【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

13 / 167
好敵手

突然の発表に沸き立ち、盛り上がって話をしていた苺プロのメンバーたち。

特にルビーは無限に話せるかと思うほどに口が動き続けている。

そんな空気の中、来客の連絡が届いて職員の一人が対応し、来客をアクアたちの元へ連れてきた。

 

「有馬かなか。流石にまだよその事務所には情報出せねーからな。アクアにゃ悪いがもう少しだけ黙っててくれよ」

「分かってるよそのくらい。社長おめでとう」

 

かなに聞こえないよう小さな声で言う社長の言葉にアクアは頷く。

こういう時、かなが他事務所なのは不便だなと思いながら対応した。

 

「お邪魔……ってなにこの空気」

「気にするな。久しぶりだな有馬」

 

共演も減ってしまい、会う機会もなかなか取れなかった友人を見る。

メッセージや電話などのやり取りは頻繁に行なっていたので体感はそこまで久しぶりでもなかったが、実物を見ると時の進みを感じた。

この歳の子供は少し目を離すと成長するだけあって、かなも身長がかなり伸びている。

明らかにかなの方が目線が高いのを見て、男は成長期がまだ先だから仕方がないと身長で負けていることを微妙に気にするアクアであった。

苺プロの面々を確認していたかなだったが、ある人物を見た途端、演技が上手い子役とは思えない本音純度100%の声を発した。

 

「げっ黒川あかね」

 

心底見たくなかったと言いげなかなの声に対して対抗するようにあかねも幼い顔から睨みを飛ばした。

子供ながらに整った容姿の二人が火花を散らすとなかなかに迫力がある。

 

「かなちゃんどうしたの?……嫌な物見たような顔して」

 

先ほどより更に温度が冷えたような声も合わせて、事務所の空気は先程のお祝いムードから一転して真夏から一気に氷点下まで落ちたような変わりようだった。

 

「うわっバチバチだ。あっ!ちょうど私のレッスン講師も来ちゃった。……お兄ちゃん、頑張ってね」

 

タイミング良く本当に来たらしい講師の元へ行くと告げて離れていくルビー。

普段はアクアからべったり離れないというのに分かりやすい逃げ方にアクアも思わずジト目になる。

 

「あっ私もルビーのレッスン見よーっと」

 

ついでのようにアイも便乗してルビーに付いて行った。

結果的にアクア、かな、あかねの三人となにやらすごい顔をした壱護だけがこの場に残されたのだった。

 

久しぶりの再会をこの険悪ムードで迎えている理由をアクアは考える。

 

「本当になにがあったんだ?」

「別に?ただ私がオーディションに勝っただけの話よ」

 

三人で部屋を移動し、準備運動をしている最中も鍔迫り合いを続ける二人をアクアが見かねて話を聞く。

原因は前にあった端役のオーディションにあるらしい。

そう言えばあかねが変わったのもその辺りだったかとアクアは思い出す。

アクアとしてはあかねがオーディションに負けたと聞いた時、そんな役にかなが応募していたという事に当時驚いていたのを思い出した。

別に端役を悪くいうわけではないが、かなの知名度ならばメインもいけるだろうと踏んでいたから。

アクア自身、端役をやることはあるが、それはアクアの演技、その方向性が端役もできるタイプの演技というだけだ。

逆にかなの演技はアイと同じく役割の向き不向きが出るとアクアは思っている。

 

「実力なんか関係ない出来レースって自分で言ってたでしょ!昔アクアくんがコネで役をとった時、散々言ってたみたいなのにそれでいいんだ」

「は?なんであんたがそんな事知ってんのよ」

 

どうやら箔をつけるためのオーディションだったらしい。

アクアがたまに直接仕事を貰うのと同じ仕組みだが、更にそこからオーディションをやりましたという体裁を取る事で実力で選びましたよと世間にアピールをする。

アクアとしてはいい手法だなと思うくらいだが、あかねとしては許せなかったようだ。

 

(それにしても仕事の幅が広がったっていうより広げないと仕事量が維持できないの方が近いのか?)

