契約
『今ガチ』打ち上げから数日後、日程のすり合わせを行った吉住兄妹は苺プロの事務所へ訪れていた。
「なんだか思ったより小さい?」
「余計な事言うなよミミ」
事務所正面にやってきたミミは思わず思っていた感想を口にしてしまう。
最強のマルチタレントであるアイ、主演女優賞を今年こそ取れるのではと囁かれるゆら、復帰後も話題になり続けるアクア、そしてC式部にB小町Rという強力なアイドルユニット。
配信業としても大成功を収めており、数百万の登録者を持つ配信者が何人もいる。
それがこの小さな事務所というのが意外というのはアクアもよく分かる。
今年ようやく土地やら契約やらが進んで新しい事務所を建て始めており、建築され次第、今の事務所も残しながら本拠地は移動予定となっていた。
「とりあえずうちの配信者部門を担当している人のところに案内するからついてきてくれ」
「あれ?確か配信者部門の担当者ってアクアさんの」
「ああ、俺の母だ。ついでに社長夫人でもあるからミミはくれぐれも余計な事言うなよ」
アクアの推薦なら大丈夫だろうと思っているミヤコだが、それはそれとして簡単な面接などは行う予定となっている。
実績は十分あるため、問題はミミの状態次第だ。
「あれ~?ミミちゃんだ。お久~」
「わっMEMちょだ。……相変わらずキラキラしてる……流石アイドル」
この日は近々あるライブの練習をするために事務所のレッスン室を訪れていたMEMちょと偶然出会う。
アクアは軽く時計を確認して、まだ時間に余裕があるため顔見知りならば緊張も解れるかと思いそのまま話させることにした。
「今日はどうしたのうちの事務所に来て。あかねとコラボとか?」
「いえ……その、アクアにスカウトされてその面接を」
少し恥ずかしそうに言うミミを見てMEMちょはアクアへ凄い視線を送ってきた。
「なんだよMEM」
言いたいことが沢山あると言いたげなMEMちょを見てアクアは少し不機嫌そうに言うとすかさずに彼女は言葉を返した。
「いや~別に?ただこれ以上女の子引っ掛けないでほしいな~皆の愚痴聞いたりするのも大変だな~ってお姉さんは思っただけで」
「別にそんなつもりじゃない。苺プロとしてもチャンスがあれば若い人材を確保するべきだと思っただけだ。MEMももうアラサーだしな」
「ぐふっ……。いや、配信者はアイドルより長生きできるから!まぁまだまだアイドルとしても頑張るけどね」
MEMちょは生涯現役とまでは流石に言わないまでもゆらに言われた通り、行けるところまではアイドル兼配信者で行こうと決めている。
まだ新メンバーも入ったばかりだが、先輩としてもっと頑張らねばと気合を入れてきたところだった。
「だ、大丈夫。ミミも流石に浮気性な人は勘弁」
「ミミ結構懐いてるからあるのかと思ってた。やっぱ僕の感覚って宛てにならないなぁ」
自信満々に言い切るミミに対して、実はそういう裏がスカウトにあるのではと思っていたシュンは自分の女気のなさにがっくりした。
この辺りはあかねバリアの産物である。
少し話したところでアクアは自分の時計を確認して、声を掛けた。
「そろそろ時間だからもう少し話をしたいなら、今度MEMに時間を空けてもらったらどうだ」
「そうだねぇ。私としてはミミちゃんがいいならもうちょっとお話したいけど」
「うぅ……分かった。また連絡させて……そのうち」
人と話すのが苦手なミミだが、チャンスでもあるこの機会をどうせ家から出ているのだしとプラスに考えて返事をする。
それからMEMちょと別れてアクアは、ミヤコの待っている部屋へと二人を案内した。
「あら、来たわね。アクア、ちょっと愛瑠を抱っこしていてくれない?」
「まぁ面談するなら確かに避けていた方がいいか」
ミヤコとその膝の上に座る愛瑠へとアクアが近づけば愛瑠はすぐさま反応する。
もう年齢的には床で遊ばせておいてもいいし、それ用のスペースもあるのだが、アクアに渡していた方が大人しいのがミヤコの経験則で分かっていたための依頼だった。
