残りたいと思っているアクアとしては、最初から幸先が怪しいと思うのも無理はないだろう。

そんなアクアの反応にアイは不満そうな反応を見せる。

 

「アクア酷いよ!?ママだってワインくらい飲んだことあるんだからね?」

「母さん100万のワインって飲んだことあるの?」

「ないよ!そんな高いワイン飲むより二人にお金使いたいし!ふつーのワインならあるかな」

 

芸能人同士の食事会などでも100万のワインはそう出てこない。

普段から飲み慣れてるのはもう少しおとなしい品だろうとアクアは考える。

 

「それなら飲みやすいと思ったらそっちが安い方だから逆選んでくれ」

「えぇ、普通逆じゃないの?」

「味が濃かったりして慣れてない人はキツイんじゃないか?まぁ自信あるならそんな選び方しなくて良いとは思うが」

 

テレビ上の演出という可能性もあるが、これまでの傾向的に飲みやすいって言われた時はだいたいハズレだしとアクアは考えながらアイにアドバイスを送る。

 

「MEMちょ、私たちは一流であるべきよ。その最初の一歩を貴方に託したわ」

「なんか責任重大過ぎるよぉ」

「大丈夫MEMちょなら撮れ高作ってくれるはず」

「期待が重い!?」

 

『チームアイドル』の方からは当然MEMちょが選ばれ、その責任全てを負わされていた。

B小町Rのメンバーを出すためだけに連れてこられたまであるので、ここで外せないと本人も内心焦っていたりする。

アクアは内心で『MEMならどっちに転んでも撮れ高になりそうだよな』と考えていた。

 

「だ、大丈夫だよMEMちゃん。ゆらさんに付き合わされてワイナリー行ったって言ってたし」

「ワイナリーに100万のワインなんて出ないからね!?」

「せやろなぁ……」

 

年上だがB小町Rメンバーからも愛されているというべきか、散々にイジられながらMEMちょは立ち上がる。

 

「まっワインなら私だよねぇ」

「酔っ払うと絡んでくるから酒は俺が良かったんだが」

「流石に2杯じゃ酔わないって。そういや前に参加した時は未成年で飲めなかったんだっけ?」

 

『チーム私人逮捕』からは酒好きのゆら。

ゆらの酒癖をよく知っている大輝は、少し警戒しているようだ。

とはいえゆらは酒に弱い訳ではなく、量を飲むため酔うのだからこの量ならば心配いらないだろう。

 

「……ちょっと100万のワインは興味あったんだがなぁ」

「稼いでるんだし自分で買ったらいいんじゃないかな?そうしたら呼んでね」

「集る気かよ……マジ自由だな」

 

どのみち何と言おうが番組側が誰が行くのかを決めるため変更はできない。

名残惜しそうな大輝だが、諦めざるを得ないだろう。

選ばれたメンバーが別室へ移動し、それから順々にチェックを受けていく事になるわけだが。

 

「最初はゆらか」

「ゆらちゃんお酒大好きだから強そうだよね〜」

「というか前に忘年会で死ぬほど飲んでたしな。壱護さん絶句してたぞ」

 

撮影が回ってはいてもメインルームのメンバーは結構自由に話して良いと言われているため、アクアとルビーは普段通りにテレビを見る感覚で楽しんでいる。

アイがいない間、ルビーはアクアの隣に移動してその腕に抱きつきながら話していた。

そしていつも通りということは、周りから見ると少し特殊ということである。

司会は凄いものを見たと言いたげに二人へ声を掛ける。

 

「君らホンマ仲ええなぁ。家でもそんな感じなん?」

「家だとこんな物じゃないですよ!ね?おにいちゃん」

「はぁ……それ別に言う必要なくないか」

 

地上波だとこれまであまり共演していなかったアクアとルビー。

ネットでは全く気にされなくなったと思っていたので、一周回って新鮮味があるなとアクアは感じた。

特に隠す必要もないと思ってバカ正直に答えたルビーに、アクアは呆れた視線を向ける。

 

「え?どゆこと?」

「日によってはおにいちゃんの膝の上に私が座る感じで一緒にテレビ見たりしてるんです!」

「それもはやカップルやん!?」

「えぇ!?仲良い兄妹ならこれくらい普通ですよ!!」

「まぁこれくらいならいいんじゃないですかね」

 

完全に普段のノリというべきアクルビを見て、司会も少々困惑していた。

そんな中でも気にすることなく、この程度ではないというアピールに唖然とさせられる。

 

「……令和の兄妹はこれが普通なんか?B小町Rの皆は普段一緒におるんやろ?この話マジなんか?」

「マジもマジ、大マジね。いつでもどこでもいちゃいちゃベタベタしてるわよ?」

「はあ〜多様性って奴か?今時の若者って凄いなぁ」

 

この話本当なの?という振りに対して当たり前だと言いたげな返事をするかな。

そんな彼女に淡々とフリルが言葉を向ける。

 