 

確かに世間のかなちゃんブームは少しずつ冷めて来ている。

ピーマン体操でまた一つ知名度を上げてはいるものの需要の先食い感が否めない。

それでもかなの演技は凄いとアクアは知っているからこそ、そんな流れを悲しく思う。

 

「初仕事からしてアクアのおまけな子に言われたくないわね。演技力の差が浮き彫りになってぶり大根だったわよ?」

「ぐぅ……で、でもかなちゃんみたいにオーディションのフリなんてしてないもん」

「フリじゃないわよ、立派なオーディション」

 

あかねが胸を押さえて蹲る。オーバーなリアクションは実に舞台映えしそうだなとアクアは人ごとのように考えていた。

確かにあの時のあかねはごく普通のそつない子役といったレベルで、かなから見たらレベルが低いと感じたかもしれない。

だが初めての演技にしては勿論よくできている上、それから止まることなく成長を続けている。

だから恥じることなどないだろうというのがアクアの考えだった。

どうにかダメージから回復したらしいあかねがなんとか立ち上がると、今度はかなに向けて鋭い刃を飛ばす。

 

「へー流石オリコン週間一位歌手様はいうことが違うなぁ〜。次はどんな曲出すの?演技してる場合じゃないよね」

「ごふっ」

 

言葉の暴力に直撃したかなは身体をくの字に負けながらも倒れない無駄に良い体幹を披露していた。

妙にダンスレッスンを嫌がっているルビーより現時点では身体能力が高いかもしれない。

もしかして二人はとても仲がいいのではないだろうか。それがこのやりとりを見ているアクアの感想だ。

やたら芝居掛かっているのも実は今日の目的である演技の練習に合致している。

おそらく二人なりに喧嘩しながらも無駄な時間を過ごさないようリアクションをとっているのだろう。

 

(器用なことやってるな。演技力の特訓にはいいかもしれないけど疲れそうだ)

 

アクアにとってはさながらキャットファイトをテーマにした演劇を見せられている気分だった。

二人とも素の感情が乗ってる上にリアクションもしっかりしているおかげで一つのエンタメのようになっている。

 

「「アクア(くん)はどっちが酷いと思う!?」」

「突然飛び火させるなよ。……まぁ演技の道に入ったのは有馬の方が先だし、少しは後輩に優しくしてやってもいいんじゃないかと思わなくはないが」

「ちっ」

 

素直な感想をアクアが言えば舌打ちをするかな。

控えめながらもアクアに庇ってもらえて嬉しいあかね。

そして呆れるアクアの構図がそこにはあった。

 

「まぁいい。二人のリアクションだけど良かったと思う。個別に評価するなら」

 

一度言葉を区切ったアクアに二人は反応を待つ。

やはり一つの劇としてやっていた側面もあったらしい。

本音9割演技1割といった具合だろうとアクアは予想している。

 

「あかねは舞台が好きって話だからか少しオーバー過ぎた感じはあったな。今回はどんな条件か設定していなかったが、もしカメラ演技としてやっていたならもう少し声色と体の動きだけで表現して良いと思う」

 

あかねも少し思うところがあったのか下唇を少し噛んで悔しそうな表情を浮かべた。

そのあたりは経験値がまだまだ不足していることもあるだろう。

彼女の今一番新しい仕事は劇団ララライへ出向いての舞台演技。

ヒカルがもし良かったらどう?とアクアと二人合わせて役を勧めてくれた事がきっかけの仕事だ。

アクアはどうしても時間が取れずあかねだけが参加をすることになったが、終わると楽しそうに感想を話している。

つまり最近やっている演技としてならば間違いではないが、悔しがっているということはカメラ演技のつもりだったのだろう。

癖となってしまったらしい。

 

「その点有馬の反応は体の動きだけで、手振りなどは使わずダメージを負ったような表現ができていた。そのあたりは流石だな」

 

