【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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ライブ前

「ここに来るのも久しぶりだな」

 

ドームを眺めながらアクアは呟いた。

あの事件以来アクアがここを訪れたことはなかったので、当時の記憶が蘇る。

今日も前回のドームと同じくアイの誕生日。

名実共にあの思い出すら上書きしようという意図が見え隠れしている。

嫌な記憶も強いが、やはりあの日別格だったアイの思い出が一番印象に残っていた。

それを超えられるのかと不安になるファンがいるのも仕方がないだろう。

ただ既に行われた各地のライブを見た人たちの感想を見る限り心配はいらなさそうだとアクアは思っている。

なんでも回を追うごとにどんどん良くなっており、既にドームライブを超えているのでは?と言われるほどのクオリティになっているらしい。

アクアとルビーはこのライブが終わったら今年のライブ映像を見ようと話していた。

 

「まぁ色々あったもんね……実はアイさんが奇跡の生還をしたってあの事件現場ちょっとした聖地扱いらしいよ?なんか拝んでいる人がいるみたい」

「アイの血の痕跡も残ってないだろうにどうなってるのよ!というか昨日の夜パソコンで何か作業してたのはそれ調べてたの?」

「ううん、それは別件。資料作成してたんだ〜」

 

あかねが事前に仕入れていた情報にかなが呆れたように返す。

かなは寝る前にあかねがパソコンを触っていたのを見かけていたので、その時調べたのかと思ったが、違ったらしい。

じゃあ何のために?と首を傾げている。

 

「私はドームに来るの初めて。マリンから各曲のヲタ芸も教わったから大丈夫だとは思うけど……」

「フリルはC式部のライブしか行ってないからそうなるよな。昨日最後に確認した限りは良かったと思う」

 

フリルのヲタ芸は外連味があり、思わず目を引いてしまう。

もしクオリティが低ければ大惨事になりかねない特性だが、クオリティ自体は注視しても問題ないどころかしっかり練習したのが伝わるいい動きだったとアクアは思っているため、心配しないでいいと伝えていた。

 

「それならよかった。B小町の人たちにはアイドルとしてのいろはを教わっているからみんなに笑いを届けたい」

「笑顔じゃなくて笑いかよ!流石にライブのヲタ芸でコメディエンヌ適性はいらないからな?」

 

フリルは所作が目を引くことの多い少女だ。

太陽のような主張をするかなや相手になりきって感情を汲み取るあかねとは違い、不知火フリルという存在自体がいるだけで目を惹くタイプ。

もし今回隣にいるのがアクア、ルビー、かな、あかねといった人物でなければフリルが近くにいるだけで霞んでしまうかもしれないオーラがある。

 

「今日も楽しみだけど……それはそれとしていつかMEMちょもドームに立てるかな」

「まぁC式部も今の調子なら再来年にはドーム行けると思うからその時の予行くらいに思ったらいいんじゃないか?」

 

C式部は活動期間2年とまだ短いながらも人気のあるグループだ。

配信の方でも配信者専属の一部エース級と同じくらいに成功しており、知名度はドルオタに限らず高い。

このままいけばドームも遠くないうちに行けると壱護がニコニコと話していたのをアクアも聞いていた。

 

「C式部もいいよね〜!特に最近ゆらちゃんが来てると思う!なんというか瞳の引力がアイお姉ちゃんに通ずるものがあるよね。MEMちょも含めて他四人もそれに合わせて引っ張られるみたいにニョキニョキパフォーマンス良くなってるし、お互いがいい意味で支え合ってる感じが昔のB小町とは違う魅力っていうか〜。とにかくうちの事務所見る目あり過ぎ!」

 

この中で唯一のドルオタ(他はアイオタまたはMEMオタ)なルビーはニコニコと話す。

アイドルで演技の何かを掴んだように、演技でアイドルとしてのきっかけを掴んだらしい。

壱護も想像を超えてのゆらの成長に思わぬ掘り出し物と評価しているとか。

 

