【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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JIF編
デビュー


4月に入り、アクアたちは2年生へ進級する。

中学生から毎年行われるクラス替えという試練を乗り越えて同じクラスに集まった苺プロ所属メンバー。

彼らは昼休憩の時間、昼食を取ろうと教室外へ移動しようとしたアクア達は通りすがりに自分たちへ関係のある噂を耳にする。

 

「見た?苺プロの公式サイト」

「なんか今日重大発表するらしいよ?新しい配信者かな?」

「いや、そろそろ新規アイドルじゃない?C式部も解散するかもって話出てるし」

 

苺プロという名前は、これまでのタレントたちの頑張りによって大きく広がっており、少数精鋭の大手芸能事務所のような扱いとなっている。

その公式が毎月の公式配信で今日は重大な情報があるとわざわざ告知していた。

これは非常に珍しくいつもなら自然に発表することが多いため、よほど大きな案件だと話題になっている。

アクアという目に見えた関係者はいるものの、ここの生徒は実に良識深く一人に答えられないと言えば細かい情報を聞いてくることはなかった。

彼らは周りに人のいない校庭の一角へと移動してから食事を始める。

リラックスした状態で仕事関連の話もするとなれば、こういう場所に移動しないと困るのが今の難点だろう。

 

「うぅ……壱護さんもスパルタ過ぎない?かな先輩が移籍した時なんて公式配信どころかぴえヨンとさらっとコラボして告知されたのに」

 

自分たちがいきなりそれなりの視聴者数にさらされる事にルビーは小さな不満を漏らす。

 

「アレは移籍について下手な勘繰りされたくなかったんだから仕方がないだろ。それにデカいとこでいきなり出した方がマーケティング的にもいいらしいぞ」

 

もうかなの移籍も何年も前でアクアたちから見ても懐かしい話だ。

わざわざシルエットも出さずに、サプライズ感を出してはいたものの、コメントで予想されまくっていたくらいにはバレバレだった。

そのおかげでコメディー感が強くなり、人によってはセンシティブに感じる事務所移籍の話題をマイルドに面白い方へ捉える役割。

そこまで計算してあの作戦を考えた壱護にはアクアは感謝しかない。

懐かしんでいるアクアの肩がトントンと軽く叩かれそちらを向くとフリルが真顔でアクアを見ていた。

 

「見て、もう私の手も震えている。マリンが手を握って温めてくれないと」

「今日からアイドルやるやつのセリフじゃないだろ。微動だにしてないぞ」

「ちぇ〜バレた」

 

フリルは緊張という言葉とは無縁と言いたげな実にいつも通りの様子だ。

まだまだ先なのに緊張なんてするような奴じゃないとアクアは長い付き合いでわかっているので適当に対応する。

 

「でもうちらのデビューちゃんと祝福してもらえるやろか。やっぱ看板が重いと思うんよぉ」

「大丈夫!私たちには後を継ぐ正当な権利があるんだから!」

「ルビーが赤ん坊の頃からヲタ芸やってたくらいしかないやんか!いやこれ可愛いから癒されて許されるかもしれんけど」

『ばぶ!ばぶ!ばぶ!ばぶ!』

 

そう言いながらスマホのホームにあるリンクをタッチしヲタ芸赤ちゃん動画を再生するみなみ。

 

「流石に音量ありで目の前で見るのはやめろ。流石に恥ずかしいんだが」

「わぁ!おにいちゃんかわよ〜」

「ルビーはまるで効いた感じないなぁ。メンタル強過ぎん?」

 

顔をほんのり赤くして手で表情を隠すアクア。

冷静に考えるとB小町Rは五人中四人がアクアのファンで構成されている。

ヲタ芸動画を見ているメンバーばかりなのも納得だろう。

それに対してルビーは兄の赤ん坊姿を見てによによと顔を緩ませている。

 

「これ昔ミヤコさんに生データ貰ったんだよね。マリンもルビーも最初から最後までキレッキレなの凄い。一日一回摂取するようにしてる」

 

そんなことを言いながらフリルは自身のスマホの動画再生アプリを開いて実物を見せる。

アクアも存在を知らなかった代物が現れてアクアは少し動揺した。

 

