『ゲヘナの歩く天災』   作:レイノート

4 / 7
どーもクソ投稿者です。
お気に入り登録してくださった皆様、誠にありがとうございます。
今回は風紀委員会の介入となりますので、良かったら見ていってください。


第2話「怒髪天を衝く」

ルシアが万魔殿の関連施設や兵器を破壊していた同時刻。

風紀委員会本部では緊急会議が開かれていた。

 

 

 

「今現在も五十嵐ルシアによる万魔殿所有施設の破壊行為は続いております

 

迎撃に当たった部隊は数分足らずで壊滅状態にあると偵察隊から報告を受けました」

 

 

 

淡々と一人の委員が現在のゲヘナ学園の騒動の詳細を語っていく。

今までにない事態に騒然とする本部内。

数多くの問題を解決してきた風紀委員会も、今回の件に関しては目を背けたくなる程の案件。

万魔殿が関わったものだからという訳ではなく、ルシアの方にある。

 

 

 

「ここで改めて五十嵐ルシアの情報について再度確認していただきます」

 

 

 

ルシアの顔写真が載った資料を取り出し、ホワイトボードへと張りつける。

そこには彼女が起こした事件の数々がびっしりと書かれていた。

 

 

 

「先日の爆弾魔集団の壊滅の際に廃ビルを十数棟の倒壊、美食研究会との小競り合いによって高級料理店が戦闘の余波で窓ガラスや陶器類が全損、そして指名手配中の便利屋68の事務所を襲撃

 

ブラックマーケットの違法取引されている武器庫を破壊するなど、五十嵐ルシアが起こした事件でも目立ったものが以上です。」

 

 

 

風紀委員会でも特に警戒をしている集団らと交戦し、たった一人でこれほどの規模を暴れ回っていた。

委員達はより一層五十嵐ルシアに対する警戒度を上げる。

 

 

 

「然し、我々が大人数でかかれば流石の五十嵐ルシアと言えども捕縛できるのでは?」

 

 

 

一人の委員が発言する。

治安維持組織として日々戦闘訓練を重ねている風紀委員ならば人数を掛ければ捕えられると考えているのだろう。

一つの案としてはありなのだろうが、それを遮ったのは行政官である天雨アコだった。

 

 

 

「確かに貴女の言う作戦は一理あると思います

 

では質問を変えましょう………貴女達全員が束になってヒナ委員長を止められますか?」

 

 

「……………」

 

 

 

先程発言した委員は口篭る。

風紀委員長・空崎ヒナの強さはこの本部にいる委員全員が周知していた。

数多くの事件を瞬く間に解決し、キヴォトス全域でも屈指の戦闘力を誇り、風紀委員会の象徴とも言える存在。

ルシアの強さはヒナと同等ということを指している。

 

 

 

「先程の発言、大変失礼致しました」

 

 

「いえ、次からは気をつけてください」

 

 

 

迂闊な発言に対し、委員は謝罪をして着席する。

現状打てる手立ては一つしかない。

 

 

 

「でもアコちゃん、幾ら何でもヒナ委員長一人で行かせるなんて危険じゃないの?」

 

 

 

銀鏡イオリは発言する。

彼女の発言は決してヒナが負ける事に対するものではない。

万が一にも起こりうるイレギュラーへの対処、ヒナを中心とした捕縛作戦を行えば、効率的にルシアを捕まえる事が出来るだろう。

 

 

 

「イオリの作戦もまた一理あります

 

ですが今回の相手はルシア(規格外)過ぎる」

 

 

「た、確かに……ごめん……」

 

 

 

アコの冷静に諭し、イオリは自身の失言を謝罪。

最も相手がルシアでなければ、充分に通用する策ではある。

 

 

 

「我々が近くに入れば、ヒナ委員長は本気を出せない上に人的被害も馬鹿にならない

 

だからこそルシアを単身で止めに行ったのです」

 

 

 

他の委員をかばいながらではヒナは満足に動く事ができない。

自分達が足手まといになりかねない事に歯痒い気持ちであるアコは、それらの感情を堪えてヒナを見送ってきた。

 

 

 

「だからこそ我々はヒナ委員長の勝利を信じ、即座に動けるように準備を整える事!