経験値はアクアよりも圧倒的な格上であり、まだ4〜5歳というのに国民的女優と言って良い知名度を誇るかなの演技は流石だった。

10秒で泣ける天才子役ここにありと言った感じである。

実際、今回は泣いたわけではないが、涙と吐血を幻視するほどにクオリティが高いというのがアクアの感想である。

ただ気になるのは以前ほど伸びていないように感じられた点だった。

それまでのかなの成長速度を考えればここ最近は伸びていないと言っても良いかもしれない。

 

「なぁ、有馬。最近演技の練習してたか?」

「……してたわよ。当たり前でしょ?演技はやらなきゃ鈍るのよ」

「そうだよね、かなちゃん最近ピーマン体操が当たったから音楽系で大忙しだもんね。少ししか時間取れてないんじゃないかなぁ目元にほんのちょっとだけどクマあるよ?」

「ちっ」

 

最近のあかねは本当に細かいことに気が付く。

元から考察をしたりするのが好きだったが、ここ最近は病的なまでに役について調べようとしている。

そのあかねが言うならば事実の可能性が高いとアクアは判断した。

 

「マルチタレント路線に行くのか?」

「別に良いでしょどうだって。私とアクアはただ同じ子役やってるだけの関係なんだから」

「構うだろ。出会いは確かにアレだったが……今は有馬のこと友人だと思ってる」

 

今のアクアにはトラウマなどなにもない。

吾郎時代から持っていた生来の気質である熱い部分を損なうことなく育っている。

正確には大切な少女に先立たれたという深刻なものはあるものの、それについては非科学的な奇跡が解消してくれている。

ルビーという希望があるうちはアクアの輝きは増し続ける。

だからこそ身内の危機にはなにがなんでも手を差し伸べる。

昔は結局何もできなかった。助けられなかった。そんな後悔が今の人格を作り上げていた。

そして今のアクアにとってかなは身内に分類されていた。

 

「……そっ、でも私は今困ってないわ。役が向こうから来るしバラエティにも引っ張りだこ。あんたなんか目じゃないくらい売れてるのになにを困ることがあるのよ」

「ぷくー」

「今日のところはここまでだあかね。これ以上話しても有馬は意固地になるだけだしな」

「聞こえてるんだけど」

 

一旦話が落ち着いたところで三人は事前にアクアが用意した台本に合わせてさまざまな演技を行なっていく。

アクアは自分の長所を前世で培った知識と大人の思考による理性だと思っている。

肉体に引っ張られ多少は子供っぽくなってはいるものの、経験値がリセットされるわけではない。

普通の子供ならつまらなく感じて辞めてしまうようなことにも手が出せる。

最近、アクアは『それが始まり』の五反田監督に脚本や演出の基礎を隙間時間に教わるようになっていた。

五反田もアクアのことを気に入っており、安くしろよと言いながら主役級から端役までこき使うことを報酬として受け入れている。

それらの知識は演技に生きてくる。台本の意図を正確に汲み取ることができれば100点の演技もできるようになる。

そしてそれを理解していれば場面によっては120点の演技すら可能になる。

それくらいに脚本理解というのは演技の真髄に近いとアクアは考え、実践していた。

最近覚えた説得力のある目の演技と脚本理解が合わさり、アクアは急速に伸びていた。

 

(……アイツこんなに演技うまかったっけ)

 

苺プロに来る前に見た仮面ライバーでのアクアを見て最初に思った感想はこれだった。

かなは初めて会った時、アクアに圧倒的な敗北感を抱いたものの、それ以降は共演中も基本的に自分の方が勝っているという自負があった。

大人の役は自然にできて不気味、でも他は私の方がと思えていたのだ。

自分の方が年上で、自分の方が芸歴が長いから当然だと思いつつも、あの時の衝撃からアクアのポテンシャルを疑ったことはないから更なる成長は期待していた。

ただまさかこうも急に伸びるなんてと動揺を隠せない。

 

『沙織を解放しろ』

 

