「おにいちゃん達、あとは任せるね!」
「ああ、ルビーも全力でやってこい。くれぐれも粗相はするなよ?」
「分かってる。私なんて7年も入院してたプロだからね。それくらい分かってるって」
長かった28時間テレビもいよいよ大詰め。
2日目は数多くの『28時間テレビ』らしい企画が目白押しだ。
昼休憩のタイミングに合わせてルビーはアクア達にそう言ってからスタジオを出発する。
「大丈夫かしらね。ほら、トラウマとかあるんじゃないの?実際その……お母さんに会った時なんて様子も変になってたわけだし」
「送られてきた要望の中に、あの病名が関連してた時点でこれは決まってたことだろ。ルビーを信じてやれ」
「……あら、珍しく過保護じゃないのね」
なんだかんだルビーと付き合いが一番古いかなは少し心配そうにアクアに声をかけるが、アクアは自信があった。
「いつも通りだよ。ルビーは守られてばかりじゃない。あいつは自分で天童寺の呪縛を乗り越えたんだ。これくらいなんてことない。俺たちに出来るのはルビーがいない間もメインパーソナリティーをこなす事だ」
チャリティー系企画の最後は、ルビーが生放送で闘病中の少女に会うというものだ。
因縁ある病気だが、アクアは今のルビーなら問題ないと信じている。その結果発生するだろう問題に対処するのが、アクア達に任された役割で、ルビーには好きに振る舞って貰えばいいとそう思って送り出していた。
「前言撤回。やっぱアンタ過保護なシスコンね」
「なんでだよ」
かなが出した結論にアクアは反発するものの、他のメンバーもうんうんと頷いているのが視界に映る。
それから皆はそれぞれ今のやりとりに対する感想をアクアへ伝える。
「今のはまぁ言われてもしゃあないよなぁ思うよ?いざって時は俺がなんとかするって顔してるわぁ」
「ルビーへの信頼が眩しい。妬けちゃうよマリン……私が似た感じのことする時もフォローお願い」
「ふふっ、アクアくんが選んだ道は大変かもね。でも、私はどんなことをしたくても最後まで一緒にいるから」
全員がそんなアクアをフォローしようと心に決めながらそんなことを口にする。
最後に重めの誓約が聞こえながらもアクア達の休憩が明けた。
ここからのアクア達は、自分たちが事前にVTRを撮影した内容に合わせてワイプから当時の感想などを口にしたりしながら反応していく。
企画①『母子家庭で育った息子による母への恩返し〜憧れの俳優と共に〜』
母子家庭で育った奨学金をもらいながらも非常に優れた成績を残している努力家の息子。
今年から最難関国立大学に進学している彼は、これまで育ててくれた母への恩返しとして番組の要望に応募していた。
『はい、どちらさ……少々お待ちくださいね』
息子からのサプライズということで連絡は入れていなかったらしい。
大慌てで家の中に引っ込んだ彼女はそんなに待たせるわけにはいかないと考えてなのか最低限におしゃれをしてから再び姿を現す。
『その、ほ、星野アクア君?本物?』
『はい、星野アクアです。息子さんが『28時間テレビ』の企画に応募されてまして、今回俺が担当させてもらうことになりました』
息子の用意した恩返し。それは子役の頃からアクアのファンだという母親に本物の星野アクアと話す機会を設けるというもの。
いくつか企画が絞られた段階でアクア達は自分達がどの企画に参加するかを選ぶことになっていた。
アクアが母子家庭を選んだのはもし母が生きていたらの自分を想像したからであったりする。
カメラの許可を取り、家に上げてもらえたアクアは、それから母子家庭で育てる上での苦労や息子についての自慢話などを聞いて過ごす。
「なんというかお母さん目がイキイキしとるな」
「分かる……目の前に突然本物の推しが現れたら視力良くなるからね。目も輝くのも当然だよ」
「視力ようなるって目の輝きによるものやったん!?」
最初はまだまだ子育ての疲れが抜け切っていない様子を見せていた母親も、後半は若々しさ溢れる元気さを見せ始めていた。
