毎週の仕送りがどう考えても実家から来ていない件 作:カンピロバクター卍
風説証明機にUMAが居るなんて吹き込んだ結果、世に数多と噂されてきたあらゆるUMAが現実のものとして存在するようになってしまった。
動物園に行けばチュパカブラが元気に血の煮凝りを啜っているし、ジェヴォーダンウルフなる赤毛のクソデカ狼(ジェヴォーダンの獣だろう、多分)が呑気にあくびをして眠っているのを見る事が出来る。
野外では野鳥を見かけるのと同じ程度の頻度でスカイフィッシュが飛び回っていたし、ヒバゴンは天然記念物として比婆山連峰で保護されていた。
なおスカイフィッシュは日本では特定外来種に指定されているので、頻繁に駆除業者が町中に現れては捕獲駆除を行なっている。
そうして捕獲されたスカイフィッシュはジビエとして提供されることもあるが…私はまだ食べたことがない。というかそんなもん食えるか!
かくして現実の世界観がハチャメチャになったわけだが、戻そうとは思わなかった。
だって今のほうが刺激的で面白そうだもんね。
その後風説証明機で不死の妙薬を改良してみようと(具体的には不老効果の追加)試みてみたのだが、『サポートしていない世界観なの!』とエラーを吐いてしまって駄目だった。
そっか……世界観が違うかぁ。
やっぱり異世界の産物なのかね、仕送りの類は。異世界までもを上書きするだけのパワーが風説証明機には無いのかもしれない。まぁ、いいや。
カス嘘お姉さん語録でもぶち込んで遊んでおこう。
閑話休題。
仕送り(本物)が実家より届けられた。今の私は月収10万円とアルバイトにしてはかなり稼いでいる(しかも脱税する気まんまんなので税金は取られない!)ので生活するには特段困ってもいないのだが、まあくれるというなら有り難く受け取っておこうと思う。
『ユウへ。
元気にしていますか。アルバイトを始めたと聞いて、お母さんは安心しました。そのまま今のうちにお金の使い方を学んでおくとよいでしょう。
それはさておき、仕送りを送ります。最近お父さんと一緒に岐阜県の東白川村まで旅行をしたのですが、その際にツチノコ牧場を見学してきたのでお土産にツチノコカレーを送ります。 お母さんより』
そんな手紙とともに段ボールに詰められていたのは、ツチノコカレーとパックご飯が4つずつ。
……ツチノコカレー?
所謂御当地レトルトカレーというパッケージのそれには、『東白川村名産!ツチノコカレー!』『思ったより美味い!』との煽り文がデカデカとプリントされており、ツチノコのシルエットがその背景に使われていた。
調べてみればツチノコは東白川村で昔より食されてきた珍味として有名で、ハチの子とかイナゴの佃煮程度の知名度を誇るという。郷土料理としてはツチノコの煮付けが有名だが、近年では町おこしの一環としてツチノコ創作料理が盛んなのだとか。ちなみに一番人気はツチノコの天ぷらで、骨までサクッと食べれて美味いらしい。
えぇ?
ツチノコって美味しんだというか、食ってもいいんだ。というか家畜化されちゃってるし、おかげで元の幻の生物感が霧散してしまってる。
いやまぁ、私がUMAは実在するって言ったんだけども、それにしたって馴染みすぎでしょ!夢壊れるじゃんか!
なお、ツチノコカレーは思ったより美味しかった。なんというか、ツチノコの肉は少し癖のあるホルモンのような味だった。悪くはないが、家畜としてポピュラーではない理由がよく分かる味である。
うーん、微妙。
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追記
自宅で介抱してやってから妙に仲良くなってしまった屋久中恵に、ツチノコカレーをお裾分けしてやった。
中恵は渡されたソレを見て微妙な顔をしたのだが、理由を聞いてみると父親が岐阜の出身で、ツチノコが好物らしくよく食卓に並んで嫌だったとのこと。
草。