 

各員配置に着きなさい!!」

 

 

 

「「「「「「「はい!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

[万魔殿・本部]

 

 

 

「…………」(ガダガダガダガダ)

 

 

 

派手な装飾を成されていた万魔殿・本部は見るも無残な瓦礫の山と化していた。

傍らには万魔殿に所属する生徒達が倒れ込んで気絶している。

これらをやった犯人はただ一人、五十嵐ルシアその人。

 

 

 

「……………」(ガダガダガダガダガダガダ)

 

 

 

ルシアに見つからないように、瓦礫の山に隠れている羽沼マコト。

その体は生まれたての子鹿の如く、プルプルと震えが止まらなかった。

自身が築き上げてきた牙城を破壊され、精鋭部隊も壊滅させられた上に、支部や兵器も破壊し尽くされる。

ルシアという悪魔に絶対的な恐怖を植え付けられてしまったのだ。

 

 

 

「マコトちゃ~ん♪

 

今すぐ出てきたら、指の一本で許してあげるよ~」

 

 

 

金砕棒・鬼丸をでかい瓦礫に振り回しながらマコトを探すルシア。

その表情は笑ってこそいるが、強い憤怒のオーラを余すこと無く全面に出していた。

 

 

 

「(殺される……このままでは殺される!!)」

 

 

 

ルシアがこの辺りから消える事を祈りつつ、息を潜める。

 

 

 

「うーんこの辺りにはいねぇかな?」

 

 

踵を返してマコトのいる位置から離れていくルシア。

助かった……そう思ったマコトであったが…

 

 

 

「そこまでよ、五十嵐ルシア」

 

 

 

マコトの耳に聞き覚えのある女の声が響く。

自身がルシア同様苦手としている存在。

 

 

 

「あらら~何をしに来たのかな?

 

ヒナちゃん?」

 

 

 

風紀委員長・空崎ヒナが現着。

いつもの気怠げな態度とは一変して、強い敵対心を顕にしていた。

その気に当てられたルシアもヒナの方へと向き、臨戦態勢を整える。

 

 

 

「(な、なぜこのタイミングで空崎ヒナが来るのだ!!?)」

 

 

 

逃げられる千載一遇のチャンスを失ったマコト。

このタイミングでの登場は流石に予想外であった。

 

 

 

「五十嵐ルシア、大人しく投降しなさい」

 

 

「ははっ!何時もなら、はい従いますと言いたいところだけどさ………今回ばかりはアンタの言うことは聞けないなぁ?」

 

 

 

ルシアは憤怒の表情を浮かべ、ヒナを睨みつける。

その顔には目的を果たすまで止まらないという強い意志があるとヒナは感じた。

故に交渉は無意味。

互いに相手へと得物を構える。

 

 

 

「理由は愛清フウカね?」

 

 

「あぁそうだ、あの馬鹿のくだらない嫌がらせのせいでフウカが怪我をした

 

俺を狙うなら別にいいがな……親友を傷付けるヤツは誰であろうが許さねぇ!!」

 

 

 

ルシアが戦う理由は親友である愛清フウカの為。

彼女を傷つけるのならば、誰であろうと容赦はしない。

ケジメを取るまでは、どこまでも追い詰める。

例えそれがキヴォトス屈指の戦闘者であったとしても、立ち塞がるならば全て叩き潰す。

 

 

 

かかってこいよ、空崎ヒナ(最強)

 

 

実力行使といくわ、五十嵐ルシア(天災)

 

 

 

 

口火を切ったのはヒナ。

愛銃・デストロイヤーによる弾幕をルシアに放つ。

普通ならば避けるので精一杯になるであろう銃撃の嵐。

そう…普通であれば。

 

 

 

「オラァ!!」

 

 

 

鬼丸を力強く握り締めたルシアは、その勢いのまま地面へと叩きつける。

その凄まじい衝撃により発生した振動により、ヒナの放った弾幕を全て撃ち落として見せた。

 

 

 

「相変わらずの馬鹿力ね」

 

 

「生憎自慢できるもんがこれくらいしかないんでね!」

 

 

 

今度はルシアが仕掛ける。

鬼丸で瓦礫を飛ばし、ヒナの視界を塞ぐ。

それと同時に走り出し、死角から鬼丸を振り上げた。

 

 

 

「甘いわ」

 

 

