【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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楽しいお仕事

あかねのセンター曲が終わり、いよいよ最後の曲が始まろうとしている。会場のボルテージは上がりきっており、B小町Rという新世代のアイドルに皆注目している。

そんな中、B小町Rメンバー全員に注目されていたアクアは

 

(は〜まじで2度目の人生あってよかった。一度死んだ俺が生まれ変わりなんてズルを神様が許した理由がやっとわかった気がする。アイを助け、生まれ変わったさりなちゃんやこの才能が集う世代を育て、ライブを見届けるために僕は生まれ変わったんだ)

 

何処かの神様が聞いたら怒りそうなことを頭で考えていた。

その表情はいつもの仏頂面ながら頭の中のイマジナリー吾郎は蕩けきっている。

ここまでの五曲も事前にリハーサルなども見ていたはずのアクアだが、あまりの満足感に自分の転生した理由をここに見出していた。

アクア自身、パフォーマンスは誰が良かったとあえて挙げはしないものの、一番満足した理由はさりな、つまりはルビーがあの時叶えられなかったはずの夢を叶え、このステージへ立っていることだろう。

ただ他のみんなについても文句なしであり、最終的には同じくらいに楽しんでいたとアクアも胸を張って言える。

 

「みんなー!楽しんでくれてる!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

「いいね!乗ってる!でもごめんね次が最後の曲なんだ」

「「「そんなああああああああああああ!!」」」

「もし、私たちを今後も推してくれる!って人がいたら私たちのライブに次も参加してね!最後はB小町の大ヒットソングにして象徴的な曲!『サインはB』」

 

ルビーの声が裏返る大絶叫と共に告げられた曲名。メンバー全員が指定のポジションに移動するのがアクアの位置からでもよく見える。

 

(フリルが綺麗なものを見ると視力が上がるなんて言ってるのを聞いてふざけてるなと思っていたが、マジかもしれない。昔僕が考えていた学説『推し活健康論』も正しかったということだろうな。もし藤堂先生に会ったら教えたい)

 

今日この日はすっかりドルオタとしての意識が強くなっているアクアは、皆がもし聞いたら吹き出すようなことを考えていた。

そんなアクアの思考を無視して曲はスタートする。

アクアにとって何千回と聞いた出だし、ただそこから見る振り付けは以前のB小町とは大きく異なる。

 

(くそっ流石にこれだけ人がいたらヲタ芸はスペース的に無理だな……マナーの悪い客がいるなんて思われたらルビーたちの迷惑になってしまうし)

 

B小町Rの事前に行った宣伝効果は想像より圧倒的で、広いスペースを要求されるヲタ芸は難しい。

彼女たちへ送るヲタ芸はまた別の機会になるだろう。

残念がるアクアは、せめてもの代わりとばかりに皆のサイリウムをしっかり目立つように手を伸ばして上で揺らす。

実のところ少しだけアクアの格好が引かれているおかげで彼の周りだけ少しスペースができており、そのおかげでB小町Rのメンバーもアクアを見つけることができたというわけだ。

ダンスのパフォーマンスは各々の特徴をしっかりと出す。

センターのポジションを自然に入れ替える練習を散々してきただけあって、自分たちの目立ち具合、その強弱もかなりのものだ。

その分運動量が激しいので、体力が心配になるが、彼女たちは日々しっかりと鍛えている。

 

(指攣るなよ?)

 

先程から入れ替わるセンターに合わせて目立つサイリウムが変わるように器用に持ち替えしているのもあり、周りは曲芸か何かかなとライブと合わせて楽しく見ていた。

アクアはそんな視線など気にもせず、全力で楽しむ。

 

(せんせ!せんせ!見て見て見て見てもっと見て!私の夢、叶ったんだよ!)

(アイツ本当に器用ね、私のサイリウム落としたら後で文句言うわよ?)

(むぅ……アクアくんが楽しんでるのはわかってるけど!わかってるけどけど!)

