アクアはルビーを連れて誕生日当日に五反田の家を訪ねていた。
当初は前日に向かう予定だったが、様々な理由が重なり延期し、昼ならばと予定を合わせて今に至る。
「お、おお。誕生日おめでとう早熟。マジででかくなったなぁ。妹も滅茶苦茶美人に育ってるし。ったく遺伝子ってのは怖いね」
「ん?カントクもしかして」
アクアはその言葉に引っ掛かりを感じて五反田に真意を問う意味で言葉を返すが、それには無言の苦笑を返された。
どうやら自分の考えを口にするつもりはないらしい。
「お久しぶりですカントクさん!兄がいつもお世話になってます」
「元気がいいな。ほんと小さい頃なのによく覚えてるもんだ」
前世持ちであるルビーは幼児期健忘の影響があったとはいえ、当時の記憶を普通の子供よりは持ち合わせている。
そのため五反田のこともよく覚えていた。
「とりあえずルビーはこっちでアクアはこっちらしいぞ」
早速本題に入った五反田は預かっていた二つの封筒をそれぞれに手渡す。
中は形と重さ的にもDVDとケース以外は入っていないだろう事がアクアには分かった。
「なんで二枚あるんだ?」
アクアは自分用の『お兄ちゃんへ☆15になるまであけちゃダメ!』と書かれた封筒を見ながら純粋な疑問を口にした。
別に15歳になったアクアたちに見せたいだけであれば、わざわざDVDを分ける必要を感じないというのがアクアの本音である。
「いや、それ言ったらそもそも俺にDVD預ける必要性があまりねぇからな。本人が来たときは『私が持ってたら絶対に紛失するでしょ』とか言ってたけど」
「……何も言い返せないな」
「だろ?だから俺も大人しく貰ったんだけどよ……」
溜息を吐く五反田に同情するアクア。いったいどういう経緯でこのDVDを貰ったのかと謎が深まるばかりだ。
そんな中アクアは前から不思議に思っていた事を口にする。
「というかアイとカントクっていつそんな接点増えたんだ?」
「あ、それ私も気になる。滅茶苦茶懐いてるよね?」
先ほどまで母からのプレゼントにテンションが上がって浮かれていたルビーも会話に入ってきた。
信頼と言って良い絆が確かにあると子供達から見ても感じられた。
「あーほら、ドームの事件があっただろ?あの時早熟がアイに中止を伝えてって言われてた映画。実はアレがB小町のドキュメンタリー映画でな。それを撮る過程でそこそこ話す量が増えたんだ。今思うと突発的な話だったがな」
「あぁ……あの中止になったやつか」
アクアは自分が子役をしていた頃、その穴埋めとして五反田がしばらくは仕事優先権を持っていたのを思い出す。
当時は映画の中身とかアクアに伝えられていなかったため、ドキュメンタリーだったことは知らなかった。
『ドームはなんとか実現できてよかったけど監督には申し訳ないことになっちゃったな。映画のスケジュールも本決まりしてたのに』
『……映画?』
『そう、本当のわたしを撮る映画。……監督に謝っといて』
あまり思い出したくない思い出なので、今話を聞くまで記憶が曖昧だったが、アイが刺された時、こんなことを言っていたのをアクアは思い出す。
アクアはこの『本当のわたしを撮る映画』というのはドキュメンタリーという意味だったのかもしれないと思った。
「『本当のわたし』ねぇ……そういやそんなこと言ってたな」
「やっぱりアイはその辺に思うところがあるのかもな」
「何か二人とも難しい話してるね〜マ……お姉ちゃんだってプライバシーがあるんだからあんまり詮索しちゃダメだよ」
ルビーはその辺りの裏事情にはあまり興味がないらしい。
母とて一人の人間と考えている彼女からすれば全部を知る必要などないと思っていた。
そんなルビーの言葉に気になる点はありつつも二人はそれきりアイの過去について話さず、近況報告やB小町Rの現状についての話だけをするのだった。
その夜。