飛んできた瓦礫を躱し、ルシアの放った一撃を片手で容易に受け止めた。

短躯の体に合わない怪力に流石に驚くルシア。

 

 

 

「おいおい、そんな体で怪力とか勘弁してくれよな!」

 

 

「その程度で止まる貴女では無いでしょう?」

 

 

 

ヒナはお返しと言わんばかりに、ルシアの脚を踏みつける。

しまったと思ったルシアであったが、脚を踏まれて回避行動が取れず、土手っ腹にデストロイヤーの一撃をモロに食らってしまう。

 

 

 

「おお!?」

 

 

 

凄まじい威力によってそのまま後方の瓦礫の山へとぶつかるルシア。

ヒナの容赦のない一撃によってダウンしたかと思われたが、

 

 

 

「やっぱりヒナ先輩は強いな……お陰で服がボロボロだ」

 

 

 

ルシアは大したダメージを負っておらず、そのままケロッと立ち上がる。

服装こそボロボロになっているが、身体には傷一つ付いていなかった。

 

 

 

「貴女も人の事が言えたのかしら?」

 

 

「いいや全然言えないわ」

 

 

皮肉混じりの返答をするヒナ。

互いの実力が拮抗するからこそ出る軽口の応酬。

 

 

 

「でもやられっぱなしは性にあわないから、一撃貰ってくださいな!」

 

 

 

ルシアの右手にはいつ間にか握っていた愛銃・ワイルドハントから正確無比の一撃を放つ。

 

 

 

「(しまった!)」

 

 

 

余りにも卓越した早撃ち。

油断をしてないとはヒナは一瞬回避が遅れてしまった。

ルシアが放った銃弾はヒナの左肩を掠る。

 

 

 

「脳天狙ったんだけどな……流石に早いな」

 

 

「全く加減というものを知らないのかしら」

 

 

 

 

互いの一挙手一投足が命取りとなるこの戦い。

最強同士のぶつかり合いは更に熾烈なものとなっていく。

 

 

 

「互いに視界を無くそうか」

 

 

 

ルシアは懐から取り出した物を地面に投げる。

次の瞬間、投げつけた物から白い煙が勢い良く拡がり、辺りは一面真っ白となった。

 

 

 

「(スモークグレネード………私を撹乱するため?)」

 

 

 

視界を奪われたヒナはデストロイヤーを構えつつ、警戒を高める。

次の瞬間、ヒナの眼前に何かが飛んでくる。

急な攻撃に対し、焦ること無く避ける。

 

 

 

「(そういう事ね………)」

 

 

 

ヒナはこの煙幕の意味を理解する。

視界を塞ぐだけではなく、ルシアの愛銃・ワイルドハントの装填時間を稼ぐ為のものであることを。

自身が隙を与えない事を想定しているルシアは、単発式拳銃のデメリットを消すために先の行動にでたのであろう。

 

 

 

「(そろそろ気づいてる頃だろうな)」

 

 

 

ヒナ程の戦闘者がルシアの行動の意図に気づかないわけが無い。

僅かな時間を稼げただけでも儲けもの。

ルシアはワイルドハントの銃身を変え、対戦車用ライフル弾を装填する。

後はいつ飛び出してくるかを予測し、渾身の一撃を食らわせるのみ。

 

 

 

「(きたか?)」

 

 

 

煙幕が徐々に晴れ、デストロイヤーを構えているであろうヒナの影が見える。

迎撃の為ワイルドハントを構えたルシア。

しかし、目の前の光景に驚きを隠せなかった。

 

 

 

「(なんだと!?)」

 

 

 

煙幕が消え、ヒナが居るであろう場所を確認するが本人の姿はなく、彼女の得物であるデストロイヤーが瓦礫に吊るされており、その場に残されていた。

しまった。

ルシアがそう思った時には、既に遅すぎた。

 

 

 

「隙ありよ」

 

 

「ぐぅ!?」

 

 

背後から聞こえてきたヒナの声と共に強い衝撃を受けるルシア。

その威力は凄まじく、思わず膝を着いてしまう。

 

 

 

「自分の銃を………囮に使ったのか……」

 

 

「ええ……一か八かであったけど」

 

 

 

普段のヒナであれば、こんな事をしないであろう大博打。

相手が実力の拮抗するルシアだからこそ、意表を突く奇策を講じなければならなかった。

 

 

 