「ホントあなたたちは相変わらず……いえ、あの頃より大きくなったし人数も増えたから余計にエネルギッシュね」

 

ワイワイと話し合う子供達を見てこめかみを抱えながらミヤコは呟く。

今日の彼女は子供達の引率に全てを費やす予定になっている。

最近は社員も増えてきたのでアイ+子供組だけのマネージャー業務がメインとなり、管理するものを減らしていた。

配信者部門は全体の管理こそ行なっているものの個々のマネージャーは引き継いでいる。

この理由はシンプルであり、今の主力であるアクアたち子供組がその名の通り子供なのが理由だった。

あくまで慣れた相手の方が精神的に負担をかけなくて済むと経営判断がされている。

 

「それで?アクアはどーせまた裏ルートでグッズ買ったでしょ?時間も余ってるし折角だから待機室で見せなさいよ」

 

かなは話がひと段落したところでアクアに話を振る。

この男のことだからどうせいくつもグッズを購入してもらっているだろうと予想していた。

だがアクアの返事は予想とは違うものだった。

 

「前回と違って全員同じ事務所なだけあって会場開放の時間より早く来た意味を考えてくれ。あかね、例のものはできてるのか?」

 

まだ関係者以外に入場できないこの状況ならば、アクアが並んでいても物販係くらいしか騒がない。

今ならば自分でグッズを買うことができる。

 

「勿論!事前にスタッフさんにも確認してどこにどのグッズがあるかわかる資料は作成済み。PDF送っておくね!」

「満喫する気満々じゃない!?」

 

会話の流れで今回は購入からやることを理解したかなは思わず反応した。

 

「あっおにいちゃんズルい!あかねちゃん〜私にもちょうだい!」

「いいよ〜」

 

アイファンになって歴が浅かったあかねは一度も物販に参加することができていなかった。

アクアから事前に物販回らないか?と話が来てから楽しみにしており、しっかりと裏ルートも使ってまとめていたのだ。

最初はアクアが作るつもりだったが、あかねがやらせて欲しいと自己申告した結果、あかねが作成する形になっている。

 

「すごいねこれ、グッズの形状も小さく写真で載っているし別ページでグッズごとの差も載ってる。今度からあかねにMEMちょグッズ購入ルート作ってもらおうかな」

 

グループに上がった資料を見てフリルも感心しながらそんな言葉を送った。

分かりやすさが重視されており、見る手のことをよく考えられている。

 

「いいよ、フリルちゃんが事前にグッズの種別だけ送ってくれたらピックアップしておくね」

「いや、自分でやれ。前にそれっぽいの作ってただろ」

 

自分の行かないライブの資料を忙しいあかねに作らせるなとアクアは呆れた声を出す。

ただあかねは人の世話をするのが好きな性分なのできっとお願いされたら作るだろう。

 

「新規グッズの三人集合グッズもあるじゃん!いいよね〜今のB小町!」

 

ルビーもあかねの作っている資料を眺めて面白そうなグッズを見つけて反応する。

 

「あれ?あんた前にB小町は箱推しってわけじゃないとか言ってなかった?」

 

その言葉に以前雑談でルビーがそんな話をしていたのを聞いていたかなは不思議そうにしていた。

 

「うっ……その〜初期メンだとアイお姉ちゃんとめいめいはずっとお気に入りだったけど……ニノちゃんとたかみーは……あんましだったよ?」

「もろにニノさんいるじゃない」

 

残ったB小町の三人はアイ、ニノ、きゅんぱんの三人だ。

先ほどまで痛いところを突かれたと言いたげに渋い表情だったルビーは少ししてから開き直って語り始めた。

 

「確かにそう言ったよ!でもでも最近のニノちゃん可愛いんだよ!?一緒にお話しする機会も増えたから印象変わったっていうかさ〜前はなんか『いつもニコニコニコニコ笑顔のニノです!』ってやってた時もなんかなー普通に可愛くはあるんだけどイマイチ推せないな〜って感じだったけど、こないだのバラエティでB小町揃ってた時なんか本当にニコニコって感じでさ〜なんか吹っ切れた感じで」