部屋に呼ばれたアクアとルビーに向かってクラッカーの音が鳴って、二人にリボンが降りかかる。
「アクア、ルビー!誕生日おめでとう!!!イイトコのケーキを買って来てもらったんだ〜誕生日祝いって感じでいいでしょ〜」
予定された通り誕生会が開催された。
大きなケーキは既に切り分けられており、見る限りアイとルビーの分が少し大きい。
「それ、アイが食べたかっただけじゃないのか?」
「バレた?でも皆食べられるから問題ないよね〜」
てへっと舌を出して可愛らしく振る舞うアイは30歳を超えているとは思えない。
20歳から変わっていないのではないかと疑いたくなる程だ。
そんな母に強く出ることもできず、アクアは諦めて何も指摘しないことにする。
「でもお兄ちゃん見てよこのケーキ!フルーツもクリームもたくさん載ってて美味しそう!」
「……これ、そういえば姫川さんが出てたバラエティで紹介してたな」
月9で主演を務めることになった大輝が、番宣に駆り出されていたバラエティ番組で紹介していたので、アクアの記憶にも残っている。
大輝とは共演した後、メッセージのやり取りをする仲になっており、謎の美味かった自慢が送られて来たのもあり、印象深かった。
アクアは自慢するなら月9の方にしろよと思っていたが。
「もう15年も経ったのね……時間が経つのは早いわ」
「あぅ〜」
「ふふっいい子。ありがとう愛瑠」
ミヤコは双子の世話をしていた時期のことを思い出して少し遠い目をする。
そんなミヤコを慰めるかのように愛瑠は手を伸ばして母の顔に触っていた。
「いや〜本当あの頃はミヤコさんに任せっぱなしだったからホントごめんね?」
「はぁ……あの頃は本当に大変だったんだから。まぁ逆に今は忙しい中でも私の子育て手伝っているから有難いけど。無理しないで良いからね?」
「ぜーんぜん?むしろ愛瑠ちゃんきゃわだから仕事休んででも構いたいくらい!」
ミヤコはこの15年で精神的に成長した。
自分から積極的に動くようになったし、流されるままにはならなくなった。
苺プロが人数の割に大手事務所とすら呼ばれるようになった要因の一つだと皆が理解しているほどで、強い影響力を持っている。
「子育てがこれほど大変とはな。そりゃ突然アクア達の世話を任せたミヤコにブチギレられたわけだ」
当時丸投げしていた壱護は自分が仕事と並行して世話をするようになってから色々と大変で、ようやく当時のミヤコの苦労を理解した。
「本当よ。まぁ今回はちゃんと手伝ってくれるから良しとしてあげるわ」
思い出話に花を咲かせて、星野家、斎藤家合同の誕生会は楽しく進んでいく。
去年はかな達B小町Rのメンバーと祝っていたため、こういった振り返りはできなかったのもあって、懐かしいと皆が思う。
そんな中、誕生会も終わりに差し掛かったところで、アイはアクアに一つ大事な確認をした。
「アクア〜ちゃんとカントクからビデオレター回収して来てくれた?」
「したけど……今部屋に置いてるぞ?」
「うんうん、えらいね約束守ってて」
帰ってすぐに確認するほど急ぎのものでもなさそうなので、アクアはまだ中身を確認していなかった。そんなアクアに偉い偉いと頭を撫でるアイ。
もう彼女よりずっと身長の高い息子を撫でるのは大変らしく手を頑張って伸ばしていた。
「え?お兄ちゃん確認してないの?」
「いや、お前はもう確認したのかよ」
「ルビーの分は普通のホームビデオだからいつ見ても良かったんだけどね〜」
撫でるのも程々にして元の姿勢に戻った後、アイはあっさりとそんなことを言う。
アクアは今アイから出た言葉に嫌な予感がして確認を取った。
「その言い方だと俺が渡された方は普通じゃないように聞こえるんだけど」
「やっぱりお兄ちゃんだからねアクアは。すこーしだけ私からのメッセージが入ってるんだ~」
アクアの予想通り何やら特別なメッセージが入っているようだ。
兄とはいえ同い年なのに何でアクアにだけメッセージを?とルビーは首を傾げる。
