【推しの子】ヤケクソハッピーハーレムルート   作:ただの暇神

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宣戦布告

あかねの見せたアイの完全コピー。

現場にいたあらゆる人物の視線を釘付けにした演技だが、当然放送後の反響も尋常ではなかった。

 

『あかねがアイに???夢でも見てるんだろうか』

『あのアクアが認めるだけあって圧倒的完成度だよな、もはや怖いわ』

『アクア挙動不審になってて笑った』

『アイと大きくなってから共演したことなかったよね?ダブルアイ見たいわ』

 

SNSではこのようにあかね憑依アイの話題で持ち切りだった。

アクアの照れ顔の話題も合わせてあるものの、流石に話題の中心はあかねとなっている。

今現在も最強のマルチタレントであるアイの完コピとはそれだけのインパクトがあるトピックスだった。

 

それだけ世間一般で話題になる展開は当然身内からの反響も凄かった。

放送日にアクアが家へ帰れば、玄関にはアイがいつかのルビーのように仁王立ちしていた。

ただ仁王立ちしているならばアクアとて内心で推し可愛いと思うくらいで済んだだろう。

 

「母さん?……なんで陽東高校の制服着てるんだ?」

「えへへ〜どう!似合うかな、かなちゃんに予備借りたんだ〜」

 

テヘッとポーズを決めるアイにアクアは呆れながらも内心見た事ない推しの姿にテンションを上げる。

ルビーではなくかなに借りたのは背格好が近いからという理由もあるだろう。

32歳の彼女だが、完璧に制服を着こなしていた。

 

「ただい……ってママ!?可愛すぎ!今からでも陽東高校通わない!?」

 

アクアに続いてタイミングよく家に帰ってきたルビーもアイの格好を見てオタクらしくテンションを爆上げする。

アイは流石にそれはちょっとと言いたげな困った表情をしていた。

 

「うーん今から入ったらルビーの後輩だもん。流石にちょーっと思うところあるかな〜」

「うぅ、ママが後輩っていうのも楽しそうだったのに」

 

ルビーの不満げな表情をニコニコ顔で受け流すアイだが、流石に母親としての威厳を意識しているようだ。

一度話題が切れたところでアクアは改めて尋ねる。

 

「それで?結局答えてないけど何で母さんは制服着てるの?」

「だってアクア、あかねちゃんが私のコピーしてた時赤くなってたでしょ?だから制服姿の私を見たいのかな〜って」

「そういうわけじゃねぇよ。頼むから外でその格好するなよ?」

 

今ガチでは皆制服が基本なので、あかねが陽東高校の制服を着ていたことからアイなりにそう判断したらしい。

アクアは妙に制服の似合っている母の姿を頭にしっかり記録しながらも呆れたような声を出して誤魔化した。

 

「でもほら!いつもとアクアの反応が違って新鮮だし……たまにやっていい?」

「……まぁ家でやる分にはいいんじゃない?」

「やっぱママには甘いよねおにいちゃん」

 

結局母には逆らえない兄にルビーは笑顔を送るのだった。

 

その数日後、B小町Rのメンバーと事務所で出会った時も凄い反応だった。

 

「アクア、見たわよ『今ガチ』」

「知ってるよ、お前同時視聴動画で俺のことボロカスに言ってくれたよな」

 

アクアは『今ガチ』の同時視聴動画もしっかりと追っている。

自分の『今ガチ』で使われた場面などを見返すついでに皆の反応が気になるからというのが理由だ。

ただかなは嫉妬からか元来の口の悪さが結構表に現れており、動画でカットされたところは一体何を口走っているのかアクアも気になっているところである。

 

「はーそりゃそうでしょ。なーに恋愛する気ないって言っといてあかねに顔真っ赤にしてんのよ」

「まぁまぁアクアさんも推しそっくりな姿見て動揺しただけやろうしそのくらいに」

 

荒ぶるかなを宥めるみなみ。どちらが年上かわからないなとアクアはかなへ残念なものを見る視線を向けた。

 

「まぁ重ちゃんは置いといて、マリンラストはどうするの?」

「どうって?」

「アクあかのカップリングは世間で相当強固になってる。このまま理由なく不成立は厳しいでしょ?」

 

前回も心配していた事を当人に直接聞くフリル。

フリルはあかねにも聞いたが、少しはぐらかされたため、アクアに確認をする選択を取った。

 