そして最後に仕掛け人である息子が家にやってきて、二人の前でアクアは彼らの見てきた演技をいくつか披露する。
実はファンだったらしい息子と一緒に母親は楽しい時間を過ごすのだった。
企画②『片足を失った少女、夢の続きを歩むために憧れの少女達に演技指導を願い出る』
ずっと役者を志して劇団にも所属していた少女は怪我により片足を失ってしまう。
演技というのは身体を使って表現する内容も多く、普通なら夢を諦めるだろう。
だが少女は諦めていなかった。自分でこの番組の企画に応募し、幸運にも絶好の機会を勝ち取ったのだ。
『よろしくお願いします。お二人の演技は子供の頃から知っていて、世代が近いのに活躍してる憧れです』
彼女の要望はかなとあかねによる演技指導。
彼女達が選んだのは、自分なら諦めかねない状況でも夢を諦めない心の強さを見てのことだ。
「驚かされたわよね。片足で立ってる時でもバランスがブレない。口だけじゃなくて本気よあの子。あの覚悟があれば、いつか出てきてもおかしくないわ」
「本当に凄い子なんだよ。実は連絡先交換してて時々この演技どうですか?って質問とか来るし……それに凄く戦略的だよね」
放送されていない裏でアクアにかなとあかねがそんな事を言う通り、彼女は今の自分に出来る努力を怠らない。
そんな彼女を見てかな達は、自分たちも片足でバランスを取りながらの演技を試して、実用的な形へと落とし込んでいく。
最終的にいくつか彼女が役者としてやれるだろう演技の道をかな達はいくつか示し、彼女はその中の一つを選択した。
『へぇ、それでいいの?一番狭き門だと思うけど』
『いえ、お二人のおかげです。……そっか、足がないからこそ自然に出来る演技もある。それならお二人にすら勝てるかもしれない。アドバンテージなんて考えなかったので発想が変わりました』
選んだのは、片足がないのをハンデではなくギフトとする道。
普通の人が足のない演技をするよりずっと自然に演技ができる。
かな達から学んだ演技表現を彼女は今日も練習する。いつか自分に道を示してくれた彼女達と共演するために。
企画③『震災の影響に苦労している学生達。アイドルによる炊き出しとトーク』
フリルとみなみが選択したのはシンプルな被害の残る被災地への炊き出し、そして和むようなトークショーだ。
ある程度落ち着いたとはいえ、いまだに爪痕残る彼らに少しでも元気と勇気を贈るためと選んだもの。
『おねえさんありがとー!』
『ふふっうちこそありがとうな。その笑顔で元気出るんよ』
『可愛い。お姉さんと写真撮る?』
『フリルちゃんまだまだ列長いんやからその辺は後に回した方がええやろ』
突っ込まれるフリルを見て、炊き出しに来ている方々も笑顔になる。
ちなみに、フリルも口ではそんなことを言いながらも炊き出しのために動かす手を止めていない。アイドル業のおかげもあって口を動かしながらも正確な動作をするのは無理がなかった。
「この時のフリルちゃん口と動きの噛み合わなさ凄かったなぁ」
「そりゃー炊き出し来たのにふざけてたら向こうの人たちも迷惑だからね。口は明るくいつものフリルでも流石に真面目モードだよ」
「まぁ皆楽しそうにしてくれたからええけどね」
「どこいってもフリルはフリルって感じだな」
その後行われたトークショーでは基本的にボケとツッコミがはっきりした二人。
体育館に集まった学生達へ見せるのはいつものフリルとみなみ。
『いつもならマリンか重ちゃんをオチに使えるんだけどね』
『二人がそれ聞いたら怒られるよ?』
『一緒に放送時に怒られようみなみ』
『なんでうちも巻き添え!?』
そんな彼女達のトークはテレビ慣れしていてテンポの良いもので、被災地の子供達に笑顔を配った。
ラストは皆で各々アイドルらしいポーズをしながら集合写真の撮影。
この瞬間だけは被災のことを忘れて楽しく過ごす彼らは、これからの復興に若い力を大きく与える存在になるだろう。
企画④『母の祈り。推しに願いを託して』
いよいよ始まるルビーの担当する企画。『推しに願いを』と掛けられたこの企画だけは生放送になっていた。