「手のひら返してんじゃない!あんた時々私より酷いわよね」

 

怒涛の勢いが語るルビーをバッサリ切り捨てるかな。

そんな彼女に不満そうだが、何も言い返せないルビーだった。

 

「一般開放まで一時間あるから好きに会場見てきていいわよ」

「やたー!おにいちゃん、あかねちゃん一緒にまわろ!」

「いや、一時間って結構時間短いぞ。別れてから回った方が良くないか」

「並ばないからそこまで時間かからないと思うよ?でもアイさん以外のグッズも買いたいなら別れないと厳しいかも」

 

アイオタ三人組が移動を始めた横でため息を吐いたかなはフリルへ話しかける。

 

「フリル、あんたは別にB小町グッズ買わないでしょ?その辺で休まない?」

「さっきあかねの作っていた資料の一部でC式部とのコラボグッズがあるのが見えたからそこに行く予定。MEMちょ推しとして是が非でも揃えたい」

「もう!どうして私の周りはドルオタばっかり!それなら私もついていくから!」

 

かなは結局他三人が既にいなかったのもあり、フリルと共に行動することを決めて移動を開始した。

 

 

一時間後、各々好きなグッズを買ったということで戦利品紹介が始まる。

ミヤコは戻ってきた子供たちが買っている大量のグッズに驚きつつも、この子達ならこれくらい買うよなと納得しながら眺めている。

 

「今回のグッズは再販も新規も過去最多だったから欲しいグッズは山ほどあったな」

 

色々なグッズを見ながら買うことができてホクホク顔のアクアは両手どころか背中にもグッズの入った袋を持っていた。

ぴえヨンのおかげもあって鍛えられた肉体をフルに活用している。

その中の一つを見てかなはアクアに問いかけた。

 

「あれ?このタオルあんた前も買ってなかった?」

 

そういってかなが手に取ったのは『アイ無限恒久久遠推し‼︎!』と書かれたタオルで以前ドームで購入したものと同じものだったが、これには理由がある。

 

「アイの血がシミになって抜けなかったからお蔵入りになったんだよ。心情的にも使いづらいし」

 

止血する際に使ったタオルだから色々思い出すのもあり、そもそも日常で使う気にならなかったのが大きい。

結局アイが自分のことを守ってくれたタオルだと言って部屋に飾っている。

この事実だけは口が裂けても言えないとアクアは思っていた。

事件現場すら聖地にする人たちから見れば、本当にタオルが輝いて見えるかもしれない。

 

「懐かしいなぁ、アクアくんの対処がお医者さんもビックリするくらい手際良かったんだよね」

「アイの事件、伝聞でしか知らないのだけど、あなたたちもその場にいたの?」

「そう!おにいちゃんなんて犯人の目の前にいたんだから。本当二人とも無事で良かったよね」

「本当にみんな無事でよかった」

 

衝撃の事実にさしものフリルも目を大きく開いて驚愕したような声に出していた。

もう事件から5年も経つのだと改めてアクアは感じた。

アイもただリハビリをしたり休息を取ったわけではない。

あの日を超える衝撃が今日見られると信じている。

 

「次は黒川あかね……。え?何それ」

 

あかねが握りしめている小さなぬいぐるみを見て唖然とするかな。

他のメンバーも揃って彼女の手元を見たところであかねは説明する。

 

「ピーマン体操衣装バージョンのアイさんとかなちゃんが一緒にいるミニぬいぐるみ」

「いや知ってるけど!?なんでそんなのあるの!?確かになんかグッズ許可は出したけどこんな形になってたの!?」

「B小町と苺プロのみんながコラボしているシリーズにあったよ。あとは乱歩の衣装きてるアクアくんを抱き上げてるアイさんも買っちゃった〜」

 