「にぃ!!抱っこして!」
アクアを見つけるなり、慣れた様子で手をアクアの方へ伸ばすのは、甘えん坊な素質があると言っていいだろう。
そんな愛瑠を優しい顔で受け止めるアクアを見て、ミミも内心アクアが事前にタラシだと知っていて良かったと安心する。
きっとあかねはこういうところにやられてしまったんだろうと友人となった彼女に合掌した。
「さて、待たせて悪いわね。こちらも貴方が所属するかもしれないって話が出てからそれなりに貴方の動画や配信を見させてもらったわ。結論からいえばコンプライアンス的にはまぁギリギリ大丈夫ね。毒舌キャラの範囲だと思うわ」
「よ、よかった……ミミも毒舌禁止は無理だから」
ミミのウケている部分はその可愛らしい声と顔から出てくる毒舌にある。
『引きこもり版重曹ちゃん』と言われることがあるのはその辺りが原因だ。苺プロが彼女を許容できるのもかなという前例がいるからに他ならない。
「ママキリッしてる」
「仕事モードだからな。愛瑠を抱っこしてる時の母モードとは違うから珍しいかもな」
普段本格的に仕事をするときは、別室に預けて誰かが面倒を見ることが多いため、これまでミヤコの仕事姿を見たことがなかった愛瑠は目をキラキラさせながら母を見ていた。
「うちの取り分だけど配信者は一律で6:4で6が事務所になっているわ。そのままだと稼ぎとしては減っちゃうけど大丈夫かしら」
「大丈夫……正直お金にはそんなに拘ってないから」
ミミとしても兄に甘えている所があるのは分かっていたのだ。
テレビ局での仕事に忙しくしている兄の負担を少し考えられる程度には、『今ガチ』の撮影で精神的な成長を見せている。
更に言えばミミが元々配信を始めた理由が承認欲求なため、苺プロに移籍する事による関係性や数字の増加の方が嬉しかった。
「分かりました。じゃあもういいわね。一応この契約書を確認してもらってもいいかしら」
「にーちゃん任せる」
「あのな、事務所所属したら自分で読む機会も……いやいいや」
これまで見守っていたシュンも呆れた様子で契約書を手に取って読み始めた。
よく考えたら妹は中卒、それも不登校であり、漢字が読める気がしないと思い直した結果である。
シュンが確認している最中、ミヤコは雑談感覚でミミへ話を振った。
「それにしても個人で60万登録は凄いわね」
「『今ガチ』で登録者倍増した……ので」
「元から30万でも凄いわよ。それにあの番組はアクアとあかねが滅茶苦茶やったから……その中でしっかり印象に残って登録者増加に繋げたのは凄いと思うわ」
全体の割合で言えばアクあか、ゆきユキと比べたら話題の少なかったミミだが、アクアとのやり取りやケンゴに引っ張られる様が成長日記のように感じられて独特の人気を獲得していた。
「確かにミミから見てもアクアとあかねはイチャイチャし過ぎてびっくりしたけど」
「こっちもどうせ出るならそれなりに爪痕残そうと思っただけだ。思ったより話題になったのは仕方がないだろ」
アクアの想定を超えて話題になったのは事実としてある。
やはり世間の興味というのは単純に考えるだけでは読み切るのは難しいのだろう。
「にぃ、見て!」
自分の相手をしてくれなくなったアクアに不満があるのか、アクアの着ている服のネック部分を引っ張って自分の方へ視線を向ける愛瑠。
アクアがそちらに視線を移せば頬を膨らませた可愛らしい子供がいた。
「あかねの真似か、可愛いな愛瑠」
「にひーでしょー」
アクアが笑顔で反応してくれたのを見て気分良さそうな愛瑠。
ミミも愛瑠の可愛さにやられ始めたのか少しソワソワし始めた。
「アクア、ミミも」
「読み終わりました。問題ないと思います。ミミここに割り印とサインを……ミミ?なんか不満そうだな」
ちょうど勇気を出して声を出そうとしたミミは、ちょうど兄の言葉に遮られることになる。
「にーちゃん許すまじ」
「えぇ!?なんでだよ」