これについて制作陣からは撮影でいいのでは?という話も事前に出ていた。
だが依頼主からどうしてもこの日に出来ないか?とのメッセージにディレクターやスポンサーが動かされた。
『緊張するなぁ……ど、どんな挨拶がいいんだろ』
ルビーは、病室の前でスーッと深呼吸をして覚悟を決める。
その様子を捉えているカメラ越しにも伝わる緊張感は、見ている人全員に臨場感を与えた。
スタジオに残されたアクア達もカメラ越しに見るルビーから伝わってくる感情の波を理解しつつ、心の中でエールを送り続けている。
先程までと違い、全てがそのまま流れてしまう生放送ということで、ルビーの緊張は大きい。
そんな中、彼女の覚悟はようやく決まったらしい。扉を開いて中にいる人物へと声を掛ける。
『た、たのもー!』
「緊張し過ぎだ。撮影の時よりガチガチじゃねぇか」
「まぁそれは仕方がないやろなぁ。生放送でサプライズなんて今どきやあらへん。どんな事になるか想像もつかんし」
みなみも普通の生放送ではなく、素人を含めた生放送という事で、展開の予想が出来ないなと今回の企画のリスクを口にする。
それはこれからルビーが会う予定の患者と顔を合わせる。
『あ、あれ?もしかしてここって。わ、わぁ……ほ、本当にカメラきた!?』
部屋は個室。他の患者はおらず、ただ一人ベッドの上でテレビを見ていた。
唯一の住人であるうさぎの顔が二つついたニット帽を被った少女の年は12歳。まだまだ幼いと言っていい年齢だ。
テレビで流れているのは『28時間テレビ』。まさにこの番組である。
彼女の母親が、ここのところ何もしてあげられなかった彼女のために用意した誕生日プレゼント。
そう、彼女の誕生日が偶然この日だったことが、生放送になった理由だった。
『え?え??ほ、星野ルビーちゃん?わ、私……ゆめ?』
上手く動かない身体を何とか動かし、頬をつねった彼女は、これが現実だと痛みにより理解する。
『28時間テレビ』の撮影が来るけどいいか?と母から電話で聞かれてはいたが、ルビーが来るとまでは聞かされていなかった少女は、放送画面に自分の病室とルビーが映った時点で、自分はもしかして放送中に寝落ちしてしまったのでは?と思っていた。
『い、いひゃい……。げ、現実だ……』
そんなところに現れた本物のアイドル。これまで何度も想像してきた状況が目の前に広がっていた。想像して、でも絶対にありえないと思っていた光景を彼女の脳は少しずつ理解していく。
そんな彼女の心境を痛いほど理解できたルビー。自分の時は結局身体が耐えられずに果たせなかったが、まさに吾郎がチケットを持ってきた時のさりなの気持ちに近いものを目の前の彼女は感じているだろう。
『ママも超えるアイドルになる!星野ルビーです!こんにちは』
『え、えっとこ、こんにちは。……ど、どうしてこんなところに?』
母親すらもあまり来なくなっているこの病室に、どうして今一番人気があると言われるアイドルグループの彼女がいるのか、現実だと理解していても彼女が不思議に思うのも無理はない。
ルビーはそんな彼女に事情を説明していく。
『そ、そうですか。お母さんが言ってたテレビってこれの事だったんですね』
『そう!娘がB小町Rのファンなので来られませんかって!』
ルビーはすぐに視線を病室に置かれた棚に映す。そこにはいくつものB小町Rのグッズが飾られており、ポスターの前には五人のぬいぐるみが基本フォーメーションの並びで飾られていた。
思わず嬉しくなって飛びつきそうになるのを何とか我慢しながらルビーは、少女に話しかける。
『それ、私達のグッズだよね!誰推し!?!』
『き、基本箱推し……なんですけど、その、最推しは、る、ルビーちゃんです』
『私!?やたー!!』
アイドルになってからというものの、ルビーは誰かの推しになれたのをとても喜んでいる。
トップアイドルになってからもその心は変わっていない。
それから少女は色々とルビーに質問をしていく。
和やかな空気感からサプライズは無事成功だと思われた。
