『ゲヘナの歩く天災』   作:レイノート

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どーもクソ投稿者です。
最近激しい気温の変化で体調不良なりました。
体は弱い方ではないですが、油断はいけないと改めて思いました。
今回は各学校・グループのルシアに対する思惑について書いていこうと思います。


第5話『それぞれの思惑』

[トリニティ総合学園・ティーパーティー]

 

 

 

「こちらが極秘に入手した写真です」

 

 

「御苦労さまでした、次の働きにも期待しています」

 

 

 

軽く会釈した後、桐藤ナギサは自身の部下を下がらせた。

受け取った封筒を開けて、中身を確認する。

 

 

 

「これは...」

 

 

 

出てきたのは数枚の写真。

そこに写っていたのはゲヘナ学園で先日起きた戦争の痕跡と五十嵐ルシアの顔写真であった。

ゲヘナの動きを調査していたティーパーティー傘下の生徒から情報を受け取り、ナギサはじっくりと資料と照らし合わせている。

 

 

 

「(五十嵐ルシア......まさかこんな生徒が居たとは...)」

 

 

 

古くから因縁のあるゲヘナの情報はどんなに些細なものであっても目を通すようにしているのだが、今回ナギサにもたらされた情報は万が一の場合、とんでもない事態になると言うことを理解した。

 

 

 

「単身万魔殿の壊滅、空崎ヒナと拮抗する実力、加えてその凶暴性......」

 

 

 

この情報を見るだけでナギサは戦慄する。

ゲヘナ...否、トリニティを含めた全ての学園の情勢さえもひっくり返る程の悪いニュース。

拮抗していた均衡が崩れる危険性が突如として降り注いだ。

 

 

 

「(何故今まで...こんな悪魔の存在をキャッチできずにいたのですか?)」

 

 

 

空崎ヒナと互角の実力と聞けば、それを知る者は危険を察知出来るであろう。

組織という縛り付けるものがなく、一匹狼で自由に行動出来る空崎ヒナがもう一人いると考えれば、恐ろしい事極まりないだろう。

 

今回ルシアの力が露呈するのが遅れたのは、ゲヘナの環境によるものが一因だった。

秩序・統制が比較的取れているトリニティに比べて、ゲヘナの日常的に起きている風紀の乱れ、統率するはずの組織である万魔殿がマトモに機能していない事。

加えて温泉開発部、美食研究会、便利屋68などの他の自治区でも悪行を重ねるグループの情報ばかりが取り上げられ、ルシアの情報は生徒同士の単なる小競り合い程度として認識されていた。

 

 

 

「まさかこれ程の規模とは......」

 

 

 

一個人が大規模組織を襲撃し、壊滅させるというのはナギサが知る限り聞いた事はなかった。

ましてや学園を支配する組織が相手だ。

容易に手を出せるわけが無いと思うのが普通。

 

 

 

「次の会議では大変になりますね......」

 

 

 

ナギサは他のメンバーに新たな脅威の事を伝える事に頭を悩ませる。

 

 

 

 


 

 

[ミレニアムサイエンススクール・セミナー]

 

 

 

「今回の議題はこちらの人物のものとなります」

 

 

 

生徒会長・調月リオはリモコンを操作し、件の人物の映像を投影する。

金砕棒を振り回し、あたり構わずに破壊行動を続けては鎮圧に来た生徒を倒し、戦車すらも容易く潰す光景にセミナー一同は驚いていた。

 

 

 

 

「会長...彼女は一体何者なんですか?」

 

 

 

会計・早瀬ユウカはリオに質問する。

 

 

 

「彼女の名前は五十嵐ルシア

 

先日ゲヘナで起きた大規模戦争の中心にいた生徒よ」

 

 

 

ユウカの質問に淡々と答えるリオ。

ゲヘナの内戦の事は、ミレニアムまでその情報が届いていた。

過去類を見ない規模の戦争ということもあり、その事は一般生徒の間でも噂となっている。

 

