真剣で猟犬に恋しなさい!!   作:勿忘草

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久々の投稿ですが、少し短めの話になりました。
あとがきでも書いていますが次回からは戦いが若干多くなるかと思います、


『川神ランキングとパーティー』

義経やクーさんたち武士道プランのメンバーが入ってきた次の日に、またもや臨時集会が行われた。

いったい何事かと思って全校生徒がグラウンドではなく、体育館に集まっている。

ゆっくりと学園長が壇上へと登って息を吸い込み、大きな声で話を始めた。

 

「みんな、よく集まってくれたの、今日は学内行事としてじゃが重大な発表がある」

 

そういうと学内行事と知ってかにわかに騒ぎたつメンバーがちらほら、臨時で集まったのだからサプライズでいいことのように思っているかもしれないが、多分それは早計というものだろう。

なぜなら、普段ならば学生の列に入っていなければいけないヒューム・ヘルシングが学園長の隣にいるからだ。

 

「今回の行事は長期となっておる、おおよそ一年ほどじゃ」

 

長期の行事ということで少しだけ感づいたやつもいるだろう、一年もの間何をやるというのか?

その不安が燃えるような闘志に変わる言葉を、次の瞬間、学園長は言っていた。

 

「本日より全校生徒から有志における『川神ランキング戦』を行う!」

 

その言葉を言った瞬間、大きな声が上がる。

無理もないだろう、今まで川神名物の『決闘』をしたくてワッペンを叩きつけても実力派の人間は避けられていたこともある。

有志になるということは今後からは学園が決めたルール内とはいえ存分に力をふるう事ができる、一年生は三年生にも容赦なく戦いを挑めるのだ。

 

「ただ、この行事に関しては参加権の無い生徒がおる!!」

 

その言葉を聞いた瞬間に顔が強張る人がいる、まさか自分が?と思っているのだろう。

せっかくの戦うチャンスを不意にされてしまうかもしれないというのは確かに緊張してしまう。

そして一拍おいて学園長はその参加権がない生徒を発表し始めた。

 

「まずは、3-Fから川神百代!!」

 

そういった瞬間、気が噴出している場所があった。

おおよそあの場所にモモ先輩がいるのだろう、全く分かりやすい。

あの反応から察するに自分がなぜ除外されているのかわかっていないんだろうな。

 

「そして1-Sからヒューム・ヘルシング!!」

 

その発表にヒューム卿は頷く。

自分が出ればこのランキング戦を蹂躙してしまうというのがわかっているからなのだろう。

こういうところはやはりモモ先輩と違っていて大人である。

 

「3-Fからクー・フーリン、芹沢鴨

3-Sから葉桜清楚、山本勘助

2-Sから源義経、武蔵坊弁慶、那須与一

今述べた合計9名の生徒が今回の行事への参加権がないものとする」

 

「ただ、生徒のセコンドについたりすることは禁止されてはおらんので、今呼ばれたものがアドバイスを与えるために気に入った生徒の味方をするのは構わないものとする」

 

武士道プランの面々と明らかに実力に差がある二名の除外。

 

ただ、自分としては確実に優勝確定に近い存在を知っている、それは由紀江さんだ。

一度不法侵入扱いで髪の毛がバッサリといってしまったことがあった、あの時でも刀の速度はすさまじいものがあった。

あれからさらに実力をつけている場合、残念ながらマルギッテさんでもかなわないだろう。

有志だからよほどのことがない限りは参加しないだろうが、注意は必要だ。

 

「参加の受け付けは今日から始まり、順位発表は一週間後に行う

ちなみに途中参加も可能じゃが、その場合の順位は初めの発表の際に参加した生徒たちに比べて、著しく下がることは気を付けておいてほしい」

 

その一言で緊急の全校集会が終わる。

受け付けは各自のクラス担任の先生か運営委員である小島先生やルー先生である。

その人たちに参加のことを伝えればランキングに参加可能というわけだ。

当然、俺は参加する予定だ。

自分がどれだけ強くなったのかを知ってみたいし、何よりいろいろな相手と戦って経験値にすることができる。

 

「準は参加しないのか?」

 

俺は準に声をかける。

トーマと一緒にいる機会があるとはいえ、こいつ自身も一年前から何かしらの武術をやっている。

筋肉の付き具合が普通に鍛えている奴とは少し違うし、体も絞られている印象がある。

 

「参加してもいいけど今すぐはやらないぜ、いきなり実力差がある相手にあたってしまう可能性もあるからな」

 

それは悪い意味に考えてるという事か?

