【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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仕事は順調。世間は私を見てくれている。

フォロワー300万人を超え、今や私は人気絶頂のアイドル。

仕事もバシバシ入って昔していたお金の心配もなくなった。

これでアクアとルビーに色々な選択肢を用意してあげられるね。

 

もうちょっとしたらドームライブ、一つの目標達成でもあるし、そろそろかなーと思って別れた男に電話してみることにした。

 

「あ、もしもーし」

『えっ……は?』

 

なんだかやたら驚いたような声を出してない?こう恐ろしいものを見た!みたいな反応はどうなの?声だけだけど。

まあ冷静に考えたら元カノから突然前触れなく電話があったらびっくりするかな。

それともまさか。

 

「あれ?間違えたかな」

『……いや、合ってるよアイ』

 

あまりにも驚いてたから別の人に掛けたかと思って確認しちゃったけどちゃんと合ってたみたい。

ヒカルの番号に掛けるの久しぶりだったから結構心配だったんだよね。

 

「あーよかった。間違えてたらどうしようかと思ったよ」

『……君は変わらないな。突然どうしたの?ここ数年連絡なんてしてこなかったのに』

「えーなんとなく今どうしてるかな〜って」

 

まずは様子を探ってみた。

愛梨さんももういないし、4年くらい私が関わらなかったら元気になるかな~と見込んでたけど、その予想があっているかの確認も兼ねている。

彼の持つ芸能界の闇は濃いからどうだろう。

 

『最近は君ほどじゃないけど、テレビ出演もさせてもらうようになったよ。演劇とは勝手が違うけど、意外と面白いね。あと、どうやればもっと綺麗に自然な演技できるかを考えるようになったかな』

 

以前のヒカルからは絶対でない言葉を聞いて驚いちゃった。

心境の変化があったのかな。

 

「演技……楽しめるようになったんだ。元気になったね、良かった」

『……そうだねあの頃と比べたらずっと』

 

声色も柔らかいし、もう命の重みに潰されそうなんてことはなさそうだね。

それにしても彼にとって演技は呼吸と変わらないからそれを改善するなんて考えあったんだって驚いちゃうよね。

勿論いつもの嘘な可能性もあったけど、流石に空元気なら電話越しとはいえ私は騙されないかなぁ。

 

「ねぇ子供達も結構大きくなったんだよ。一度会ってみない?」

 

アクアの真似をしてさり気なく子供の存在を話してみる。

多分今の彼なら子供のことを知っても大丈夫だよね?

少し心配ではあったもののこれだけ元気な状態なら、可愛い二人を見たら私みたいに癒されたりしないかなーって期待を込めての提案だったんだけど。

 

『一応聞くけど寄りを戻そうとかそういう話かな?』

「いや寄りを戻すとかじゃなくってさ」

 

どうにも私があの子たちの世話を押し付けようとしていると勘違いされたみたい。

私が勝手に産んだんだからヒカルは責任取る必要なんてないよってはっきりと伝えておいた。

せっかく私から離れられたのに縛らせるようなことしないよ。

私自身は少し寂しいけどしょうがないよね。

 

『……いや、辞めとくよ。確かに前仮面ライバーで共演した時、賢い子だなとは思ったけど』

 

あれ?これアクアとの共演の話だよね?

アクアの溢れ出るオーラが隠さないでバレちゃったのかな。

 

「ありゃ、バレちゃってたんだ。そうだよ、うちの子本当に天才なんだから」

『……変わらないと思ってたけど親バカになった?』

 

失礼だねヒカル。あの子たちは本当に天才なんだからその場合、親バカという言葉は当てはまらないんだよ?

 

「でもあの頃はちょうどアクアの演技が伸び悩んでた時だったみたい。君に教えてもらえて成長のきっかけを手に入れられてアクアすっごく嬉しそうにしてた。アクアに演技教えてくれてありがとヒカル」

『……っ』

 

でもちょっとショックだったなーそこまで嫌われてないと思ってたのにあの子達と会うの完全に拒否されちゃうとはね~。

というより私と会うのが嫌だったのかな?