「重ちゃんも羨ましそうにしてるもんね」

「ししししてない!」

「……女誑し言われとる芸能人は多数おれどここまではそうないなぁ」

 

初共演の人にすらあっさりと秘めたる感情がバレるかなは、誰よりもわかりやすい女の子だった。

 

『分かりました……100万円のワインは、Bかな。まず香りからして全然違うよ』

「お前らにツッコミどころ多過ぎて全然反応してやれんかったやんか!これでええんかいな」

「少し不憫ですね……」

 

司会達がそんな話をしているとは露知らず。

ゆらは自信満々にBの部屋に向かい、これを皮切りに次々と参加者が部屋へと入っては自分の答えを出していく。

ちなみにMEMちょはこの後Aの部屋に行き、ゆらがいないのを知って愕然とすることになるのだった。

 

「最後の挑戦者は永遠の一番星、星野アイさん!」

「ホンマ凄い肩書きやけど今回子供の話とか出てるのに全然人気落ちてへんもんなぁ」

「ママ〜頑張れー!!」

 

娘のエールを画面越しに受けながらアイは順にワインを嗜む。

一つ目のワインを嗜んだ時点で首をこてりと傾けて怪訝そうな顔をした。そして口を開く。

 

『うーん美味しいね〜飲みやすいかも』

「母さん、頼むぞ?」

 

うまく味に納得できなかったのか、数回ワインを口にしてようやくグラスを置いて次のワインへ移る。

それからすぐに入れてもらった二つ目、Bのワインを口に含む。

今度はそう悩むことなく、アイはあっさりとこくこく頷きながらグラスを置いた。

Aという比較対象があるからか、こちらは一度しか飲まない。

少し悩んでから、アイはゆらと同じBのワインと答えた。

 

「あっアイさんとゆらさんと同じ……これMEMちょやったわね」

「ま、まだ分からないよ?アイさんだって自信がある訳じゃないと思うし」

「……ドンマイMEMちょ。後で私が慰めてあげる」

「アイさんも分かってへんと思うんやけど、なんか合ってそうなオーラあるもんなぁ」

 

アイのことをよく知るB小町Rのメンバーは、彼女のこういう時の選択が間違っていないことが多いとこれまでの経験でよく知っており、いきなり降格をこの時点で覚悟する。

数の利こそあるものの、Aである可能性は低いと考え始めていた。

メインルームが正解の予想をして少しざわめく中、アイは自分の意見を口にする。

 

『決め手は香りが良かったからかなぁ〜味は……あんまりワイン飲んだことないからピンとこないけど』

 

実際はアクアのアドバイス通り苦手な方を選んだだけだが、そんな事は噯にも出さない。

しっかり良し悪しが判別できましたと言いたげなアイ。

理想のアイを演じる力は衰え知らずだった。

選んだBの部屋へ向かい、特に躊躇する事なくガチャリと扉を開けると中には一人だけ人がいた。

 

『あっ!ゆらちゃんだ!これは勝ったね』

 

中にいる人物を見て一安心したアイは、カメラに向けてドヤ顔する。

決めポーズは可愛さだけでなく、アクアからするとどことなく懐かしさを感じるものだった。

病院の屋上でしていたキメ顔と同じ構図であり、年を経ても全く衰えないどころか更に魅力的になっているアイへ、別室のアクアは拍手を送りたい気分になっている。

 

『いやいやアイさんにそう言われたら外した時、私が悪いってなっちゃうから!?』

『ダメだよゆらちゃんはお酒大好きなんだから当てないと』

『これが大先輩からのプレッシャーかぁ』

 

実は最後のアイが来るまでゆらは一人であり、結構内心では不安に思っていたりする。

アイがそれ程ワインを嗜むわけではないとも知っており、あまり安心こそ出来ないものの、流石に一人よりは心強かった。

 

『結果発表〜!!』

「あ〜ドキドキするね、ママ大丈夫かな」

「最悪『普通芸能人』なら最後までパーフェクトなら司会次第で一流返り咲きだ。まだ問題ないし気軽に見てろ」

「も〜!ママを信じるくらい言わなきゃダメだよおにいちゃん!!」

 

結果が分からない上に身内が参加しているからかアクアもルビーもドキドキとしながら結果を待つ。

多くの参加者も気持ちは同じようで、テレビで見ていた時以上に待っている側が緊張をしていた。

そして司会がドアをガチャガチャと動かしどっちかと煽ったところでBの扉から司会は中へと入る。

 

『おめでとうございます!』

『やっぱゆらちゃんがいる方が正解だね!』

『よ、良かった〜!やったよ大輝君、このワイン美味しかったから今度大輝君の奢りで一緒に飲もうね』

「いや、凄いけど俺の奢りはおかしいだろ年長者!?」

 

そんな大輝の悲しいセリフを聞きながら、アドバイスが逆効果になった時はどう責任取ろうかと内心悩んでいたアクアは、不安からの解放にホッと息を吐く。

『チーム星野家』最初のチェックは白星スタートで幕を開けた。

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