ただ、彼女が自分の話をする側になると空気感が変わる。
『最近お母さんもあんまり病院に来なくてさ、やっぱり負担が大きいのかなって』
最近母が見舞いにくる回数が減っているとルビーに話す少女。その言葉は諦観に満ちている。
『結局さ、お母さんは私の事なんてどうでもいいの。テレビに私を出して入院費の足しにしたいだけ。この番組そういうのあるんでしょ?』
推しに会えたこと自体は当然嬉しい。
だが最近自分の見舞いにすら来る回数が減っている母親が少女のためだけにこんなことするはずがないと、少女は少し疑心暗鬼になっていた。
『そんな事ないよ。あなたのお母さんは』
ルビーはお母さんが少しでも元気になってくれるようにとこの企画を設置したのを知っている。
直接話す機会があり、そこで感情のこもった本音を伝えられていたからだ。
ただ少女にはそんなこと知らされていない。
「あなたに何が分かるの!?健康的な身体に生まれて、何不自由なく生活できて、お母さんに愛されて!!分かるワケない!絶対に!!」
生放送の最中だというのに感情を剥き出しにする少女。
彼女だって去年までは健康的な身体をしていた。ルビーにずっと憧れていつかはこんなアイドルになんて夢も見ていた。
だが、この病気を患ってからは身体が言う事を聞かない。記憶だって不確かになっている。数度目の手術を控えている状態とはいえ、これに失敗してしまえば後がない。
そんな少女の本音。憧れにすら当たってしまうくらいに精神的に不安定になってしまっている。
『……あっ……ご、ごめんなさ……私こんなこと言うつもりじゃ』
一度爆発した落ち着いたのか、少女は泣きそうな表情でルビーに謝罪する。
綺麗ごとを抜きにすれば、常識的に考えたら分かるはずがない。これ以上の撮影は良くないと考えて撮影を止めようとする彼らの前で、ルビーはそんな彼女を抱きしめる。
心無い人たちからお涙ちょうだいなんて言われてもいい。かつて夢を抱き、叶えられず、だが大切な人が最後まで看取ってくれただけで幸せになれた少女の残滓がこの子をそのままに出来なかった。
『分かるよ。……身体が上手く動かなくてさ、昨日あった幸せな事すら曖昧になっておかしな感じに覚えちゃって。どんどん自分の存在に自信がなくなっていく』
『な……なんで?』
なんでと言われてもルビーはこの病気については彼女の先輩だ。
5年以上も付き合ってきており、彼女よりよほど詳しい。
だが、流石にその質問には答えられず、はぐらかしてから言葉を続ける。
『でも確かにそうだよね。伝わらない愛情はないのと変わらないから。いくらあるって信じたくてもどんどん不安になってさ。わかった!私に任せて』
ルビーはこの依頼に書かれていたメッセージを少女に届ける。本来彼女には伝わらなかっただろう言葉。自分が何もしてやれず逃げてしまっている懺悔の手紙。
テレビには映されていないそれを彼女は受け取り、涙を流す。
『でもね、貴方のお母さんがさ、貴方が私達を推してるって知っていたから、どうにかしてあげたいと思ったからこの出会いは実現したんだよ』
『……っ』
『だからさ、一回だけでいい。お母さんと話し合わないかな?ほら!私も一緒にいるから』
『……はい!』
元々は憧れのアイドルと会って思う存分語り合うだけの企画だったはずなのだが、いつの間にか予想外の方向に脱線していった。
ここで一区切りがついたということで、最後はかなり予想外のことがありつつも無事に綺麗にまとまった感じに企画は終了。
残りは放送されないが、少女は母親と分かり合えるのだろうと皆が想像を膨らませることしかできない。
ただあの言葉通りならルビーはまだまだ戻ってくることはないだろう。
「……アイツ自己判断で帰ってこないな。向こうの撮影はアレで終わりだが、これどうするか」
「世間の流れはルビーがいなくても許してはくれるけど、私達のチャリティーライブ自体は人数不足だとどうしても不格好になるわよ」
ルビーの行動自体には皆好意的に考えているのだが、残念ながらこのままだとエンディングには間に合わない。
