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第1話良かったら見ていってください。
縄張りと聞いて何を連想する。
一般的には所有している土地や建物、動物等が己の住まう場所を指すことが多いだろう。
このゲヘナ学園でもそういった縄張りを持つ者がいるのだ。
「ふぁぁ………」
大きな欠伸をするルシア。
非常にリラックスした状態で、心地の良い陽の光を浴びながら大の字で寝ていた。
ここは彼女が昼寝スポットにしている場所の一つ。
ゲヘナ学園の各所にここと同じように、幾つか存在する。
「( ˘ω˘ ) スヤァ…」
起こすのが申し訳ないぐらいに眠りにふけている。
それほどまでに疲れているのだろうか、ただ眠りが深いからなのだろうか。
いずれにせよ、平和で過ごせている為問題ないと思われていた。
『ドッカーン!!!』
何かが爆発したものと思われる辺りに響いた轟音。
この程度ならばゲヘナでは日常茶飯事である為、お構い無しに眠り続けるルシア。
がしかし、
『ドッカーン!!!』『ドッカーン!!!』『アカーン!!!』
連鎖的に続く爆発音。
よく見るとルシアの寝床近くの廃ビルが次々倒れていくのが見える。
誰かが意図的に倒しているのは明白。
眠れる虎を起こすと言うのは、それ即ち死。
安眠を妨害されたルシアは、目を細め怒りの表情を浮かべた。
「ブチ………コロス!」
その場から瞬間移動と思える速度で爆発の中心地へと駆けていく。
縄張りを侵しただけならばまだ許すつもりはあるルシア。
安眠を妨害は絶対ダメ許さない。
「ヒャッハー!!芸術は爆発だ!!」
手榴弾を次々と辺り一帯に投げまくる集団がそこにはいた。
嬉々として自身の行動を楽しんでいるように見える。
これから起こりうる天災が来るまでは。
「よォ……随分楽しそうじゃねぇか……
俺も混ぜろよ」
「あっ………あっ!ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!」
ルシアの存在に気づいた一人が大声を上げる。
それにつられて他のメンバーも手榴弾を投げる手を止めて、ルシアの方を見た。
「人の安眠を妨害したからにはお前ら……覚悟してきてるってことだよな?」
「「「「「五十嵐ルシア!!!?」」」」」
ルシアは担いできていた人の身の丈程の金砕棒を地面へと振り下ろす。
その衝撃でコンクリートは大きなクレーターを作り、容易く地面を粉砕した。
瞬間、ルシア以外の全員の時が止まる。
このゲヘナで怒らせてはならない人物の内の一人を怒られた。
加えて相手は既に臨戦状態にある。
「(あっ、終わったわ)」
爆破に加担していた全員の意見が一致する。
彼女等の言う通り、そこから始まったのは一方的な蹂躙であった。
メンバーの一人が金砕棒で吹っ飛ばされ、廃ビルの壁を貫通したのを皮切りにまた一人、また一人と野球ボールをノックするかの如く、簡単に倒されていく。
ある者はマシンガンや手榴弾で応戦。
「ひゃはっ!」
金砕棒という重量武器を持ちながら、それを気にしないどころか合ってないようなスピードで銃弾の雨は躱され、手榴弾は打ち返されて逆にダメージを与えられる始末。
「はぁ……はぁ……」
ある者は息を潜めて隠れる事に徹する。
戦闘が終わり、足音が遠がっていくのを感じて思わず安堵した。
『バコォ!』
突如コンクリートの壁を突き破り、メンバーの顔の真横に手が生える。
余りに唐突な出来事に一瞬フリーズ。
そしてそのまま顔面を掴まれ、そのまま壁を崩しながら引き込まれた。
「みぃーつけたぁ♪」
探し物を発見し、満面な笑みを浮かべるルシア。
その屈託のない笑顔は、捕まった者からすれば悪魔の笑いにしか見えなかった。
□□□□□□□
「はぁ……寝足りねぇ……」
僅か数分の出来事。
ゲヘナのスラム街に建つビル群は瓦礫の山と化し、天災が起きた後のような光景。
ルシアからすればちょっとしたケジメのつもりが、派手な解体作業となってしまった事を自覚している。
「はぁ……また派手にやらかしてくれたわね、五十嵐ルシア」
静かに佇むルシアの前に現れたのは、風紀委員長・空崎ヒナ。
不満に満ちた表情を浮かべながら、ルシアの前へと歩いてくる。
「あらら……ヒ~ナちゃんが来ちゃったか」
「貴女が暴れる度に呼び出されるこちらの気持ちは考えて欲しいものね
はぁ……めんどうくさい…」
五十嵐ルシアの実力はゲヘナ学園でも一二を争うものである為、彼女が事件を起こす度に大小関わらず実力が拮抗し、鎮圧も可能と思われるヒナが出撃する体制を取っている。
書類仕事で忙しい時であろうと久しぶりに取れた休みの日であろうとお構い無しにだ。
「仕方ないだろ、あの馬鹿共が俺の安眠を邪魔をしたから潰しただけだ」
と気絶している爆弾魔達を指さす。
ヒナもルシアが理由なく暴れる事はしないとは理解している。
「はぁ………まあいいわ
あの生徒達も近々検挙するつもりだったし、手間が省けたわ」
「じゃあ結果オーライって事で、俺は帰らせてもらいますよ」
そそくさとその場を後にしようとするルシア。
しかしヒナによって、パーカーのフードを掴まれて停止。
「一応貴女にも事情聴取をしなければならないから、風紀委員会室まで来てもらうわ」
「ええ……わかったよ……」
直ぐにでも逃げ出したいルシアであったが、ヒナの一件で申し訳ないと思っているのか大人しく着いて行く。
「事情聴取ならカツ丼出してくれたら何でも話しますよ、ヒ~ナちゃん」
「考えておくわ」
「キキキキ、キャハハハハハハ!!!
