真剣で猟犬に恋しなさい!!   作:勿忘草

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中学生編ももう少しで終わるかと思います。


『二つ名と手紙』

 

単騎特攻による突入の時に俺は大きく息を吸って吼えるように声を出す。

相手はそれに気づき銃を一斉に構え臨戦態勢を整える。

俺はそれを見て一気に突撃を開始した。

 

「オォオオオオオオオ!!!!」

 

突撃をしていく最中俺は化勁を使い銃弾を逸らす。

逸らしきれないものは硬気功を練って弾き返す。

さらには飛んでくる砲弾に向かい『猛虎』を打ち込んで突き進む。

銃撃をしてくる兵を真っ先に倒す為に駆けていく、支給された手榴弾を相手の歩兵部隊へと投げ込み一網打尽を試みる。

銃撃部隊の眼前に迫って俺は構えて息を整える。

そしていつものように踏み込んで相手を狙う。

そしてそのまま相手に一撃を加える、するとその威力に耐え切れず昏倒する兵隊の銃を奪い取り乱射する。

後で来る隊員の事も考えれば今の間にむちゃくちゃな事をして相手を減らす。

相手の部隊の一割は手榴弾と連射で削っていた。

 

さらに俺は戦車の破壊を試みて一度銃を捨てて戦車の方へと駆け出す。

そして身軽な動きで砲身の上に乗り一気に踏み込んだ。

その行動で戦車の砲身にヒビが入る、更に一撃を戦車の上部へと繰り出し外装をへこませる。

これで砲弾を打てば暴発を起こしてしまい戦車一台がガラクタになる。

それを見てから俺は降りて銃撃部隊から奪っていた銃を拾い上げる。

そして空である事を知った後に銃を振り回して相手の頭や体に手痛い一撃を加える。

打撃を加えられて呻いている銃撃兵からまた銃を奪い乱射のループ。

これを幾度か繰り返していき着実に敵兵の数を削る、今のところまだ連絡は来ていない、時間的にはそこまで経っていないのだろう。

 

「まあ……やれるだけはやりますかね、暴れるのは好きだからよ!!!」

 

俺はまた空になった銃を振り回して歩兵部隊へと向かっていく。

まだまだお前らの人数削らせてもらうからな、用意は出来てるか?

覚悟しろよ、ロシア部隊!!

 

「シャアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

俺は咆哮をあげて駆け出して行った。

俺は持っていた空の銃が邪魔だったので投げ捨てて構える。

俺は八極拳でなぎ倒す事に決めた。

なぜなら、もう相手の銃撃部隊が遠い為安心して拳を振るえるからだ。

それに数が減っている、これだけの人数ならば十分に踏み込んで相手の体に遮られる事なく吹き飛ばす事ができるはずだ。

それに銃を振り回している時は忘れていたがこっちの腕が鈍れば嫌だしな。

よくよく考えれば元々精神面の治療と己の力を高める為にきたのだ、器用貧乏になりにきたわけではない。

 

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「連絡が遅いな……もう銃撃部隊は六割近く、歩兵部隊が五割五分、戦車は三台壊れているというのに」

 

俺は呟きながら兵隊を一人倒す。

結構な時間が経ったはずなのだが一向に突入してくる気配が無い。

 

「遅いとは聞き捨てなりませんね、こちらとしては突入のタイミングは見事に事前の打ち合わせどおりです」

 

こちらの声が聞こえていたのだろうか、少しつんとした言い方でマルギッテさんが入ってくる。

 

「しかしよくぞ有言実行しましたね、良くここまで減らしました」

 

俺の顔を見た後に戦場を見て微笑んでいた。

流石にこれほどまでに作戦が成功するとは思わなかったのだろう。

 

「褒めましょう、誇りなさい」

 

俺はその間にも八極拳で大暴れして兵站(へいたん)を崩して相手の部隊をかき乱していた。

その結果として相手の全部隊の四割ほどを削っている。

 