 

 

「諜報部が回収した映像から見てわかる通り、情勢は極めて混沌渦巻くものとなってしまったわ」

 

 

 

突如として現れた不確定要素。

キヴォトスでも五本指に入る戦闘者・空崎ヒナと並ぶ実力者が現れた。

その事実はセミナーの全員を驚かせる。

 

長年に渡るゲヘナとトリニティの均衡が崩れる危険性。

戦力だけを見れば、圧倒的にゲヘナ側に天秤が傾いている。

この由々しき事態に静観を決め込むことは出来ないであろう。

最悪の場合は......

 

 

 

「現状我々から出だしはせず、情報を集めることを優先に監視を続ける事に意見のある者は手を挙げてください」

 

 

「.........」

 

 

 

シーンとなる生徒会室。

唐突な事に意見を簡単に述べることも出来ないセミナーメンバーは、リオの意見に無言で頷づいた。

 

 

 

「それでは会議は以上となります」

 

 

 

会議が終わるとリオは足早に自室へと向かう。

 

 

 

「(もしこの先...彼女がミレニアムに危機をもたらすというならば...その時は......)」

 

 

 

 

 


 

 

 

[万魔殿]

 

 

 

「.........」(ガタガタ)

 

 

「.........」

 

 

 

先日破壊された万魔殿本部は現在建て替え中である為、仮の本部としてメンバー一同がプレハブ小屋にて業務に勤しんでいた時、ルシアが突然訪れてきた。

マコトは死にかけたトラウマからルシアの顔を一切見れず、恐怖から全身を震わせている。

 

 

 

「おい...」

 

 

「はひ!!何でしょうか!?」

 

 

 

マコトに声をかけるルシア。

震えで変な声を出して返答してしまう程、精神状態が不安定になっているのが見てわかる。

 

 

 

「先日の件は済まなかったな......」

 

 

「え?」

 

 

 

ルシアは頭を下げて謝罪をする。

余りの唐突な事にフリーズするマコト。

恐怖の権化が自身に対し、きちんと頭を下げて謝罪をしに来たことが信じられなかった。

 

 

 

「俺も頭に血が上ってやりすぎた......本当に申し訳なかった」

 

 

膝を地面につけて、ルシアはそのまま土下座で謝罪を続ける。

更なる行動に最早唖然とする他なかった。

だがそれを見たマコトは、

 

 

 

「もういい...私も悪かった...だから今回の件はこれで手打ちにしよう......」

 

 

 

謝罪を受け入れた。

ここが落とし所だと判断したマコトは、ルシアの肩に手を置く。

 

 

 

「マコト......」

 

 

「あの時は私もすまなかった......私の方も謝らせて欲しい

 

本当にすまなかった...」

 

 

 

誠心誠意の謝罪。

マコトもまたルシアに対し、頭を下げる。

 

 

 

「マコト...」

 

 

「ルシア...」

 

 

 

互いの手を握り、謝罪を受け入れる。

がしかし...

 

 

 

「(馬鹿め!このマコト様が素直に謝ると思ったか?

 

いつの日か貴様をコテンパンにしてやるのだ!!)」

 

 

 

マコトは表面上謝罪しただけで、内心は復讐するつもりでいる。

ルシアはそんな事露知らず、この場を後にしようとした時だった。

 

 

 

「あぁ...そうだ

 

もうひとつやらなきゃいけないことがあるんだったわ」

 

 

 

そう呟くとルシアは、立て掛けてあったホワイトボードを持ち上げてマコトの顔面スレスレを狙って投擲する。

 

 

 

「へ?」

 

 

 

顔の真横に飛んできたホワイトボードは、壁を貫通し深々と突き刺さる。

そしてルシアはゆったりとマコトの側へと歩き、右手を壁へと付けた。

所謂壁ドンなのだが、今はそんなに嬉しいといえるシチュエーションではなく、完全にマコトを囲っている状態となっている。

 

 

 

「さっきの謝罪はあくまで...俺がお前達に対するケジメだ

 

だがお前はまだフウカに対するケジメはつけてないよな?」

 

 

 

「え?え?ま、待ってくれ!?