「は?なんでそんなものが……今のミヤコさんには文句言えないけど後々問いただしたいんだが」

「マリン妊婦さんに優しいね。小学生の頃、私とあかねでこの動画の話してたらくれたよ?」

 

妊婦に余計なストレスをかけたくない前世からの職業病が出るアクア。

そんな彼に感心しながらフリルはアクアに謎の答えをおしえる。

ため息を吐きながらも実害はないと自分に言い聞かせてアクアは諦めた。

 

「……これ以上横に拡散しないならいいか。絶対身内以外に渡すなよ?」

「勿論」

「おにいちゃん恥ずかしがりすぎだよ〜私もおにいちゃんも可愛く撮れてるし」

「この光景に恥ずかしさを感じないお前がこえーよ」

 

ルビーは以前発覚した時もすぐ恥ずかしさが消えていたようだし、アクアより羞恥に耐性があるのかもしれない。

みなみも遊ばれているアクアを見て笑顔になっていた。

 

「なんか話してたら大分楽になったわ。アクアさんのおかげで気が紛れたみたいやね」

「それなら良かったけど」

 

自分が犠牲になる事で他が幸せになるならいいかとこの辺は前世から変わらない気質のアクア。

その姿にみなみは以前からいつかお願いしようと思っていたことを口にする。

 

「その〜アクアさん。うちのこともそろそろ名前で呼んでくれへん?ほら、うちら知り合ってからもう数年経つし、学校も一緒やから親しみ込めたいっていうか」

 

自分の指をツンツンと突き合わせながら恥ずかしそうにいうみなみ。

ただそれに対してアクアの反応は実に淡白だった。

 

「全然いいけど。確かにこの中で一人だけ苗字呼びだったな。気にしてたなら悪かったな、みなみ」

「はわぁ!?お、思ったよりあっさり呼ぶんやね。ちょっとドッキリしたわ」

 

みなみにとってアクアは友人である以前に推し、憧れの存在である。

また彼女は非常に想像力、いや妄想力が高いため名前で呼ばれた瞬間に顔を赤くして反応していた。

 

「よかったね、みなみちゃん!でもやっぱり勇気出して良かったと思うよ〜素直になれない先輩なんていつまでも有馬だから」

 

カラカラと笑うルビーの言葉にアクアは半目を向けながら話しかける。

 

「……それ俺が聞いて良かったやつか?」

「大丈夫でしょ、先輩わかりやすいし、どうせお兄ちゃんも今更ってキッカケないだけだろうし」

 

アクアにとってルビーを除いて一番密度のある付き合いがあるのはあかねだが、ルビーを除いて一番付き合いが長いのはかなだ。

何度か呼び方を変える機会はあったものの、なんとなくそのままになっていた。

ルビーに後押しされたような不思議な気持ちのまま、アクアは午後の授業を受ける事になる。

 

 

放課後、苺プロの所有する撮影スタジオにはB小町Rのメンバーが勢揃いしていた。

学校でアクアと一緒にいた三人はもう少しで配信開始だという事で少し緊張した様子が見えていた。

あのルビーやフリルすら緊張するんだなとアクアは意外なものを見たような気持ちになる。

 

「二人は流石だな」

 

対してかなとあかねは数年前までゴールデンの番組にも出演経験のある実力派子役だっただけあって気楽そうだった。

 

「そりゃそうでしょ。苺プロ公式配信だって何度か出たしもっと大きな番組にも2歳とかの頃から出てるのよ?」

「私はかなちゃんほど昔からってわけじゃないけど、それなりに番組にも出させてもらっていたしね」

 

この数年で彼女達は大きく成長した。

身長は最後にテレビに出ていた時から10cm前後伸びており、かなは152cm、あかねは160cmといった具合である。

ただかなは身長の伸びがほとんど止まってしまったらしく、その低さを嘆いていた。

ちなみにアイはその情報を聞いた時は口を大きく開けて驚いていた。

 

『私かなちゃんに身長抜かれたの!?子供が大きくなるの早いなぁ〜』

 