こうしてミミが苺プロ配信者部門に所属する事となった。
シュンはその間にミヤコへミミの取り扱いの話をするらしく時間が少しできるとのことで、アクアはミミを連れて事務所中を説明していく。
その腕には今も愛瑠を抱きかかえたままなのは、二人の話し合いを邪魔しない目的も兼ねていた。
順番に案内していき、レッスン室の中へ入ると、B小町Rのメンバーが揃ってライブの練習を行っているのが見える。
アクア達の侵入に気が付いたメンバーはキリがいいところで練習を中断して、二人へと近付いていく。
「やっほーおにいちゃん。って愛瑠ちゃん抱っこしてる!羨ましいよ替わって替わって!!」
「いや、お前今練習中じゃ」
「ねぇ!にぃあっちいくね!」
「……あぁ」
ルビーの笑顔に釣られただけなのだが、自分よりルビーの方に懐いたのかとひっそりショックを受けるアクア。
「マリンがショックを受けてる。最近あまり愛瑠ちゃんの事構えていなかったからルビーに追い付かれたのかな」
「『今ガチ』やドラマの撮影もあってアクアさん忙しかったもんなぁ。その分ウチらは前より懐いてもらえた気がするんやけどね」
そんなアクアを見てフリルとみなみがこそこそと会話をしている声がアクアの耳に届く。
それに対してアクアは反論を開始した。
「いや別に子供だから移り気なのは仕方がない。ルビーだって姉として愛瑠に関わる時間は長いわけで、子供だと特に単純接触効果による愛情の増加が大きく影響するから直接やり取りをする時間がその分重要なだけで、別に俺がルビーより愛瑠に好かれてないとかそういうわけじゃねーから」
「あっこれガチな時の奴だね、ごめんねマリン」
アクアの饒舌な反論は図星の時というか気にしている時の奴だと幼馴染である彼女達は良く知っている。
こういうところもフリルたちは可愛いとプラスに思えるのが恋の魔力というやつだろう。
「うわっ……そういえば『今ガチ』でSNSしない理由を力説してた時もこんなだったなぁ……あかね、本当にコレでいいの?」
側にやってきていた友人に確認の言葉を向けたミミに対して、あかねは不思議そうに答える。
「え?可愛くない?」
「他の子も同じこと思っていそう。タラシって怖い……」
迷いなく言い切るあかねを見て、ミミは、恋愛って怖いと思わせられたのだった。
少し引いた様子を見せるミミを見て、先程まで沈黙をしていたかなが、アクアへと声を掛ける。
「残念だったわね~得意の口八丁手八丁で連れてきたメスがコロッと落ちなくて」
「流石に酷すぎないか」
アクアは自分へのあまりの認識に対して抗議を示す。
そんなアクアに対して、かなとしてはむしろ何言ってるんだと言いたかった。
「はー?あかねとカップル不成立って流れにした後に、他の男に告白されてた共演者を持ち帰ってたら一言くらい言いたいに決まってんでしょうが」
アクアはその言葉に対してあまり反論できる要素がない事に気が付いてトーンダウンしながら言葉を返す。
「いや、確かにミミをスカウトはしたけど」
「はいはい。まぁ?アンタみたいなむっつりホストなんかに落とされる子なんて然う然ういないんだから身の丈に合った相手を探しなさいよね~」
「コイツ……」
こういう時のかなは少し時間を空けた方がいいかとアクアは説得を諦めることを決めた。
それを見てかなは自分の勝ちと言いたげな実に勝ち誇った表情を浮かべる。
犬も食べなさそうな不毛な争いであるアクかな応酬が切れるタイミングを見計らっていたフリルが、二人が静かになったのを見て再びアクアに話しかけた。
「そう言えばマリン。この後時間ある?」
「俺か?とりあえずミミの件が終わったら今日は時間空いてるけど」
予定を確認したアクアの言葉にほっとした様子を見せたフリルは続きを話していく。
「今度五反田監督の映画にマリンと私とみなみで共演するでしょう?一緒に練習しない?」
「もう来週から撮影か。分かった、時間を空けておく。みなみも参加するでいいのか?」
