この度はアンケートにご協力くださいました皆様、誠にありがとうございます。
今回は得票数トップであるカヨコォォォォォ!!との絡みとなりますのでご了承ください。
死ね程疲れを感じる時は、人間生きていれば誰もが一度は感じるものがあると思う。
テンションが低い、眠気が最も深くなる、体がだるい。
この三点は外せないだろう。
「はぁ………疲れた…」
仕事を終え、自身の疲労を隠すこと無く全面に押し出している鬼方カヨコは帰路に着いていた。
彼女が所属している便利屋68に舞い込んで来た依頼を単身こなす。
時刻は既に昼。
深夜から長時間続いた仕事、加えて最近は新たな事務所を借りる為の資金繰りで休む間もなく働いていたということもあり、疲れがピークへと達していた。
「(眠い……)」
眠気も限界を迎えようと瞼が徐々に下がり始めている。
歩く事すらもフラついてきており、拠点としている公園まで身体は持ちそうにない。
カヨコは何処かで仮眠を取るべく辺りを見回す。
「(あそこにしよう……)」
ポツンと目の前に見えた一棟の廃ビル。
普段冷静な彼女なら取らない選択であるが、深い眠気で思考が纏まらない事もあり、そのまま中へと脚を踏み入れる。
「(気配は……特になし)」
人の気配は無し。
中もこれといってめぼしい何かはない。
空き缶や食料品の包装紙があちらこちらに捨てられている。
ここでたむろしている不良などがポイ捨てした残骸であろう。
「(屋上なら大丈夫かな?)」
ゴミが散乱しているここでは寝る気は起きず、屋上ならば大丈夫と希望的観測で屋上を目指す。
廊下の奥で見つけた階段を上がり、屋上に続く扉の前に差し掛かる。
カヨコはドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。
鍵はかかっておらず、そのまま扉を開けた。
「(意外と綺麗だね……)」
所々に無造作に伸びた雑草こそ生えているが、廃ビルとは思えない程綺麗な場所だった。
少し奥の方へと進むとカヨコは物陰にあるものを見つける。
「(ブルーシート?)」
ブルーシートが被された何か。
気になったカヨコはそれを剥がす。
「(これって………)」
ブルーシートを被っていたのは、比較的新しい簡易ベッド。
到底ながら退廃的なこの場所に、あるはずのない代物。
誰かが置いていったものだろうか。
しかし……今のカヨコにとっては逆に好都合。
「(誰のものかは知らないけど……ちょっと借りよう)」
簡易ベッドを日当たりの良い場所に運び、カヨコはそのままベットへとダイブする。
思いのほかフカフカであり、寝心地は良い。
天気も雲一つない快晴であるため、雨の心配もない。
「(……………)」
カヨコの頭上のヘイローも消え、彼女は深い眠りへと落ちていく。
「んん……」
深い眠りから目を覚ましたカヨコ。
日は沈み月光煌めく夜となっており、スマホの画面を確認したら時刻は19時を過ぎていた。
「(少し寝過ぎちゃったな……)」
カヨコはベッドから起き上がり、辺りを見ますと仄かな明かりが視界に入る。
「漸くのお目覚めか、気持ちよく寝れましたかお姫様?」
声がした方を向くと一人の女性が座り込んでおり、焚き火で暖を取っていた。
灰色のパーカーを羽織り学校指定のスカートを履いており、カヨコはゲヘナ学園の生徒だと理解する。
恐らくこのベットの所有者であろう。
加えて先程の発言から自分の寝顔を見られていたということが分かり、恥ずかしさもあってか返答せずに黙り込んでしまう。
「何だよ黙りか?