アクアとは共演してたし、今でも連絡を取り合う仲みたいだし。

もしかしたら私たちの別れ方ってあんまり良くなかったのかな?そこもよく分からないや。

 

「でもそっかー会えないのは残念!あっ気が変わったらいつでも連絡していいからね」

『僕は君の今の連絡先知らないけどね』

「あはは、じゃねー」

 

元々彼を私へ依存させないために連絡先を変えたんだけど、もう教えてもよかったのかな。思わず誤魔化して切っちゃった。

残念だけど今回は諦めよう、また機会はあるよね。

あの子たちの、特にルビーの教育に悪いから早めに一回会って欲しかったんだけど。

それにしてもまさかルビーが『処女受胎』なんて言葉を知ってるなんて。どこで調べたんだろう。

 

その日の夜。私の新居に秘密を知るメンバーで集まって簡単な宴会が始まった。

 

「全く酒がうめぇな!ほれ新居祝いの酒だ!飲め飲め!」

「わー森伊蔵だ」

「ダメですよあと少し我慢してください」

 

残念、ミヤコさんに回収されちゃって飲めなかった。

来週にはいよいよ私もお酒も解禁されるし大人になったなと感じる。

二人を産んでからの4年間は、それまでの16年がなんだったのかと思えるほど時間が早く感じたなぁ。

可愛いものは正義って本当だったんだね。

皆が私のことを推しちゃう気持ちもわかっちゃったよ。

 

「アイの主演ドラマは視聴率20%超え!アクアも子役として共演してる。二人とも他のドラマにも出てるし、あかねも仕事倍増中。配信事業も右肩上がりが止まらねぇ。苺プロは順調そのものだ」

「本当は少し背伸びすれば一年早くドームライブができそうだったけど、アイさんの成人する誕生日に合わせたのよね」

「そりゃこのクソアイドルが立役者だからな。やっぱ祝い事って感じがしていいだろ!」

 

私の新居に私の秘密を知る人だけで集まったドームライブを記念した宴会。来週にはそのライブが控えている。

佐藤社長の夢、ミヤコさんの夢。スタッフさん皆の夢。

それらが掛かった大事なライブ。

嬉しそうに語る社長。流石にそのドームの取り方は私のこと贔屓しすぎだと思うよ?

だけど……私は周りを見て嬉しそうに反応するだけでそれが本当に嬉しいのかよく分からない。

 

「うぅ、私だけ仕事ないよぉ」

「仕方がないだろ、アイドルには流石に幼過ぎる」

 

ルビーが少し疎外感を感じて凹んでいるけど大丈夫だよ。

もうちょっと大きくなったらママと同じトップアイドルになれるから我慢しようね。

 

「大事な時期なんだ、くれぐれも父親に会おうとなんてするなよ?」

「もちろん」

 

私は嘘つき。だから本当は彼に連絡したことだって社長に話さない。

もうすぐ私も20歳、昔は20歳ってすごく大人ってイメージだったけど私ももうそんな年なんだなって。節目ついでに改めて自分の人生を振り返ることにした。

正直施設時代のことはあんまり考えたくないからアイドルになるとこからでいっか。

 

施設育ちな私に道端で声をかけてきたのが佐藤社長だった。

今思えば怪しい勧誘にしか見えなかったけど、何もかもどうでもよかった私はその話を聞いてあげることにした。

人生の転換点ってやつだと思う。

 

『スカウトっていうから何かと思えば私がアイドル?笑っちゃうよね』

『今うちの事務所で中学生モデルたちでアイドルユニットを組む計画が動いてるんだ。君ならセンターも狙えると思う』

 