こんなことを言いながらかなの横に並んで頑張って高く見せようと背をピンと張っていたので、アクアの記憶によく焼き付いている。

親として自分の子供達くらいの歳の子に身長で負けたくなかったのだろう。

先日ルビーに身長を抜かれた時も親の威厳がと以前のように気にしていたのがもう30歳になるのに可愛らしかった。

 

「できればかなとあかねから三人に向けて芸能界の先輩としてアドバイスしてやってくれないか?」

「そのくらい自分で……え?今アンタなんて言った?」

 

今回はいい区切りだ。

彼女達の新しい門出であり、みなみはこのタイミングで呼び方を新しくしてほしいと言った。

それならば、かなについても合わせる方がいい。アクアはそう考えた。

 

「だから、かなとあかねから芸能界未経験の三人にアドバイスをしてくれって言ったんだよ」

「……気のせいじゃなかった!?なにこのアクア偽物?」

 

あまりにも現実味がないのか、何故かアクアの頬を引っ張って本物かを確認するかな。

普通自分の頬じゃないのかと思いつつもアクアは言葉を返す。

 

「お前は俺をなんだと思ってんだよ……B小町Rのデビューだし呼び方変えようかと思ってだな」

「よかったねかなちゃん。時々名前で呼びなさいって言う練習お家でしてたもんね」

「は?お前そんなことしてたのかよ。というか痛いから離せ」

 

あかねの話した驚きの内容に頬から手を退けながら問いかけるアクア。

あかねの言葉に対してかなは大慌てで頬を赤くしながら反論する。

 

「アンタなんで知ってんの!?勝手に部屋覗き見……いや監視カメラなんて可能性も」

「やだなぁ、流石にそんなことしないよ。かなちゃんならやりそうっていうタダのカマかけ。見事に引っ掛かってくれたけど」

「黒川あかね!アンタってほんっと!」

 

一目でわかる不満を爆発させるかなだが、状況に冷静になったらしい。

ため息を吐いて気持ちをリセットした。

 

「まぁいいわ。とりあえず話を戻すけど私たちなりにルビー達へ心持とか伝えたらいいのよね」

「ああ、俺の意見はもう伝えているんだけど、あんまり効果なさそうだし」

 

学校でも休憩時間などで心持ちだけじゃなく、緊張の解し方なども聞かれたが、あまり合っていないらしく緊張が抜けきっていない。

別の意見があった方が彼女達のためになるだろうと考えての提案だった。

 

「まったくしょうがないわね〜。芸歴が一番長いこの私があのひよこ共にコツを伝授してあげるわ」

「私も自分がよくやるマインドセットを教えてあげようかな。フリルちゃんとか合うと思うんだよね」

 

そう言って二人は三人の方へ行き、意見交換を行う。

ルビーはギリギリまでアクアのよくやる手法を真似しようと考えていたようだが、結果としてはみんなと話すことで自然に緊張がほぐれたらしい。

みなみはかなの、フリルはあかねの緊張リラックス方法がうまく刺さり、緊張を程々に抑制することになった。

そんな彼らと少し離れたところで、二人の声が聞こえてくる。

 

「いや〜私たちも長ーくアイドルやってきたねぇ〜」

「そうね、デビューして7年目?仕事の種類もあの頃とは比べ物にならないくらい増えたわ」

 

今日はアイドルの先輩達が司会をやっている。

まさにデビューのために整えられた舞台だ。

 

「おにいちゃん!もうすぐ私たち出番だから最後にテンション上げられるような号令出してよ」

「無茶振りがすぎるだろ……まぁそうだな」

 

これまで頑張りを見てきた彼女達を改めて見る。

B小町やC式部のみんなと比べてもレベルの高いメンバーが揃っているとアクアは思っている。

それぞれのトップであるアイやゆらにすらポテンシャルで勝負できる可能性のある彼女達。

アクアはそんな彼女達に声を掛ける。

 

「まぁライブとかなら個人個人に俺なりのエールをしてもいいんだが、まだ公式生放送だし軽くにさせてくれ」

 

そう前置きをした上でアクアは言葉を続けた。

 