「しかし隊長、もうこれほど相手も痛手を負っているので後続の隊員も突入させてはいかがです?」

「キョーヤ、そういうと思ってもう突入させております、貴方の考えは時々先読みされていると気づきなさい」

 

そう、マルギッテさんが言った瞬間に隊員の人達が突入して大乱戦となる。

マルギッテさんは残った戦車へと向かって行く、他の人達は突入した事で動揺している歩兵部隊へと向かっていった。

俺は残りの銃撃部隊と戦車の掃討へと向かった。

 

「キョーヤ、私と共に動き戦車の破壊に協力しなさい」

 

暫くしてから俺はマルギッテさんに言われて、歩兵部隊の殲滅から少し場所を外し戦車の破壊へと行動を移した。

トンファーで砲身を破壊して外壁を崩したところに俺が一撃を叩き込み、搭乗者ごと戦車をガラクタにする。

搭乗者の意識はきっと飛んでいるだろう、それを見てまたマルギッテさんが他の戦車へと狙いを定める。

このやり取りを続けて数時間後、戦場には残っているロシア兵は誰一人としていなかった。

『狩猟部隊』の勝利でこの戦は幕を閉じたのである。

戦果と言えるならば俺が五割、マルギッテさんが三割半、他の人達が一割半といった所である。

この戦いの中でマルギッテさんは暴風のようにトンファーによる殲滅を行っていた。相手の銃撃部隊なんて慌てふためいてその隙に一網打尽されているんだもんな。

 

ちなみに余談であるがこのような言葉を述べられてロシアに香耶の事を認識されたのだった。

 

その者、殲滅による返り血で髪はさながらたてがみの様に固まり、血染めの服を纏いて覗かせる犬歯と凶暴な目は見るものを威圧させる。

そして威嚇するように大きく叫び声を上げて、固まりたてがみとなった髪を振り乱し蹂躙していくその姿はまさに獅子の如く。

 

これはロシア軍隊長の最期の言葉であり、この戦の後ロシアの通信部隊を通じて世界各国の軍隊に知れ渡る事となる。

『紅獅子』、それが戦場での澄漉香耶の通り名となった瞬間であった。

 

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そして今回の大きな任務から無事この場所へ帰還してから数日後、俺は中将の部屋へと呼ばれていた、先日は階級昇進だったが今回は一体何だろうか?

 

「中将、どう言った用でしょうか?」

「キョーヤ、君の任務遂行成功率は素晴らしい、この『狩猟部隊』ではマルギッテに次いで異例の成功率だ」

 

部屋に入ると中将からお褒めの言葉を頂く。

まあ、最初にマルギッテさんが言った『恥』をかかさない程度にやっていたらそれに実績が伴っただけなんですがね。

 

「お褒めの言葉ありがとうございます、中将殿」

 

しかしせっかくの言葉に謙遜はせず簡潔に礼を述べる。

鼻っ柱が強すぎるのも癪(しゃく)だろうが謙遜のしすぎもあまりいいものではないからね。

 

「そこでなんだが、君に重要なポストである、少尉……つまりマルギッテの副官を勤めてほしい」

 

いきなりとんでもない任務を言い渡される。

しかし俺は動揺を隠し切って理由を聞くことにした。

 

「それは何故でしょうか?、理由を聞かせていただきたい」

「フム、それもそうだ、納得できず引き受けられても後味が悪いからね」

 

流石に中将も理由もなしに引き受けさせるのは悪いと思ったのか、ちゃんと理由を話してくれた。

 

「心遣いありがとうございます、中将殿」

「理由としては今まで少尉にはこれといった副官は居なかった。

元々彼女が有能というのに加えて誰も彼女に並ぶ強さでないというのも有ってね、それを君に引き受けてもらおうと思う、どうだろうか?」

 

後々考えてみれば確かに理由としては間違っていない。

しかし、別に女性でもよかったのではないかとも思えた。

でも、そうしていないおかげで今回俺がこの任務につけるのだからその様な些細な事はどうでも良くなった。

 

「理由を聞いて納得しました、俺なんかで良いのなら喜んで引き受けさせていただきます」

「そうか、それは良かった、後日少尉には伝えておく、時間を割いてくれてありがとう、澄漉『上級准尉』」

 

そう言われて俺は部屋から出て行く、すると先輩に呼び止められた、一体どんな用だろう?

