海上のカンパニュラ   作:千里亭希遊

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15.生きて

 朝、剣舞してるとこにやってきたエースはなんかいらいらしてた。理由には思い当たることがある。

 いつものように一通り捧げ終わったところで話しかけてみた。

 

「なんか機嫌悪いな」

「……」

 

 ノンデリかもしれないけど、こればっかりは聞いとかないと関われない。

 ……彼の情緒に知らないフリはしたくないから。

 

 とはいえエースが答えてくれるかどうかは分からない。踏み込んでもいいと思ってくれるかは彼次第だ。

 

「……お前だって知ってんだろ。ジジイが泣き虫のクソガキ押し付けてきやがった」

 

 ぶすっとしながら彼は言った。

 すんなり明かしてくれたことが少し意外できょとりとしてしまう。

 

「お前がジジイって呼ぶのはガープさんだよな……クソガキ……?」

 

 ルフィの処遇についてガープさんからはっきり教えてもらってる訳じゃないから、首を傾げて知らないフリをワンクッション。

 

「……もしかして、ガープさん……ルフィダダンのとこに連れてった?」

 

 エースはぶすっとした顔で頷いた。

 ははっと苦笑する。

 

「泣き虫かあ……そんなイメージあんまないけどなあ」

 

 フーシャ村に子供が泣くような日常はないからね。とはいえ。

 ルフィはガープさんにビシバシされてもあんま泣かなくなったんだ。まだ七歳なんだからむしろすごい方じゃね?

 ……周りに我々という子供モドキがいるせいで、ガープさん始め海兵の皆さんの感覚はバグってそうだけど。

 

「いちいちびーびー泣きやがる」

「ふうん。お前がいじめてんじゃね?」

「なっ」

 

 ギクッとした様子でエースは少し身を引いた。

 

「人聞きの悪いこと言ってんじゃねェ!」

「怪しい反応してんじゃん。そもそもあいつ、ガープさんのシゴキでもあんま泣かなくなったんだぞ。七歳にしちゃ強いと思うけどなあ」

 

 エースは眉間にシワを寄せて小さく下を向く。

 

「……七歳」

「何だよ、聞いてないのか?」

 

 エースは不機嫌そうに顔を上げた。

 

「それでもお前より一つ上だろ」

 

 少し呆れた表情を浮かべてみる。

 

「あたしなら泣かないって? お前にいじめられたら泣く自信あるが? よく知らない目付き悪い奴が敵意向けてきたらマジこえーよ」

 

 エースはまた「うっ」みたいな様子で身を引いた。

 

「わ、悪かったな目付き悪くて……」

 

 たじたじとしてる様子は面白いけど(我ながら性格悪い)、いい加減にしないとな。

 

「ま、合う合わないは人それぞれだからあたしが首突っ込むことじゃねー。自分で決めろよ」

 

 エースはぐっと嫌そうに唇を噛んだ。

 下手になんか言ったら二人の絆が薄れるかもしんない。でもちょっとつついちゃお。

 

「ルフィのことが理解できなくてあたしんとこに来たんなら、あいつのこと知りたいってことだよな」

 

 にやりと笑ってやる。

 エースはしどろもどろになった。

 

「なっ、何言って……! 文句言いたかっただけだ!」

「あたしに言ってどーすんだよ。陰口叩きたかったんか?」

「そ! そんな情けねェことしねェ!」

「ほぉん?」

 

 ニヤニヤしながら腕を組む。木刀がちょっと持ちづらい。

 

「だ、だってお前、あいつの友達だろ!」

「だから? あたしがあいつを庇うところが見たかったのか?」

「うっ……ふ、普通そうじゃねェのかよ……」

「あはは」

 

 組んだ腕を解いて笑った。いじめてすんません。

 

「だーかーらー、お前が自分で決めろ。他人に左右されんな」

「……」

 

 エースが口をひん曲げる。

 

「……お前……ほんと変な奴だなあ……ねじ曲がってる」

「エースに言われたくねーわ」

 

 失礼だなあ?

