◇アビドス市街地
「隊長、民間人を近くのシェルターに保護したよ。」
『よくやった。こっちもたった今到着したところだ。30秒後、降下地点に到着する。降下地点周囲の安全の確保を頼む。』
「了解、私も降下ポイントに向かうね。」
通信を終えたハルガは無線を通してキャビンにいる先生たちに話しかける。
『今連絡が入ったが、柴大将は無事だ。ツガミが近くのシェルターに保護している。』
「大将・・・よかったぁ。」
『まもなく目標地点に到着。降下準備を。』
「了解です~」
『先生と奥空さんはヘリに残ってくれ。ここからでも十分な支援はできるはずだ。』
「わかりました!」
”うん、任せて。”
『目標地点の周囲に敵なし、降下開始。』
ヘリは地面スレスレまで降下しアヤネ以外の対策委員会のメンバーを降ろし始めた。
そして最後にハルガが降りるとヘリは自動操縦に切り替わり、先生とアヤネを乗せた機体は高度を上げ、市街地の上空で旋回を始める。
先に到着していたツガミも無事に合流、対策委員会とハルガ達は
~~数十分後~~
『――――つまり、お前らは私的なくだらない理由で紫関ラーメンを爆破した、と・・・』
更地となった紫関ラーメンの前。
先ほどまで戦場となっていたそこには、今は縄でぐるぐる巻きにされた便利屋とそれを取り囲む対策委員会がいるだけとなっていた。
爆破地点に到着した対策委員会は、たまたま聞こえてきた会話の内容から爆破の犯人が便利屋であると知ることになった。*1
そこから怒りに燃える対策委員会と便利屋の戦闘が始まった。
奇襲をかける様な形で対策委員会は便利屋を強襲。雇った傭兵を呼ぶ間もなく便利屋は全員が捕縛された。
もちろんあとから傭兵がやってきたが、それらはハルガのドローン爆撃で雑に追い払った。
「く、くだらないとは失礼ね!これは私たちがアウトローであることを証明する為の―――」
『あ”?』
「・・・ひっ!」
そして現在は便利屋から爆破の理由を聞くために全員で尋問を行っていたところである。
『自分のあり方を決めるのは良い事なんだがなぁ・・・』
「だからってお店を吹き飛ばす必要ないじゃない!」
「ん、悪党は滅ぶべし慈悲は無い。」
「これはちょっとお仕置きが必要ですね?」
『あんたらの処遇は対策委員会が決める。せいぜい命乞いをすることだな。』
便利屋を連れていくために上空で待機させていたヘリを市街地の真ん中に降下させる。
本来、他の学園なら通行人や車の影響で市街地の道路でのヘリの着陸は出来ない事だが、人の少ないアビドス・・・とりわけ戦闘の後で人通りの少ないこの場所は何の問題もなく着陸できる。
『よし、いったんヘリを降下させるぞ。総員―――・・・待て、全員伏せろ!』
ドドドドドーンッ!!
ヘリに着陸ポイントを指示しようとしたハルガが端末に目を落とすと同時に、周辺に多数の爆発が起こった。空気を切り裂く様な短い飛翔音の後に連鎖するように爆発音が連続する。
ハルガは地面に伏せながら近くにある物陰にいち早く転がり込んだ。
『畜生、砲撃だ!降下中止、降下中止!』
砲弾が命中する可能性がある以上、先生の安全の為にヘリを着陸を止めざる負えない。
それに上から観測できればこの砲撃が何処から撃たれているかを特定できるかもしれない。
「な、なになに!?」
「セリカ、ここは危ないから移動するよ。」
「こっちですよ~☆」
「ち、ちょっと置いて行かないでよ!」
対策委員会は全員で便利屋を担いで近場の建物の中へ避難している途中だった。
シロコとセリカで一人ずつ、ノノミは・・・さすがと言ったところか、脇に二人を抱えて平然と走っている。*2
「これは・・・50mm迫撃砲です!」
『やはりな。先生、場所は分かるか?』
”3㎞先にたくさんの反応があるよ!”
「所属を確認しました!相手はゲヘナ風紀委員会・・・三個中隊!?」
”多すぎない!?”
