相手によっては命に関わる。
どこかで微かに囁くような音がするが、それが風なのか、
別の何かなのか分からない。
レミリア「レイナ?どうしたの?」
レイナ「…いや、なんでもない…」
風が囁くたび、心の奥の古い扉がわずかに軋む。
美鈴「体調不良ですか?何時でも言って下さい。
こう見えて力持ちなので、おんぶぐらいなら余裕ですよ。」
自らの腕をくの字に曲げ、
上腕二頭筋に力を入れた。
レイナ「…体調は大丈夫だ…
ただ…いや、なんでもない。」
言葉が喉の奥で詰まり、
まるで鍵のかかった扉の向こうに閉じ込められたようだった。
魔理沙「無理はするんじゃないんだぜ…」
影が月の光に伸びて重なる。
相手の疲れが少しでも和らぐよう、焦らず静かに歩く。
魔理沙「見えてきたな。」
長い月明かりに照らされた森の中を抜け、
人里が見えてきた。
霊夢に阻まれた時に比べると、
家々は静かに並んでおり、窓にはどれも灯りがなく、
まるで眠っているかのようだった。
足音が響くたびに、町の静けさが際立ち、
こちらを拒むような冷たい空気が漂っていた。
レミリア「伏せ!」
普段は発さない大きな声に驚き、
思わず一同はしゃがみ込んだ。
すると、無数の何かが通った次に風を切る音が軽く聞こえた。
が、まるで来る事が分かっていた様にレミリアの左手には既に、
槍が握られており、その槍の物量で、
その何かを撃ち落とした。
レミリア「これがこの村の歓迎かしら?
咲夜に買い物は任せてるから、知らないのよね。」
???「そんな歓迎あると思うのか?」
レミリア「さぁ?もしかしたら、
私が知らない文化を持ってるんじゃないかと思ってね。
それで?これは歓迎してくれてるのかしら?」
???「ある種の歓迎かな。
真夜中に里を襲おうとする奴らへのね。」
レミリア「私は、別に飢えていないのだけれど…」
美鈴「お嬢様。怪我をしては大変です。
下がって置いて下さい。
それにこの後にも、戦いがあるでしょう。
お嬢様に限らず、レイナさん、魔理沙さん、ルーミアさん。
休憩がてら、お嬢様と一緒に隠れておいてください。」
レミリア「えぇ、じゃあ任せたわよ。」
???「1人で勝つ気?大した自信ね。」
美鈴「さぁ、戦いましょうか。
その前に、あなたの名は?
私は紅美鈴。
門番をしている者。」
???「私か?
私は白鳥沢慧音。
一応寺子屋で教師をしている。」
美鈴「ほう、教師ですか。
それは大変でしょ。」
慧音「言う程よ、さて雑談はこの位にして…」
美鈴「やりましょうか。」
と言うと、慧音は弾幕を広く展開した。
まるでこちらの動向を確認するように。
ルーミア達は飛び火が危ないため、
ルーミアが闇から、空洞の半球、
いうなればシェルターの様なもの作り出し、
その中に入った。
魔理沙『これは…魔法?
では無いな…能力による生成と言った所か…
あれにあまりにも酷似しているが…』
レイナ「ルーミア〜!こんなでかいもん作って。
無茶しやがって。」
魔理沙『流石に違うか…』
レミリア「魔理沙さん?
一体どうしましたか?何か考え事をしている様でしたが…」
魔理沙「いいや、なんでもない。」
『きっとただの思い過ごしだ…』
そんな会話を横目にルーミアは疲れてしまい、気絶するように、
眠りにつくのだった。
慧音の弾幕を、美鈴はスケートで氷の上を滑るように、
華麗に避け、蹴りが届く位置まで近づき、
蹴りを膝に叩き込もうとすると、
そこに来る事が分かっていたかのように、
高密度の弾幕球を、足に向かい展開した。
が、その弾幕を美鈴は見てから蹴りの体制の足を、
お腹に付くぐらいに丸め込み、回避をした。
そして、丸め込んだ足を、地面に向かい思いっきり伸ばし、
その勢いでバク転をし、距離を取った。
そして、最後にバク転で地面についた時、
足を思いっきり曲げ、解き放つように、
足を伸ばし、スタートをきった。
今度は拳を固め、みぞおちに叩き込んだが、
後ろに倒れる様にバックステップをすると同時に、
お腹と拳の間に腕を入れ、防御の姿勢を取った。
それにより、気絶するような攻撃を、
ほぼ無傷で後ろに足を地面につけ、
家にぶつからないように、
土煙を立たせながら、音を立て吹き飛ばされた。
慧音「むむ、お前何者だ?」
美鈴「言ったでしょう?ただの門番だと。
それに貴女、もう後が無いのでは?」
慧音「お前にはそう見えるのかい。」
美鈴「えぇ、防御は入れるが、
肝心の攻撃手段があまり無いように見える。
まぁ、今日が満月では無いのだから…
妖怪にとっては弱体化でしょう。」
慧音「よく見てみな。悪魔達よ。」
美鈴「私の問はスルーですか。
で?誰が悪魔ですって?」
慧音「ここには何も無かった。
そう見えるだろ?」
美鈴「ここは人里だろ?
よく咲夜さんの後をつけて、ここに来る。
それに、うちの館の道具は人間製の物が結構ある。」
慧音「よく見て…見ての通り、
ここには何も無かったんだよ。
いいから、さっさと通りすぎな。」
美鈴「なんか嫌な態度ね。」
慧音「誰が悪魔にいい態度を取るんだよ。」
美鈴「まぁ良い。で?
里と人間を何処へやった?」
慧音「分からんのか?
そもそも、人間は居なかったことにした。
ここの里の歴史は、今私が保護している。」
美鈴「これは、お嬢様達の家庭教師良さそうですね。
郷土歴史学の先生って感じがして。
まぁ、もう知識人は居るからいらないんだけどな。
それに、居た所で勉強はしないだろうな。」
慧音「私は何故勝手に見定められて、却下されてんだ?
まぁいい、いいか、もう一度言う。
ここには元々何も無かった。
人間も人間の里もだ。」
美鈴「どうも、その言い方が引っかかる。
物凄く急いでいるが…」
と、また臨戦態勢を整えた。
慧音「紫髪の悪魔の歴史も私が頂こうか?」
美鈴「お前、お嬢様に何をする気だ?
ワーハクタクの分際で…
歴史ばかり見ているお前に、運命は変えられない。
お嬢様!時間を少し頂かせてもらいます!」
と言うと、シェルター越しにOKサインが出た。
と同時に、今度は美鈴から仕掛けるのだった。