----------------------------------- case : ???
"彼らはきっと会えるだろう"
〔全部治るんだろ!?〕
〔今じゃなかった、それだけだ〕
〔なんで、なんでだよ……!!〕
〔やっぱり、あいつが 〕
〔おいおい、お前が泣くなよ〕
〔良いか悪いかは、その時にしか分からねェ〕
〔二十年かそれくらいだ〕
〔おれも同じ時代に生まれたかったもんだ〕
〔悪魔の実が転生するってんだ、 〕
〔『新時代』が見たけりゃ、そのまま前に進め。〕
「……あァ、あいつは他人が温めていい卵じゃねェ。そうだろう?」
----------------------------------- at the moment
〖なあなあなあ、なあなあ〗
……。
向こう側が透けて見えて、色彩が感じられなくて、姿にはちょっとだけ漫画寄りなファンシーさがある。リアル調ではあるんだけど多少デフォルメ入ってるのは見てる側な自分のイメージのせいなんだろうか。
亡くなってるとこう朧げで、生霊だともっと色も姿もはっきりしてるんだ。
〖おいおいおーい、おーいおーい〗
……。
ぶんぶんと顔に接触しそうな距離で手を振られてる。
〖分かってんだぞー、見えてるし聞こえてんだろ?〗
……。
いや、ミーハー人間的には話してみたくてウズウズはするんだけど、ミーハーだからこそポロッといたらんこと喋っちゃいそうで怖い。
彼らには木刀なんか当たらないのをいいことに知らん振りのつもりで素振りを続けてるんだけど、頭斬り刻んでるように見えなくもないから少し良心が疼く。……いや、だいぶ疼く。マジヤダァこの状況……。
しばらくしてその良心に敗北して溜め息をついた。
「何ですかいったい。話すのあんま良くない気がするんですけど」
いろんな意味で。
〖そうかァ? 別に取って食う気はねェぞ〗
「そういう問題じゃなくて……いやうん、やっぱそのへんどーでもいいや」
説明しようとして、こだわるのもちっちぇえなってなった。相手は──ロジャーは大笑いした。
これまで観察してきてこういう見た目の霊さんたちには特に害意がないと判断してる。フーシャ村近辺で見かける人たちは特にそう。守護霊さんや、知人を優しく見守ってる人ばっかりだった。
……
害意のない人たちの場合、未練があって成仏してないとかじゃない。色も姿も朧げなのは魂の本体のようなものが既にアガってる(既に転生済みなこともあるだろう)からで、こうして現世に残ってるほうは主に『記憶』なんかから構成される『来世に持っていかないもの』なんだと思う。
前世の記憶持って転生するクチはその部分も連れてっちゃってるんじゃないかなー。
守護霊終えたりエネルギー使い切ったりしたら常世に行って神様になる部分なんだと思ってる。まあそこについては確かめた訳じゃないから自分の空想だか宗教観だかだよ。
「で、何かご用ですか?」
〖いやーそんな堅苦しくすんなよ。……エースと遊んでくれてありがとな。ガキがこんなでっけェ傷まで作ってよ〗
ロジャーの指先が左目の方に伸ばされてちょっと目を丸くする。
「何も考えてなかったし、エースがそうしたくなるよーなやつなだけです」
身体が勝手に動いたってやつだ。
ははっとロジャーは笑った。なんか嬉しそうでこそばゆい。
「エースのお父さんとお母さんなんでしょ。あいつのそばにいなくていいんですか?」
エースの守護霊さんだと思うんだよなあ。
〖やっぱ気付いてたか〗
「じゃなきゃそんなに気にかけてる理由分かんないですし、何となくあなたたちとエースは顔が似てる気がします」
最初はルフィとロジャーも似てる気がしてたんだよね。お父さんがドラゴンって知った時はびっくりしたもんだ。
ルフィとエースも似てる気がしたから血の繋がりあるんじゃって思ってたし。
そんな早合点が懐かしい。
〖はは、似てるかあ〗
しみじみ嬉しそうな。ふふ、微笑ましいなあ。
親子の情が感じられるけど、エースは嫌っちゃってるんだよな……。
〖……しっかし、お前おれを罵らねェし、変なやつだよな〗
ぷくっと膨れる。
何だよ親子して変な奴呼ばわりしやがって。
「酷い。友達のお父さん悪く言われたら誰だって嫌でしょ」
ロジャーは大笑いした。頭の天辺に彼の掌が伸びてきて、ぽんぽんされてるような仕草が見えるけど、まあその感触はない。
〖自分でもそう庇われることでもねェと思うんだがなあ〗
「略奪しまくれ暴れまくれって思って言ったんですか?」
海賊じゃないと
ロジャーは呵々と笑った。
〖別に特にやれって思ったわけじゃねェが、予想はついてた〗
……それでも、人々を焚き付けなきゃだったんだろ。
二十年後のジョイボーイがどこの誰かなんて分からなかっただろうし。
「なんか必要があったんでしょ。別に聞きたくないですけど」
ポロッとルフィに言っちゃったりしたくないし、今知るのは自分もあんま面白くない。
ロジャーはきょとんとした。
〖……何でそう思う?〗
ハハハ部分的に知ってるからとか言えない。
「自分のお宝赤の他人にあげようとする海賊とか訳分かんないですからね」
一瞬の間をおいてロジャーはまた大笑いした。
〖そりゃそうか〗
「……あなたの財宝、自分の周りの奴らが自力で見つけたいみたいだから、そのへんの話は聞きたくないです」
耳を塞いでみせるとロジャーはにかっと笑ったから、掌は戻した。
〖お前も一緒に行くのか?〗
ちょっと期待してそうに言われて苦笑する。
「海に出るのは自由になりたいからって聞いてます。自分は船長にアレコレ口出ししそうだからイヤなんですよ。食い逃げすんなとか無駄に暴れんなとか安全な方選べとか、きっとチクチクします」
自分のこの
……だけど、それらを自ら乗り越えることで功を奏したり成長したりするのが彼らなんだ。そこを邪魔したいとは思えない。
シャンクスみたいなはるか年上の人が相手なら、口出しやらお節介やらは自重できそうな気がするんだけどね。
〖あはは遠慮しいだなあ〗
それとはちょっと違う気がする。原作知識っていうチートのせいだし。
〖……ま、おれのせいでやさぐれてるアイツが、お前のおかげで楽しく過ごしてそうだから、お前がどうみてようがおれたちは感謝してんのさ〗
ロジャーとルージュが目を細めて笑ってる。
おかげ。だとしてもそれは自分だけによるものじゃないし。
「……あなたじゃなくて世間のせいだと思ってます」
ロジャーはまた呵々と笑った。
〖身内びいきありがとよ〗
……か、海賊王に身内扱いされただとォ!?
目が白黒するのを抑えるのに思わず渋面になると、ロジャーはますます笑った。