漸くだ!漸く風紀委員会の馬鹿共に思い知らせてやることができる!!」
万魔殿・生徒会長である羽沼マコトは高らかに笑う。
それもそのはず、彼女はゲヘナ学園でも一二を争う武闘派・五十嵐ルシアを傘下にするために呼び出した。
前々からルシアの噂を耳にしていたマコトは、万魔殿の戦力を強化し風紀委員会に対する抑止力として据え置く計画を立てている。
「くくっ、我ながら完璧な案だ」
何もかも上手くいく。
そう思いながら新たな計画を練っていた時、生徒会室の扉が開く。
「どーもお邪魔しまんにゃわ」
件の五十嵐ルシアの来訪。
マコトは余裕綽々な態度でカノジョを迎え入れる。
「ようこそ五十嵐ルシア
私は羽沼マコト、知っての通り万魔殿の長だ!」
「ああそうすか、で用はなんですか?」
淡々とめんどうくさそうにマコトに質問をするルシア。
不遜な態度であるがマコトは、それを気にせず本題に入る。
「何、用件は至極単純だ
五十嵐ルシア……我が万魔殿に入れ」
「は?」
突然の提案に思わず、腑抜けた声が出たルシア。
「無論タダでとは言わん!
万魔殿に入れば毎日三時のおやつも食べられるし、お前の像も建ててやろう!」
マコトは自身の考えられる魅力的な提案を打診し、ルシアへ問いかける。
当然全て上手くいき完全勝利だと思っている彼女は、次の言葉を発せられて固まる。
「要らねぇ」
提案の却下。
そんな事を想像もしていなかったマコトは思考が停止する。
ハハッと乾いた笑いをしながら、自身の聞き間違いかもしれないと思い再度ルシアに対して問いかけた。
「要らねぇ」
「な、何ィ!?」
シンプルな答えに唖然とするマコト。
魅力的な提案に微塵の興味も示さず、ルシアはめんどうくさそうな表情を浮かべながら大きな欠伸をする。
「話がそれだけなら帰るんで、じゃあお疲れサマンサ~」
先程の返答に呆けた状態であるマコトに見向きもせず、別れの挨拶をしてその場を後にするルシア。
気づいた時には部屋の中にマコト一人だけが残る。
「ちくしょうめぇぇぇぇぇぇ!!」
ルシアの断りの申し出に怒髪天を衝いたマコトは、怒りのままに両手を机へと叩きつける。
余程悔しかったのか、高級な装飾が施された机には打撃痕が付けられた。
「いいだろう五十嵐ルシア………マコト様の誘いを断った事を後悔させてくれる!!
キャハハハハハハハハハ!ゲホォゲホォ!ウッ!」
大きな高笑いを上げたマコトは突然むせてしまい、呼吸困難に陥ったのはまた別の話
□□□□□□□
[数日後]
マコトは部下に命じてルシアに対する粛清という名の嫌がらせをさせていた。
彼女の身辺を調査した結果に基づき、昼寝スポットとしている場所を封鎖をし、好物である甘味を事前に買い占めたり、落とし穴を掘って嵌めようと画策する。
「キキキキキ、これで奴も限界だろう
今頃怯えて、こちらに許しを乞うとしているに違いない」
ルシアに対する完全勝利を確信したマコトは高笑い。
気分が上々としている時の事だった。
「ぎ、議長!!大変です!!五十嵐ルシアが!!」
「ほぅ……私に許しを乞いにきたか」
万魔殿に所属する生徒の一人がルシアの現状を知らせに来る。
だがその様子は酷く慌てたものであった。
「議長!報告します!