最初は興味なんてなくて話半分に聞いてて、ちょっと面倒だなって思ったからお母さんの話を出して脅して。

でも社長はちっとも引いてくれなくて、私が持つアイドルのイメージは清純で笑顔をみんなに振り撒く純粋な存在。とても私がなれるものじゃない。

 

『いいの?嘘でも愛してるなんて言っても』

『色々言ってるけど本当は君も人を愛したいって思ってるんじゃないか?やり方が……対象が見つからないだけで』

 

そこできっとキメ顔のつもりなんだろう。しっかりと私の目を見て社長はこう言った。

 

『それに……皆愛してるって言ってる内に嘘が本当になるかもしれん』

 

この言葉が決め手となって私は社長に乗せられてあげることにした。

いつか嘘が本当になる。私は誰かを愛したい。愛する対象が欲しかった。

アイドルになれば誰かを愛せると思った。誰かに愛されると思った。

だから色々アイドル活動に精を出していた。

でもアイドルはいい事ばかりじゃなかった。

 

最初は仲良くなれると思った友達に憎悪をぶつけられた。

デビューしたばかりの頃は皆仲が良かった……と思う。

駅前のファーストフード店で子供が4人で無邪気に。明るい未来を想像しながら話していたりしたんだよね。

その頃にみんなで編集できる共同アカウントのブログを作ろうという話になった。

誰が提案したっけ?もう覚えてないや。

『45510』

高峯、ニノ、アイ、渡辺当時メンバーだった四人。その頭文字をガラケーで入力しようとしたら完成する数字。それをブログ更新のパスワードに設定したんだよね。

私たちにも絆があった証。

ブログそのものは既に別ページに移設して続いている。

今も時々この更新されないブログにアクセスしてしまうのは、私が弱い子だからなのかもしれない。

当然誰も更新しておらず、虚しいアクセス履歴だけが残される。

もう友情なんてものは存在しなくて……きっとあの時、私が壊してしまった。

ほんとどうしたら良かったんだろうね。

皆の気持ちも分からないけどなんとなく理解しちゃって……だけど携帯のパスワードも変えられなくて。

もうあの頃みたいに仲良く……できないのかな?

 

あーそういえば、アイドルを辞めたいなんて思ったこともあったなぁ。

あの頃は特に色々されていた。

直接言ってくるのは後から加入したメンバーだったけど、他のみんなも黙認してたのはちょっと効いたなぁ。

ライブ前日に衣装をゴミ箱に捨てられてたのは流石にちょっと困っちゃうよね。

面と向かってぶつけられた悪意に気付かないうちに泣いちゃったこともあったし、あの時私はどんな気持ちだったんだろ。

でもあの出来事があったから手紙を読めるようになった。昔は白米よりダメだったのに。意外と現金なのかな私。

あの時手紙で元気をくれたファン達のこともいつか本当に愛したいと思っているんだけどちゃんと伝わってるといいな。

 

白米といえば一回だけ気分が下がり過ぎちゃって配信中にうっかり白米にガラスが混じってたお話しちゃったね。

あの時は他にも色々弱音吐いちゃってアーカイブも勝手に消しちゃったっけ。

後でミヤコさんに怒られちゃったんだよね。

もしアクアとルビーが近くにいてくれたら違ったのかな。

配信にうっかり映っちゃっても社長の子が遊びにきてくれてるって言えば良かったね。

次から配信するときは二人と一緒に配信しよーっと。

 

B小町の環境はその後も社長が色々やってくれてちょっとはマシになったけど、やっぱり空気感が苦手だった。

まぁ社長が私ばっかり贔屓してるのが悪いんだけどね〜。私が可愛すぎるのが悪いよ。

そんな環境に少し参っていた頃に鏑木さんから紹介されたララライのワークショップで出会った男の子。

彼は私の人生を大きく変えた、そう言い切れる。

彼の容姿は人を狂わせる、ルッキズムの源だと思う。男の人から見た私もこうなのかな。

私に似て嘘つきで演技を教えてくれて、私が初めて愛せたらいいなと思った人。

 