(マリンはしゃいでるなぁ。MEMちょがあの姿、動画で撮っといてくれないかな)

(アクアさんもしこんなのバレたらヲタ芸赤ちゃんと並べて擦られ続けそうやなぁ)

 

そんなアクアをステージ上から五人も認識しており、それぞれ嬉しさや楽しさ、悔しさや呆れなど様々な感情を同時に抱く。

ただ全員に共通している感情が一つある。

 

「『アナタが味方でいてくれたら 爆レスをあげる』」

(せんせの)

(アンタの)

(君の)

(マリンの)

(アクアさんの)

(((((推しの子になる)))))

 

全員が歌に踊りにその感情を込める。

そんな彼女たちをアクアは目を見開いて、思わずサイリウムパフォーマンスを止めて見つめる。

 

「『ア•ナ•タのアイドル サインはB』

「「「うおおおおおおおおおおおおお!」」」

 

推しの子になりたいという抽象的な、だけど大きな意味を持つ思いを五人全員が抱えたまま、JIFの歴史に残るライブが幕を閉じた。

会場からは大きな声が鳴り響く。

アクアすら取り繕うことすら忘れてその場で大きくサイリウム持っている拳を突き上げた。

伝説を超えることを目的としたアイドルグループの本格的な活動はこの日から始まる事になる。

 

スターステージが史上最高の盛り上がりを見せる少し前。

別のステージで一組のアイドルの出番が終わろうとしていた。

 

「みんな〜ありがと〜」

「「「最高だあああああああ〜!!!」」」

 

観客の大歓声を聞きながら舞台裏へ捌けた彼女たちは完全に姿がファンから見えなくなってからほっと一息を吐く。

彼女たちにとってこれが2回目のJIFであり、前回のスターステージより大きな舞台だからとプレッシャーもあった。

 

「お疲れ〜!」

「おつかれさま」

 

互いの健闘を称え合って先程までの仕事を簡単に振り返る。

10を超す姉妹グループに所属する彼女たちは既にテレビにも出演している。

 

「このあとどうする?」

「帰ろうかな〜まなは?」

 

メンバーから声を掛けられた少女は振り向いた瞬間から笑顔で答えていた。

 

「実は最近追ってるアイドルグループがあってね!この後出演するらしいから見てこうかなって!」

「オタだなぁ」

「そんなに注目してるとこあったんだ。誰?」

 

仕事でもう5年の付き合いになる彼女たち。

苦楽を共にしてきただけあって、元からアイドル好きということはよく知っている。

 

「B小町Rだよ!このあとスターステージでライブあるんだ」

「うわ、出たわね。確かにリストに名前あったね。あそこ顔面偏差値壊れてない?ちょっと引くレベルなんだけど」

「地獄のスターステージでやるんだ。グループでもめっちゃ危険視してる人いたよね」

 

最近彼女たちのグループ内でも話題になっているグループB小町R。

あの『アイドル』を歌った伝説のアイドルグループB小町の後継者を名乗り、彗星の如く現れた五人組。

まだライブこそしておらず、だからこそ中堅程度の人気に留まっているが、ついにそんな彼女たちの初ライブが行われると意識の高い人からは警戒されていた。

 

「いやー実は昔、苺プロのオーディション応募したけど落ちちゃってさ〜」

「え?アンタうち滑り止めだったの?」

「あの時は特別苺プロに入りたかったわけじゃないから違うよ。C式部のオーディション受けて最終審査までは行ってたんだけどね」

 

アイについてはあの頃でも凄いアイドルとして有名であり、候補の一つというだけだった。

まさかあそこまで成長するとはまなも思っていなかった。

 

「そうだ!二人も一緒に見ようよ〜どうせ暇でしょ」

「いいけどちゃんと変装しなよ?他所のライブ邪魔したらいけないし」

 

たまにはドルオタに付き合ってやるかとそんな気楽な気持ちで二人は賛成してスターステージへと向かう。

まだライブが始まる前だというのに恐ろしい熱気。

タイミング的にコネ丸出しのねじ込みであったにも関わらずスターステージでは見たこともない人数の観客がそこにいた。

 