「俺は君たちにはアイと勝負できるだけのポテンシャルがあると本気で思っている。アイの生まれながらのファンである俺が言うんだ。その可能性を信じてくれ」

「へ〜アンタそんなふうに思ってたんだ〜へ〜」

 

ニヤニヤとするかな。アクアは年相応にこいつムカつくなという気持ちと30歳としての相手はガキだ我慢しろという二つの感情と向き合ってなんとか抑え込む。

こいつ相変わらず性格悪いなとアクアは思い出させられた。

ちょうどその時スタッフから合図が来る。

 

「出番だな、さっき言った通りだ。頑張ってこい」

 

五人はスタジオへと向かう。アクアはスマホを取り出して配信画面を開くとそこには五人のシルエットだけが載せられた画像と『新規アイドルユニット鮮烈デビュー』と言う文字が大きく映されていた。

 

『ついに!私たちの後輩だよ』

『ほんとだね、そのうちコラボもするだろうし皆には今日名前や顔を覚えてもらう感じだよぉ〜じゃあ!早速みんなにもお披露目!ドン!』

 

MEMちょのセリフに合わせて再び画面が切り替わる。

これは別の部屋であり、初回はみんな順番に自己紹介しようと決めていた。

 

『歌路線は失敗って言われ続けたけど、努力は報われるって見せてやる!有馬かな!久々ねアンタたち』

・かなちゃんだ!

・え?大分雰囲気変わったな

・大人になってる可愛い

・はい推します!

 

トップバッターはかな。アイドルという職業そのものはまだ分からないが、その立ち振る舞いなどはかなにとって大きな影響を与えている。

コメントは久しぶりの有馬かなに衝撃を受けていた。今度は予想されていなかったらしい。

以前より自分を見ろと訴えかけるようなその姿はアイドルが実に似合っていた。

 

『二番手、さっきのかなさんみたいなこと言えないんやけど、寿みなみ言います。先に言うとくとうちの喋り方はエセ関西弁やから関西圏の人堪忍な?』

・でかい

・マジでデカいので推します

・お前ら顔も可愛いだろ見ろよ

・声可愛すぎる

 

かなが次の方どうぞというジェスチャーをして画面外に移動した後、流れるように現れたみなみが挨拶をする。

流石に知名度ではかなに勝てないが、言っては悪いが一部の格差で余計に注目されていた。

後日、かなは大きさの秘訣をみなみに問い詰めたとか。

 

『不知火フリルです。イケメンと美女は身体にいいをモットーにしてるのでよろしく』

・なんて???

・なんとなくアクアの系譜を感じる

・どっかで見たことがある気が……推せる

・マジで綺麗

 

フリルはあっさりと短い自己紹介をした。

結構ギリギリまでガチガチの清楚キャラを作るか悩んでいたらしいが、アクアのそれぞれありのままでいいと言う言葉を受けてこのキャラで通すと決めたらしい。

ダメだったら責任を取れと言われたアクアとしては是非フリルの愉快なところがオタ受けしてほしいと思っている。

 

『黒川あかねです。皆さんお久しぶりです。……皆私のファンにしてやろう、なんてね!どう?似合うかな』

・相変わらず人が変わったような演技

・綺麗になったなマジで

・いや〜こんなに美人になるとは推します!

・かなちゃんとはタイプ違うからこその良さだ

 

その優れた洞察力と表現力は配信でも生かされており、コメントに他のメンバーより反応を見せている。

また一瞬でキャラクター性を切り替えるのすらも個性と認められる下地が彼女にはある。

それはアイドルをやる上で巨大な個性という夢。

そしてトリを飾るのは。

 

『みんな初めましてだよね!でも、きっと見たことある人も多いはず!ラスト、星野ルビー!みんな、よろしくね!』

・はい推します

・すげぇ目を惹かれるな

・顔面の暴力すぎる頭おかしくなりそう

・どっかで聞き覚えのある名前だ

・これさっきまでのメンバーがハイレベルじゃなかったらやばかったな

 

全くの無名でありながらかなやあかねと言ったビッグネームを退けてトリを務めるだけはあるオーラがそこにはあった。

 