 

「…………みんなみんな、海賊王の息子は生きてちゃいけねェって言うんだ」

「……おぉん?」

 

 いきなり話題が変わった。エースは少し俯いている。

 

「お前は、どう思う?」

 

 うーん。何とは無しに空に目を泳がせる。

 

「あたしは別にそいつから実害被ってないしなあ……生きたきゃ生きればいいし、本人以外が決めることじゃないだろ。妙な色眼鏡で見る奴も海賊王も知らねーよ。人の命何だと思ってんだ、簡単に生きてちゃとか言ってんじゃねーわ。そーいう奴らはどーせ状況次第で掌クルっクルだぞ。カスは生き様で黙らせりゃいーんだ」

 

 ケッと吐き捨てる。

 エースは食い逃げとかはするけど悪い奴とは思ってない。知りもしないでアレコレ言う奴ばっか目に入れないでくれ。

 

 エースは息を飲むようにして目を丸くしていた。しかしやがてアンニュイな様子で小さく俯く。

 

「……お前やっぱり、変な奴だよ。変な奴だからそんなこと言うんだ」

 

 変な奴変な奴うるせんだよコノヤロウめ。ぷうっと膨れてみせる。

 

「あのさ、いい加減にしろよ、海賊王とその『息子』についての話題何回目だよ。……なあ」

 

 元々知ってたけど。

 エースは目を丸くして一歩後ずさった。

 

「お前が海賊王の息子なんだろ? 年が合わない気はするけど」

 

 首をひねりながら言う。

 普通はこの謎をすんなり解けない。

 

 エースの顔がくちゃくちゃになる。

 

「……だったら……どうすんだよ……!」

「どうもしねーよ」

 

 即答するとエースは小さくぽかんとした。

 

「言ったろ、本人が生きたきゃ生きればいい。あたしが決めることじゃない。ただ本当にエースが海賊王の息子だってんなら──」

 

 できるだけ柔らかく笑う。お願いだから本心を素直に受け取ってくれ。

 

「できれば生きててほしい。口出しすんなって言われようが、生きてほしい。……会ったことない奴の言葉よりあたしの言葉を聞いてくれよ。あたしはお前に会って自分自身でお前の友達でいたいと思ったんだ。……お前のことは、いい奴だと思ってるよ」

 

 たじたじとしてるエースに言葉を重ねる。

 物語の中でも、好きなキャラではあった。けどそれを置いといても、いっしょにワイワイできる時間が楽しくて、人としてとても好きだ。

 

「まー食い逃げ以外はだけどな? 金払わなかった分だけ別の奴が飢えるぞ?」

 

 何せこいつらの食う量は十杯や二十杯では済まないからな。

 

「ぐっ……」

 

 あはは、一応悪いとは思ってるんだ。

 

「……ま、サボだってきっとお前に生きろって言うよ。……あとガープさんとダダンも」

 

 そこにきっとルフィも入るから。

 

「ハァ!?」

 

 おっと? なんか打って変わってガルガルされてしまった。

 

「ダダンはねェよ! あいつは……おれのこと鬼の子って……」

「あはははははは!」

 

 ダダンのあの態度を思い出して大爆笑してしまった。

 

「お前、案外にっぶいよなぁ、ダダンの性格曲がりに曲がってんの気付いてない訳?」

「そんなもんよく知ってるわ!!」

「いーや全然分かってないね」

「……何だと?」

 

 エースがいらいらしてる気がする。

 本気で分かんないから傷付いてるんだよな、そういう悲しいすれ違いはほっときたくない。

 

「ダダンがガキ相手に罵る時はだいたい本音じゃ心配してんだ。これ以上なくキレイキッパリ天邪鬼なんだよ」

「……」

 

 信用ならなそうに眉間にシワを寄せてるエースに小さく溜め息をつく。

 

「……鬼ねえ……イコール悪とは限らねーだろ。たとえば仲間殺されたりしたら誰だって『鬼の形相』になるし?

