永琳「こないの?」
と言うと、足を少し開け、右手に弦をかけ、
左手でこちらに構え始めた。
すると、静かに構えた両の手を上に上げると、
左右対称に引き分け⋯
永琳「貴女なら止められるでしょ。まずは⋯」
美鈴の方を向き、その右手を離した。
その残心はあまりに美しい佇まいで、放った弓矢は、
月光のような光の線が暗い廊下を進んでゆく。
その弓矢を美鈴は避けようとしたが、
その速度には似合わず、中々こない。
レイナ「いつもいつも⋯、
狙うんだったら僕狙えよ!
油断したとこ狙いやがってよ!」
と、弓矢の篦の部分を掴み、
そのままの矢が空を走る勢いを使い、
投げ返した。
が、永琳はまた弓矢を構えており、
矢に手を掛けているを離した。
すると、レイナが投げた矢尻に当たり、
そのまま空中で二つの矢が一つになり落ちた。
と同時に、今度は淡い紫の太い光が永琳に向かい、
飛んで行く。
すると、その槍を弓を引く方の手を前に向かい、
手を広げると、
永琳にぶつかった。
が、かすり傷1つもついておらず、
悠々と立っており、間髪入れず弓を放とうとしたが、
美鈴とレイナがもう距離を詰めており、
美鈴は蹴りで頭、レイナは殴りでお腹を狙った。
どちらも威力としては少なくとも、
両手でなくては防ぐ事が出来ないほどの威力で放ってきた。
が、片手で何方の攻撃も受け流し、そのまま後ろへとズレていった。
その勢いを殺す事がレイナは出来ない隙を狙われ、
弾幕を涼しい顔で撃とうとしたが、
レミリアが、また弓矢を顕現しており、
また永琳に向かい投げていた。
更に美鈴がレミリアの攻撃が来ることを予測して、
レイナに向けていた手を掴み、背負い投げを決めた。
その攻撃は、永琳に当たり、
攻撃が当たるように支援していた美鈴ごと、奥の部屋へと、
襖に穴を開け飛んで行った。
美鈴と、永琳は飛ばされたが何事も無かったように、
空中で体を翻し、両足で着地した。
かなり遠くに飛んで行ってしまった為、
レイナとレミリアが走って追いかける。
美鈴「ここは私に任せて、先に行ってください!」
その気迫に、思わず足が止まってしまった。
レミリア「何でよ!
従者の安全を主人が守ってあげるのが普通でしょ!」
美鈴「普通じゃないです⋯、逆です。」
レミリア「だから何!
私は誰一人として欠けて欲しくないの!」
美鈴「それ以上に、
貴女には待ってくれている人がいるじゃないですか⋯」
その言葉に思わず息を飲んでしまった。
レミリア「⋯っ!
⋯待ってくれている人が居るって、
それは貴女もでしょ!
咲夜は?パチェは?フランだって貴女の事を好いて居るのよ!」
美鈴「ははっ、嬉しい限りですね。
でも、この先にいる人がこっちに来たら負け確です。
先に行ってそいつを倒して来てください。
私は死ぬ事は有りませんので⋯」
レイナ「⋯行こう、もうここは美鈴を信じて⋯」
レミリア「⋯分かったわ。
ただ、絶対に私を悲しませる様な結果はやめてよね!」
レイナ「それに、あの時の約束⋯
まだ何やかんやあって出来てないんだから⋯」
美鈴「あの時ってあぁ、
一緒にお茶ですか⋯いいですよ。」
と言うと、
レミリア達は惜しみながら廊下の奥へと進んで行った。
そして、暗闇に消えていき、姿が見えなくなった。
永琳「ブラフね。この奥に人が居るなんて、
全く思ってないじゃない。そこまでして守りたかったの?貴女⋯」
美鈴「あぁ、この先に人が居るだなんて、
これっぽっちも思ってません。⋯でしたが、
この先に居ますね⋯本命が⋯
それなら私が話している時、攻撃しなくて良かったんですか?
それに、逃がして良かったのですか?」
永琳「そんな隙を狙って攻撃するの、好きじゃないのよね。
それに、ブラフを使ってまで、
自分の勝ち筋を潰すだなんてね。
私、嫌いなのよね。
そんな命を懸けてまで逃がした人をわざわざ狙うの。」
美鈴「はは、あんたいい人だねぇ。」
永琳「さて、
もうそろそろ言葉を交わさなくてもいいでしょう。
再開しましょうか。」
美鈴「ふーっ。
よし!来いよ!ここからだろうがよ!」
永琳「えぇ、それじゃあ」
と言うと、2人が構え、
目が交錯し、火花が散るのだった。