でも、あの頃の彼はもう壊れかけてて。命の重さに押し潰されそうになっちゃって。

子供ができた時にこれはやばいと思ったから私から別れを告げたんだ。

 

『私は君を愛せない』

 

嘘はとびきりの愛だから。私が彼に言ったこの言葉がきっと嘘だといいなぁって今も思ってる。

DVDも用意してるし、アクアとルビーが十五歳になった時に、当時の私たちを答え合わせしてもらえたらいいな。

 

最初に子供ができたと分かった時、私は彼と別れた後、あの子達を堕ろすつもりだった。

もし産んだりしたら後々、彼の負担になることなんてわかってたから。

でも命の重みに潰されそうな彼を思って別れたはずなのに……どうしても堕ろせなかったなぁ。

愛がわからないから彼の背負っている芸能界の闇を一緒に背負わなかったのに。

本当は彼の全てを背負って彼の子供達と一緒に生きたいなんて……そんなことを思ってしまったから。

そんな気持ちの中産まれた最後の日にいなくなっちゃうんだもん。

文句の一つや二つ言いたくなるよ。

 

無事に生まれた二人は私になんて勿体無いくらいのいい子達。

 

『はぁ……アイ、忘れ物してるぞ』

 

一緒に仕事をする時はフォローしてくれたり、私の子のはずなのにまるで年上のお兄ちゃんみたいな印象を与えてくれるアクア。

頭も良くて将来はいい学校に通わせてあげなきゃって思う。

あと本名の愛久愛海であんまり呼んであげてなくてごめんね。

 

『ママのダンスやっぱマジヤバい!これを生で見せて貰えるなんてママの子でよかったぁ!』

 

天真爛漫で世界のすべてが輝いて見えているような振る舞いをする、私の思う理想のアイドルを体現できそうな才能あふれるルビー。

私のことが大好きで推しって言ってくれている可愛い娘。

いい子過ぎて将来騙されないか心配だなぁ。その辺はアクアがいるから大丈夫か。

あのお兄ちゃんがいると将来ハードル上がって大変そう。

 

どちらも大切にしたい存在だと思っている。それは間違いない。

でもそんな二人の母親になって4年経つのに、私はまだ愛がわからない。

うちの子たちは元から賢かったけど、最近はメキメキ頭角を表している。

 

『この村に宿は一つしかありません。一度チェックインしてから村を散策するといいでしょう』

 

アクアは子役として既に活躍しており、秘密の親子共演もなかなかの回数だ。

最初の演技はほんと気持ち悪すぎてゾクッとしちゃったなぁ。

それ以外の演技も彼と共演してからますます演技に磨きがかかっていてウカウカしてると息子に演技抜かれちゃうよ〜とか言ってみたかったり?

私から見てもイケメンさんに育ちそうだから将来は女の子を泣かせないか心配だなぁ。

実際、かなちゃんやあかねちゃんはこのままだと将来陥落させられそうだなーって思っててできればアクアには修羅場とかせず、いい感じにまとめてほしいと思ってる。

そういうモテモテなあたりは私よりも彼の血筋だろうね。

私や愛梨さんみたいなのが出ないように目を光らせておかないと。

 

『私もいつか共演するから!』

 

私たちが共演するたびにルビーが嬉しそうにしながらも頬を膨らませて言っている反応も本当に可愛い。

一緒にレッスンすると私の真似をしてニコニコしてくれるあの子を見ていると昔見たファンレター達を思い出す。

ファンレターは紙一枚に凄いエネルギーがこもっていて、ルビーはそれを凝縮して擬人化したような子だ。

ダンスはバッチリで、歌は最初ちょーっと個性的過ぎたけどゆっくりだけど確実に伸びてきている。

アイドルとして将来は約束されているようなものだ。楽しみだなぁルビーのグッズがでたら買い揃えないと。

 