『なんで300人近くの風紀委員会がアビドスに来てんだよ!』
「隊長、こっちにもゲヘナの風紀委員が来てる!」
『クソッたれ・・・警告も無しに攻撃かよ。』
ハルガは対策委員会とツガミの居る建物に向けて砲弾の降り注ぐ中を全力で走り、飛び込む様に転がり込んだ。
建物の奥で雑に積み上げられている便利屋を横目に対策委員会とツガミの居る場所に向かう。
『よし、全員無事か?』
「ん、大丈夫。でも先生とアヤネに連絡が付かない。」
『マジか・・・この感じは妨害電波か?』
「二人は大丈夫でしょうか?」
『自動飛行システムなら問題は無いはずだ・・・お相手さんも妨害電波で対空攻撃はまともにできないはずだ。』
「じゃあ、問題はあいつらね。」
『三個中隊か。なぜその規模の風紀委員がここに・・・』
「便利屋を捕まえに来たんじゃないの?」
「それにしては多すぎだと思う。」
『うーむ・・・わからん。』
しばらく全員が頭を悩ませていると、外から聞こえていた爆発がぴたりと止まった。
『砲撃が止んだ。奴らが来るぞ・・・』
「ど、どうするの?」
「もちろん徹底抗戦。」
「ですが、大勢の風紀委員相手に大丈夫でしょうか?」
『先生の指揮があればよかったんだがな。』
何度も端末を操作するハルガ。しかし外部との連絡手段を封じられた以上、ドローンに爆撃指示をすることができない。例え出来たとしても風紀委員の対空攻撃で撃墜されるだろう。
『仕方がない。ツガミ、これを持っていけ。』
「これって・・・緊急ビーコン?」
『あぁ、これをジャミング範囲外で起動しろ。今ならまだ包囲されていない、お前なら飛んでいけるはずだ。』
「了解。」
『申し訳ないが先生の居ない間、対策委員会には私の指揮下に入ってもらう。奴らの注意を引くぞ。準備は?』
「ん、大丈夫。」
「い、行けるわよ!」
「問題なしです!」
見つからない様に建物の裏口に向かうツガミとは反対に、ハルガ達は正面の扉へと向かった。
扉を開けて外に出ると遠くからやってくる風紀委員がすぐに見つける事が出来た。
『交渉で何とかなればよかったんだが・・・ちくしょう、奴ら初めから戦闘態勢だ。』
「せ、先生との連絡は・・・」
『ダメだな。通信系が軒並み機能しない。』
「ん・・・分かり切ってたこと、今は戦うしかない。」
「あぁ・・・もう!何でこうなるのよ!」
『致し方ない・・・総員戦闘開始!』
ハルガの号令と共にその場の全員は周囲の瓦礫や障害物に滑り込んだ。
マシンガンを持ったノノミとハルガを中心に援護しやすい位置にシロコとセリカが移動する。
こうしてアビドス対ゲヘナ風紀委員の戦いは幕を開けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~戦闘開始数十分前~
「・・・ねぇ、チナツ。」
「はい、どうかしましたか?」
アビドス市街地を進行する大規模な部隊。
その先頭を行くリーダー格の二人、イオリとチナツ。
「やっぱりなんだけどさ・・・この数は多くない?」
「私も最初はそう思いましたけどね・・・それに―――」
ゲヘナに置いて有名な問題児、便利屋68のメンバー4名の捕縛を命じられた二人だったが、三個中隊と言う訓練でも滅多に編成しない大部隊が動いていることに若干の疑問を持っていた。
「いつもより遥かに高性能な装備がこんなにいるでしょうか?」
「た、確かに・・・」
部隊の大部分に配られた装備にも疑問がある。
いつもは防弾チョッキすら無い軽装備であるにも関わらず、今回は重装甲な盾や特殊なアーマーまで配備されている。
その上、広範囲ジャミング装置や過多とも言える・・・いや、必要かどうかも分からない対空兵器まで。まるで戦争にでも行くかの様な・・・
「か・・・考えすぎですよね?」
「ん?何か言った?」
「いえ!何でも・・・」
「あ、見えてきた。」
やがて部隊は便利屋の居るであろうエリアに到着。
いつどこにでも砲撃が出来る様に迫撃砲の設置を開始した。
「さ、動きがあるまで私たちも待機しよっか。」
「そ、そうですね。」
今回はここまでです。
いやぁ、遅れて申し訳ない。
最近、テストとか他の事で死にかけてただけですので・・・気にしないで・・・
次回、やけくそでヤベー奴を出します。
ーひんとー
オラハシンジマッタダァ・・・
それではまた次回・・・