アクアは了承した後、みなみにも確認を取る。
今回は役柄上3人の役作りはお互い確認しておいた方がいいと考えての受け答えだ。
「せやねぇ。ウチもやったことない役柄やから色々聞きたい思うてたんよ。……でもフリルちゃんはええの?」
「???全然問題ないけどどうかした?」
みなみとしては想い人と一緒に過ごせるのは嬉しいのだが、フリルは独占しなくていいのだろうかと確認する。
それに対してフリルはきょとんと返した。
今回は別に独占などを考えていたわけではなく、本当に演技の練習がしたいだけらしい。
「アクアってホントに女好きでタラシだったんだ。……もしかしてピーマン子役が言うように本当にミミの事狙って……」
そんな会話でB小町Rの複雑な関係性の一部を察したミミは、アクアの噂が誇張ではなく本当なのだと思い始める。
「今のところはそんなつもりないから安心しろ」
「ひぇっ今のところって事はミミ狙われちゃうんだ。やっぱり社長令息が持ってきた上手い話なんてないんだ……」
「ぷくく、完全に警戒されちゃったわね〜。……ってちょっと待ちなさい今コイツ私のことピーマン子役って呼んだ?」
アクアをイジれて上機嫌なかなだが、よくミミの言ったセリフを思い返せば自分も小馬鹿にされていたことに気が付いて突っかかる。
「ひえっ!?あっアクア。も、戻ろう」
「ちょっ待ちなさい!」
「いや、愛瑠を置いていけないんだから大人しくお小言言われとけ」
こうしてB小町Rとミミの愉快な初邂逅はある意味大成功に終わった。
無事ミミの案内を終わらせたアクアは、吉住兄妹が帰宅した後、当初の予定通りレッスン室へと戻ってきていた。
ルビー、かな、あかねはミヤコの下で愛瑠と戯れており、この場はアクア、フリル、みなみの三人のみとなる。
「とりあえず整理するか。今度俺たちがやる役だが、俺はヤクザの若頭、フリルはその愛人、みなみは俺の妹……良く考えると凄いなこれ」
「高校生がやる役じゃないよね、監督さんも凄いチョイスしたなって思う」
アクアは近々監督に相談したいこともあったため、タイミングがいい仕事だと思ったがヤクザ役ってと思ったものである。
フリルが愛人役というのは、泣き黒子や雰囲気が、この作品の原作に近いらしい。
「ウチがこの役に決まった言うた時のルビーの表情が忘れられへんのよね」
「ルビーって顔立ちが鬼整ってるから睨みつけるとホント怖いよね」
「……うちの妹が悪いな」
自分の妹という立場が脅かされると過去にない反応をみなみにしていた彼女を思い出す。
愛瑠がにぃ呼びするのは喜んで見ている事から同年代の妹というのが引っ掛かるポイントなのだろうとアクアは考えている。
自身のアイデンティティを脅かされるのが嫌だったらしい。
「気を取り直してフリルの役から今どんな感じで合わせてるんだ?」
「こんな感じ?」
フリルはすっとアクアへとしなだれかかる。
そしてそのまま演技を始めた。
「ねぇ海斗?私のこと……好き?」
「はっ。イチイチ聞いてくんなよめんどくせぇ」
その姿勢から発された言葉は妙に様になっており、どこか色気を感じさせた。
それに対しアクアはぶっきらぼうな男の演技で返す。
ヤクザという設定だけあってただ優しいだけの男ではないのが、今作の主人公だった。
「どう?」
「……驚いたな、予想してない演技内容だった。こういう演技もできたのか」
「元からこの題材について事前に練習してきたのもあるけど、まぁマリン達と散々昔から演技の練習してきたしね。重ちゃんやあかねにはまだ勝てないけど」
まだと付けて超える意思があることを主張するのがフリルの凄いところだとアクアも評価している。
「あと色気についてはみなみが結構素でえっちぃ感じ出すからいい参考になるよね」
「待って!?ウチそんな感じなん!?」
内心さっきのフリルを見て大人っぽくて凄いわぁと思っていたみなみは、まさかの自分がモデルと聞いて驚いた声を出す。
