毎週の仕送りがどう考えても実家から来ていない件   作:カンピロバクター卍

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実家からの仕送り④

 そういえば、『タヅマの試練』はそこそこのアクセス数を叩き出していた。

 

 ……html素人の私にはサイト構築なんてことは出来そうになく、スターちゃんに基礎を作ってもらったのは内緒の話。そのおかげかサイトのクオリティは個人サイトレベルではない仕上がりになったし、間違いなくアクセス数の増加に寄与している要素の一つであろう。

 

 個人サイトとしては最近珍しくアクセス数が多いとのことで、ネットメディアに紹介されたり取材を申し込まれたり(面倒だから断ったが)と、サイト運営はなかなか順調な滑り出しではなかろうか。

 また目論見通りに言語学者や暗号マニアが大挙し、アフィリエイト収益がウハウハでもうルコプコ売りに行くのが面倒なくらいは儲かった。

 

 まあ、面倒とは言ったが、ルコプコは依存性が非常に高く禁断症状が酷いので、ばら撒いた者の責任として売り続ける所存ではある。とは言え私も前ほど暇ではないので、専用に作った『売人怪人・ヤクウール』にルコプコ販売を一任することに決めた。

 

 『売人怪人・ヤクウール』は、近所のヤクザの若頭と羊の毛皮、商売関連の専門書籍数冊とをミックスすることで誕生した怪人である。若頭由来の口の悪さと、専門書籍由来の商売知識でルコプコ売買を成功させてくれること間違いなしだ!

 護衛として『剣魔怪人・タソード』*1と、『幻惑怪人・ゴホーゴホー』*2を付けてあるので、チンピラヤクザに絡まれても安心安全!もし彼らにケンカを売ろうものなら、その相手は愉快な輪切りになるか、ハッピーワールドに行って帰ってこれなくなるかのどちらかになるであろう。

 

『テメェ!ここが誰の島か分かってやってんのか!?鮫島組だぞコラァ!!!!』

 

 おっと、早速馬鹿がやって来たようである。

 怪人達には完全犯罪ストラップを持たせていないため、このように絡まれることは想定内のことであった。

 

 私はヤクウールの頭髪に潜ませた『カメラ怪人・キャメラット』*3から送られて来た現場の映像を見ながら、素材が増えたなとほくそ笑む。

 

 どうやら路地裏でルコプコを売ろうとしたところ、見回りをしていたヤクザ者に見つかって口論になっているらしい。

 

『テメッ、スッぞコラァ!!!!』

 

 気の短いヤクウールが鮫島組組員を名乗る男に掴みかかろうとしたが、それをタソードが制止する。

 

『若頭ァ、ここはアッシの性能テストとさせてくだせぇや』

『あいつを殺せタソード!!!!』

『ヒャッハー!!!!』

 

 貧弱な素材しか使わず作った怪人は総じて知能が低いので、会話もどこかぎこちない。人間社会に溶け込ませるためには、もう少し素材を追加するべきであろうか。

 

 そんなことを思っていると、タソードが組員の男に向かって腕を振り抜いていた。

 

『あピッ』

 

 組員の男はそんな言葉だけを残して、頭から股にかけて真っ二つになる。

 内臓が路地裏一面に散らばって現場は壮絶極まりないことになっていたが、ゴホーゴホーの展開した幻惑ガス*4のおかげで周囲の人間にはいつも通りの風景しか見えておらず、騒ぎになることはなかった。

 

 そして二分割された組員は、私が推進する量産怪人の素材として有効活用されるのである。

 

 エコロジー!

 

 

 ネッシーを見に行った。

 

 スターちゃんと中恵、由良部とついでにムラサメも一緒にだ。何故このメンツなのかって、そりゃ単純に私が呼びつけることのできる相手がこいつらだけだったという話である。

 スターちゃんと中恵以外に私に友達とか居ないし、由良部には車の運転手をしてもらわなきゃだし。ムラサメは……情操教育?水族館で感性を育むことで何かしら性能が向上するかもしれないから……。

 

 車内は地獄の空気であった。

 

 何故か中恵はスターちゃんに当たりがきついし、スターちゃんは中恵をからかうし、由良部は「私ペーパーで……高速とか無理……」なんて弱音を吐き出すし、ムラサメはギャン泣きするしでもう大変。

 中恵とスターちゃんがそんな調子だったので、ムラサメのおしめを取り替えたり、ムラサメに粉ミルクをあげたり、ムラサメのゲップ介助をしたりは全て私がやることになった。確かに製造物責任とやらが私にはあるのかもしれないが、それを19歳に求めないでほしい。未成年だぞ!!!!

 由良部は私が必死になってムラサメの世話をしてるのに横から茶々を入れてきやがって!やれお尻がちゃんと拭けてないだの、ミルクは温めなきゃダメだの煩いんじゃい!

 

 そんなこんなで水族館に着く頃にはすっかりみんな疲れてしまって、最早ネッシーを見るどころではなくなっていた。

 

 みんなが水族館の喫茶コーナーで休息を取っている間に私だけネッシーを見に行くハメになり、こんなハズではなかったと独り言ちる。

 

 しかしネッシーの雄大さを見たらそんなブルーな感情はすぐに吹き飛んだよ。

 

 デカい、とにかくデカイネッシーに圧倒された私は、是非とも彼を怪人の材料にしたいと思った。

 絶対にいい怪人になると思うんだよ、いやマジで。

 

 後日、ネッシーが行方不明になったとのニュースを見た。何故なんでしょうね。

 

 

 実家から仕送りが届いた。

 今回は北極に旅行に行ったらしく、ヒトガタ缶詰を送ってきた。

 要らなかったので由良部にあげた。

*1
近所のヤクザ事務所から押収した十数本の刀剣類と、鉄砲玉のヤス(剣道三段)を混合して誕生した怪人。腕部から素早く剣を生やす能力を持ち、そこから繰り出される一太刀は成人男性の骨をも切り裂く。

*2
ルコプコとその他各種ヤクブツを混合して誕生した怪人。全体的にキノコのような外観で、頭部に無数に空いた穴から幻惑効果のある有毒ガスを噴出する。

*3
小型カメラとラットを混合して作られた小型怪人。手のひらサイズで、基本的にネズミのような外観を持つ。目で見た情報を私のデスクトップに送信してくれる。

*4
ゴホーゴホーの幻惑ガスは、摂取した相手に任意の幻覚を見せることも出来る。




今回のゲスト怪人

剣魔怪人・多剣(剣魔怪人・タソード)
幻惑怪人・ヒ・ヒゴーホー(幻惑怪人・ゴホーゴホー)

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