今現在、五十嵐ルシアは万魔殿が所有する施設・兵器を軒並み破壊し、派手に暴れ回っていると報告が入りました!!」
「そうかそうか……………………………何ィ!?」
それはマコトにとって想定もしてなかった事態であった。
五十嵐ルシアという存在を軽んじた結果、現在進行形でとんでもない被害が出ている。
「れれれれれれ冷静になれ!
我が精鋭達を招集して、奴にぶつければ何とかなるはずだ!!」
この事態を終結させる為マコトは冷静さを失わないように意識を保ちつつ、精鋭部隊を派遣しルシアを討伐する指示を下す。
多勢に無勢、流石に人数差で圧倒すれば勝てる。
そう信じたマコトは落ち着きを取り戻し、己の席へと座る。
吉報を信じて待つ事数分……
『ジリリリリリ!!』
設置している黒電話がけたたましく部屋中に響く。
受話器を取り上げ、吉報が来たかと思ったマコトは耳へと当てる。
「我が精鋭達よ、見事に五十嵐ルシアを討伐できたのだな?」
連絡先の相手にそう問いかける。
が反応はなく、ただ静寂が続いた。
「(何……まさか全員やられたというのか?
ありえない!?)」
返答の無い静寂に混乱するマコト。
するとガチャと誰かが受話器を拾う音が聞こえた。
ただの通信不良であったと安堵する。
「(どうやら焦りすぎて落ち着きがなかったのは私のようだったか
キキキキキ!我が勝利は確定した!!)」
マコトは心の中で再び完全勝利宣言をする。
成果を上げた者にどういった褒賞を贈呈するか考えていると、
『もしもし?私ルシアちゃん♡
今からそっちに行くから覚悟しろよ☆』
ぴしりと部屋全体の時が止まり、マコトの全身が凍りつく。
今のは間違いなくルシアの声であった。
何故彼女がマコトに連絡できたのか?
その答えはただ一つ……
「議長!!別働隊からの報告です!!
第一陣で交戦した部隊が一人残らず全滅しました!!」
受け入れたくない最悪の結果。
マコトは焦りに焦った。
招集した精鋭が僅か数分足らずで壊滅する。
このような事態は、万魔殿始まって以来の一大事。
「(そ、そうだ!手打ちだ、手打ちを申し込むんだ!)」
未だに通話状態である事を思い出し、マコトはこれ以上の被害を防ぐ為にルシアへと手打ちを申し込む。
「い、五十嵐ルシア……さん
そ、そのぉ~こ、今回はお互いこれ以上は争う事をやめて手打ちにしないか?」
『…………』
マコトは最大限ルシアの怒りをこれ以上買わないように物腰を低くした態度で交渉を始める。
屈辱以外の何物でもないが、今後の万魔殿の運営を考えればこれ以上の被害は百害あって一利なし。
「な、何が欲しいものがあるならば、可能な限り用意する!
だからこれ以上は勘弁してください!」
余りの恐怖から出た謝罪。
マコト自身、かなりの後悔を抱いた事だろう。
すると、
『もしもし、私ルシアちゃん♡
今貴女の後ろにいるの♤』
「え?」
受話器から聞こえたルシアの声に呆けるマコトは後ろを振り向こうとした時、ガチャンと音がしたと同時に後頭部に冷たく硬いナニカが触れている。
「どうもこんにちは♪ 悪魔の化身です♡」
マコトの耳元から聞こえる甘ったるい撫で声。
瞬間、彼女の焦りと恐怖は最大となり、冷や汗が止まらなかった。
未曾有の恐怖が既に背後へと立っている。
「それじゃあ………死んでもらおうかな」
これ以上ない満面な笑みを浮かべるルシア。
それとは対照的に絶望で白目をむくマコト。
ゲームオーバー、コンテニューなどは出来るはずもない。
「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!」
これが後に語られる第二次ゲヘナ戦争の始まりであった。
[to be continued]
嫌がらせダメ絶対!
でないとマコトのように後の祭り状態になってしまうので気をつけましょう。
次回は風紀委員会との全面戦争になりますので、良かったら見ていってください。
第2弾 ルシアとの絡みが見たいキャラは?
-
陸八魔アル
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天雨アコ
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空崎ヒナ
-
愛清フウカ
-
銀鏡イオリ
-
火宮チナツ
-
ムッキー!!
-
伊草ハルカ
-
羽沼マコト
-
大将
-
創世の神