短いセリフだ。書き起こしても熱血感あるか冷たい命令口調、どちらかに寄せるイメージを持つ。

だが今回のアクアは両方を違和感なく融合させていた。対極にあるような内容が同時に存在する。

目と表情が別の演技をしているような状態。それをごく自然に違和感なく見せている。

キャラのイメージがこのセリフだけでハマるくらいに。

かなはあの時以来の衝撃を受けてしまった。

 

(私はこのままだと……そう遠くないうちにアクアに抜かれる)

 

かなの中にそんな想いが生まれた。

自分は演技以外の仕事を増やしたから、レッスンがあるから仕方がない。中途半端にはできないから今だけそちらに打ち込んでいるだけ。

自分で自分に言い訳はしているが、この日練習用に用意された脚本たちはアクアの手によって書かれたものだと聞かされている。

複数の勉強をしているのはアクアも同じ。ならどうしてこんなに演技で差が詰められているんだろう。

 

「つ、月が急に消えた!?一体なにが」

 

かなが悩んでいる間にもアクアとあかねの練習劇は動き続けている。

三人同時だと客観的に見る人がいないからと二人ずつ演技をすることになっていた。

今のアクアは少し怖がりな三枚目。

アクアの天使のような容姿やクールな性格からは似ても似つかない。

前までのアクアならば無難な演技、70点くらいの演技をしていただろうが、今は90点はあるだろう。

実物を見たらやはり気のせいではなく、それどころか更なる成長をした演技を見せているアクアがいた。

 

「ふっ闇夜の世界に光が蠢いておる。……不敬!不敬じゃ!」

 

対して黒川あかねが演じるのは闇に紛れる吸血鬼。

尊大な性格で人間を虫程度にしか思っていない設定。

こちらもあかねの性格からは大きくズレている。

 

「ゔぉっなんだこの女!?いっ今どこから降って来やがったんだ」

「人の子よ、その魂の輝きは我ら吸血鬼には毒。大人しくこの場で消えてもらおうぞ」

 

かなが知らないうちに現れた新しい苺プロの子役、黒川あかね。

さっきテレビで見た時は普通の子役だなと思っていた。

先日端役のオーディションにいた時も自分の真似をしてオーディションに来たふざけた女だとかなは思っていた。

演技なんてどうだって良いと言ったのは自分の今のキャスティング理由に納得がいっていない苛立ちを八つ当たりしたのもあるが、そもそもこの役を取りに来るような子役に負けるわけがないと思っていたのだ。

だが、今日見て余裕は焦りに変わった。

まだ自分の方が上手い、それは断言できる。

でもキャラへの理解は自分より上かもしれない。たった一度でそう思わされた。

アクアの描いた脚本を同じように軽く読んだだけなのに私とはキャラ解釈が異なっていて、でもアクアはそれを見て嬉しそうでこちらが脚本の意図にあった演技なのだと分かった。

 

アクアもだが、あかねの成長速度も尋常ではない。

ライバーのヒロインをやっていた時の演技とは異なる憑依の演技。

我の強いかなには真似できないタイプの演技だ。

ほぼ確実にそう遠くないうちに自分を脅かすようになる。

そうなればいくらタイプが違うとはいえかなよりコストが軽くアクアと同事務所でコンビ売りがやり易いあかねの方に仕事が流れるのは想像できた。

 

(悔しい。アクアにもあかねにも負けたくない)

 

誰も同世代で戦えるやつなんていない。本気でそう思っていた時期もあった。

だが、自分を一部とはいえ超える演技や自分にはできない演技を見せられて役者としてのかなは奮い立つ。

それはこれまで一緒にペアを組んできた身としては悔しく感じて……萎えていた気持ちが奮い立つ。

 

「はぁ……私も頑張らないとね」

 

二人が必死に努力しているのがわかってしまったのだ。

自分だけ逃げるわけにもいかないだろう。そんなダサいことはしたくない。

かなはまだ私なら頑張れると少し気合を入れて練習に参加するのだった。

 

 

「あーそっちも終わったんだ!ってどしたのロリ先輩、妙にヒロイン感出して」

「本当生意気ねあんた。別にそんな感じ出してないわよ」

 