 まあそれは置いとくとして……ダダンの言動よーく観察してみろよ。どこ行って何すんだか分からん時は、どこ行くんだメシ獲ってこいって、遠くに行かないようにする。怪我してきたらガキが調子に乗ってんじゃないよって心配する。コエー顔して怒鳴っちゃいるがぜーんぶ裏返しだ」

「……」

 

 エースの表情が変わってくれない。

 だけど、こんなこと言ってた奴もいたな、くらいにふと思い出してくれるくらいでもいいんだ。

 

 お前に生きててほしい奴はお前が思う以上にいっぱいいるんだから。

 少しでも分かれよ。

 もし原作通り捕まることがあったとして、生きてていいかどうかなんて悩まないでくれ。

 少しでも、少しでもいいから……生きるんだって足掻いてくれよ。

 

「世界中のどいつもこいつもに好かれるなんて誰にもできないんだから、disってくる奴にまで好きになってもらおうなんて、労力の無駄なんだってさ。好いてくれた奴とだけ仲良くなりゃいいんだよ。これ聞いてからあたしは結構気が楽になったぜ」

 

 受け売りだ。見たのは前世か前々世のSNSでだけど。

 

「……でぃす……? ってかお前に何か気が重くなるようなことあったのか……?」

 

 んー……。

 

 これも前世か前々世──あるいは両方、でのことだけど。

 幽霊とか妖怪とかが見えるとか、場合によってはそいつらと友達になれるとか、お祓いとか、悪縁切りとか──対処に踏み出したら、頭オカシイ奴扱いされたり、嘘つきだって言われたり、根拠もなく疑われたり、気味悪がられて避けられたり──結構碌なことがなかったよ。

 お前の秘密は知ってるのに、まだ自分の力を明かす勇気が無くてごめん。

 

「あはは、ディスナントカって言葉にはだいたいマイナスな意味があるだろ。多分侮辱してくるクソってことだ。

 あとあたしにだって悩みくらいあるからな? ……漁師ん()の子供なのに悪魔の実食って泳げなくなった、とかさ」

 

 ああ……とエースは顔をしかめながら同情する様子で頷いた、けど。

 

「……って、それ、人が何言ってるかとか関係な……、っ!」

 

 はっと口を押さえたエースににへらと笑う。

 

「悪魔の実は実在を疑われてるよーなブツだからなあ。フーシャ村の皆は不思議なくらい貶さないけど、ここの雰囲気が特殊ってことくらい知ってる。特に最弱の海なんて言われてるこの東の海(イーストブルー)じゃ、存在知らん奴もいっぱいいるっぽいし、『バケモン』扱いされるかもな」

 

 言いながらしゅるしゅると左右何本かずつ縄を出す。

 ヘロヘロ波打つように動かしてるとほんとにどっかの怪異みたいだ。

 

 ケンジも化物扱いされるかもってずっと黙ってたんだっけ。前世からの親友(マブダチ)なじんぺーにさえだ。

 

 ……しかしエースは言われなくてもそのへんに気付くんだ。人の悪意に敏感になってるのかもしれない。

 

「ま、話聞いてるに、お前の苦労に比べたら微々たるもんだろう。実際ボロクソに言われた経験までは(今生では)ないし」

「……」

 

 縄を掌から分離させてそのまま地面にバラ撒いた。

 そうしながら、肩をすくめつつ首を振る。エースはただこちらをジィッと見詰めていた。

 後で縄は拾えたら拾って帰ろう。

 

「……お前はおれに生きてほしいのか」

 

 ぽつりとそう言ったエースは無表情だった。

 

「うん。そう言ったじゃん。……まあ? 変な奴が言うこととかどーでもいーのかもしれないけどー?」

 

 ジト目で言う。多少根に持ってるからな。……多少だぞ?