彼と一緒にいたかった、アクアの仕草が嬉しかった、ルビーが可愛かった。そういう単純な感情はある。

これらが愛ならいいんだけど私は愛の確信が持てなくて、もしこれも嘘だったならと思うと勇気が出なくて。

だから私は子供たちに愛していると言ったことがない。

もし口にしてそれが嘘だと気づいたら怖いから。

 

「ねえママ!抱っこして!」

「ふふっいい子いい子」

「はぁ……ルビーは本当甘えん坊だな」

「アクアもくる?」

「いい」

 

ルビーの声に私は現実へ引き戻される。

常に甘えたがりのルビーに大人びているけど恥ずかしがり屋なアクア。

いつか彼らのことを愛していると確信したい。

だから私は今日も嘘を吐く。嘘が本当になることを信じて。

 

宴会が終わって寝る前に、私はあのサイトを数年ぶりに編集した。

記事を編集する権限のある人にしかみることができない非公開ページ。

そこに一切の添削もしない飾り付けもないただ思ったままの言葉を書き連ねる。

B小町メンバー、それも初期メンバーの四人しか見られない秘密の場所にこっそりとメッセージを残した。

ほんの一筋の、誰かがこの記事を見てくれる奇跡を信じて。

 

 

あれから1週間、いよいよドーム公演当日。

チラリと外を見れば晴れているのが見える。少なくとも雪で交通機関が麻痺してライブが失敗なんて展開はなさそうだ。

もし外に出れば冬の寒さが体に襲いかかるだろう。

軽くSNSでエゴサをする。私の名前やB小町で調べてみれば楽しみとか地下アイドル時代から推してるとかそんなコメントが複数見られる。

私も自分のアカウントで『今日のドームたのしみ〜〜〜』と呟いておいた。

なんとなく子供達を見る。

どうしてかやりたいことができてしまった。

二人ともまだ眠っているのにごめんねと思いつつも体は止まらない。

 

「ルビー、アクア」

「んぅ」

 

私の呼びかけにアクアはなんとか目を覚ましたようだけど、ルビーはまだ眠っている。そんな二人を抱きしめる。もし起きちゃったらごめんねルビー。

母親としてはあまり良くないかもしれない私だけどあなたたちのことを愛したいと思っていることは本当だから。

だからいつか……いつかきっと。もし確信が持てたならその言葉を伝えよう。

私の愛は真実となることなくまだ虚構の存在で、いつ本物になるかなんてわからない。

このドームライブで今度こそ私は何かを掴みたい。そんな強い思いが朝から湧いている。

何かが起こる予感、それが私の中で渦巻いていた。

 

特に朝は何か起きることなく、私の元へ迎えにきた社長に連れられてドームへと向かう。

アクアとルビーは後でミヤコさんが連れてくるらしい。社長と一緒に行くのは私だけだ。

二人して昨日の夜にヲタ芸を練習しているのを見ている。今日もあの日みたいに私のために関係者席で踊ってくれるかもしれない。

二人の応援があったから私はここまで来ることができたと思う。

あの二人の応援とその時身につけた表情が人気のきっかけになったのは間違いない。ママなのに私が助けられてばっかりだ。

そういえばアクアがかなちゃんとあかねちゃんにもチケット渡したと言っていたから彼女たちも来るのかな?せっかくだから少しは楽しんでくれたらいいけど。

アクアのことだから無理強いはしないと思うけどあの二人も一緒にヲタ芸してくれたりして。

運転する社長は見たことないくらい嬉しそうで、先ほど二人を預ける時のミヤコさんも同じように笑顔だった。

みんなの笑顔を思い出すといつのまにか自然と私の表情が変わっているのを感じる。

今の私はどんな顔をしているんだろう。

車のバックミラーを覗き込めばすぐに確認できる。

でももしその顔がつまらなさそうな表情だったら怖くて。

……結局、表情の制御を取り戻すまで私は鏡を確認できなかった。

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