まあいい、
座れよ、マシュマロでも焼いてきな」
そう言うと女子生徒はカヨコを手招きし、マシュマロを刺した竹串を渡す。
敵意が無く純粋な好意でやってると感じ、彼女も大人しく竹串を受け取り、マシュマロを火へと近づける。
「アンタ、名前は?」
「………鬼方カヨコ」
不意に名前を聞いてきた女子生徒。
特に言って困るものでも無いため、カヨコは自身の名前を素直に言う。
「へぇ~いい名前じゃん
俺は五十嵐ルシア、親しみを込めてルーちゃんって呼んでくれよ」
「アンタがあの天災なんだ……」
ルシアの名前を聞いたカヨコは特に驚くでもなく、いつも通りの態度であった。
最近ゲヘナ学園で起きた第二次ゲヘナ戦争の中心にいた危険人物として噂されているのを小耳に挟んでいたが、本人を目の前にしても冷静さを崩さない。
彼女の所属する便利屋68の社長であれば、間違いなくビビりまくるであろう。
「俺の名前を聞いてビビり散らかす奴らばっかりだから、そう言う反応は久しぶりだね」
「そう?私は普通だと思うけど?」
ルシアもカヨコが自身の名前を聞いても物怖じしない態度である事に嬉しさを感じている。
それはカヨコも同様であり、見た目の怖さで意図せず相手を怖がらせてしまう彼女も何処かシンパシーを感じたのかもしれない。
「ますます気に入ったよ
マシュマロもそろそろいい感じだと思うぜ」
「ありがとう…」
程よく溶けたマシュマロ。
甘く芳ばしい匂いが鼻の奥まで広がる。
事務所の財政難でマトモな食事を取れていなかったカヨコにとっての久しぶり食べられるご褒美。
息を吹きかけ、軽く冷ましてからカヨコは一口食べる。
「美味しい……」
久しぶりに口にした甘味は最高という他なかった。
焚き火の熱でトロトロとなったマシュマロは、まるで飲み物。
意識せずとも直ぐに飲み込んでしまう程に。
「ほら、こいつもつけて食べてみな」
マシュマロの美味しさに浸っているカヨコに、ルシアは溶かしたチョコが入った小皿を渡す。
これは絶対に美味い。
そう直感したカヨコは促されるままに、マシュマロをチョコへと付けて口の中へと放る。
「っ!?」
カヨコに電流走る。
程よく溶けたマシュマロと同じくトロトロに溶けたチョコの組み合わせは、まさにベストマッチ。
マシュマロの美味さはカヨコが自他共に認める怖い表情を砕き、薄らと笑顔にさせた。
「ハハッ!良い笑顔だねぇ……
さてそろそろメインディッシュでも食べるか?」
ルシアは傍らに置いていたトングで焚き火の中から熱くなったアルミホイルの塊を皿にのせて、カヨコへと渡す。
ナイフで軽く切れ目を入れて、中を開けると……
「これは……」
沢山の具材が所狭しと詰められており、ほんのりとバターの匂いが香る。
カヨコの食欲を刺激し、腹の音が鳴り響く。
「鮭と海老のホイル焼き……食ってみな、飛ぶぞ?」
「いただきます……」
言われるがまま、カヨコはホイル焼きに箸を伸ばす。
一口サイズに摘み、口へと運ぶ。
「っ!?」
カヨコに再び電流走る。
魚介類特有の鼻を突く塩の匂い、程よく柔らかくなった海老と鮭の身がシャキシャキな玉ねぎと合い、最後はバターによるまろやかさが押し寄せてくる。
食材達のハーモニー、完全なる調和によって成り立つ美味しさ。
これ程の物を食べてしまったカヨコの箸は止まらない。
一口一口を堪能し、あっという間に平らげてしまった。
「ご馳走様……とっても美味しかったよ……」
「そいつは結構、作った甲斐があったよ」
カヨコの満足っぷりにご満悦なルシア。
「時々こうやって一人で綺麗な夜空を見ながら美味いものを食う時があるんだよ
なんかこう……落ち着きたいっていうか、なんというか……心を解放したいって言えばいいか」
「心の解放か……」
最近は事務所の資金繰りでまともに休んでいなかったカヨコ。
便利屋のメンバー達を想って、無茶な事をし続けていた自覚はある。
休んではダメだと体に鞭を打って、只管仕事に没頭し過ぎていた。
「ありがとう……悩んでた事がスッキリした…」
「気にすんなよ、最初に言ったろ?
ここに来たのならお仲間だって」
カヨコは最初に言われたルシアの言葉を理解した。
悩みを解放したい者同士。
偶然の産物でこそあるが、この出会いは決して無駄ではないだろう。
「連絡先交換しない?」
「いいぜ、時間が合えばまた会おう
次はもっと美味しいもんを出してやるよ」
互いに連絡先を交換する。
共に食を通じて心を通わせた者同士。
そこに壁などは存在せず、会話こそ少ないが理解し合っていた。
「じゃあなカヨコちゃん♪」
「じゃあねルーちゃん」
挨拶を交わし、カヨコは帰路へと着いた。
この出会いに感謝をし、自身の日常へと戻っていく。
「ルシ×カヨもありぃぃぃぃ!!」
この光景を偶然見かけた生徒は、新たなカップリングを見つけた喜びを抱きつつ尊死した。
[to be continued]
バーニングディバイトしたらさすがに怒られるので止めました。
カヨコに対する飯テロ回になりましたが、彼女の笑顔を見たかったのでOKだという方はありがとうございました。
次回もアンケート結果に応じてのキャラとの絡みを書いていきたいと思います。
第2弾 ルシアとの絡みが見たいキャラは?
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陸八魔アル
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天雨アコ
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空崎ヒナ
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愛清フウカ
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銀鏡イオリ
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火宮チナツ
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ムッキー!!
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伊草ハルカ
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羽沼マコト
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大将
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創世の神