 

 口をひん曲げたエースに、くすくすと笑ってしまった。

 

「言われなきゃ分かんないってなら、皆にも聞いてみろよ。あ、ダダンは素直じゃないから、知らねーとかどっかで野垂れ死ねとか答えるかもだけど」

「……聞くかよ。恥ずかしい」

 

 ぶすっと口をひん曲げたまま言うエースにこっちも口をひん曲げた。

 

「あたしには聞いといて何なん? 変な奴補正?」

「ち、ちが……」

 

 エースは口をひん曲げるのをやめてたじたじした。ハハハ可愛らしいなもっとつつきたくなるぜ(ゲス顔)。ぷーっとむくれたまま詰め寄る。

 

「何が違うんだよ」

「……お前はなんか、話しやすい」

 

 きょとりと首を傾げる。

 

「……ほぉん?」

「これ変な奴だからなのか?」

 

 エースは自分で首を傾げていた。眉間にちょっとシワ寄ってまでいるから、本気で考え込んでるんだろう。

 よく分かんないけどなんか笑えてきたから、ぷっと吹き出した。

 

「あはは、よく分からんけど話しやすいってのはイイな! クソみてえなことはどんどん吐き出せよ。ああ、周りに他がいなきゃ叫んでもいいぞ」

 

 エースは眉間にシワ寄せたまま怪訝な顔をした。

 

「何だそれ?」

「ムカつく奴に仕返しする訳にも行かない時とかはさ、叫べばいいんだ」

 

 エースはまた首を傾げた。

 にぱっと笑ってみせて、すうっと息を吸い込んで、上を向く。

 

──泳がせろやあああ!

 

 ちらりと気配を伺うとエースはドン引きしてるようだったけど。

 

「あーちょっとスッキリした」

 

 勝手に満足してぐーっと伸びをする。

 

「お前……声でけェな」

 

 エースが呆れたような声で言った。

 

「んー? まあ、歌うの好きだからなあ、あたし発声はなかなかいいらしいよ。あー、ムカつくことがあった時は歌うのもいいぞ!」

 

 言って先日エースも作るのを手伝ってくれた歌をワンフレーズ口にして──。

 

「せっかく作ったんだから海に出ても歌ってくれよな。てか海賊のための歌なんて他にも山程ある──だから」

 

 ふわりと、できるだけ柔らかく笑う。

 

「カスのこと考える暇あったら歌ったり、楽しいことしようぜ!」

 

 でもエースは目を逸してぶすっとした。

 ──だけど。

 

「……気が向いたらな」

 

 ……あははっ!

 

「あとさ、お前らラーメン好きなんだったらさ、多分作れるから……ただあたし一人じゃ無理だ。お前隠れててもいいからダダン()に友達呼ばせろ」

「……あ゙?」

 

 おお、ドスの効いた声と青筋と陰さえさした気がするこええ顔だ。

 

「ラーメン作る大変さを一度見やがれ」

 

 こちらがにこにこしつつ圧を掛けるとエースは何故かたじたじとなった。

 

「ダ、ダダンに聞けよ……」

 

 ということでダダンには散々文句言われつつ、アジトをどっかにバラしたりしないとか色々約束して、ヒロとゼロを誘って日時を決めた。

 こいつら料理の腕おかしいから。ヒロが師匠でゼロが弟子らしい。

 なんかあの五人科学的な色々を訳わからんくらい熟知してる上に、こいつら二人は料理の知識とセンスがめちゃくちゃあるんだよ……。だからレシピとかなくても自分で考えて作ってしまえるんだ……。

 

 ヒロとゼロには、山賊に預けられてる孤児に食い逃げを辞めさせるためにラーメン作りの手間を披露してくれ、という大義名分を伝えてある。

 元警察官の血でも騒いだのか快く引き受けてくれた。

 

 我々三人があくせくと大量のラーメン(素材の多くはエースたちや山賊のみんなに山で採って来てもらった。そういう訳にもいかない奴やダダン()にない調理器具だけフーシャ村で買って来た)を作ってると、ダダン()のみんなは少し離れて固唾を飲んで見守っていた。壁の影に半身隠すようにして様子伺ってる奴もいて、大の大人(しかも山賊)相手に可愛いなあと思ってしまう。

 

 エースたちに大変さを見せつけるためにチャーシューも作って、スープは猪骨(ししこつ)にした。

 とても六歳の子供たちの手際じゃない動きにも呆然とされてる気がする。

 知ーらね。大いにびっくりしてくれ。

 