版権などの関係もあり割高だが、本当に今回のライブには色々なグッズがあった。

先ほどMEMちょのグッズがあるとフリルが言っていたのもそのシリーズである。

 

「私もそれ買った。普段のマリンからのギャップが可愛いよね。学校のカバンにつけようかな」

 

そう言って彼女が取り出したのはアイ&アクアグッズ、MEMちょ&アイグッズ、MEMちょ&ニノグッズ、MEMちょ&きゅんぱんグッズの4つ。

すべてミニぬいぐるみであり、デフォルメされている。

B小町を直接推してはいないため、コラボグッズがメインとなっている。

どれも非常に高いクオリティだった。

 

「流石に学校では恥ずかしいから勘弁してくれ、私物ならいいけど」

「私物ならいいんだ……私もつけようかな」

 

クラスメイトのカバンにそんなものつけられたらアクアとしてはメンタルが持たないのでせめて私物にという願いだったが、藪蛇だったようだ。

あかねとフリルはどちらもよく使うカバンにつけることを決める。

 

「それでルビーは……あのタオルと同じキーホルダー?」

 

ルビーは小さなキーホルダーを握りしめており、かなが見せて貰えば『アイ無限恒久久遠推し‼︎!』と書かれているのを確認する。

 

「そう!こっちがリメイク前の奴!ガチャでさっき当てたんだ〜どう!おにいちゃん似合うよね」

「ああ……最高に可愛い」

 

にこりとしながら言うルビーにアクアは本心から言葉を返す。

それを見た周りにはこいつやっぱりシスコンだなと呆れた視線を向けられたが、それすら気にならないくらいには今回のアクアは強かった。

長い時を経て、あの時とは違うものの同じグッズが彼女の手元に戻ってきたことをアクアは喜ばしく思っていた。

 

アクアたちが楽しくグッズを並べて見ている頃。控え室では社長とメンバー三人が集まっていた。

いつかよりメンバーは減ったものの空気は明るい。

 

「……開始まで残り30分。準備はできてるかお前ら」

「勿論⭐︎完璧通り越して最強!って言い切れるくらいバッチリ」

「その違いはわからねぇが、気合が入っているってのは伝わった」

 

座席は全てはけており、完全満員。

特に目立ったトラブルもなくB小町の三人は待機している。

以前のドームライブも最高に仕上げたと自負していた彼女たち。だが今の方がずっとアイドルとして輝けると三人とも確信している。

 

「これがB小町、最後のライブだ。笑っても泣いてもこれで終わり。ファンたちはなんとか活動続けて欲しいと言っている。地下アイドルからスタートしたB小町がここまで惜しまれるアイドルになった」

 

以前とは違う。終わりと決まっているライブ。

壱護はまだ終わっていないというのに涙を流しそうな自分をなんとか抑えながらメンバーを激励する。

 

「思えば、あの頃の俺はお前らの感情なんて全く考えずただ売れるように売れるようにしか考えてなかった」

「ホントだよ、おかげで仲直りまで何年もかかっちゃったじゃん」

「「そーだそーだ」」

 

アイの言葉に悪ノリしたニノときゅんぱんも社長へと文句を言って揶揄った。

 

「いや、半分以上はお前らの責任だろクソアイドルども。勝手にドロドロの喧嘩してたくせに急に仲良くなりやがって。仲直りなんてできたのほとんど奇跡だぞ。今更になってアイとニノの交換日記もどき見せられた俺の気持ちがわかるか?」

「えっそれなら私とばっちりじゃない!?私も社長が知るちょっと前までブログなんて知らなかったんだけど!?」

「うるせぇ三人中二人がやらかしたんだから連帯責任だ」

「理不尽だよ!?」

 

茶々を入れるアイたちに怒鳴りながら返しながらも壱護は内心で反省する。

その反省を生かした結果がC式部であり、ルビーに向けたアイドルユニットの準備だった。

売れることと人間関係の両立が必要だと身に沁みて分からされた出来事だと壱護は感じている。

 