「当初の予定通り不成立予定だ。一応種は蒔いた」

「……そういう。でもそう上手くいくかな?」

「さぁな。ただ成立させるとビジネスカップルだとしても色々変えざるを得ないからこれしか手がない」

 

今のようにB小町Rのメンバー達と気軽な関係では居られなくなるだろう。

それだけでなくグループ間の仲にも影響が出かねないから仕方がない。

自分が優柔不断な言い訳をしながらアクアは答えた。

 

「アンタ達何の話してるの?」

「番組終わったらマリンとまた映画見ようって約束してただけだよ」

「はぁ!?」

 

コイツ今話したばっかなのにもう口説きやがったと言いたげな視線を送るかなに、アクアは冤罪だと言いつつも気まずくなって視線を逸らすことになった。

 

そんな揶揄いや弄りを含めた日々が過ぎ去り、『今ガチ』最後の撮影日を迎えた。

恋愛リアリティーショーだけあって最後のイベントは決まっている。

これまでSNSなどでも散々話題になった皆お楽しみのカップル成立イベントだ。

昼間はいつも通りの撮影を行い、夜になれば各々意中の相手へと告白を行う手筈となっていた。

昼間は夜を想像して多少のぎこちなさはあれど、皆で和気藹々とした時間を過ごす。

そして日も暮れて、いよいよ『今ガチ』最後のシーンが始まった。

最初に動いたのはやはりこのメンバーのムードメーカーであるノブユキである。

相手はゆきであり、アクアもここは成立する可能性あるよなと思いながら見守っている。

 

「ゆき!最初見た時からキレイだなとか思ってたけど、実際に『今ガチ』で仲良くなるうちに女の子として意識するようになった。好きだ。付き合ってくれ」

 

ゆきはそんなノブユキの言葉に何かを考えるような仕草を見せる。

 

「……ごめんなさい!お友達でお願い!」

 

カップル成立するだろうと思われていた組み合わせの不成立にスタッフの顔が強張るのが、少し離れたところにいるアクアにも見えた。

アクアとしてもここ最近の空気から考えてここはくっ付くだろうと考えていたので、宛てが外れた形となる。

 

「うぐっそ、そうか。……分かった!友達として仲良くしてくれな!」

 

脈ありそうなところから撃沈したノブユキは悲しそうな表情をしながらも、最後には笑顔で気を取り直した様子を見せる。

このノブユキの姿に感心した視聴者も多いだろう。

 

「どう、アクアくん緊張してきた?」

「普段の演技よりはするな。俺よりあかねだろ?」

 

アクアとあかねは事前に話した結果、この後あかねから話を切り出すことが決まっている。

正直アクアは受けに徹するわけで申し訳ないくらいだった。

 

「まぁ……うん。心臓おかしくなっちゃいそう……触ってみる?」

「勘弁してくれ。そんなとこ見られたら言い訳できなくなる」

「あ、あはは。そっそうだよね。ちょっとテンパっちゃって」

 

流石のあかねも冷静ではないのか、普段では言わないタイプの発言をしていた。

こういう揶揄い方をするとすれば、フリルの分野になるだろう。

そんなやり取りをしている間にミミへとケンゴが告白をする。

それに対してミミは顔を真っ赤にしながら手をばたつかせて断っていた。

相性はいいだろうなとアクアは内心では思っているものの、本人達の気持ちが大切なため、余計な口出しはしない。

これはこれで見どころなのだろうが、答えを聞かされていないスタッフとしては、最後のペアへとハードルがどんどんと上がっていく。

 

そして回ってくるアクア達の出番。

カメラがこちらへと向けられたのを見て、二人はスイッチを切り替えた。

役者として『今ガチ』における『星野アクア』と『黒川あかね』を演じて動く。

 

「アクアくん、ちょっと時間良いかな」

「ああ」

 

演技をしないごく普通の、飾っていないあかねがアクアへ向けてゆっくりと歩いて近づき、声を掛けるシーンから撮影がスタートする。

少し声に乗った緊張は演技か、それとも本当か。視聴者には分からないが、ハラハラさせられるのは間違い無いだろう。

あかねは深呼吸をしてから会話を始めることにした。

 