 量も量だしで当然かなりの時間がかかったけど、出来上がった頃には気付けば誰も彼もがヨダレたらしながらキラキラした目でこっちを見ていた。

 にやにや笑いつつよそって運んでいく。

 

 熱さでそんなにガツガツはいけなそうだったけど皆夢中で食べてた。

 我々三人は笑いながら追加を製作していく。

 

 暫くラーメン大会は続いて、皆がみんなお腹を膨らませて満足そうに転がってる中、我々三人は自分たちの分を食っていた。

 さすがにかなり疲れたけど、作ったものを美味しそうに食べまくってもらえるのはやっぱり嬉しくて、三人で笑い合う。

 

 我々が食い終わったくらいで、エース、サボ、ルフィが神妙な顔で近付いてきた。

 

「……ラーメン作るの、こんなに大変なんだな」

 

 ルフィがぽつりと言った。

 

「そーだぞ。お前ら何十杯も食うんだから尚更だ」

 

 少し咎めるような表情を作って言うと、三人はウッと言葉を詰まらせた。

 

「これだけじゃないからな? ほんとは冷蔵庫で何時間とか何日とか寝かせなきゃいけない工程もあるんだ。それはさすがに村で済ませてきたけど」

 

 エースたちが獲ってきた猪の肉の多くは、下処理をしたあと我々三人の家の冷蔵庫を占拠した。

 うちも含め皆家族にめちゃめちゃびっくりされたみたいだけど、肉もらったからお礼するんだとだけ言って子供特有の説明不足を装った(申し訳ございません)。

 まあ実際肉一部もらっていいって言われたしいいだろ。

 

「だからさ、食い逃げなんかしたら、一生懸命頑張って作った奴が丸々損する訳だけど、その損のデカさが分かったか?」

「……よく分かんねェけど、宝払いじゃ駄目なんだな?」

「あはは、お前が宝見つけてくるの何年後だよ。マキノさんはともかく、知らない料理人にまた会えるなんて甘いこと考えんな」

 

 ルフィは真面目に考え込んでいた。

 ……個人的には、マキノさんにも宝払いできるって高を括っていいのか分からん気もする。まあ、ルフィがいない間にフーシャ村が滅びるとかは考えたくないけどな。

 

「んでさ、金がないならこーやって作れるんだわ。作り方あたしたちに習えばいいんだよ。覚えてない内は、材料多めにとってきて少し報酬にしてくれれば、作ってやるぜ」

「うん」

「覚えると料理も楽しいよ」

 

 ヒロがにこにこ頷いて、ゼロがにこっと安室みたいなキラキラの笑顔で言う。子供相手だしな。工藤(コナン)君たち相手してる時みたいな感覚なんだろう。

 

「お、おれたちに作れるのか……!?」

 

 エースたちは目を丸くした。ヒロとゼロがくすくすと笑う。

 

「料理はみんな、人が作ってるんだよ? 頑張れば誰でも作れるようになるさ」

 

 ゼロがにこにこしている。思わずジト目を送った。

 ……お前ができるからって誰でもできると思うなよ。相性悪い奴はどうしても居るんだ。ルフィとか多分そうだろ。

 

「ふうん……まあ、お前にできるとは思えねェけど」

 

 エースはルフィをギロっと見た。これはネタでからかってるとかじゃないな。ルフィが怯えてる。だからこえーって。

 んー。こんな険悪な仲の内はまだルフィはあっちの町で食い逃げはしてないのかもなあ。マキノさんとこじゃいつも宝払いって言ってるけど、村のその他でどうしてるかまでは知らない。

 

 エースにジト目を送るとなんだか気まずそうに目を逸らされた。やっぱいじめてる……ってか邪険にしてる自覚あるよなこいつ。

 

「あっそうだ」

 

 雰囲気を変えようって思った訳でもないけど、ぱちんと手を合わせた。

 

「メシ作る代わりにさ、肉とかもいいけど、あたしの友達をグレイ・ターミナルに連れてってくれ。機械好きな奴らがいるんだよ」

 

 エースとサボがポカーンとして、ルフィは首を傾げた。

 そして。

 

──ハァ!?

 

 ……何で全員でぎょっとしてんだよ。

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