三年生にも隠された実力者がいるだろうし、レスリングや柔道をやっている人でインターハイで結果を出している人もいた。

しかしそれでも準ならば惨敗することはないだろう。

 

「まあ、慎重になってもいいけど遅すぎたら上位に食い込むのも難しいぞ」

 

インターハイ経験者だけが要注意人物ではない。

参加するかは不明だが2-Sであればマルギッテさん、あずみさん、ユキ、不死川。

2-Fであれば一子、クリスお嬢様、椎名、エーリン・アマレット。

と女性だけでベスト10の半数を超えてしまう可能性が優にある。

しかもここに上級生や下級生が入り組めばすべてが女性で埋められるかもしれない。

ましてや由紀江さんが来たら絶対王者として君臨する場合が大いにある。

 

男性は2-Sは自分を除けば英雄と港の2人。

2-Fではガクト、モロ、キャップ、雁侍の4人。

 

どう考えても女性が多いが仕方ないな。

 

「そこら辺は調整するよ、気にすんな」

 

準はそう言って笑いながら手を振ってどこかへ行く。

とりあえずお前は明日の川神ラジオでモモ先輩に折檻されないように頑張れ。

むしろ、そのダメージを受けないように機嫌を調整した方がいいぞ。

 

そんな話をして授業に戻る。

誰が参加するのか予想を立てながら過ごして放課後になるのを待った。

昼休みの時点で宇佐美先生に参加表明の用紙を提出。

今日はそのまま放課後まで次の集会までを心待ちにして勉強に励んでいた。

 

放課後になって俺は仲見世通りへ向かっていた、最近『葛餅パフェ』なるものを出しているらしい。

どちらか一つでもおいしそうなものだが、二つ合わさるとさらにおいしさが増すのかどうかという期待がある。

それを確認するために行っているわけだ。

 

するとそこには既に先客がいた。

その人は九鬼紋白。

ヒューム・ヘルシングと居るところを見ると息抜きだろう、和の服装と小さな可愛さも相まって絵になる。

 

「お前もここに来たか」

 

いつの間にか目の前にヒューム卿が接近していた。

先ほどまで紋様の後ろにいたというのに、そこにあった気配を置き去りにしたまま、超速度で目の前に現れたのだろう。

 

「なんだ、お前もいたのか」

 

そんなヒューム卿から目をそらすと大和がいた。

まあ、いた所でどうでもいいのだが。

 

「そうだ、ここで会ったのも縁というもの、澄漉と直江に頼みがある」

 

紋様がこちらを見ながら言ってくる。

いったいどのような頼みなのだろうか?

 

「今週末に義経たちの歓迎と誕生日を兼ねた祝いをするのだが手伝ってもらえぬか?」

 

なるほど、確かに歓迎パーティという催しをしてやるのはいいことだ。

あの生真面目な奴や秘匿性があるやつら二人が打ち解けるにはそれが速いだろう。

ただ一つ、悩むところは多目的ホールや広い場所の確保が必要だという事。

 

「まとめられる人としては兄上がいるのだが…兄上は多忙な身だから我のわがままで手間をとらせて迷惑をかけるわけにもいかんのだ」

 

そんなことを聞いたら、英雄の性格上少しショックを受けるだろうな。

あの編入の時、英雄は普段見せない兄としての顔があった。

あの場面を見る限りでは兄弟仲はいいだろうし、あいつ自身の行動力や他人を率いる力をもってすれば、すぐに学校の中を取り仕切ってセッティングできるだろう。

紋様のこの遠慮がちな性格のため、このように英雄たちには頼らないのだろうが、英雄は内心頼ってもいいのにと思っていることだろう。

 

紋様の話を聞く限りではどうやら今週末に行うらしい。

準備を早くして、担当の先生にいい話を持ち込むなどして許可を貰う。

そういう手配をすぐにするのは不可能ではないがかなりスケジュールとしてはぎりぎりだ。

俺は顎に手を当てて時間の計算をしていた。

 

「やはり迷惑か?」

 

そう言って首をかしげる紋様。

この小動物なようなまなざしと純粋さ。

こういうタイプの人間にはてんで弱い。

気づけば携帯電話をポケットで探りながら、引き受けることを返事していた。

 

「協力なら喜んでしますよ、それに英雄は協力を大事な妹から頼まれて断るような奴じゃない

頼れる時は頼っていいんですよ、協力したいのに遠慮なんてされたら寂しいですからね」

 

俺はそう言って電話を取り出す。

すぐに武士道プランの歓迎会兼義経たちの誕生日会を始められるように、手配を始める。

S組はトーマやマルギッテさんを中心に指揮をとってもらう。

 

本来ならばこういうまとめ役は英雄に頼るのが一番いい。

しかしあいつだったら、なぜいきなりこんなことを始めたのかを考える。

そして、紋様という答えにたどり着くまで数分もかからないだろう。

そう考えれば、相も変わらず恐ろしい洞察力を誇る男だ。

 

その後には2-Fのクマちゃんに連絡をとって食材の確保。

料理ができる人間に連絡を取るとなれば、次はおのずと決まってくる。

由紀江さんに連絡を取って歓迎会での調理を頼む。

あとは装飾や会場だがこれは大和が小島先生と宇佐美先生に連絡を取って早々と決めていた。

 

これで迅速ながら骨格は決まった、あとは当日に向けての準備を始めていくばかりだろう。

 

歓迎会とランキング戦。

大きなイベントが立て続けに起こる。

去年とは全く違う、でもこれだけは言える。

去年よりははるかに楽しい、大騒ぎの一年になるだろう。

そう思うと自然と笑みがこぼれるのだった。




かなり間をあけてました。
次回からは原作部分でもありますので誕生日会はカットして、ランキングの順位発表と初戦の相手を書いていきます。
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