「うわぁ、これだけ人多いと身動きもろくにできないね」

「今からでも遅くないから帰らない?」

「折角来たし最後尾からでいいから見ようよ」

 

何とか三人で見られる場所を確保したところでB小町Rの五人がステージへと現れる。

元々別分野とはいえ芸能界の第一線で活躍していた有馬かなと黒川あかね。

全く情報がなかったところから突然現れた星野ルビー、不知火フリル、寿みなみ。

この五人全員が彼女たちからみても、もし自分たちのグループにいたら彼女こそがセンターに相応しいと思える容姿をしている。

 

「うわっ動画は見たことあったけど、リアルで見たらもっとやばいわね」

「アレが……星野ルビー」

「ふわぁ可愛いな〜見に来てよかった」

 

最初の曲、そのセンターであるルビーを見て、同業者である彼女たちはダメージを受ける。

ルッキズムこそが正義の世界において整い過ぎた外見は暴力だ。思わず圧倒されてしまうのも無理はない。

気にした素振りを見せないのは、ただ純粋にアイドルが好きで、かわいいものがただ好きなまなくらいだ。

『STAR☆T☆RAIN』のイントロに三人も反応する。

 

「スターティーだ。今でもお店とかで時々流れてるよね。彼女たちがブレイクしたらまた増えそ」

「ヒムラさんの曲だもんね、今でも現役ってすごいわ。うちらも書いてもらってるけどやっぱ天才は違うね〜」

 

すぐに踊りに入って歌い始めた彼女たち。

そしてセンターで楽しそうにしているルビーを見た時、先程まで楽しそうだったまなは逆に固まってしまった。

 

「あれ?まな?」

「可愛過ぎて気絶したかな」

 

二人とも隣で騒ぎそうな彼女が黙ったのに驚いてそちらを見れば、完全に固まってしまっている彼女に気が付く。

まなは少しして復活したかと思えば、急に暗い顔をし始めた。

 

「……私、アイドル辞めようかな」

「はぁ!?」

「え、どしたのまな。なんか辛いことでも思い出した?」

 

彼女がアイドル大好きなことを知っており、このステージもわざわざ疲れた身体を押して見にきたはず。それなのに突然の引退宣言に二人は驚く。

 

「ううん……。ただ、今ルビーちゃんが歌ってるとこ見たら眩しくて……私もこうなりたいなんて思ってさ。でも冷静な自分もいて、きっと私じゃ無理だって」

 

まなはそこそこ人気も出てアイドルとしては成功した部類だ。

今も上に行きたくて色々と挑戦しているけれど、グループ全体で200人以上いる中で目立つのは難しくて、闇の中をもがいているように感じていた。

最近は少しずつ現状に甘んじてもいいかな、なんて思いが芽生え始めており、そんな自分にこれでいいのかなと思っていた。

 

「私はきっとあんなに輝けない。あの子みたいにはなれない」

 

自分の気持ちが切れそうになるのをまなは今確かに感じていた。

憧れの職業だからこそ、新しく入ってきたアイドルに憧れてしまうようではダメなんじゃないかと彼女は感じる。

そんな悲観にくれるまなを見て、二人はくすりと笑う。

 

「笑わなくてもいいじゃない」

「そう?でもまなってまだ今年で21歳でしょ?全然諦めるには早くない?」

「そーそ。それにまだなりたいなんて思えるなら諦めないで済むよ」

 

彼女は『私もこうなりたい』と言った。

まだ『私もこうなりたかった』と過去形ではない、アイドルに情熱がしっかり残っている人間の言葉だと彼女たちは思っている。

 

「大体まなって頑張ってるけど努力の方向性がズレてるのよね」

「そうそう、現状維持にも舵切ってないしギリギリセーフ!ってやつ?」

 

そんな会話をしている間にもライブは進んで行き、ルビーのトークが始まる。

実際始まるとマシンガントークで曲について語る彼女。

いつまでも終わらないかと思った時に横からツッコミが入る。

 