「アクアくんと知り合ってもう14年も経ったんだよ?時間が過ぎるって早いよね」

「……本当にそうだな。初めて会ったのはあかねが苺プロに面接に来た時だったか」

「そうそう、面接官に当時まだ小さかったアクアくんがいて私も驚いちゃったんだからね」

 

まずは差しさわりのない、昔から一緒にいた時間を感じさせるエピソードから入っていく。

実のところ一般には公開されていない話でもあり、一体その時どんな話があったんだろうかと視聴者の想像を掻き立てる。

 

「最初はアクアくんに対して持っている気持ちは、憧れや尊敬だった。私より先にこの世界に入っている年下の男の子。大人すら恐怖させる不気味な演技。かなちゃん目当てで見た映画だったけど本当に驚かされたなぁ」

「『それが始まり』か、懐かしいな。あかね俺の演技が怖くて泣いたって言ってたな」

「よく覚えてるね……ホント怖かったんだからね。それから苺プロに入って、アクアくんに助けてもらいながら一緒に過ごしていくうちに……いつからだろうね」

 

ここであかねは一呼吸おいて言葉を続ける。

 

「ちょっとずつ私の中で君が特別になっていった」

 

これはあかねの本心だ。

憧れや尊敬ならかなやアイにも持っている。

ただあかねが成長するにつれてその二人とは違う感情をアクアに抱くようになっていった。

 

「アクアくんが恋愛リアリティーショーに出るって聞いて、居ても立っても居られなくなって、私も参加するって手を挙げて、この番組を通じて知らなかった一面が見えてきて……」

 

真贋混ざった言葉だが、その感情に偽りはない。

あかねは自分の本物の感情を見せながら、少し潤んだ目をしてアクアに告げる。

予定されていなかった言葉を。

 

「私……アクアくんのことが一人の男の子として好きだよ」

 

ここでどのような言葉を掛けられるか、アクアは聞かされていなかった。

その真剣な眼差しに、事前の予定通りの言葉を口に出せない。

ルビーの件でも分かるように、こういう直球の好意に対してアクアは弱かった。

何とか止まりかけた思考を動かしてあかねの告白に答えようとアクアは口を動かす。

 

「あかね」

「でも……アクアくんの中ではアイさんが一番特別なんだよね」

 

そんなアクアの答えを遮るように、あかねは口を開いた。

アクアとしてもそれは誤解だと言いたげに返事をする。

 

「……いや、俺は」

「分かってるんだ。アクアくんにとってアイさんがどれだけ大切かなんて。今ガチで色々やってみたけど……普通の私じゃあの表情は絶対引き出せなかった」

 

この番組内であかねはアクアに対して色々なアプローチしてきた。

アクアの反応は誰の目から見ても決して満更ではなかった。

だが、アイの完コピを超える反応を引き出せた事は一度もなかった。

これに関してはあかね自身本気で悔しいと思っている。

 

「……確かにアイに対する感情とあかねに対する感情では種類が違う」

「うん、アクアくんの中で私はまだB小町Rっていう幼馴染の一人でしかないんだと思う。アクアくんはちょっと女の子との距離が近い女好きだからすぐ女の子を勘違いさせるケド」

 

ジトッとした目を向けるあかねにアクアは気まずくなって少し視線を逸らす。

今回ばかりはあまり否定する要素がないと自分でも思っていた。

 

「まだまだ掛かると思う。でも、いつかアクアくんにとってアイさんより大切な存在になってみせるね」

「……あかねはそれでいいのか?」

「ふふっ今更だよ。それに、今回の今ガチがあったからアクアくんは私が君をどう思っているか知ってくれたわけだから。勝負はこれからだよ。諦めないからね」

 

誰もが見惚れるような、あかねの飾らない笑み。

アクアはある程度あかねと相談して台本が決まってたとはいえ、思わず見惚れる。

 

「……そうかよ」

 

アクアはそんな彼女を見て敵わないなと言いたげな表情を浮かべていた。

 

「あっそうそう、アクアくんちょっとこっち来て」

 

撮影が終わった空気を出したあかねは、ちょいちょいと手招きでアクアを近くに呼ぶ。

 

「どうしたん……だ……よ」

 

あかねに呼ばれて彼女へと近付いたアクア。

その頬へあかねはそっと口付けをする。

何をされたか認識したアクアは、慌てたようにあかねへ向き直った。

そこには顔を林檎のように赤く染めたあかねが立っている。

カメラもこれが最後だと、そんなあかねが綺麗に見えるようしっかりと撮影する。

 