自分は知らない秘密の情報をアクアだけ教えられる。
その事実はアイファンであるルビーからすればいくら愛しの兄とはいえ納得できるものではない。
「えぇ!なにそれズルい!!お兄ちゃん私も一緒に見てもいいよね?」
うるうると目を潤ませながらアクアに縋りつくルビー。
アクアは自分は構わないけどと思いながらアイへと視線を向けた。
「ごめんねルビー。もしアクアが見てからルビーに見せてもいいって思ったら見せてもらってもいいよ。でも、最初はアクアだけで見てほしいかな」
「むぅ……じゃあおにいちゃん、問題なかったら私にもすぐ教えてね、絶対だからね」
「はいはい、確認終わったらな」
どうやら拘りがあるらしい。アイが腕をクロスして胸の前でバツを作り、拒否を告げるとルビーはがっくりしながらも諦める。推しには勝てないファンの精神だ。
アクアも大人しく自分でまずは確認することを決めた。
誕生会が終わり、部屋に戻ったアクアは先ほど話があった封筒を手に取る。
やたら厳重に封をされたそれは、五反田が好奇心に負けて開いたことがないという証明となっていた。
アイの人を見る目は正しかったらしい。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
どちらにせよアクアの想像を超えてくるような代物だと思っている。心配9割興味1割でアクアはDVDをセットして再生した。
まず始まったのはアイが三脚を使って自分で撮影した映像だ。
流石に今と比べるとアイが若いというより幼いのが一目で分かる。
背景には『1 AQUA &RUBY HAPPY BIRTHDAY』と飾られており、逆算すれば彼女が17歳の時に撮影されたものだとアクアは理解する。
誕生日おめでとう記念の動画を撮影し終わった後、ついでのように撮られたビデオであると予想ができた。
『ここから先はお兄ちゃんにだけ話しちゃおうかな〜』
ルビーに渡した普通のホームビデオと言った前半部分をアクアは見せてもらえないらしい。
後でルビーに前半部分を見せてもらおうと心に決めた。
「どこが少しメッセージが入ってるだよ。いきなり本題なんだが」
恐らく本人も10年以上も前のことで記憶が曖昧だったと考える方が自然だろう。アクアは諦めながら続きを見る。
『アクアは賢いなぁって思ってて、まだ1歳なのにさ、何か考えて動いてるな〜って見える時があって、そんなアクアが大きくなったらきっと不思議に思うことがあると思ってメッセージを残したんだよね』
アクアは全くバレずに普通の子供をやれていると思い込んでいたが、結構怪しまれていたらしいと今初めて知った。
ルビーの方が全く言及されていないのは、初期のルビーは本能の赴くままにファンとしての行動をしていた節が強く、子供らしいと思われていたからだろう。
『15歳おめでとうアクア』
『15歳、私が君達を宿した歳。大人になったアクアならこの話も受け入れて貰えるよね?』
どうやらこの時既に14年後に渡す構想があった動画らしいことがこのセリフでわかる。
アクアは一体何の目的で撮られた動画なのかを聞き逃さないように、鍛えられた神経を研ぎ澄ました。
『君達のお父さんのお話』
「ちょっと待て!?」
アクアは思わずビデオを止めて、あまりにも唐突に出た自分たちの父の話を話そうとする画面向こうのアイに思わず突っ込んでしまう。
そしてアクアは頭を抱えた。
「いや、確かに興味がないと言えば嘘になる。それどころか俺の以前予想した説が正しいか確認できる良い機会だ。……どこが『すこーし』だよ、そりゃルビーにはいきなり見せられないぞ」
子供として父親が気になるという気持ちと、ファンとして一体誰がアイに手を出しやがったんだ?やっぱりあの人か?という気持ちの二つがせめぎ合う中、何とかアクアは気持ちを落ち着かせて再生ボタンを押した。