 

「キョウヤ、君に手紙だ」

「先輩、有難う御座います、宛名は誰ですか?」

「えっと、確か……Takuya.Morookaって書かれていたぞ」

「そうですか、有難う御座います、その手紙貰いますね」

「どうも、じゃあな」

 

俺はその手紙を受け取って自分の部屋へと戻っていった。

中学生になってもはや真冬の時期が訪れるこの時に一体何が有ったのだろうか、俺は気になってすぐに手紙を開封した。

 

「さて……一体何が書いてあるのかね」

 

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「キョーヤへ、半年振りだね。

この半年の間に起こった事で伝えたい事が有ります。

僕は君に言われたように時々放課後や、短縮授業の合間を縫ってユキの事を観察していました。

といっても中学校には葵君や井上君が居たのでたいした問題は無かったんだ。

 

一応凄い偶然だけど九鬼くんについては、僕がユキを見に行った時には一度もいなかった。

ある日葵君と井上君も家の都合で学校を休んだんだけど、その日からユキへのいじめが始まりだしたんだ。

 

理由の方は大和達には内緒だったから力を借りずに自分で色々歩き回って調べた。

そしたら結果は女性からの嫉妬や肌の色や髪の毛の色、そしてユキの『あの頃』を知っている人からのなじったりといったものだった。

 

最初は机とかへの落書きや上履きへ画鋲を入れるなどの些細なものだった。

ユキは笑ってごまかしたり、抵抗していたんだけど強がっているのは分かっているから相談には乗ってユキを元気付ける手助けをしていた。

 

証拠が無いからなんともできない事に歯がゆさを感じながら、僕はこの時既にもしいじめがとんでもない方向に行ったりした時は動こうと決めていたよ。

 

最終的に言葉でも行動でもへこたれないユキにいらだったのか。

ある日放課後の葵君と井上君の居ない所で、ユキに性的な行為を男子が強引にしようとしていたのを見て、いつも通り様子を見に来ていた僕は怒りでドアを蹴破って暴れまわった。

 

二十人近く居た男子は一人残らずボロ雑巾のようになって教室で横たわる事になった。

それからそういった奴や女子が作っていた『自殺をさせよう委員会』って言う存在に気づいて、もう一度僕は怒ってそのふざけた団体を止めさせてユキのいじめは終わったんだ。

 

僕はこの一件で葵君と井上君と親しくなったんだ、そしてこの騒動でユキは己の身を守る方法としてテコンドーを習い始めたんだ、どうやらテコンドーを教えている所によるとユキは才能がすごいんだって。

僕も蹴り技使いとして追い抜かれないようにしなきゃあいけないと思ったよ。

 

あの時交わした君との約束は守っているし、これから先ユキの事に関してはできるだけの努力はする。

だから君も心配せずそちらに無事で居てください。

友達への伝令と激励を込めて モロより」

 

俺は手紙を読み終わり一息ついた。

モロが律儀に約束を守って居てくれた事に安心する。

しかし虐めか……俺があっちに居たら一緒にモロと大暴れしたんだがな、こればっかりは自分の目的の為にドイツへ来たのを悔やむぜ。

といって後悔しても変わらない、それにユキへの被害はなかったからいい。

だが準とトーマの二人が家の都合って事は二人とも病院系統の事を詳しく覚えていくつもりか、こりゃあ俺もうかうかしてられないな……。

商業で活躍し始めている英雄、医者の卵として歩み始めた準とトーマ、虐めから救うほどの力を身につけたモロ、今度再会する時は俺も誇れるほど変わらないとな。

 

俺は頬を叩き気合を入れなおすのだった。




次回は少し時間を飛ばします。
何かご指摘のほどございましたらお願いします。

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