「まっお前らはこれからもマルチタレントだったりマネージャーだったりトレーナーだったりと進路は別だが、同じ会社で働くんだ。それなりに今度は言葉にして相談でもしてろ」

 

ニノときゅんぱんも苺プロで働き続けることを決めている。

この辺りは二人とも悩んだようだが、最後は自分の意思で選択した。

 

「最後のサプライズを許したんだ、その分、盛り上げてくれよ?」

「うん、期待してて」

 

メンバーをギリギリまで激励した壱護は時間が来たのでその場から離れる。

あの日とは異なり、三人になったメンバーは全員が違う場所から現れる予定だ。

持ち場に着く前に会話をする。

 

「これがラストだって」

「あまり実感なかったなぁ」

「そうだね〜ニノちゃん、きゅんぱん。少し寂しいよね〜」

 

三人は自分たちの思い出を振り返る。

アイにとってもここ数年の充実していたけどアイドルはしていなかった時期とギスギスとしていた代わりにアイドルを全力でやりきった時期、どちらも今となってはいい思い出だ。

ニノはアイの方へと向いて複雑そうな表情をしながら言葉を発した。

 

「あの日の話通りにさ、一つのケジメとしてアイのバカ野郎!って言いたいって思ってたけどさ……どう考えても私の方がバカ野郎なんだから結局ずっと言えなかったんだよね。本人に聞くのはアレなんだけど……なんて言ったらいいかな」

 

加害者側であると自分を認識しているニノとしては、今許されているからとアイにいつまでも甘えず何処かで区切りをつけたいと思っていた。

普通の謝罪はとうの昔に済ませてはいたニノだが、あのブログの約束だけはどうしても果たせなかったというわけである。

そんな普通なら返答に困る言葉にアイはくすくすと笑いながら返事をする。

 

「私が変に嘘がうまかったから拗れちゃったところもあるからねぇ〜。そりゃあの言葉自体は傷ついたけど〜」

「ぐ……そりゃそうでしょうね……私やっぱり最低じゃない」

 

この場で二人に対して悪くないとしたらきゅんぱんくらいだろう。

彼女としてもこの二人がよく和解できたなと心から思っているくらいだ。

ブログを見せられた時なんてとんでもないこと書き殴ってるなこの二人とドン引きしたくらいである。

今の二人はどちらも話しやすいが、最悪の時期を知っている身としては奇跡が絆を再構成したとしか思えない。

ただきゅんぱんはきゅんぱんで、そんなアイを一人にしてしまったという後悔は今でも残っている。

その当時の思いを綴ったブログを見た後なら尚更だった。

そこでアイがパン!と手を叩いて空気をリセットしてから話し始める。

 

「じゃあせーので『みんなバカやろー』って叫んでこの話は終わり!きゅんぱんの罪悪感も含めてね!私は今が幸せ!だからもう過去のイヤーな気持ちは見ない!みんなもそれで行こ!」

「アイちゃんがそれでいいなら」

「……ほんとアイって優しいよね、あの頃は全然わかんなかったけど」

「じゃあ行くよ!せーの」

「「「みんなバカやろー!!!」」」

 

互いの気持ちを力技で清算して、最後のライブは挑む。

全員の気持ちは一つの方向へと向いていた。

 

嵐の前の静けさが会場を包み込む。

今か今かと彼女たちの登場を待つ満員のドームに訪れた観客たち。

会場を埋めるのは7割の赤と3割を二分する黄と緑のサイリウム。

以前のドームライブでは9割だった赤が減ったわけではなく、複数のサイリウムを持つ人物が増えた結果、この配分となっていた。

単推しと呼ばれる人は少なく、依然としてアイが不動の一番人気。それでも今の二人は幸せだった。

空気が弾け、三人が飛び出す。

B小町最後のライブが始まった。

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