闇を反射する魁星が微かに静かな廊下を優しく薄暗く明るく彩る。
その静寂が、全身に緊張を巡らせ、
肌にナイフを当てられている時のように、
緊張から来るのか、恐怖から来るのか、
はたまた目の前の異質な物に対する興奮なのか、
今の美鈴には分からない。
永琳「邪魔も居なくなった事ですし、それじゃあ…」
と言うと今度は二本の矢をどこからか取り出すと、
弦に1本だけ掛け、
又放った。
が、そんな攻撃が今の集中力が極限状態の美鈴に当たるはずなく、
自分の体の中心線をずらし、簡単に避けたかと思うと、
来るはずの無い矢が、美鈴を捉えた。
…ように見えたが、美鈴は流れるように矢の勢いを0にしてしまい、
手には永琳が放った矢が握られていた。
美鈴「2回目に放った矢…全くタイミングが読めなかった。」
永琳「凄いわ。避けるのね。あれを…
まぁ当たると思って放っては無かったけれど。
それじゃあもう少し難化させても…貴方には問題無さそうね。」
と言うと、今度は矢を三本何処からか取り出すと、
また1本だけ放ってきた。
今度は手に持っている矢で1本弾くと、
それに続けて二本きた。が難なく弾いた。
が美鈴の持っていた矢は強さに耐えきれず、折れてしまった。
美鈴「相変わらず1回放ったようにしか見えない…」
永琳「油断して大丈夫かしら?」
美鈴「は?」
と思うと、後ろから何か気が揺らぐような気配を感じた。
思わず後ろを振り返ると、
エネルギーの塊が光を放って美鈴に近づいてくる。
永琳「弾幕戦が普通のこの幻想郷で…
弾幕を使わないと思った?この私が。」
闇を照らす光の強さから、その弾幕が持つ威力が伺える。
それに対処出来ず、当たってしまい、
辺りには衝撃により煙がたちこめた。
永琳「これで終わりかしら…呆気ないわね。
それじゃあ負ける事も死ぬ事も無いでしょうけれど、
この永遠が壊れる可能性があるのなら潰すべきよね。
たった須臾の出来事でね。」
といい、踵を返しレミリア達が進んだ道を進もうとした時、
美鈴「油断して大丈夫か?って、
そのまま返してやるよ!」
と声が聞こえたと同時、
永琳はワンテンポ反応に遅れてしまい、
飛び後ろ蹴りが振り向いた時の無防備なお腹にめり込み、
その破壊力に思わず倒れ込んでしまった。
美鈴「お前はお嬢様の攻撃を自分の弾幕で相殺してたから、
こんな打撃攻撃にはめっぽう弱いよな!
そもそもが、油断してやられたばっかなのに対策しない馬鹿が、
居ないわけないよな!」
と言い、倒れた永琳を見つめた。
美鈴「…念には念をとも言うし、
もう1発ぐらい頭にぶち込んどくか。
どうせ、コイツは死なんだろうし。」
と言い、足を振り上げると、思いっきり踵を落とそうとした。
がそれを永琳は寝返りをし、
美鈴の攻撃は廊下を破壊しただけに終わった。
永琳「それはちゃうやん。
せっかく貴方の作戦を使わせて貰おうと思ったのに…」
と言うと、残念そうな顔をし、溜息を混じらせた。
美鈴「なんで…」
永琳「なんでって言われてもねぇ。
この程度…とはいえ、かなり強い攻撃だったわ。
でも弾幕を相殺出来る技術を持っているのに、
物理を相殺するすべを持っていない?
そんな馬鹿な。
…まぁそんな事はどうでもいいわ。
その服大丈夫なの?」
美鈴「は?服?」
と言い、改めて自らの服を見てみると、
上は下着が丸見えの状態になっており、
とても少女がしていい格好をしてはいなかった。
美鈴「別に…大丈夫よ。
この姿を見たのは貴方しか居ないのだから。
記憶が飛ぶまで殴れば誰も見てない事になる。」
と言ってはいるが、頬は赤くなっている。
永琳「脳筋ね。
でも顔は可愛らしいわ。」
美鈴「貴女が咲夜さんならどれほど良かったか。」
永琳「貴女の好きな人かしら?」
美鈴「えぇ、まぁその好きが、
友達としてか、恋人としてのようなものなのか、
はたまた家族のようなものなのか。
それは分からないけれど…って、
あなたには関係無いでしょ。」
永琳「関係はないわ。
でも、好きなのよね〜、私。
そういうの。」
美鈴「四の五のうるさすぎ。
もう始めるぞ。」
永琳「えぇ、それじゃあここからは勝つ気で行くわ。」
と言うと、また初めの状態に戻った。
が、どちらも当たった攻撃でかなり消耗をしているので、
あと10分動き続けたら、どちらかが倒れるだろう。
要は精神の弱い方が負けるデスマッチという訳だ。
互いに呼吸を整えながら相手を警戒する。
すると、どこからともなく、
睨み合う間に影が通過した。
レイナとレミリアだ。
レミリアはレイナを抱き抱え、ブレーキとなり、止まったかと思うと、
奥から人が出てきた。
???「もー少し、楽しめそうね。
暇が少し潰せそうだわ。」
永琳「輝夜、あまり無理し過ぎないようにね。」
輝夜「わーてるって。安心してよ。そこだけはね!
それに貴女の薬で私は如何様にもなるのだからね。」
永琳「それもそうね。
それじゃあ、一緒に羽を伸ばそうかしら。
後で一緒に点滴生活ね。」
輝夜「それも楽しそうね。」
レミリア「貴女は理想だわ。
幾ら血を吸っても失った様な形跡が無いのだから。」
と言うと、今まで紫の光を帯びていた槍が、
そこはかとなく紅くなったように見える。
永琳「吸血鬼が満月じゃないのに、それほどの力を…
ぜひ受けてみたいわ!」
レミリア「えぇ、良いわよ。当てるつもりで作ったのだから、
これをプレゼントとしてあげよう。」
と言い、
クリスマスプレゼントと言うにはあまりにも早いプレゼントを、
永琳に冥土の土産のつもりで渡すのだった。