『そして、私から大人になった君達へのお願い』
どうやら父親の件だけでなく、言いたいことはまだあるらしい。ただアクアはそこからアイの語る話を聞いていくことにした。
『私と彼は演技の練習をするために訪れた場所で出会ったの』
そこから話されるのはアイの目線から見えたアイと"彼"の話。出会ってからどのように交友を深めたかなんていう話を随分と楽しそうに話していた。
『彼はルッキズムの源って感じで、他の人から見た私もこう見えてるのかな〜なんて思ってて。私たちは二人とも嘘つきでね〜』
はっきり言って見ている分には、ただの惚気話でしかなく、アクアは一体これを見せてアイが何をしたいのか全く理解できない状態でビデオが続いていく。
愛がわからないと言っていたアイが愛を持っていないわけではなく理解できていなかっただけなのを改めて痛感しながら両親の馴れ初めを聞かされていく。
『そしてそんなある日、君達を身籠ったことに気が付いた私は彼と別れ話をすることにした』
ちょっと変わっているだけの初々しい恋愛を聞かされていたはずだったが、急に話の流れは大きく変わり、アクアも混乱する。
先ほどまでは惚気としか受け取っていなかったが、アイの口から語られる別れ際の会話は、アクアの想像を遥かに超えた代物だった。
『彼に『妊娠したから別れよう』って伝えたらさ、彼は『結婚しよう!』って言い始めちゃって。彼に『私は君を愛せない』って返して別れちゃった』
「……急展開すぎるだろ。というか言い方が……うっ……なんか自分が言われたらと想像したら……。ショック過ぎてゲボ吐きそうなんですけど」
あまりにも唐突な別れの話に再びビデオを止めていつかの病院のように頭を抱えるアクア。
15歳の自分の息子にこれを見せてどうして欲しかったのかアクアはアイに問いただしたいとすら思っている。
だが再生時間を見る限りどうやらこの話には続きがあるらしい。
この先を果たして見ていいものかと考えながら、少し覚悟をしてから続きを再生する。
『きっとアクアは私達がどうして別れたか、そこが気になってるよね』
「本当にな」
あまりにも妊娠してからの展開が急すぎるだろうというのがアクアの感想である。
しかも相手は責任を取る旨を口にしていたのに何故別れたのかと不思議に思っていた。
『彼はもう限界だったの。芸能界の闇ってやつに侵されて私に依存するみたいな感じになっちゃって。命の重さに押し潰されそうになっちゃって……もう壊れる寸前だった』
「芸能界の闇……またヘビーな話が来たな」
アクアは長年芸能界にいるが、あまりそう言った闇の部分に関わったことはない。
今アイの語った中にそれらしい話が出てこないのは本人のプライバシーを気にした結果なのだろう。
徹底して名前を呼ばないところも含めて、このビデオでは正体を明かさないというアイの強い意志を感じる。
芸能界の闇と一口に言っても様々なものがある。そこも隠されており、アクアはどんな事があったのか予想もつかない。
『そんな中お腹に子供がいるって分かって流石にこれ以上はヤバいなって思って……だから言っちゃったんだよね』
アイは当時の自分の思いを口にした。
きっと正しいと信じたその言葉を。
『君を背負えないから別れよって『私は君を愛せない』って。私"達"が居なくなればきっと彼は大丈夫だと思った』
「母さん……それは……」
依存に近い状態の人間に対してそれは決して穏便とは言えない。
人によってはそのまま狂ってしまう事だって間違いなくある。
ただアイなりに考えた結果が、たまたまこうなってしまっただけ。
『私は人を愛するってよく分かんなくて、これは愛なのかって言われたら違う気もして、すごく不安なんだけど……嘘は愛だって思うことにした』
アクアは何度かアイがこの言葉を口にしているのを知っている。
結局その言葉は幻だったけれど、この時のアイは本気でそう思っていたと分かってしまう。