 

話が違う!?」

 

 

 

マコトがルシアに反論しようとした際、彼女は左手を壁へとつける。

そして射殺すような目つきでマコトの眼を見て、こう告げた。

 

 

 

「別にフウカに対してケジメをつける気がないというならそれで構わないぜ?

 

ただ......これから毎日退屈のないアグレッシブな日が続くだけになるけど......それでいい?」

 

 

 

逃げ場のない二択。

どちらを選んでもマコトにとって不利益でしかない。

しかしルシアの言葉を無視すれば、毎日が地獄となる。

どちらにせよ詰みである。

彼女の逆鱗に触れた時点で勝敗は決していた。

 

 

 

「う、受け入れます......」

 

 

「そっか、じゃあこれがフウカに対するケジメの条件だ」

 

 

 

するとルシアはニコニコと笑顔を浮かべ、懐から一枚の紙を取り出す。

それをマコトに渡すと、彼女はその内容に絶句する。

 

 

 

『1、愛清フウカを含めた給食部の人間に対して、緊急時または必要事項以外での接触を禁ずる事』

 

 

『2、給食部の設備を全て最新の設備へと変える事』

 

 

『3、また今回の件によって被害を受けた愛清フウカに対して10億円の賠償をする事』

 

 

『4、如何なる場合であっても上記の約束を守られなかった場合、万魔殿代表・羽沼マコトに対して、制裁を加える事』

 

 

 

「こんな条件を呑めるわけが無い!!」

 

 

 

この無茶苦茶な条件に流石に異議を唱えるマコト。

学園の復興費も万魔殿が出している現状で、ルシアが提示した条件は余りにも重い。

 

 

 

「出来る限りの事はする!だからこの条件は)」

 

 

 

マコトの発言を遮るように、彼女の真横に銃弾が飛ぶ。

ルシアが右手で強く握りしめたワイルドハントから硝煙が上り、彼女が容赦無く撃ったものだとすぐにわかった。

 

 

 

「お前さ......何か勘違いしてないか?

 

謝罪の意思の無い奴を今すぐぶっ飛ばしてやりたいところを我慢してんだよ

 

拒否権はない......はいかいいえで答えろ」

 

 

 

自身の心の内を見透かされ、今度は容赦はしないという警告を受けるマコト。

先程まで止まっていた震えが再び起こる。

もう無理だ。

そう悟ったマコトは...

 

 

 

「は、はい......受け入れます......」

 

 

 

条件を受けいれた。

 

 

 

「よし、分かればいいんだ

 

ほら涙を拭いて今日も元気に頑張って仕事に謹んでね

 

マコト様♡」

 

 

 

ルシアはマコトの肩をポンポン叩き、その場を後にした。

恐怖から解放されたマコトは、脱力してその場にへたり込む。

これからの万魔殿の財政難と生殺与奪の権を悪魔に握られた事に、深い後悔を抱き滝のような涙を流す。

 

 

 

「もう......アイツには手出ししない......」

 

 

 

それから後日。

愛清フウカは給食部の設備が新しくなった事と自身の口座に大金が入ったことにたいそう驚いたと言う。

 




今回は少し短めになってしまいましたが、次回から新たな展開を広げていこうと思います。
アンケートは引き続き行いますので、良かったら投票お願いします。

第2弾 ルシアとの絡みが見たいキャラは?

  • 陸八魔アル
  • 天雨アコ
  • 空崎ヒナ
  • 愛清フウカ
  • 銀鏡イオリ
  • 火宮チナツ
  • ムッキー!!
  • 伊草ハルカ
  • 羽沼マコト
  • 大将
  • 創世の神
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