「それでね!このフリの部分がっ……痛いよ先輩!」

「このアホ。興奮しすぎよ、進行次交代でしょうが!」

「あっ!ご、ごめんなさい!皆〜続きは今度配信で語るね!!」

 

そんな様子を見て、まだ様子のおかしいまなへグループの二人は話しかける。

 

「ほら、今のとことか!まなならもっと上手く立ち回れそうだし」

「もっとあの子みたいにドルオタな面を普段からプッシュしたら受けるんじゃない?周りの反応も良さそうだよ」

「そうそう!あの子と共演だってできるかも!」

 

それキャラ被りするんじゃなんてまなは思いつつも、そういえばその方向性はやっていなかったなと気が付く。

アイドルらしく清楚売りが今のまなの方向性だった。

 

「なんかマネみたいで釈然としないけどそれが素の私だもんね。……そうだね、まだやれること全部はやってない。それに……もし、もし辞めるとしてもこの子と共演してから辞めたい」

「よし!その調子!」

「いいじゃんようやく調子戻ってきたね。ライブ終わったら帰ってミーティングでもする?」

 

彼女はいいグループメンバーに恵まれていたようだ。

一度は折れかけた心を取り戻し、まなはまた新しいことに挑戦していこうと気持ちを入れ替える。

きっと自分は頂点にはいけない。でもこの仕事を楽しいと思えるうちは、そう分かっていてももう少し頑張ろう、そう思えた。

 

そんなトップクラスアイドルグループから引退者の危機があったなんて今は知らないB小町Rのメンバーはライブが終わった後、着替えてから軽い清掃をして駐車場へとやってきていた。

MEMちょが用意していた車のドアを特に考えずに開ける。

 

「「「ぶふっ」」」

「「くふっ」」

 

その後の反応は、思い切り吹き出す者と笑いを堪え切れなかった者の二つに分かれた。

 

「アンタいつまでその格好なのよ。着替えなさいよ」

「なんでだよ、別にいいだろ自作だぞ」

「それ自作やったんや」

 

そう、車にはオタクフルセットを装備したアクアが一足先にいた。

ウィッグだけは取っているようでいつもの金色の髪が目立っているが、鉢巻と不釣り合いに見えてそれがまだシュールだった。

 

「おにいちゃん事前にそんな格好するなら伝えてよ、私笑いそうになっちゃったんだけど」

「悪かったな、次はもうちょっと地味に」

「しなくていいよマリン。それ最高だから次もお願い」

「フリルが言うってことはこの格好止めた方が良さそうだな」

 

面白いことを望む天性のエンターテイメント好きが言うのなら、今回のアクアの格好は相当浮いてたのだろう。

ドルオタだらけの環境ならあのくらいの装備は普通だと思っていたのにとアクアはがっくりしていた。

 

「アクアくん大丈夫だよ。初回だから皆もっと軽い格好だっただけで、今後は浮かないと思うよ……思うよ?」

「自信ない感じじゃねーか」

「冗談だよ、他のライブでもあのくらいの格好の人ならいるから」

 

軽くアクアを揶揄うあかねは、こめかみを押さえるアクアを楽しそうに見つめた。

 

「でも凄かったよねアクたんのパフォーマンス。私みんなの撮影してたけど途中からアクたんの事も撮ってたよ」

「え!ほんと?MEMちょあとで私に送っておいて」

「肖像権の侵害だぞ」

 

そんな会話もそこそこに、皆席を決めて乗り込む。

みんなが着席してシートベルトをしたところで車が発進した。

そんな中でも雑談は続いていく。

話はB小町Rの初ライブそのものの話になっていった。

 

「どうだった私達のステージ」

「まぁ、初めてにしてはよくやったんじゃないか」

「何それ。あんだけはしゃいでた癖に点数辛くない?」

 

アクアに褒められたかったために聞いたかなだが、思いの外微妙な反応に不満そうな返事をする。

ただアクアにはアクアなりの言い分があった。

 