『最初は産むの怖かった。彼の負担になるのは分かってたから……でも出来なかったなぁ』
「……そうか、だから君はあの時悩んでいたんだね」
吾郎としての思いをアクアは口にする。
『……先生はどう思う?』
初めてアイと吾郎が会った時、こんな気持ちがあったにも関わらず、吾郎に尋ねたのは自分のやっている事に不安があったから。
屋上での会話では産む気満々に見えたものの、もしかしたらアレも嘘で塗り固めた星野アイの強がりだったとするなら、やはり彼女はとんでもない大嘘つきだ。
『本当は彼とずっと一緒に居たかったから』
(もし……)
『彼の背負っているものを一緒に背負って、彼の子供達と一緒に……一緒に未来を生きたかった』
(もし彼女が今もこの気持ちを持っているとするのなら)
『愛とかよく分かんない私が愛したいと思った初めての人だから』
(俺は……僕は……君に何をしてあげられるだろうか)
アイの愛の形、その一つを見てアクアは思う。
ここから何かできることはあるんだろうかと。
『ねぇアクア、15年後の君たちから見てあの時の言葉はちゃんと嘘だった?愛せないなんて嘘だったよね?』
「……ああ、僕の目から見た君の言葉は、確かに嘘だったよ」
ビデオからの問いかけに思わずアクアは答える。
それが正しいとは言わない。
アクアは正しいとは思えなかった。
だが、それでも確かに彼女の発した言葉は愛だったとアクアは思っている。
『彼が今も迷ってるなら、彼を救ってあげて欲しいんだ……私と一緒に』
長かったDVDはこの言葉と共にアイがこちらに手を伸ばしているところで終わる。ここで録画を終わらせたのかもしれない。
アクアはこれの存在が匂わされた愛瑠の誕生日を思い出す。
『あっそこは大丈夫!もう解決してる事だから!』
アイは確かにこんな事を言っていた。
これはきっと最後のお願いがもう解決していると言いたかったのだろう。
だからアクアが父親について誤解しないような、一つの区切りを付ける意味を込めてこの動画を見せるつもりだった。
"彼"は既に立ち直っており、救済など必要ない。それが彼女の判断だ。
それならば、本来ここで何か悩む必要などない。
だが、アクア自身は何となく納得できないでいた。
「本当にこんな終わりでいいのか?」
疑問に思いながらも答えは出ない。
大人しくアクアはDVDを取り出して、片付けてから部屋を出る。
飲み物を飲んでから気分をリフレッシュしようとリビングへ向かった。
「アクア見終わった?」
リビングにはまだアイがゆっくりしていたようで、一人ソファでダラダラとしていた。
アイはアクアが来たのを見て口を開く。
「そうだな、さっき見終わったよ」
「そっか〜……やっぱりさ私が言ったあの言葉は嘘だったかな?」
DVDのアイよりずっと不安そうに本物の彼女は問う。
今のアイはあの頃よりずっと分かりやすくなっている。アクア自身が演技力を磨いてきたおかげもあってかその内心がよく理解できた。
「ああ、母さんの言葉はちゃんと愛だったよ」
「そっか、そっかぁ……よかったぁ」
幼子が大切な何かを知ったようなアイの表情を見てアクアは自分の引っ掛かりをようやく理解した。
「母さんは"彼"のこと今どう思ってるの?」
「何?どしたのアクア、やっぱりパパ欲しい?」
「いや、そうじゃない。単純に気になっただけ」
聞いておきながらアクアの中で一つの答えは出ている。
アイは少し考える仕草をした後、口を開いた。
「うーんあの頃に思っていた気持ちとは少し違うんだよね〜だから『分かんない』が正解かな」
「そっか、ありがとう答えてくれて」
アクアはそこから軽くアイと話して飲み物を飲んでから部屋へと戻る。
そこから一呼吸おいて自分に言い聞かせるように口を開いた。
「この嘘は暴いてみせる」
他の誰も聞こえない場所でアクアは決意する。
この日、アクアに新たな目標ができた。