「ははっ……流石ヒナ先輩だわ……」

 

 

「大人しく着いてきてもらうわ」

 

 

 

動けないルシアを捕縛する為、近づくヒナ。

相手は動けない。

後はこれで終わりと気が緩みかけた時、ヒナは違和感に気づく。

 

 

 

「(……ない!?)」

 

 

 

ルシアが握っていたであろう金砕棒が無くなっていることに。

先程の攻撃の際に落としたのかと思ったが、右手にはしっかりとワイルドハントが握られていた。

 

 

 

「頭上にご注意ください………」

 

 

 

にやりと笑みを浮かべ、ヒナを見るルシア。

やられた。

ヒナがそう思った時に、左肩に強い衝撃が走る。

ゴキりと何かが折れる鈍い音が響く。

 

 

 

「くっ……!」

 

 

 

ヒナの足元に転がった金砕棒。

それを見て全てを察する。

 

 

 

「成程ね………私の攻撃を受けたタイミングで中へと放り投げたのね………」

 

 

「へへっ……当たったのはたまたまだよ………」

 

 

 

転んでもただでは起きない。

互いに隙を突いた攻撃は、両者に致命的なダメージを与えている。

あと一手の攻撃が当てた方が勝者となる。

 

 

 

「(手元にはワイルドハント(こいつ)だけ、身体もあと一回くらいしかまともに動けねぇ)」

 

 

「(左肩は完全に動かない……デストロイヤーを拾えれば何とかなる……)」

 

 

 

先に動いたのはヒナ。

足元に転がった金砕棒を拾い上げ、ルシアへと投げつける。

 

 

 

「やべぇ!?」

 

 

 

背中の痛みで反応が遅れ、足首へと投げられた金砕棒が直撃。

堪らず体制を崩し、うつ伏せに倒れるルシア。

 

好機。

ヒナは全速力でデストロイヤーを拾いに向かう。

 

 

 

「(これならば間に合う)」

 

 

 

ルシアはダウンし、追って来れない。

そしてデストロイヤーのある場所に到着し、急いで準備を整える。

 

 

 

「(これで私の)」

 

 

 

リロードをし、ルシアの方へと向き直るヒナ。

引き金に指をかけようとしたその時、

 

 

 

『ゴギャ!!』

 

 

 

デストロイヤーの銃口が嫌な音を立てて壊れる。

 

 

 

「(何故?)」

 

 

 

ヒナの動きが止まる。

先程の戦闘でも破損している様子はなかった。

考えられるとすれば、ただ一つ。

 

 

 

「はっ………これで使い物にならなくなったな……」

 

 

 

ルシアのワイルドハントが硝煙を上げてヒナの方へと向いていた。

そう、デストロイヤーを破壊したのはルシアである。

うつ伏せの状態から、寸分狂いもなく銃口を狙って撃ち抜いたのだ。

 

 

 

「見事としか言えないわね……」

 

 

 

頼みの綱であるデストロイヤーは使用不能。

体力も残されていないヒナ。

完全にお手上げ状態である。

 

 

 

「それはこっちの台詞だよ……」

 

 

 

ルシアの身体全体への大きなダメージが蓄積され、彼女もまた動けない。

ここまでの大きな怪我は初めてであった。

 

 

 

「……疲れたわ」

 

 

「……俺も」

 

 

 

ヒナ、ルシアの両名は地面へ倒れ込む。

全力を出し切り、残されている手札もない。

 

引き分け。

最強同士の戦いは両者相打ちという結果に終わり、後に語られる第二次ゲヘナ戦争の終幕であった。

 

 

 

 

[to be continued]

 




ゲーム本編、便利屋漫画でヒナの戦闘力が盛りに盛られていたので、結構盛ってしまいました。
ちなみに2人の戦いの余波で、学生寮は半壊、万魔殿は塵芥になりました。
これも全てマコトってやつがしでかした事なんだ。
次回はエピローグ、楽しみにしていてください。

第2弾 ルシアとの絡みが見たいキャラは?

  • 陸八魔アル
  • 天雨アコ
  • 空崎ヒナ
  • 愛清フウカ
  • 銀鏡イオリ
  • 火宮チナツ
  • ムッキー!!
  • 伊草ハルカ
  • 羽沼マコト
  • 大将
  • 創世の神
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。