「えっと……これはその……宣戦布告!アクアくんに意識してもらえるように私頑張るから……これから覚悟してね?」

 

照れくさそうに微笑むとても可愛らしい恋する女の子。

長い黒髪が風に靡く姿もどこか神秘的な感じの印象を与える。

そんな印象に残る番組のラストシーンは、かなりの話題を呼び、健気な女の子としてあかねの評判を高めることとなる。

 

 

『今ガチ』最終回感想まったりスレ

1.ガチ恋の名無しさん

ゆきユキが不成立だとはこのリハクの目をもってしても見抜けなかった

 

2.ガチ恋の名無しさん

ほんとマジでびっくりしたわ

告白パート直前も楽しそうに話してたやんけ

 

3.ガチ恋の名無しさん

楽しそうに話してるだけでカップルなんて決めつけたらダメなんだよね

 

4.ガチ恋の名無しさん

それよりアクあかだろ

あの流れで不成立なのはほぼ反則だろ

 

5.ガチ恋の名無しさん

幼馴染は建前抜きで幼馴染でしたってオチですね

膝枕とかしてたのになんでやねん!

 

6.ガチ恋の名無しさん

アクアがあかねに対してじゃなくてあかねがコピーしたアイに照れたのが悪い

 

7.ガチ恋の名無しさん

最後のあかねちゃん可愛いから全て許せる

アクアの優柔不断さすらチャラにしてるわ

 

10.ガチ恋の名無しさん

カップル成立してないのにキスされたアクア羨ましい

俺もあかねちゃんにキスされたい

 

13.ガチ恋の名無しさん

ここまでケンミミの話題なし

 

17.ガチ恋の名無しさん

あそこ二人はほぼ余物みたいなもんだったし

相性自体は悪くないとは思うがカップルという感じじゃない

 

21.ガチ恋の名無しさん

圧倒的一強のアクあか

対抗馬のゆきユキ

大穴のケンミミ

 

29.ガチ恋の名無しさん

アクあか不成立の理由はアクアの情緒がお子ちゃまだから説

 

35.ガチ恋の名無しさん

実際アクアが照れた顔したのマジであのアイ武装あかねのシーンだけ?

 

51.ガチ恋の名無しさん

>>35

武装言うな

でもそこくらいだなガチ照れしたの

動揺してるシーンとかあかねを気にしてるシーンならある。

 

70.ガチ恋の名無しさん

まぁアクあかってよく見るとあかねが攻めててアクアは一貫して恋愛を体験しに来ているって感じのスタンスだったからな

 

89.ガチ恋の名無しさん

結構焦げ臭かったよな最終回放送直後

 

94.ガチ恋の名無しさん

くっつくと思ってたカプ厨が発狂したからな

その後のあかねの笑みで全て許された感出たけど

 

104.ガチ恋の名無しさん

>>89

アクアとあかねの普段の距離感が近すぎたのが悪い

 

115.ガチ恋の名無しさん

アクあかの距離感なんて付き合ってるのと変わらんのに

お試しで付き合ってもよかったよな

 

123.ガチ恋の名無しさん

アイドルやし遊びで付き合うのはなしだろ

 

134.ガチ恋の名無しさん

アイドル(ガチ告白します)

 

171.ガチ恋の名無しさん

いつかアクアを攻略した報告をTwitterでしてくれるって信じてるから

 

209.ガチ恋の名無しさん

今度一緒に映画行くってTwitterにあったな

アクアの恋愛学習かな?

 

241.ガチ恋の名無しさん

悪い言い方するとキープなのによく許されてるな

 

255.ガチ恋の名無しさん

>>241

あの本気の思いを見せられたら叶って欲しいと思っちゃうからな

アクアは反省しろ

 

273.ガチ恋の名無しさん

多分他のメンバーにもあの距離感なんだろうなぁ

普段から配信で変だと思ってたわ

 

306.ガチ恋の名無しさん

>>241

元から公認カップリング扱いだったのが大きい

下手に旗が完全にへし折れるよりはキープ扱いでも希望が欲しいんだよ

 

318.ガチ恋の名無しさん

アクあかは恋人じゃなくてもあのくらいやるコンビだと分かったから今後の共演が楽しみだわ

 

1000.ガチ恋の名無しさん

>>1000なら1年以内にアクあか成立

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