・そういやアクアの苗字と同じじゃん

『あっ気付いた?アクアはね、私のお兄ちゃんなんだ〜私のこといっつも助けてくれるんだよ?羨ましいでしょ』

 

コメント欄はブラコンかよ、とかシスコンだったのかあいつとかアクアを巻き添えにしたコメントが流れている。

 

「あのバカ、兄妹ってのも基本はもう少し奴隷を慣れさせてからだな」

 

もう言ったものはしょうがないが、アクセル全開だなとルビーに思うアクアだった。

そこから全員が再集合し、みんなで質問に答えている。

アイドルの歌詞に出てきていた『ルビー』という部分はルビーのことを指しているんじゃないかと言う声も上がっているようだが、あえてスルーしているらしい。

 

『ルビーさんってアクアの妹ってことはヲタ芸赤ちゃんですか?やって』

『来ちゃったねぇ〜、そう。私はB小町に憧れてこの世界に入ったんだ。みんな私の夢とかにも賛成してくれて一緒にやってきてるの』

 

まずは予定通りその質問を拾ってからグループ名の質問を拾う面々。

 

『あっグループ名についての質問だよ』

『それはね……私がずっと憧れていたあのグループの後継者……私たちのグループ名はB小町R!』

・B小町の後継者!?

・おおきくでたなぁ

・勇者かな?アイドル歌う?

・いやこの子達にはそれだけのポテンシャルがある

 

『アイドルは残念だけど歌えないわね。アレは特別な歌だから。でもそれ以外の曲は使用許可もらってるわよ』

『みんな大好き『サインはB』とかも引き継いでるんだ〜。歌をお披露目するの楽しみにしててね』

 

アクアが思っていたよりもずっと好意的なコメントが多い。

勿論そんなの無理だと言ったコメントも散見される。

だけどルビー達の持つ輝きに一人一人と当てられる。

いつしかコメント欄の空気は最初から彼女達を応援していた人たちばかりかと言うほどに温かいコメントが溢れていた。

 

『ということで!今日はまだ私たちお披露目だけだけど』

『C式部の先輩方みたいにYouTubeもやってくわ』

『明日も早速動画が上がるから良かったら見てほしいな』

『みんなも私たちを見て推して一緒に視力をあげようね』

『フリル、それじゃ通じんて。視力を上げる言うんは』

『はい!時間!以上B小町Rの皆さんでした!』

 

ぶつ切りのようにコメントを打ち切られた彼女達。

なんというかコメディーチックにオチを司会につけてもらったが、そのビジュアルとキャラクター性からB小町Rは初動とはいえ、界隈で大きく話題になることになる。

 

「ふー疲れたねぇ」

「アホ、いきなり俺の妹とか言ってどうすんだよ」

「え〜私隠してもうっかり雑談とかでお兄ちゃんのこと言っちゃうし。それなら最初から出しちゃったほうが危なくないよね」

 

まずは反省しろと言いたげなアクアの言葉をルビーは軽く受け流す。

それだけルビーは今回の自分たちのお披露目は上手くできたと言う自負があった。

そしてそれは大きく外れていない。

 

「はわわ、緊張したわぁ。うち最後ぶつ切りされたんやけど不味いこと言ったんやろか」

「大丈夫、アレはMEMちょが私たちの会話にオチつくってくれただけ」

「あはは、そのうち自分たちでもオチ作れるようにならないとね」

 

メンバーそれぞれ最高の動きかは分からないが、今の自分のできる最大限の動きをした。

その中で一人、かなはアクアに問いかける。

 

「ねぇ、私は……アンタが思ってた通りこの道でもやっていけそう?」

 

あの日は啖呵を切るように、アクアの悔しさを晴らしてやろうと言いたげに始めたアイドル活動。

不安がなかったわけではなかったかなはどうしても確認したかった。

そんなかなへ目を合わせてアクアは本心を口にする。

 

「ああ、こってりしたオタクが好みそうなアイドルになれそうだった」

「なにそれ、褒めてんの?……まぁいいわ」

 

かなは呆れたように言いながらも実に嬉しそうだった。

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