みっちりと練習をしたところで解散予定時刻となった。

かなの母が迎えに来たという連絡と共に三人が部屋から出る。

ちょうどルビーのレッスンも終わったところだったようでバッタリと出会った最初の一声にかなはピキッとした。

 

「えーしてるよ!ねっお兄ちゃん」

「俺に振るな。有馬はなんともないって言い張るんだからほっとけば良いだろ」

「そうそう。私はプロなんだからこれくらい余裕よ余裕。あんたたち兄妹は無駄に心配症ね」

 

そう言いながら迎えの車に乗ってかなは帰宅する。

なんとなく気に入らなかったアクアがため息を吐くとルビーと行動を共にしていたアイがアクアの両肩に手を置いてまっすぐ向き合う。

 

「ねぇアクア。……アクアはどうしたい?」

 

その目は何か答えを求めているように見え、アクアは少し考えてから自分の気持ちを正直に話すことにした。

 

「アイツが帰ったからいうけど、助けになりたいと思ってる。この年の俺ができることなんてたかが知れてるけどな。でもアイツは本当にまだ頑張れるから言ってるんだ。それなら今はほっとく方がいい」

 

今のアクアにできることなど愚痴を聞くくらいだ。直接的な解決は内容にもよるが難しい。

ただ、多少気分が晴れるだけでパフォーマンスは向上する。

病は気からという言葉があるように気持ちは大きく身体に影響する物だ。

ただ……手を伸ばしても手を取らない人間は少なからずいる。アクアにとっては前世で散々見て来た話だ。

それにかなのようにプライドの高い子供は特に素直になりづらい。根拠のない自信ではなく、今までやってこれた自負があるのだ。

無理に話させようとすると逆効果になることもあると分かっているからこそ慎重だった。

 

「ふふっよかった」

「何が……」

 

ほんの少しだけアイの表情が羨ましそうになる。

ただ瞬きをする頃にはいつもの笑顔に戻っていた。

 

「アクアは諦めてないんだなーって。突き放されてもいつでも相談に乗ってやるって目をしてる。男の子だね〜」

「別にそんなつもりじゃ」

「はいはい。アイス食べよ〜っと。あっあかねちゃんも食べるよね?」

「えっ!?あっはい」

 

そんなことを言いながら何故かあかねを連れて冷蔵庫へと向かう。

弁明の機会を失ったアクアとしてはなんとなく毒気を抜かれたような気持ちになった。

取り残されたアクアへルビーは背を向けて話しかける。

 

「おにいちゃんは相変わらず悪ぶってるねぇ。昔からそういうとこ変わんないね」

「別に悪ぶってなんてねーよ。今回は素直に有馬に聞いたし、その上でいらないと突っぱねられただけだ」

「そういうところで親身になろうとするせんせが私は好き」

 

変わっていない最愛の人を見て気持ちが昂ったルビーはアクアへ向き直る。

 

「あのね、私は今世お兄ちゃんにママ、ミヤコさんにあかねちゃんついでに社長って沢山の味方がいる。だけどロリ先輩はきっと一人なんだよね」

 

ルビーの脳裏には自分の過去が蘇っていた。

両親に愛されたくて、でも病気が絶望ってわかってから距離を取られて、いつ頃からか敬語で機嫌をとるような話し方しかできなくなって。

そんな時に現れたちょっと悪ぶっているけど親身な医者がどれだけ救いになったのか。

無理をしてチケットを手に入れてくれた吾郎がいたからこそ、さりなは世界を恨まずに最後を迎えられた。

そんな味方がきっとかなには必要なのだとルビーは言っているのだ。

 

「はぁ、わかってる。だけどアイツにも一人でやってきたプライドがある。……ただSOSサインを見落とさないようにルビーも気にしてやってくれ」

「ふふっ勿論!ロリ先輩はめんどーくさい人だけどいちおー私の……友達でもあるから!」

 

少し恥ずかしそうに笑うルビーの表情はかつての少女の面影を残しながらも明るいものだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。