「今後かな達はもっといいライブをするようになる。そうなったらここで高評価を付けるのは勿体ない」

「むふふ〜素直じゃないな〜アクたんは」

 

運転しながらもMEMちょは面白いものを見つけたと言いたげにニヤリと表情を変える。

ただアクアとしてはあと2年と少し以内にドームライブをすると思っているアイドル達への素直な気持ちだった。

 

「あっそ。次はもっと褒めなさいよ?アンタ私達のマネージャーなんだから毎回見に来るでしょ?」

「基本はな、流石に全部は難しいが」

「良かったね重ちゃん。マリンは言ったからには責任感じてくれるよ」

 

アクアから言質を取ったと笑顔になるかなに、フリルは言葉をかける。

実のところ自分も一緒に見てもらえるのでついでに聞けてラッキーと思っていた。

 

「そうよね!たまにはフリルもいい事言うじゃない。これで来なかったら後日ぴえヨン仕込みのデンプシーロール喰らわせるわよ」

「……ボクシングの技だろそれ。何であの人そんなもの教えてるんだよ」

「なんかいい感じの運動らしいわよ?」

 

殴られる事ではなく教わっている内容に突っ込むアクアは、もうかなとの付き合いに毒されているのだろう。

多少過激なことを言うのが 彼女だとよく理解している。

 

「おにいちゃん、私は?私はどうだった?」

「さいこ……まぁ良かったんじゃないか」

「おいシスコン。今本音出かけたでしょ」

 

妹に頼まれたら意図的に低い点数を言っていたとしても褒めちぎろうとする辺り、もう不治の病だろう。

さっき自分に言った言葉は何だったのかと、思わずドスを利かせたかなにアクアは答える。

 

「仕方がないだろ、長年追ってきた夢が叶った瞬間だぞ。高評価を付けたくもなる」

「そうだよね、ルビーちゃんずっと夢だったもんね」

 

アクアの言い分を聞いてあかねも共感を示した。

あかねは幼い頃からずっとルビーが頑張っていたのを知っている。

そして自分たちが芸能界で仕事をしている間も、一人だけ芸能活動ができない状況を悲しく思いながらもずっと我慢をしてこの日を待ち続けていたことも。

そう思うと自然に近くのルビーの頭へと手が伸びてゆっくりと撫でる。

 

「よく頑張ったね、ルビーちゃん」

 

ゆっくりと優しい撫で方はその道のプロと見紛うほどで、ルビーは一瞬で絆される。

 

「ま、ママァ」

「ルビーがあかねさんの母性に陥落しとる!?」

 

みなみが思わず反応してしまうのも仕方がないことだろう。

二人は何やってるんだ?とアクアは呆れたような表情を浮かべながらも、内心では皆の頑張りを素直に褒めながら、今日のライブを思い返すのだった。

 

 

後日、星野家では一人テンションが振り切れている女性がいた。

 

「ルビーの初ライブ……きゃわああああああああああああああ。うぅ、ママも生で見たかった……」

 

MEMちょが撮影していたライブ風景を見ながらアイは完璧と言っていい顔を喜んだり悲しんだり、千変万化の大忙しだった。

 

「あはは、ごめんねママ」

「流石にもしバレた時のリスク考えたらなしだろ。悪いな母さん」

「分かってるんだけどね〜でもアクアだけ狡い!」

 

ごった返した現場をアクアは思い出す。

もしアイが正体バレなんてしようものなら暴動並の騒ぎになり、折角のルビー達の初ライブが騒ぎによって台無しだ。

アイ本人もその点はわかっていたらしく、娘のことだというのに珍しく自重できていたようだ。

 

「悪かったって。もし母さんがどうしてもっていうなら予定調整してミニライブみたいなのは開くけど」

「……ううん、我慢する。代わりに普通に大きめの箱借りられた時は関係者席行くからね?その時はアクアにヲタ芸教わるんだ〜」

「はいはい」

 

子供っぽくも成長が実感できる自分の母へ、思いやりに満ちた目をアクアは浮かべていた。

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