そうなると予定されているB小町Rのライブを披露するのが難しくなってしまう。
何かいい手段はあるかと皆が考えたところで、ぽんとみなみが手を叩いて口を開く。
「あっそれならええ考えがあるよ」
そう言って彼女が提案した内容は皆を驚かせる。ただ確かに応急処置にはなるなと考え、実行者であるアクアに視線が集まった。
「なんでよりによってみなみが思い付いたんだ……でも仕方がない、今日だけ代打だ。ルビーがもう一人の自分の可能性を信じるなら、俺はそれを全力で支えるだけだ」
アクアは意外には思いつつもそれしかないと承認する。
そして慌てるスタッフ達にそのことを伝え、全員から驚かれることになった。
「本当にありがとうございました……娘の事を私はちゃんと見てあげられていなくて、罪滅ぼしのような気持で応募させてもらいました。でもルビーさんのおかげで娘とまた向き合えます」
娘と腹を割って話した母は、ルビーへと感謝を述べる。
『28時間テレビ』を見ていた母は、状況を理解してあの後すぐに病院へと向かった。
間違いなく娘のことは愛している。だが死ぬかもしれない娘をずっと見るのが辛くて、会いにいく回数が減っていた。
このままだと、とある少女と同じ未来が待っていただろう。
「最後まで、どんなに可能性が低いと思っていても信じてあげてください。それだけできっと娘さんは幸せなんです。それに……奇跡が起きたときは皆で笑い合いたいじゃないですか」
「……はい。これからは絶対に最後まで諦めません。娘の力を信じます」
退形成性星細胞腫は確かに生存率が非常に低い病気だ。だが、ゼロではない。
幸いな事に彼女はさりなほど重症化しておらず、更に医学の進歩もあって可能性は五分五分以上と言われている。
ルビーは少女に連絡先を渡した。今後連絡を取れるように彼女がどうなるにせよ、天童寺さりなにとっての雨宮吾郎になろうと決めている。
全ての子供に出来るわけではない。ルビーなりの自己満足。それが彼女が出来る最善だ。
「ご、ごめんなさいルビーさん。エンディングライブが」
B小町Rファンの少女は、『28時間テレビ』のラストに行われる放送内容を知っている。
B小町Rによるエンディングライブで、彼女達の踊りは五人で最高になるようにチューニングされている。一人欠けた状態だと少し歪になってしまうだろう。
申し訳なさそうな少女に対して、ルビーは笑顔で返した。
「ふふっ大丈夫だよ」
「え?」
ルビーは一体アクア達が何をするのかはわからない。
だがいつだって自分の兄や皆はこういう時に絶対なんとかしてくれる。
それを信じているからルビーはすっぽかしなんていう無茶ができたのだ。
その時、テレビに映されたままだった『28時間テレビ』のエンディングが始まる。
暗くなったスタジオ、そこには五人の影が並んでいた。
あれ?と少女と母親はこの場にいるルビーと画面の向こうにいる五人に視線を行き来させる。
親子らしくその仕草はよく似通ったものだった。
『ア・ナ・タのアイドル〜』
歌声が始まり、パッと明かりがつく。
センターにいるのは一際身長が高いが、非常に美しい金髪の女性。
『サインはB!チュッ』
どう見ても女性にしか見えない完璧な女装をして、星野アクアがポーズを決めていた。
あまりの美人さに一瞬認識が遅れる一同。
ただ状況を理解した後、病室にいる皆の行動は一つだった。
「「「ははははははは」」」
病室は思わず笑顔に包まれる。
最後の最後に全部持って行った兄にルビーは内心で感謝しながらこの親子に幸せな未来が訪れますようにと神に祈る。
「おにいちゃん私のパート完璧じゃん!本当大好き!!」
「ルビーさんってやっぱりアクアさんのこと大好きなんだなぁ」
そして最後に大好きな兄のシスコンっぷりにブラコンを爆発させるのだった。
数年後、病気が完治した少女は苺プロの門を叩く。いつか自分も自分の心と家族の絆を救ってくれた星達のようになりたいと願って。
こうして『28時間テレビ』は無事に幕を閉じたのだった。