アクアとしてもフリルの出した色気とみなみが持っている蠱惑的な部分はまた違うと思っているので不思議に思っているとフリルが答えを口にした。
「参考と言っても自分向けに加工してるけどね。私がみなみの真似してもスタイル不足で何だかカッコ悪くなるから」
足りない部分は表情の変化などで補っている。
この辺りはフリルのセンスが成せる技だった。
アクアが指摘などするまでもなく自分でほとんど演技を完成させているフリルに感心する。
「俺から言えるとすれば、愛人は愛人でも設定的には本心から両思いらしいし、もう少し愛情の表現を強くしてもいいとは思う」
「愛情ね……こんな感じ?」
今度は先程より幼く見える彼女が姿を現す。
「ねぇ海斗?私のこと……好き?」
「はっ。イチイチ聞いてくんなよめんどくせぇ」
セリフ自体は先ほどから変化がないものの、受け取り手としてはかなり感じ方が変わっていた。
普段のフリルが持つ外連味がいいスパイスとなっており、綺麗な愛欲がアクアとしては先程より良く感じられる。
不意打ち気味ではあるものの、思わず心臓がドキリと強い音を立てるがおくびにも出さない。
「あぁ、いいんじゃないか?少なくとも俺のイメージには近くなった」
「うん、ならオッケーだね。結局マリンにどう見えているかだし」
フリルは自分のベースとなる演技が見つかったことに嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ次はみなみの番だね。頑張って」
「う、うん。やるよ?」
(今更だが、この映画、監督が俺たちの成長を促す目的もありそうだな。ホント一筋縄じゃいかないな)
みなみは初めて演技をした時から色気のある役が多い。
元来彼女の持つ魅力。だが今回は逆に純粋に兄を慕う妹というキャラ設計上色気など逆に見せてはいけなかった。
「……兄様!」
「どうかしたか?」
「今日は学校でお友達ができたの!!褒めて褒めて!」
「ちっ……はいはい、良かったな」
短いフレーズでの確認。
アクアは今みなみのやった演技を振り返る。アクアが事前にイメージしていたよりも甘めの演技だった。
「これ、なんか参考にした演技とかあるのか?」
「実はな?これルビーを私風にアレンジした演技のつもりなんよ」
その答えを聞いて、どうしてみなみの演技が妙に空気が甘いのかすぐに分かったアクアだった。
だがみなみの周りに他に参考になる兄妹がいないなと考えたところで一つ例を思い付く。
「あーちょっと場面は少ないんだが」
そう言ってアクアはスマホで『今ガチ』の該当箇所を再生した。
ミミがシュンについて話しているシーンである。
そのシーンを上手く使えると判断したわけだ。
「まぁミミの場合は少し兄の扱いがぞんざいだから、ルビーと合わせて調整はした方がいいと思う」
「なるほどなぁ、上手く親愛だけになるよう頑張ってみるわ」
みなみは自分でも引っ掛かっていた部分の調整についていいアイディアをもらえたと喜び、とびきりの笑顔をアクアへと向ける。
それから三人は一時間ほど演技の練習に取り組むのだった。
「あっおにいちゃん達おかえり〜。なんかさっき壱護さんが来て私たちに話があるってさ」
昼で疲れてすやすやと眠る愛瑠を抱き抱えたルビーが、戻ってきたアクア達に話をする。
部屋の隅でミヤコと何か話し合いをしていた壱護はアクア達が来たのに気が付いて声を掛けた。
「おっようやく来たな?さて、そこに並べお前ら」
壱護は言いたくて言いたくて仕方がないと表情に出ている。
そしてアクアは申し訳ないと思いながらもこれから話す内容に予想がついた。
ただB小町Rのメンバーは殆どが察せていないらしく、どうして壱護がこんなに張り切っているんだろうかと不思議そうな表情をしていた。
そんな彼女達にニマニマとしながら壱護は本題を切り出した。
「喜べ、お前らのドームライブが正式決定した」
その言葉にメンバー全員の空気が変わる。
B小町Rの目標、その達成はもう数ヶ月先に迫っていた。