◇D.U地区・総合病院
「・・・・はぁ。」
今日で何度目かになるため息がこぼれる。
現在、私・・・連邦生徒会長は先の作戦で重傷を負った部隊長の入院している病室へと向かっていた。しかし、廊下を進む足は重く、目的の病室までの距離が無限に続くように感じられる。
それもそうだ。なにせ、大切な連邦生徒会の仲間が瀕死の重傷を負ったのだからだ。
「あの時こうすればよかった」、なんて考えが何度も浮かび、頭を後悔で埋め尽くす。
私はようやく病室の前に着き、覚悟を決めて扉を開ける。
中にはベッドで横たわるハルガ君と、そのベッドの脇で様子を見ている彼の部下たちの姿があった。
「連邦生徒会長。お疲れ様です。」
「あ、そのままでいいよ。」
副隊長が椅子から立ち、敬礼をしてくる。それに他の3人も続いて敬礼をしてくる。
しかし、全員の表情は暗く、心配そうにハルガ君を見つめている。
私も、改めてハルガ君の状態を見る。
全身に包帯を巻き、左手にはギプスを装着している。まるでミイラの様な状態だ。
だが、見た目だけでは彼の状態は分からない。私は彼の部隊員に状態を聞いてみることにした。
「ハルガ君は・・・どんな状態だって?」
「・・・隊長は現在は治療が済んでます。ですが、意識はまだ戻りません。」
結局、あの爆弾はすべてただの爆弾だったようで周辺への被害は無かった。
しかし、大量の爆弾が一斉に爆発した時の衝撃は凄まじく、近くにいたハルガ君は瀕死の重傷を受けてしまった。どうやら持っていた防御装置をすべて使ったらしく、命を失うことだけは免れたようだった。
「医者は顔の火傷が残る事と衝撃による後遺症があるかもしれない、と言ってました。」
「そっか・・・」
改めて彼の顔を見る。
いつもは装甲やヘルメットで隠れて見えない顔。今も包帯で隠れているが、その輪郭ははっきりと見えている。・・・だが、もう彼の本当の顔を見る事は出来ないのだろう。
「今回の件は隊長の援護に向かわなかった私たちの失態です。あそこで無理にでも向かえば状況は変わっていたかもしれませんでした。」
「ううん、止めることができなかった私の責任だよ。ハルガ君を止める事が出来なかった私の―――『いや、勝手に突っ走った私の自業自得だろ。』
私を遮るように少し枯れた低い声が聞こえる。
慌てて声のした方を見ると、そこには上半身を起こしてこちらを見るハルガ君の姿があった。
「ハルガ君!?」
「「「「隊長‼」」」」
その場にいた全員が声を上げる。
しかし、彼は少し呻いてまた横になった。
『あー・・・やっぱきついわ。』
「隊長!大丈夫でしょうか!?」
『よぉ、トヨミ。今何時だ?あれからどれくらいたったんだ?』
「丸1日です。心配しましたよ。」
『そうか、すまんな。」
「ツユカ、看護師を読んできてください。」
「分かりましたわ。」
部隊員の一人が看護師を呼びに病室をでた。
彼は私の方を向いて話を続ける。
『すみません、会長。私の勝手な行動で作戦をふいにしてしまって。』
「ううん。大丈夫、結局ヘイローを破壊する爆弾じゃなかったし、ハルガ君が生きて帰ってくれたから・・・問題はないよ。」
「隊長はしばらくは包帯生活だね~。」
「隊長、私がお世話してあげるね。」
『アジノ・・・ツガミも張り付くな。』
左右からハルガに抱き着く様に二人の隊員が引っ付く。
それをめんどくさそうに振り払う。しかし、傷が痛むのか少し動きが鈍い。
『ちくしょう、うまく動かせねぇ・・・』
「全治1か月ですよ隊長。」
『結構短いんだな。』
「はい、隊長がお試しで入れているナノマシンが傷の修復を速めているそうです。」
『試作品だったんだが・・・入れててよかったな。』
それからはしばらく副隊長ちゃんの報告が続いた。
組織の関係者のあぶり出しが終わったことや、重要人物の確保報告など・・・もちろん私の所にも来ている情報だったためそこまで注意して聞く事ではなかったが。
そうしているうちに私には次の予定の時間が近づいてくる。
「あ、ごめんねハルガ君。私、もう行かないと。」
『もうですか・・・』
「うん、あんまり遅くなるとリンちゃんに怒られちゃうから。じゃあね。」
『ああ、気を付けてな。・・・護衛はいるか?』
「ううん、大丈夫。折角なんだからみんなにゆっくり休んでほしいしね。」
そう言って病室を後にする。
改めて彼の姿を思い出す。
包帯まみれ、痛々しい傷・・・苦しそうな声。
「・・・もう、限界かな。」
今回はここまでです。
次回から本編進めます。
ちなみに戦略チームの服装は全員ガチガチの特殊部隊装備です。FOX小隊やrabbit小隊みたいに学生服モドキの服ではありません。
それではまた次回・・・